ようこそアイドル至上主義の教室へ   作:黒岩

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年末といえばアイドル特番か恒例の歌謡祭

 冬休みのある日。私は坂柳さんに誘われてある誘いを受けた。

 誘いと言っても遊びの誘いとかそんな可愛いものじゃない。

 

「一之瀬さん。以前提案させていただいた私からの誘い。その答えは決まりましたか?」

 

「ごめんだけど何度言われても私からの答えは変わらないよ坂柳さん。私は、クラスを裏切らない。そういう誘いだったら申し訳ないけど帰らせてもらうよ」

 

 そう。それは裏切りの誘い。

 坂柳さんの策略であり、Aクラスを切り崩そうというBクラスの攻撃だ。

 だから私はそれを拒否する。受けるわけがない。今日呼ばれたのもはっきりとそれを口にするためだ。普通の遊びの誘いであればともかく、こういう用事ならこれからはやめてほしいとはっきりと言いに来た。

 

「待ってください。私は助けたいだけなんです」

 

「助けたい……? それってどういう意味かな?」

 

 だが立ち去ろうと席を立った私に対し、坂柳さんは助けたいと気になる言葉を口にした。

 助けてほしいではなく助けたい。その言葉の意味を私は問いかける。

 すると坂柳さんはその意味を教えてくれた。

 

「これ以上、私たちの学年から退学者を出すのを避けたい。私はそれを防ぎたいだけなんです」

 

「退学者? それって……」

 

「はい。夏休みに退学してしまった司城くんのように、誰かに陥れられて退学するような生徒を私は出したくないんです」

 

 坂柳さんの言葉に私は思い出す。司城くん。夏休みの終わり頃にある問題を起こして退学してしまったBクラスの生徒だ。

 彼の問題は生徒会でも扱ったから知っている。だけど、それが誰かに陥れられたなんて……とてもじゃないが信じられない。

 

「司城くんは……あまり言いたくないけど、やっちゃいけないことをやっちゃった。だから退学してしてしまったことは悲しいけど、仕方のないことだと思う」

 

「その罪が本当に司城くんが犯したことであればたしかにそれはやむを得ないことです。しかし、事実はそうではありません。司城くんは誰かに冤罪をかけられて退学させられたんです」

 

「そんなの……」

 

 どうとでも言える。私はそう言おうとしてやめた。いなくなった司城くんのことをこれ以上悪く言いたくはない。

 それに生徒会の審議にも立ち会ったけど司城くんの罪はほぼ確定的だった。証拠も揃っていたし、今更やっていなかったと言われても簡単には信じられない。

 

「あの時は確証がなくて司城くんを救うことは出来ませんでしたが、今は違います。あれは冤罪だったと断言できる」

 

 だけど坂柳さんは言う。あれは確かに冤罪だったと。

 自らの推理を坂柳さんは披露する。司城くんの年上の彼女が共犯だったこと。2年生の生徒たちも誰かの命令を受けて動いていたこと。

 私の疑問に答えながら、司城くんの無実を証明していく。証拠はないから簡単に信じることは出来ないけど、坂柳さんの推理はたしかにそう考えれば色々と辻褄の合うものだった。

 

「ここまで話せばあなたにも分かるはずです。これが誰の仕業だったのか」

 

 坂柳さんの推理を聞いて、私はそれを否定しようとした。

 証拠は何もない。坂柳さんの言葉は言いがかりに過ぎないものだ。

 それなのに、心のどこかではそれがありえると思ってしまっている自分がいて、私はその事実に気づいて自己嫌悪した。そして否定するために口にする。

 

「……麗ちゃんはそんなことする人じゃないよ」

 

「本当にそうですか? 私も麗さんとは親しくさせて頂いていますが、その印象は一之瀬さんとは違います。裏から手を回すような卑劣な戦略も平気で実行する方だと認識しています」

 

「かといって、誰かに罪をなすりつけることには繋がらないよ。たしかに……ちょっと秘密主義の部分はあるけどそれもクラスを勝たせるために仕方なく……」

 

「仕方なくやったことだと本当に思っていますか?」

 

 そう言って坂柳さんは私の逃げ道を封じる。

 たしかに、私は本当はそう思っていない。仕方なく取った手ではないことは分かっている。だから私は言葉を訂正した。

 

「それでも、クラスを勝たせるためには変わりないよ」

 

「そうですね。その点は疑う余地はないでしょう。ですが、そのために他のクラスの生徒を陥れるような戦略に、あなたは同意できますか一之瀬さん」

 

「そんなの……坂柳さんの言いがかりだよ」

 

「麗さんのことだとは言ってません。そういった戦略を、受け入れられるかどうかを聞いているんです。龍園くんが取るような他人を傷つける戦略を取るリーダーに、あなたはついていくことは出来ますか?」

 

 そんなの、出来るわけない。私の考えは固まっている。

 だとしてもそうだと答えたら坂柳さんにまた言い負かされそうで私は言葉を口にするのを躊躇ってしまった。

 だけど大丈夫のはず。私にはクラスを裏切るつもりなんてない。

 だから勇気を出して私は答えた。

 

「……同意は出来ないよ。人を傷つける戦略には私は同意出来ない」

 

 私がそう言えば坂柳さんは薄く微笑んだ。

 

「そうでしょうとも。一之瀬さん。あなたは善人です。そんなあなたが、他人を傷つけるような手を打つ人間を許せるはずがない」

 

「買いかぶりだよ。私は善人なんかじゃ……」

 

「そうでしょうか。──そうですね。ならそのことは置いといて話を続けましょう」

 

 坂柳さんは私の否定した善人であるという部分を置いて話を進めた。正直そのことはありがたい。あまり突っ込まれたくない部分だったから。

 だけどだからといって苦しい時間が続くことに変わりはない。

 

「一之瀬さん。あなたには、もしそういった他人を傷つける卑劣な手が取られた時に助けてほしいんです」

 

「……助ける?」

 

「はい。私はクラスのリーダーとしてクラスの仲間を守る義務があります。他のクラスの一之瀬さんの手を借りることはリーダーとして情けない限りですが……それでも私はクラスメイトを守る必要がある」

 

 坂柳さんの言葉は素晴らしいものだ。それを否定出来はしない。

 

「それは……良いことだと思う。でもなんで私なんかに……」

 

「一之瀬さんを信用しているからです。私や私のクラスメイトが困っている時に、あなたならきっと助けてくれる。そうではありませんか?」

 

「それはもちろん、助けられるなら助けるよ」

 

 それは間違いない。

 坂柳さんだろうと、たとえ龍園くんだろうと、本当に困っているなら私は助けたいと私は思う。

 もちろん、人を陥れるようなことには手を貸せないけど。私が出来ることでやれることがあるなら私はやりたいと思う。

 

「だから私は一之瀬さんにこうして頼もうと思ったんです。もし、私のクラスメイトが退学させられるような卑劣な手を察知した時、一之瀬さんにはその兆候を私に教えてほしいと」

 

「それは……」

 

「麗さんが、とは言ってませんよ。これは単なる個人的な協力の申し出です。誰であろうとそういった卑劣な手には手を組んで対抗すべき。あるいは正すべきです」

 

 坂柳さんの言葉は正しかった。

 だからこそ私は迷ってしまった。助けたいとは思うし、正したいとも思う。

 だけどそれがもし、本当に行っていたとしたら……。

 

「一之瀬さん」

 

 頼み込むように、あるいは言い聞かせるように坂柳さんが言葉を聞かせる。

 まるで大人が子供に諭すように。その言葉は私の心を揺さぶった。

 

「もし友達が間違ったことをしたなら、それを正すのも友達の役目ではありませんか?」

 

 友達が間違っているなら、それを正すのも友達の役目。

 それは……たしかにそうかもしれない。

 

「何もクラスを裏切れと言ったわけじゃありません。ただ、そういった手段を取ることはクラスにとってもリスクです。これはあなたの友達や仲間を守るためにも必要なこと。そうは思いませんか?」

 

 私は思考する。

 そして考えてみれば、驚くほどその言葉に同意している自分がいた。

 私はもう、間違ったことはしたくない。

 そして友達や仲間にも間違ったことをしてほしくない。

 

「本当にそういった手段が行われた時だけ。もしもの時だけでいいんです。それを私にも伝えてください。そうすれば……微力ながらあなたの友達を正す手伝いを私もさせていただきます」

 

 そう。これはもしもの話。

 そんなはずはないと友達を、親友を信じている。

 だからそんなことは起こり得ない。

 だからこそ、受けたって何ら問題のないはずの話だった。

 そう思った時には……。

 

「……分かった。坂柳さんのクラスメイトが退学させられるような酷い手を使われたもしもの時だけ、それを坂柳さんに伝える。それだけでいいんだよね……?」

 

 たったそれだけだ。クラスを裏切るわけじゃない。

 もしそんなことが行われればクラスのためにもならない。そう、これはクラスを守る備えとして……必要なこと。

 私がそう答えれば、坂柳さんはこちらに手を差し出してくる。

 

「ご理解頂けたようで何よりです。やはり一之瀬さんとは仲良くなれそうですね」

 

「……うん。でも、何度も言うけどクラスを売るつもりはないよ」

 

「承知しています。これは互いに友人を守るための取引です」

 

 それなら……問題はない。

 

「それとこれは取引関係なく、これからは個人的に仲良くしていきたいという申し出です。受けて頂けますか?」

 

「うん。もちろんだよ。よろしくね、坂柳さん」

 

「こちらこそよろしくお願いしますね、一之瀬さん」

 

 快くその手を取る。

 大丈夫。これはあくまでもしもの時の取引。

 そうでなければただの友達付き合いだ。私はそれを心から信じていた。

 

 

 

 

 

 24日はデート。25日は生徒会のメンバーで遊び、26日はクラスでのクリスマス会と冬休みを満喫する。

 その後も友達と遊んだりやることを済ませたりと色々やって、気づけばもう年の瀬だ。

 大晦日は恋人や気になる異性と過ごすというより、どちらかと言えば家族や友人と過ごす方のイメージを私は持っている。

 なので昼間はクラスの友人たちと過ごした後、夜は生徒会のメンバーと年明けまで過ごす前。僅かな間だが家族との時間を作った。

 

「おい麗」

 

「ん、なーに雅兄。もうすぐ蕎麦できるけど」

 

 その相手は当然、雅兄だ。学校外に出られず外の家族や友人との連絡を禁じられているここでは当然のことだが、学内に家族がいる私は人によっては恵まれているように映るのかもしれない。

 私もそれは否定しないが、とはいえ学内に兄がいることの煩わしさみたいなのも存在する。今私は雅兄の命令で年越し蕎麦を作っていた。いやまあ私も自分で作って食べるつもりで昼間は友達を誘って私特性の手打ち蕎麦を振る舞ったのだから手間はそれほどでもないんだけどね。

 ちなみにそば打ちは番組のロケで習った。東京の老舗の何十年と蕎麦を打ってる職人に教えてもらったから間違いない。友達からも大絶賛だ。

 そんなわけで自室の台所で蕎麦を湯がいていた私だが、リビングでテレビを見ながらそれを待っている雅兄に軽く声をかけられたのでこっちも軽く返事をする。家族なので気安いのはいつものことだ。雅兄の同級生じゃ許されないだろう。

 

「テレビに映ってるぞ。おまえが所属してたグループだ」

 

「あー、確かに。曲聞こえるね。今年の初め頃に出した新曲だ」

 

「見なくていいのか?」

 

「見なくても大体分かるから別にいいかな」

 

 どうやら大晦日にやってる恒例の音楽番組に私の所属グループが映っているらしいが、正直見飽きているしクオリティも察しが付くから別に見なくても構わない。私がいなくても十分に上手くやっていることだろう。

 

「前々から思っていたがこのおまえの代わりにセンターに入ってる女は悪くないな。卒業したら俺に紹介してくれないか?」

 

「蘭ちゃん? その子女の子にしか興味ないから無駄だと思うよ。しかも実家が結構な名家だから手を出すと大変なことになるし」

 

「そうか。ならこの背の高い女はどうだ?」

 

「珠莉ちゃんは実はメンバーで1番おバカちゃんでかなり天然入ってるから雅兄とは合わないと思うよ。しかも超陰キャで口下手だからね。かっこいいクール系で誤魔化してるけど女子力あんまりないし、趣味は1人キャンプと1人での食べ歩き。おまけに偏食家で放っといたら毎日同じもの食べ始めるからね。初めて会った時、1人で毎日ラーメンの食べ歩きしてるの見た時はどうしようかと思ったよ」

 

「……そうか。ならやめておこう。あまり興味はないがこの小さい女はどうなんだ?」

 

「ミミちゃんは超絶オタクで二次元にしか興味がないからダメだね」

 

「このギャルっぽい女は?」

 

「激重メンヘラ女いろはちゃんね。確かにおすすめだよ。めちゃくちゃ可愛いし彼氏になった相手には絶対尽くしてくれるだろうねー。結婚おめでとう雅兄」

 

「やめておく。どうやらおまえのグループにはクセのある女しかいないようだな」

 

「言ったことなかったけ。……そういえばなかったかも。全員今流行りのおもしれー女ばかりだよ──はい蕎麦」

 

 私が知られざる本性を口にしてやれば雅兄は興が削がれたらしい。チャンネルを変えてしまったので私は出来上がった蕎麦を雅兄の前にお出ししながらもチャンネルを元に戻す。

 雅兄はそれを見ても何も言わず、軽く肩をすくめると蕎麦を口にした。

 

「やはりおまえが1番良い女だな。蕎麦も美味い。妹なのが惜しいくらいだ」

 

「はいはい。待ち合わせに遅れるからさっさと食べてくれない?」

 

「時間にはまだ余裕がある。たまには家族水入らずの時間も必要だろ?」

 

 この後は生徒会のメンバーと年明けまで過ごすつもりだが、約束の時間まではまだ1時間以上はある。

 なので雅兄の言う家族水入らずの時間を過ごすだけの余裕は確かにあるけれど、重要なのはそこじゃなかったりする。

 

「やりたいのは家族の時間じゃなくて悪巧みの時間でしょ」

 

「それはおまえも同じだろう。改めて確認だが、おまえは余計なことはするな。堀北先輩は俺が相手をする」

 

 大晦日に年越し蕎麦を食べながらする会話といえば、年明けの三学期が始まってすぐに行われる予定の全学年合同の特別試験──『混合合宿』についての話だ。

 生徒会の一員としてその試験のルールの一部を作り、それを把握している私達にとって試験の説明前から戦略を立てることは難しいことじゃない。

 それどころか、試験を作る段階からそれは始まっている。私は雅兄の立てたその戦略を理解しているため、特に疑問に思わず了承した。

 

「分かってるって。そもそも堀北先輩には興味ないよ」

 

「以前、堀北先輩に少しちょっかいをかけたそうだな。ああいう小競り合いも今回は禁止だ。俺の戦略に支障が出るからな」

 

 何を言うかと思えば、以前の龍園くんの一件の時に私が堀北先輩とちょっと遊んだことを指摘してくる。見られてたか誰かから聞いたか。多分後者かな。それも当人から聞いたんだろう。

 

「言っとくけどあれは堀北先輩の方から私にちょっかいかけてきたことだからね。幾ら雅兄のお願いでも仕掛けられたら迎え撃たせてもらうよ」

 

「もしそうなればそれは構わない。だが、自分から手を出すようなことは決してするな。そうなればあの人は俺の企みに気づきかねないからな」

 

 確かにそれはそうかもしれない。

 雅兄の戦略は始まってしまえばほぼ防ぐことは不可能だが、それでも全く手がないわけでもない。

 その可能性を限りなく低くするための私への命令だろう。正直なところ、そっちはあまり興味ないため問題ない。

 それに従うことによる利点もある。

 

「分かってるよ。その代わり、雅兄もちゃんと協力してね」

 

「ああ。俺の方からも改めて連絡しておくから好きに使え。俺の戦略の邪魔さえしなければ1年でおまえがどれだけ好き勝手しようと俺は目を瞑ってやる。それどころか歓迎すらしてやるさ」

 

 自分の妹の成果は自分の成果でもあるというように雅兄は言う。実の妹が実力を見せつけることを雅兄は歓迎していた。

 私の成功を純粋に喜んでないわけじゃないが、私が成功することで雅兄の実力もまた証明することになるからね。そういうマウント行為が大好きな雅兄にとっては中々良いシチュエーションだろう。楽しげなのも無理はない。

 

「だが重ねて言うが、グループ分けの時は気をつけろよ。女子の方は始まれば俺は口を挟めない」

 

「それくらいどうにでもするよ。面倒そうなのは有栖ちゃんくらいだしね」

 

「坂柳か。確かにあいつならおまえの邪魔をしようとかき回してくる可能性はあるかもな。俺の戦略の邪魔になるようならおまえに何とかしてもらうぜ? 俺の手駒の女子じゃ坂柳の相手は荷が重そうだからな」

 

「了解りょうかーい。それより蕎麦早く食べちゃって。後片付けもあるんだからさ」

 

「おっと。そうだったな」

 

 私が了承して早く食べるように言えばしばらく雅兄は蕎麦に取り掛かる。

 しばらく無言で雅兄が蕎麦を啜る音とテレビの音だけが室内で響く時間が続く。特に気まずくは思わない。私はちょくちょく携帯を触って友達とチャットしているし、雅兄は蕎麦を食べている。兄妹というのは無言の時間があっても気まずくは感じないものだ。──まあ他はどうか知らないけどね。堀北兄妹なんかはなんとなく気まずくなってそうだし。主に鈴音ちゃんの方が。

 

「中々美味かった」

 

「お粗末様ー」

 

 そして蕎麦を食べ終わったら片付けをして出かける準備をする。生徒会のメンバーで集まるのも慣れてはきたが、年上の先輩方が多いので気は使わないとね。特に桐山先輩なんかは気難しくて内心で私のことをどう思ってるやら。ちょっと怖いところあるし。

 

「年明けにはすぐに三学期だな」

 

「なに? また試験の話?」

 

「違う。今度はおまえの話だ。そろそろ始めるつもりなんだろ? 綾小路を潰す作戦のことだ」

 

 察しはついているといった様子で雅兄はニヤニヤとそう告げた。

 私はそれを適当に返しておく。

 

「あーそれね。まあぼちぼちかな」

 

「おまえのことだ。あるいはもう始まってるかもな。結果を楽しみにしてるぜ」

 

 雅兄の期待。それは悪い気はしない。

 まあ雅兄がというより、私は期待を向けられることがそもそも好きなんだけどね。人からの期待に応えられた時、私という人間がまた一歩、完璧に近づいたことを実感出来る。

 だからこそ私は笑顔で応えた。

 

「それは期待しておいていいよ。綾小路くんはすでに──私の術中だからさ」

 

 綾小路くんは既に気づいているだろう。私の言動に隠された何かに。

 だがそれが表か裏のどちらであるかは、絶対に気づくことは出来ない。

 なぜならそれは……私自身が決めること。

 誰であろうと私を『理解』することなど出来やしないのだ。

 

 ──そうして年が明け、新たな1年の始まり……私達は新たな特別試験に挑むことになる。




これで冬休み編は終了。次回からは混合合宿編です。お楽しみに。

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