シンビオートに寄生されたけど、意外とへいきだった 作:たるたるそーす
バナーさんの話を詳しく聞き、とても危険な状況らしいことはわかったが、キャプテン・アメリカがどこにいるのか分からず、連絡手段も俺たちには無い。
そこでとりあえず居場所が分かっている、
“アイアンマン”ことトニー・スタークさんの元へ行く事になった。
ストレンジさんがスリングリングという物を使い、
再び火花の円──ゲートウェイというらしい──を創り出す。
それを覗き込むと、スタークさんらしき人物と綺麗な女性がいた。
ストレンジさんが早速声をかける。
「トニー・スターク。ドクター・スティーブン・ストレンジだ。一緒に来てもらおう。ああ…それと、結婚おめでとう」
いきなり現れたストレンジさんにスタークさんと女性は驚き、訝しげに
「なんだ?お祝いの余興か?」
と警戒しながらもジョークを飛ばしてきたが、ストレンジさんは真剣な眼差しで
「力を貸してほしい……大袈裟じゃなく、宇宙の命運が我々にかかっている」
「我々って?」
「…やあ、トニー……ペッパーも…」
「ブルース…?………大丈夫か?」
ゲートからバナーさんがおぼつかない足取りで向かっていく。
バナーさんは信頼できる仲間と再会できた事と、ここにくる前に起きた悲劇が再び思い起こされたようでふらついてしまい、スタークさんに支えられていた。
スタークさんもその様子から事態の深刻さを感じとったようで、女性に心配されながらもサンクタムへと来てくれた。
全員が広間に集まり、まずはウォンさんがインフィニティ・ストーンらしきものを魔術で空中に投影し、説明を始めた。
「ビックバンと共に6つの結晶が生まれた。それが宇宙を駆け回っていた。…これがインフィニティ・ストーンだ」
「スペース、リアリティ、パワー、ソウル、マインド。……そしてこれがタイム」
ストレンジさんが説明を引き継ぎ、自身の首から下げていたペンダントのようなものを魔術で開く。中には緑に輝く神秘的な石があった。
『へぇ、それがタイムストーンか。話には聞いたことがあるが、実物は初めて見たな』
「なんだよ、知ってたのか?」
『ああ、と言っても名前だけだ。そっちの魔術師の方が詳しく知ってるだろ』
ブラストはインフィニティストーンの事を少しは知っていたようでそう呟いた。それでも知ってたなら教えてくれよ…とブラストを睨んでいると、スタークさんが
「なあ、そこの腹話術くんはなんなんだ?」
と俺たちの方を見ながら言ってきた。
『あぁん?なんだぁ?』
「いや、俺たちは別に腹話術をしてるわけじゃないんだが…」
スタークさんは俺たちを訝しげに見つめていたので、ストレンジさんが助け舟?を出してくれた。
「彼も協力者だ。自己紹介でもしておくか?」
『おい、何勝手に決めてんだ』
ブラストがストレンジさんを睨みつけるが、もちろん手伝ってくれるだろう?と俺たちを試すように言ってきた。
もちろん手は貸そうと思ってはいたが、勝手に決められると、それはそれで……と思いながらもバナーさんも含め、軽く自己紹介を交わし、話題はストレンジさんのストーンに移り変わる。
「おい、ドクター。その石を壊すつもりはないのか?」
「ダメだ。タイム・ストーンは必ず守らなくてはならない。…それより、早くキャプテン・アメリカに連絡したらどうだ?」
「こっちにも色々あるんだ。アベンジャーズも解散したしな……だから、余計な口を挟まないでくれ」
どちらもプライドが高いようで一切譲らなかった。
状況も状況なので一歩も引かず、言い合いに発展しそうな空気だったが、バナーさんが何かを思い出したように言う。
「そうだ……トニー!ヴィジョンは?彼の額にはマインド・ストーンが埋まってる。彼も狙われるに違いない」
「……ヴィジョンはワンダと一緒にアベンジャーズを脱退した。今じゃどこで何をしてるのかも分からない状態なんだ」
「なら尚更、キャプテン・アメリカに連絡をするべきだ」
ヴィジョンと呼ばれる人もストーンを持っているらしいが、連絡がつかない。
それを聞いたストレンジさんはまた、スタークさんの持っている古い携帯のようなものを指さしてそう促した。
「だが……」
それでも渋い顔をするスタークさんにバナーさんが打ち明ける。
「トニー……ソーが、死んだんだ」
「っ……なんだと?」
「ハルクの意識がまだあったからハッキリと見えた訳じゃない。でもソーのあの状態じゃ生きてるのは絶望的だ。サノスは今までのように勝てる相手じゃないんだ」
バナーさんから伝えられた仲間の死。それが確実でないにせよ、スタークさんは決心したようだった。
携帯を開き、一つだけ入っている『スティーブ・ロジャース』の名前をすぐ押そうとするが……一歩手前で指は止まってしまった。
「っ…!!」
ボタンを押そうとする指が震え、いろんな葛藤で再び迷い始めてしまったが、
俺の相棒は容赦しなかった。
『早く押せよ』
ポチッ
「なっ、おい!?なにしてっ!?」
「ブラスト…お前マジか…」
俺の身体から触手を伸ばしたブラストは空気を読まずにボタンを押す。
スタークさんは勝手なことをしたブラストにキレそうになっていたが呼出音がすぐに止み、慌てて耳にそれをあてた。
『…スタークか?』
「キャプテン……」
それっきり会話が進まず、お互い沈黙してしまった。それを見かねたブラストが呟き、
『ずっとこうしてるつもりか?愛の言葉を囁く時みたいな間の開き方だな』
「…それって俺とナナセのことか?」
「こんな事をしてる場合じゃないんだ!トニー!」
バナーさんも埒が開かないと思ったらしく、スタークさんに呼びかける。
俺は後でブラストをシメようと心に決め、電話の行方を見守る。
『今の声……もしかしてバナーか?』
その声を聞いたバナーさんはすぐに携帯を奪い取り、電話の向こうに語りかける。
「ああ、久しぶりで悪いんだけど、よく聞いてくれ!インフィニティ・ストーンを狙ってる奴がいるんだ、そいつの名前はサノス!」
『サノス…?』
「そうなんだ、ソイツらが今から地球に来る!だからヴィジョンを守ってくれ!」
バナーさんが矢継ぎ早にキャプテン・アメリカと思われる人物に、要点だけを話していく。
『すまない…ちょっと状況がまだ読めないんだが…』
「詳しいことは後で話す!!だけど、今はとにかくヴィジョンを…」
『…分かった。バナー、僕達は仲間だ。仲間の言ってる事なら信じる。ヴィジョンを守ればいいんだな?』
「ああ…ありがとうスティーブ…」
『いいんだ。…スタークに変わってくれるか?』
それを聞いたバナーさんは急いで携帯を返す。
スタークさんはそれをゆっくりと、まだどこか悩んでいるような表情で、そっと耳にあてた。
「…キャプテン、変わったぞ…」
『………スターク、あんな事はあったが、君も大切な仲間だ……少なくとも僕はそう思ってる』
「………ボクは…正直、まだ気持ちの整理がついていない。当然だろ?…でも…なんというか…ボクも君達の事は…」
スタークさんが音葉を紡ごうとした時───外から爆発音が聞こえた。
すぐに外に出て、音の鳴り響く方へと向かう。そこには謎のリングが浮いており、大柄な怪物と痩せ細ったミイラのような奴がいた。
どちらも人間のようには見えない。
するとミイラの方がこちらに気づいて、宣教師のように語りかけてくる。
「聞け。そして喜べ…お前たちはサノスの子によって死を迎えるのだ。感謝するがいい。お前たちの意味のない命に…」
グダグダと喋り続けるミイラ野郎に嫌気がさしたのか、気持ちを切り替えたスタークさんがかぶせて、
「悪いけど地球はもう店じまいなんだ。ささっと荷物をまとめて帰るんだな!」
と言い放ったが気にした様子はなく、ストレンジさんの方を見て口を開く。
「ストーンを持つものよ。そのうるさい動物はお前の代弁者か?」
「いいや、まさか。私は自分で語る。お前は不法侵入している、この星にな」
そう言いながら、腕に魔法陣を浮かべて、ウォンさんと共に戦闘体制をとる。
「さっさと失せろ、イカ野郎!」
『最高だな、あいつにぴったりだ!』
「確かにイカ野郎はいいセンスだな」
スタークさんのヤジをブラストと褒め称えていると、イカ野郎は、うんざりだ…、と呟いて、隣の怪物をこちらにけしかけようとしてきた。それを見たスタークさんはすかさずバナーさんに話しかける。
「バナー、やるか?」
「いや…でもやらなきゃならないんだろ?」
そう言って全身に力を入れはじめた。
おそらくハルクになろうとしていたのだが、なかなか上手くいかない。
「あれ…?なんでだよ!?ハルク!!おい!」
それを見かねたブラストが
『なんだぁ?手助けしてやろうか?』
と言うや否や、バナーさんに自分の身体を流し込みはじめた。
いきなりの行動に驚き、すぐにやめさせたが、バナーさんの様子が明らかに変わっていった。
「ウォォォ……ハルクは……弱虫じゃ…ない!!!!」
なんと筋肉がどんどん膨れ上がっていき、耐えきれなくなった服が破れ、体を緑色の巨体へと変化させていく。
「おい…なにしたんだよ?急に変身したし、心なしかこっち睨んでないか?」
『ちょっとアイツの身体に入って、“オハナシ”しただけだ』
ブラストのせいでこっちを鋭い目で見てくるバナーさ……ハルクに内心ビクビクしていたが、スタークさんが仕切り直す。
「よく分からないが、腹話術くんのおかげで変身できたんだな?よし、じゃあボクも“変身”するとしよう」
そう言って胸についていた機械的な物をタッチした。すると彼の体が段々とアーマーに覆われていき、所謂アイアンマンの姿になった。
そして、走ってくる怪物に向けて背中からビットのような物を展開し、高出力のビームをお見舞いする。
怪物は吹き飛ばされはしたが、致命傷には至ってないようだ。
『おいおい、効いてなさそうだぞ?』
「うるさいぞ、腹話術くん。そんなに言うなら君がやって見せろ…っと!」
「ウォォォ!?」
「まったく騒がしい奴らだ」
イカ野郎がそう言うと地面から柱のようなものが生え、俺たちを襲う。なんとか回避できたが、スタークさんは上空へ、ハルクは建物の窓を突き破って姿を消してしまう。
『じゃあ、そろそろ俺たちもやるかぁ』
「ああ、頼むぞブラスト」
俺もブラストに身体を預けて、身体にシンビオートを纏ってファイティングポーズをとる。
体細胞を飛ばし、イカ野郎を爆破しようとするも、魔術のようなもので瓦礫を操ってガードされた。そして、今度は別の瓦礫をストレンジさん達に向かって飛ばしてくる。
「むっ」
「私に任せろ!」
ウォンさんがすぐに大きな魔法円を展開し、盾のように瓦礫を防いだ。そして攻撃が収まると、ストレンジさんが何重もの魔法円を展開して防御から攻撃へと転じようとする。
しかしそれを囮に見せるかのように、戻ってきたスタークさんが両手から衝撃波を撃って車をヤツへと吹き飛ばしたのであった。
「いい手だが、私には通じない」
向かってくる車をイカ野郎は闇魔術により生み出した刃で切断し、真っ二つとなった車体を返すように飛ばした。
片方はスタークさんの攻撃により破壊し、もう片方は俺たちが殴って壊した。
『見た目が変わったが…さっきの腹話術くんだよな?やるじゃないか!』
『よく分かってるじゃねぇか。見直したぜアンタのこと』
『そりゃ良かった、もっと褒めてもいいんだぞ。それと…おい、ドクター!そのストーンどっかにやってくれ!』
「悪いが手離す気はない」
『だよなっ、じゃあな!』
ストーンを狙っている以上、そのストーンをどうにかすればいいと考えたスタークさんだったが、断られた為にそれを諦めて単身イカ野郎へと向かっていった。
それに対し、ヤツは瓦礫を繋ぎ合わせ、槍のような形状へと変えてスタークさんを狙う。
全て避けられてしまうものの、自身の背後から飛んできたチェーン付きの斧には反応されずにスタークさんを吹き飛ばす事に成功した。
「お前はアイツらをやれ。任せたぞ」
「グルルゥゥゥ…!!」
建物を貫通していったスタークさんを追い掛けようとする怪物だったが、直後に建物の壁を突き破ってきたハルクの体当たりを受ける羽目となった。そして互いに絡み合いながらスタークさんのいる方へと進んでいく。
『ワオ、あっちはまるで怪獣映画だな』
「そうだな、まあ君も似たようなものだが。では私たちもコイツを倒すとしよう」
魔法陣を展開してそう言ったが、イカ野郎は近くのレンガを操り、先端を針のように尖らせてこちらに飛ばしてきた。
ストレンジさんとウォンさんはすぐにゲートウェイを作成し、逆にアイツへと飛ばし返す。
イカ野郎は魔術を用いて避けたが、頬に少し掠ったようで出血していた。血を拭ったヤツは怒りながら瓦礫を無造作に飛ばしてくる。
それを爆破や魔術で凌いでいると、スタークさんのいる方から、こちらに何かが吹き飛んできた。人のようだったのでキャッチすると、
『おい、なんか飛んでき……あ!タイツマンじゃねぇか!!』
「痛てて…どうもありがとう……ってうわ!!顔怖っ!敵!?」
なんと、飛んできた人物はいつぞやの強盗を捕まえていたタイツのヒーローだった。
『大丈夫か?坊主。ソイツは味方だ。敵はこっちのデカブツとそこのイカルドだ』
『そういうことだ。俺たちはブラスト。よろしくなタイツマン』
「まあ、スタークさんが言うなら味方なんだろうけど…えっと、よろしく!後、タイツマンじゃなくて、スパイダーマンだから!!」
そう言って糸を使いながらスタークさんの方へ戻って行った。一連のやり取りを、攻撃を防ぎながら見ていたストレンジさんは、
「ウォン、あの危なっかしい少年の方へ行ってくれ。こっちは私たちでなんとかする」
『そうした方がいい。タイツマンはまだガキっぽいもんな』
と言って、ブラストもそう付け加えた。了承したウォンさんはすぐにスパイダーマンの方へと向かう。するとイカ野郎が笑みを浮かべて言った。
「いいのか?お前たちだけで私を倒せるとは思えないが」
『言うじゃねぇか。おい、魔術師!ストーンを大事に守っとけよ!!』
ブラストがそう言い放ち、俺たちは猛スピードで接近していった。
少し間空いちゃってすみませんでした!!
これからもちょっと遅れるかもしれませんが、
細々と続けていくのでよろしくお願いします!!!