シンビオートに寄生されたけど、意外とへいきだった 作:たるたるそーす
開戦
ある日、ふとカレンダーを見るとナナセの誕生日が近いことを思い出した。
「そうか…もうすぐナナセの誕生日か…」
と思わず呟くと、
『付き合ってから初めての誕生日だもんな。なにかプレゼントは考えてんのか?』
俺の首から顔を出したブラストがそう言ってきた。
プレゼントか…考えてなかったな、何を送ればいいだろうか。しばらく考えていると、
『じゃあ、ちょっと遠出してみないか?その先で何か見つかるかもしれないからな。最近、仕事ばかりだったから羽を伸ばすのにも丁度いいだろう』
ブラストがそう提案してきた。
確かに最近はずっと仕事続きで疲れていたし、息抜きをしたいと思っていたところだった。だから俺はブラストの提案に乗ることにした。
「そうだな。たまにはそういうのも悪くない。だが、どこに行くか…?」
俺がそう言うと、ブラストが答えた。
『それならいい場所を知ってるぜ』
「本当か、どこなんだ?」
『ニューヨークだ。前行った時に洒落た店がたくさん並んでただろ?そこならナナセに合うものが見つかるんじゃないか?』
少し遠いが、確かにいいかもしれない。ブラストの案に賛同していると、
『それに、あのタイツマンにも会えるかもしれないしな!』
と付け加えた。
そんな奴いたなぁ…と思いつつ、ひとまずは今日の分の仕事を片付ける事にした。
そして数日後、俺たちはある程度計画を立てて、飛行機に乗り、ニューヨークに向かった。空港に到着し、荷物を受け取り、タクシーに乗って、適当な通りへと向かった。
タクシーの中で、ブラストが言う。
『久々だな!ここに来るのも。相変わらず賑わってんなー』
俺は窓から見える景色を見ながら、そうだな、と相槌を打つ。
その後、色々な店へと向かい、様々な商品を見て回った。途中、ショーウィンドウ越しに見えたネックレスが目に入り、思わず店内に入る。
プレゼントとして無難すぎるな、とは思ったがナナセに似合いそうなデザインだったので購入することにした。
店員さんが綺麗にラッピングしてくれたので、それを内ポケットに大切にしまった。
『中々良いのを買えたじゃないか』
「ああ、ナナセが喜んでくれるといいんだが…」
『大丈夫だ、絶対に喜ぶ。俺が言うんだから間違いない』
その後もブラストと相談しながら、店を周り、服やアクセサリー、靴など、ナナセが気に入りそうなものを探していく。
それはある店から出てきた時だった。
突然、俺たちの足元を囲うように火花のようなものが円形に散る。
「うおっ!?なんだこれ!?」
『とりあえず逃げるぞ!』
「そうだな……って、うわっ!!」
ブラストにもそう言われ、火花の円から飛び退こうとするも、踏み込んだ地面が消えてしまい、俺たちはその穴に吸い込まれてしまった。
その後、少しの間落下を続けていたが、再び火花が散って穴が開き、どこかに落とされた。
着地すると、そこは大きな屋敷の中らしい事が分かった。
「いてて……ここはどこだ?」
『わからねぇ。だが、そこにいる奴は知ってるかもな』
ブラストが顎で指す先にいたのは、まるでゲームなどに出てくる魔法使いのような格好をした男だった。
「ようこそ、私のサンクタムへ。歓迎しよう、そこに掛けるといい」
男は椅子を指さして言った。
さっきまでその場所には椅子なんて無かったはずなのに…
俺は警戒しながらも、男の向かいの席に座る。
「私はドクター・スティーブン・ストレンジ。“至高の魔術師”を受け継ぐ、最強の魔術師だ」
「後半は何言ってるか分からなかったが、俺は今宮 亘だ」
魔術師風の男──ストレンジ…さんはそれを聞くと、
「今宮 亘か。ふむ、ではもう1人のお友達はなんて言うんだ?」
っ…!!
まさかこの人もシンビオートを…!?
シンビオートと共生している事を知っているような口ぶりに驚愕しながらも、意識を集中させてブラストに聞く。
(どうする?バレてると思うか?)
『ああ、多分バレてるだろう。じゃなきゃ俺たちをここに無理矢理連れてこない』
(不味いな…)
『とりあえず殴っとくか?』
野蛮な提案をしてきたが、とりあえず保留にして話を続けることにした。
「なんのことか分からないんだが?」
「とぼけなくてもいい。私は世界の脅威となる存在について調べているんだ。そして、そのシンビオートとやらの事ももちろん知っている」
そこで一旦区切り俺を見つめてくる。ブラストは渋々俺の首から顔を出す。
『はぁ…ほら、満足か?』
「いいや、まだ私の話が終わってない。続けるぞ」
そう言って再び語りだした。
「最初はすぐに呼び出そうと思っていたんだ。しかし、君は日本で事件を解決した…それを見て、私は君を放っておいてもいいと結論づけた。……だが、わざわざニューヨークに来たなら話は別だ。少し話をしよう」
買い物も無事終わったようだしな。いいネックレスだった、と付け加えて言ってきた。
どうやら今の今まで監視されてたみたいだ。この人には嘘をついても無駄だと思い、大人しく話を聞く事にした。
「君に聞きたいことは山ほどあるんだが、まずはそのシンビオートについて話そう。君の知る範囲でいいから教えてくれ」
俺は知っている限りのことを話した。
ブラストと出会った事、日本での出来事など……
全てを話し終えた後、ストレンジさんはこう言った。
「なるほど。では、善良な市民を襲う心配はないんだな?」
「ああ、俺も、俺の知り合いもそんな事はしない」
そう答えると少しホッといたが、逆に俺が今度は質問する。
「ナナセ達には本当に接触してないんだよな?」
『もしナナセに何かしてたら、お前を爆破して、人間消失マジックをしてやるからな』
と過激な発言をするブラストを咎めながらも、ナナセが心配だったのでそう聞く。
「大丈夫だ。さっきも言ったが、元々関わるつもりはなかった。君が近くに来ていたから呼んだだけだ。……あとその怪物をしっかり躾けておけよ。次そんな口をきいたら、その怪物を君ごとエベレストの山頂に放置するからな」
と割と洒落にならない事を言われたが、ナナセが無事なようで安心した。
ブラストが中指を立てようとしているのを止めながら、ウォンさんというスキンヘッドの男性も交えて他愛のない話を続けていた。
だが、突如轟音が響いて、屋敷の屋根を突き破りながら謎の光と共に人のようなものが落ちてきた。
警戒しながらも急いで落下地点に行く2人に、俺達も着いていく。
落下した時に空いたと思われる穴を覗くと、やつれた顔をした男性がそこにはいた。そして
「────サノスが来る……!」
と切羽詰まった表情で言い放った。
その言葉を聞き、ストレンジさんとウォンさんは顔を見合わせる。
「サ、サノ……なんだって?」
『なんだコイツ、屋根を突き破っての第一声がそれか?』
「サノス!!インフィニティ・ストーンを狙ってる宇宙人だ!あいつをどうにかして止めないと!宇宙が大変な事になるぞ!」
ストレンジさんが聞き慣れない名前について尋ねた所、その男は発狂したかのように掴みかかって叫んだ。
そんな中ウォンさんは、なんとかストーンの名前にピクリと眉を動かした。
「インフィニティ・ストーンだと?どこでその事を知った?君は何者なんだ?」
「バナー!ブルース・バナーだ!ええっと、ハルクって言った方が分かるかな?ストーンの事は……っ、ソーから聞いたんだ」
「ハルク……ソー…?もしかしてアベンジャーズのか?」
ハルクにソー。アベンジャーズの主力にして現在行方不明となっているメンバーのはずだ。
その片方が空から降ってきて、サノスという宇宙人がインフィニティなんとかを狙っているときた。
普通なら信じないだろう。しかしここにいるのは地球を侵略者から守っているらしい魔術師二人である。すぐに冷静になり、対応する。
「誰に連絡をとればいい?」
「アベンジャーズ全員にだ。まずはキャプテンへ!」
「なあ、ブラスト。俺、全然ついていけないんだけど…」
『ああ、でもなんだかヤバいことになりそうだ』
はい、今回は本当に短めです。
エンドゲームまでの大まかな構想は練ってあるんですが、中々細かい描写が難しい……
引き続きよろしくお願いします!!