シンビオートに寄生されたけど、意外とへいきだった 作:たるたるそーす
宇宙船の自動操縦に任せて進んでいき、ついにサノスが待ち構えているであろう惑星へと到着した。
そこは巨大な雲に覆われており、上空からは地上の様子が見えなかった。
そしてその雲の下へ行こうとした時にある事に気づく。
もうすぐ着陸だというのに宇宙船のスピードが緩まないのだ。
「大丈夫なの?これ?このままじゃ地面に激突しちゃうんじゃない!?」
『任せろ、俺たちがなんとかする』
ピーターが焦ってそう言ったがブラストは冷静にそう答える。そして再び俺の身体に纏わりつき、操縦桿のようなものに手をはめ込む。
「おい、本当に大丈夫なんだろうな?」
『黙って見てろ。こういうモンを操るのは得意なんだ。そこらの旅客機より安全に着陸してやるよ』
ブラストは自分の体を操縦桿から宇宙船全体に侵食させていき、全体に張り巡らせる。こうする事で大体のものは操縦できるらしい。
実際に俺のバイクも乗っ取られ、ブラストに勝手に運転された事があるので身をもって知っていた。
とにかく、これで墜落の心配はないと思いホッとしていたが、ストレンジさんは無言で魔術を使い、宇宙船にバリアのようなモノを張る。
しかし、それは意味をなさず、ブラストはしっかりと宇宙船を操って宣言通り安全に着陸させた。
『よし、ほら安全だったろ?な?』
「ああ……そうだな。中々の腕前だった…そこの魔術師は君の腕を信用してなかったみたいだが」
「君だってスーツを着て、盾のようなものを作ってただろう?それも随分と頑丈そうなのを」
どうやら他の人はブラストの操縦を本気で信用してなかったみたいだ。
また喧嘩を始めそうな2人をなんとか収めていると、どこかに行っていたピーターが糸でスイングしながらこちらにやってくる。
「よっと、さっきの操縦本当凄かったよ!ちょっと怖かったけど。映画で例えるなら…」
「待て、この先もずっとその調子で映画のネタを挟んでくる気か?やめてくれ」
「じゃあ本題に入るよ。ここに誰か来るみたい」
ピーターのお喋りをスタークさんが咎めると、彼は真面目な顔になりそう言った。
「なんだと…………うおっ!?」
スタークさんが聞き返そうとするも、突然俺たちの目の前に何かが転がってきて爆発する。
「ブラスト!」
『ああ!』
ブラストに呼びかけて咄嗟に爆弾を掴み、熱を吸収したが衝撃を抑えることはできず、全員吹き飛ばされる。
俺たちは背中を壁にぶつけて倒れ込んだ。
痛みはあるが動けないほどではない。
急いで立ち上がり周りを見渡すと、爆弾を投げ込んできた下手人と思われるヤツらが突撃してくる。
メカニカルなヘルメットをした奴と灰色の肉体のスキンヘッドな特徴的な男、そして額に生えた触覚や大きな黒目など明らかに地球人ではない女?だ。
『おい、ワタル大丈夫か?』
「ああ、問題ない。それよりなんなんだコイツらは?サノスの手下か?地球人っぽい奴もいるが」
『分からん。ただ、コイツらの反応が普通じゃないのは分かる。特にヘルメットの奴。やけに殺気立ってるというか、なんというか……』
コイツらの正体について疑問は湧いたが、まずはこいつらを片付けることが優先だ。
俺はブラストと交代し、近場にいた灰色の男を掴み上げる。
「ぐっ、離せ赤いの!!なんなんだお前は!?」
『質問するのは俺の方だ。お前たちは誰だ?何故こんなことをする?』
男は通常の人間よりも力が強く必死に抵抗するが、俺たちの力には敵わない。
片手で持ち上げたまま問いかけていると、ピーターがヘルメットの男に縄のようなモノを投げられて捕まってしまった。
そのまま彼を掴み、こめかみに銃を突きつける。
「全員そのまま動くな!戦いはそこまでだ!」
ピーターを人質にとり、男はこう続けた。
「いいか!一度しか言わないからな!ガモーラはどこだ!?」
「ボクにも言わせてくれ。ガモーラって誰だ?」
「俺も。なんでガモーラなんだ?」
ヤツの問いにスタークさんと俺たちに掴まれている灰色の男がそう答える。
痺れを切らした男は
「どうしても言わない気か!ならいいお前ら全員殺してやる!」
そう言って人質となったピーターに銃を突きつけるが、
「やってみろ!お前の仲間が吹き飛ぶぞ!さあ、やれよ!」
スタークさんが灰色の男に向かってビーム砲を突きつける。
その状態で撃ったら俺たちも危ないんじゃ…?と思っていると灰色の男が口を開いた。
「やれ!クイル!俺のことは気にするな!」
その言葉を聞いた男が動揺する。
俺はそのやりとりを見て、コイツらが本当にサノスの手下なのか?と疑念を持ち、直接聞いてみる事にした。
「なあ、アンタら誰なんだ?サノスの手下じゃないのか?」
「うぇっ、なんだお前!?って違う!俺たちはサノスの手下なんかじゃない!それはお前達の方だろ!」
ブラストの中から半分だけ顔を出した俺に驚いていたが、男はそう答えた。
「俺たちも違う。サノスを倒しにきたんだ」
「俺達だってそうだ!サノスは敵だ!俺の女を攫って……じゃあ、お前ら誰だ!?」
「僕達アベンジャーズだよ」
『正確には俺たち以外が、な』
俺の言葉に困惑した男はそう問いかけ、それにピーターとブラストが答える。
すると触角の生えた女性が反応を示した。
「アベンジャーズって、ソーが言ってた地球を守ってるヒーローチーム!?」
「君達、ソーを知ってるのか?」
「ああ、知ってる。俺達が助けた男の名前だ」
スタークさんの質問に灰色の肉体を持つ男が答える。互いに“相手がソーを知っている”という事実により敵対意識は消え、漂っていた緊迫感も無くなりつつあった。
「えっと……貴方達は?」
「俺達か、坊主?俺達はな、銀河中で活躍してるヒーローチーム、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーさ」
その後はお互いの事を軽く話し、打倒サノスを掲げる者として協力することになった。とりあえず宇宙船から出て、惑星の大地を踏みしめる。
「この惑星どうなってんだ?軸がズレてるし、重力の渦があちこちにあるぞ」
ヘルメットの男──スターロードことピーター・クイルが水平器のようなものを持ってそう言った。他のメンバー達もそれぞれ惑星を見渡していると、スタークさんが何かを思いついたようで声をかける。
「向こうは必ず我々を追ってくる。それを利用しよう。作戦は簡単だ。まだ触りだけだが…奴を誘き寄せ、例のものを奪う。くれぐれも深追いするなよ!ガントレットが欲しいだけd…」
「ふぁぁ……」
「おい、あくびしてるのか!?人がせっかく説明してるのに…今の聞いてたか?」
作戦を提案して俺たちに伝えていたスタークさんだったが、ドラックスがまるで聞いていないかのように欠伸をしたため問い詰めるように言う。
しかし、まるで気にしてないかのようにドラックスさんはこう言った。
「作戦はってとこで聞くのやめた」
『「マジかよ」』
「はぁ…ツルツル頭は放っておこう」
「アイツらが得意なのはぶっつけ本番だ」
スタークさんは呆れたように言ったが、クイルさんは自分の仲間をそう擁護する。
「で、ぶっつけ本番で何する気?」
「ケツにモノ見せてやる」
「そうそう」
「「『「……」』」」
ピーターの問いに答えるマンティスとドラックスの発言に、こんなんで本当に大丈夫なのか?と不安になり、全員思わず無言になってしまったがスタークさんがこう続ける。
「…まあいい。集まってくれ。スターロード大先生、仲間をまとめるんだ」
「ただのスターロードでいい」
そんなやりとりをしながらもスタークさんは再び説明を続けていくが、クイルは
「アンタの作戦悪くはないが、つまんねぇ。俺に任せてくれ、もっとイケてる作戦を立ててやる!」
と自信満々に言い、ドラックスも続けていく。
「ダンス対決のことか?」
「ダンス対決?」
『なんだよそりゃ?』
突拍子もない発言に驚き、俺たちは思わず聞き返してしまった。
「映画のフットルースみたいに?」
「そう!フットルースだよ。今も名作ランキングに入ってる?」
「いや一度も」
ピーターとクイルはそういった映画トークを続けていたが、マンティスが何かに気づき困惑した様子で俺たちに聞いてくる。
「ねぇ見て!あのお友達、いつもアレやるの…?」
『んだありゃあ…?』
視線の先にはストレンジさんが足を組んで宙に浮かび、頭が凄まじい速度であちこちへと振り向いているではないか。
しばらくそれを続けていたが、ようやく落ち着いたようで地面にゆっくりと降りていく。
「おい大丈夫か?」
「なにしてたの?」
すぐにスタークさんが駆け寄り、ピーターがそう聞く。彼は相当疲弊したようで、呼吸を整えながら答えた。
「…はぁ…時を…超えてた……変化した未来を見てきた…来たるべき戦いがもたらす全ての可能性を…」
どうやらタイムストーンを使って色々な未来を見ていたようだ。
「それで、いくつ見たんだ…?」
クイルが全員の疑問を代弁するかのように聞く。
「はぁ……はぁ……1400万710通りだ…」
「こっちが勝ったのは…?」
スタークさんが静かにそう聞くと彼は一呼吸を置いてからこう言った。
「………“2つ”だ」
一方、地球では…
「よく来てくれた。待ちわびたぞ」
ワカンダへと到着し、クインジェットから降りたスティーブ達をティ・チャラと彼の親衛隊である“ドーラ・ミラージュ“が出迎える。彼女らの隊長であるオコエも一緒だったが、白い目を向けていた。
「何してるんだ、バナー?」
「え?いや、だって王様なんだから……」
「ああいや、そういうのは大丈夫だ…」
『な、エディ。しなくて良かっただろ?』
「ああ…そうだな」
ティ・チャラに向かって大袈裟なお辞儀をするバナー。それをティ・チャラはあっさりと拒否する。どうやらバナー達はサムに揶揄われていたようだったが、エディはヴェノムのおかげで恥をかかなくて済んだ。
「ありがとう、陛下。力を貸してくれて助かった」
「気にするな。地球の危機を前にしてただ待つわけにはいかない。それと……彼が目覚めたぞ、キャプテン」
ティ・チャラが横へと移動すると奥から現れたのはスティーブの親友であるバッキー・バーンズであった。二年前、ヒドラの洗脳から解き放たれる為に冷凍睡眠装置へと入っていたがようやく出てくることができたようだ。
「バッキー!」
「久し振りだな、スティーブ!随分と髭が濃いぞ?ちゃんと剃ってるのか」
「君も人の事は言えないだろ」
どうやら昔の自分を大分取り戻したらしく、スティーブとの会話の中では笑顔も見える。
左腕の義手はスタークとの戦いで完全に失われていたが、ワカンダで新しく開発して貰った物を付けていた。
「えっと……彼がバッキー・バーンズなのか?」
「ああ、そうだぞ」
「話で聞いたイメージとちょっと違うけど?」
「まぁ、今まで約二年間、冷凍睡眠装置の中にいたからな」
『アイツは食っても不味そうだ』
「おい、ヴェノム!」
エディがヴェノムを咎めながらもバナーとローディ、サムと話し合っている。バナーとエディはバッキーと直接会った事がないため、周りに詳しく聞いていた。
「みんな、そろそろ行くとしよう。シュリが待ちわびてるみたいだ」
そう言うティ・チャラが耳に付けてる装置を外すと、そこから彼の妹のシュリの声が聞こえてくる。そうしてスティーブ達はシャリの元へと移動する事となった。
「凄い……これ、二兆以上のプロテクトが複雑に掛けられてるのね。物理的に取ろうとしても簡単には外せない代物だわ」
ワカンダ・メディカル・センターにて彼女はヴィジョンを分析し、マインド・ストーンに関しても難なく解析してそう結論付けた。
「ヴィジョンだけがストーンの力を完全に制御できてる。だから誰にも盗られないようにとトニーと協力して厳重に掛けたんだ」
「今じゃそれが難問って事か」
「ねぇ……その、ヴィジョンからマインド・ストーンを切り離す事は出来るの?」
ワンダがシュリに尋ねると、彼女は少し悩んだ末にこちらへ振り返って頷いてきた。
「……うん、出来るよ。でもこんな大量に掛かってるとなると、かなりの時間が必要になるかな」
「ならシュリ、お前は一刻も早く、彼からストーンを外してくれ」
「私だけじゃ時間が足りないから人手が欲しいんだけど…」
するとエディが何か思いついたようで手を叩いた。
「なあ、ヴェノム。お前ならプロテクトも簡単に突破できるんじゃないか?ハッキングとか出来ただろ?」
『出来るとは思うが、報酬が必要だ』
「チョコレートでいいだろ?ちょっと高いの買ってやるから」
『ダメだ』
「何でだよ!?」
『もっと良いものを要求する』
「はぁ…分かった……じゃあ、これから来る奴を好きなだけ食べていい」
エディが提案してくるとヴェノムは嬉しそうな声を上げる。
『本当だな?』
「約束する」
「えっと…よく分からないけど協力してくれるんだよね?」
『ああ、小娘。サッサっとやるぞ』
ヴェノムは食べ放題が待っていると分かった途端、いつも以上のやる気を出した。
「……とにかくシュリ、そして君たちも彼を頼むぞ」
「うん、任せといてよ!絶対に成功させてみせるから!」
シュリがそう言い、研究チームの各メンバーに指示を出していく。
エディも軽く手をあげ、ヴェノムを作業に取り掛からせる。
このままヴィジョンから何事もなくストーンを取り出す事が出来れば良かったが…
「……なぁ、あれ何だ?」
窓越しに外を見ていたサムが誰かに聞くわけではなくそう呟いた。同じく隣にいるバッキーが空を凝視している。
「もう来やがったか」
雲に穴を空けながら勢いよく落下してくるのは黒い柱のような物体。ワカンダに直撃すると思われたそれらは、この国を覆うバリアと衝突して次々に爆発していく。
それを知って向きを変えたのか、途中からバリアの外に落下していった。
「あんなのと戦うっていうのか?」
『ああ、楽しみだな!サクッと済ませて俺たちもパーティに参加しよう』
緊張感のないエディとヴェノムの会話に他の面々は苦笑いを浮かべていたがすぐに気持ちを切り替える。
「……戦いの準備は出来てるな?」
「はっ!」
「なら全員に伝えろ。戦いへ出向くとな」
ティ・チャラから命令を受け、走り出すワカンダ人。スティーブもチームのメンバーに指示を出して彼と頷き合う。
インフィニティウォーの最終戦へ入ります!
…ですがこの後結構間開いちゃいます…すみません…!
引き続きよろしくお願いします!