シンビオートに寄生されたけど、意外とへいきだった   作:たるたるそーす

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帰国

…これが俺の話を含めた、2年前の事件の概要だ。そう伝えると、唖然としていた。

 

「……本当に大変だったんだな…悪いな、気軽に聞いていいもんじゃなかった」

 

「いや、いいんだ。もう過ぎた事だし」

 

『意外と面白かったぞ、やるじゃないか。俺たちの方が良い話だがな!』

 

「はぁ…ヴェノム…不幸自慢じゃないんだぞ…じゃあ…俺の話ももう少し詳しく話すとしよう。最近のことも含めてな」

 

そう言ってエディさんから語られた話に俺は開いた口が塞がらなかった。他にもシンビオートがいた事にも確かに驚いた。だが、ライフ財団がシンビオートの研究をしていたり、殺人犯にシンビオートが取り憑いたりした事に驚愕した。そんな修羅場を潜ってきたエディさんに心の底から賞賛を送っていると、

 

「なぁ、そっちは人を殺さないルールを設けたらしいが、どうやって生活してるんだ?チョコだけじゃコイツらは満足しないはずだ、人も食べてないんだろ?」

 

「そうだな、事件があったら首を突っ込むようにしてるのと、火を食べさせてる」

 

「火を?」

 

そう言って聞いてきたので、見せた方が早い思い、コンビニのライターを点けて、ブラストの口に近づける。

 

『お、こりゃ上手い火じゃねぇか!』

 

そう言ってライターの火を吸うように食べる。それを見た2人は

 

「おいおい、マジか…」

 

『相変わらずキメェな』

 

ドン引きしてた。まぁ、大概のシンビオートは火が弱点であるからそれも仕方がない。俺は少し気になった事をヴェノムに聞く。

 

「ブラストを知ってるようだけど、知り合いだったのか?」

 

『俺はこいつの事を知らん』

 

先にブラストがそう言う。ヴェノムは気にせず、

 

『コイツは俺がいた所でもかなり有名な奴だった。変なヤツだし、こうやって火を食べるからな。だが、実力は確かなモノだった。だから知ってた』

 

思わずブラストを見るも、一心不乱に火を食べ続ける。こいつはもしかして結構凄いヤツなのか…?そんな事を思っているとエディさんが気まずそうに、

 

「ああ…さっきの話に戻るが、俺たちは人を食べる事があるんだ。…といっても悪人だけだが……いや、言い訳にならないか…」

 

「俺は警察でもないし、別に気にしない。人を殺さないっていうのは俺のエゴだし、俺たちだけのルールだと思ってる。そっちは普段は耐えてて、食べるのも悪人だけにとどめてるんだろ?なら良いんじゃないか?」

 

そう言うと彼は驚いた顔をして、

 

「そ、そうか…君は俺たちのことを非難するかと思ったが…」

 

と言った。

 

『少しは話がわかるじゃないか』

 

「まぁ、俺もブラストと生活して長いからな」

 

エディさんとヴェノムに言われ、そう答える。そのまま他愛のない話を続けていると、

 

『そういえば、なぜお前らは俺達の事を知っていたんだ?なぜ居場所がわかった?』

 

ブラストが突然そう聞く。確かにそうだ。俺たちが行ったあの研究所は更地になったはずだし、さっきデータがどうとか言っていたが、どういう事なのだろう。エディさんの言葉を待つと、

 

「それはだな…クレタスの件が終わって、警察に疑われるようになったから、南国にでも行こうと思ってたんだ。そしたら、ヴェノムが、他のシンビオートをボコして、そいつを食べよう、なんて言い出したんだ。」

 

俺たちは思わず臨戦体制をとる。

 

「待て待て!それはヴェノムが勝手に言ったことだ!俺はとりあえず様子を見るだけにしようって言ったんだ!」

 

エディさんは続けて語っていった。まとめると、こうだ。

ヴェノムはライフ財団にいた時に他のシンビオート、ブラスト達が先に地球に来ていた事を知る。だが、ブラストの事を恐れていたため、特にアプローチをすることはしなかった。しかし、クレタスに勝利した後、共生してる自分達に敵はいないと思ったため、ブラストに勝負を仕掛け、あわよくば捕食してやろうと決意。

コンピュータにハッキングして、ネットとヴェノムの情報をすり合わせ、研究所のことを知り、俺に寄生している事までたどり着いてここに来たらしい。エディさんは戦闘することには反対で、まずは様子をみようと思い、俺たちが悪人であったなら容赦はしなかったという。

 

「それで、どうする?俺たちを食べるか?もちろん抵抗はさせてもらうが」

 

『ああ、綺麗な花火を咲かせてやるよ』

 

『あ?やるか?今の俺たちに敵うやつはいない!』

 

「だから待てって!!ヴェノムも落ち着け!君たちが悪人じゃない事は実際に見ても分かった!だから、戦闘する意思はない!」

 

「…分かった。ほら、ブラスト、爆発させようとするな」

 

エディさんが必死に止めてきたので、俺も冷静になり、メンチを切っていたブラストを宥める。すると、エディさんが話を変えるように

 

「そうだ!ワタルは他のシンビオートの事知らないか?知り合いが寄生されてる、とか」

 

「いや、知らないな……というか、ブラストと親父に取り憑いたヤツ以外で、シンビオートを見るのが今日初めてだった」

 

そう伝えると、

 

「そうか…実は情報を集めてた時に、気になる情報があったんだ。最近犯罪者がやたら減っている場所があるってな」

 

「…?良い事では?」

 

「確かに良い事だ。だが、こいつらからしたら、犯罪者なんてのは格好の餌だ。いなくなっても騒ぎにならないからな」

 

「そこにシンビオートがいると?だが犯罪者が減っているだけでは、理由が少し弱いんじゃあないのか?」

 

「ああ、もちろんそれだけじゃない。バックラーという企業を知ってるか?」

 

バックラーといえば最近頭角を表してきた製薬会社だったはずだ。日本の企業だが、世界にも進出してきており、今後さらに大きくなっていくらしい。ニュースに疎い俺でもさすがに知っている。そのまま続きを促すと、

 

「その企業の研究部が設立したと同時期に犯罪者の数が減ってきている。どういうことかもう分かるな?」

 

「バックラーがシンビオートを飼っていて、犯罪者を使って何かしているって言いたいのか?」

 

流石に強引じゃないか?そう続けようとすると、

 

「そのバックラーは研究者としてある男を雇っているらしい。そして、その男の前職は研究所の所長を務めていたそうだ」

 

まさか…!

 

「あの研究所か!?」

 

あまりにも出来すぎているがそう聞かずにはいられなかった。俺の言葉を聞いたエディさんは深くうなづいた。

 

「ワタルの話を聞いて確信に変わった。その男の死体は見なかったんだろう?なら、生きていたってことだ。そこでまた何かしているんだろう。調べるのに苦労したがな」

 

まさかあの研究所の所長が生きていたとは…施設もろとも爆破したと思っていたのに……そう考えていると、

 

「ここに来た後は、警察から逃げるのも兼ねて、そこを調べようと思ってたんだ。もし俺の予想が正しければデカい事件になるはずだからな。どうだ?一緒に行くか?」

 

そう言って彼は誘ってくる。多分、俺の気持ちを察してそう言ってくれたんだろう。

あの時、俺の親父は所長に無理矢理薬物を投与され、シンビオートと結合させられたと研究員は言っていたはずだ。それが本当かどうか確かめないといけない。

 

「ああ、久々に日本に顔を出そうとも思ってたんだ。丁度いい。ご一緒させてもらおうかな」

 

俺は親父の仇かもしれない男に思いを馳せ、そう返事した。

 

「じゃあ決まりだ。じゃあ準備しておいてくれ。また来る。ほら、ヴェノム!なんでまた睨み合ってんだ!行くぞ!」

 

『おい!マジでコイツらと一緒に行くのかよ!俺たちで十分だろ!!』

 

「あんな話があったんだ、実際に行って知ってもらった方がいいだろ!」

 

そんなことを話しながら2人は家を出て行った。

 

「……大丈夫なのか……」

 

『さぁな』

 

俺の呟きに、ブラストは素っ気なく答える。

 

『だがアイツらは少なくとも悪い奴じゃないだろ。お前だってわかってるんじゃないのか?』

 

「まあ、確かにそうだが……」

 

『だったら問題はないはずだ。それにナナセにも会えるかもしれないぞ』

 

そう言って、ブラストはニヤニヤしながら言う。

 

「別に俺はそんなこと期待してねぇよ」

 

『本当は会いたいんだろ?ナナセは可愛いもんな?』

 

「うるせぇ!」

 

俺は恥ずかしくなり、思わず声を荒げてしまう。そんな事をしながら、準備をしたり、仕事を消化したりして、日本に出発する日になった。

俺達は飛行機に乗り、日本への旅路についた。機内では、隣に座ったエディさんが話しかけてきた。

 

「そういえば、さっきブラストが言ってたナナセ?っていうのは誰なんだ?」

 

ブラストは当日になってもナナセの事で俺をいじってきたので、エディさんも気になったようだ。ナナセの事を軽く説明すると、

 

「そうか、中々良い娘みたいだ。幸せにしてやれよ」

 

「ちょっ、エディさんまで何言ってんだよ!?俺とナナセじゃ釣り合わないし…」

 

「でも、嫌いじゃないんだろ?むしろ好きと見た。…ちゃんと想いは伝えておいた方がいい。些細な事がきっかけで関係が崩れる場合もあるからな…」

 

俺みたいに…。そう言って遠くを見つめていた。軽く話を聞いた時に知ったが、結婚寸前までいっていた女性と別れたらしい。

 

確かに俺はナナセの事が好きだ。

彼女が笑うと嬉しい。

彼女の笑顔を見ると元気が出る。

彼女と話すと心が弾む。

 

だが、その笑顔を俺のせいで曇らせたくない。もし俺が想いを伝えたら、彼女は受け入れてくれるかもしれない。でも、俺はあんな事があったし、これから普通の生活を送るのは難しいだろう。この生活に彼女を巻き込むわけにはいかない。彼女には普通の幸せをつかんでほしい。だから俺はこの想いを伝えないことにした。そんな女々しい事を考えながら、しばらく2人して黄昏ていた。

その後、飛行機は無事日本に到着した。

 

『ふぅ、やっと着いたな…ここが日本か…』

 

『…前回の時も思ったが…飛行機はかなり退屈だな』

 

機内で静かにしていたシンビオート達が疲れたようにそう言う。空港内の店などを物色してから、エディさんとは別行動する事になった。

 

「じゃあ俺は直接バックラーに訪問したり、色々調べたりするから、何かあったら連絡する。そっちも何かあったら教えてくれ!」

 

『おいエディ!早くその袋を開けようぜ!美味そうなもんがつまってる!』

 

と言って、空港内で買った商品が詰まった紙袋を両手に下げて歩いて行った。

俺はというと、久々に顔を出すのも兼ねてナナセの家に情報を聞くことにした。ナナセの実家なら、バックラーの事で世間には出回ってないような事も聞けるかも知れない。そんな思いでナナセの家に向かった。




ガバ設定なので辻褄が合わない所あったら、じゃんじゃん言ってください。

実はナナセ(星河 七星)はあるVtuberさんをモデルにしてます。
そのVtuberさんが出演してるホラーゲームのキャラの名前を結構借りてるので気付いた方もいるかも知れません。
投稿する頃にはその方のライブが始まってそうですが、私は抽選外れたので配信で見ます。

引き続きよろしくお願いします!
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