パワーも無い!スピードも無い!波紋もそれほど走ってない!そんな幽波紋使いが箱庭に来てしまった件について 作:BサインからCサイン
突然だが、『天は二物を与えず』ということわざを知っているだろうか?
天は二物を与えずとは、神様は僕たち人間に二つの物を与えないという意味だが、ここでいう「物」は才能や資質を指す。
つまり「天は二物を与えず」とは、美しい顔の持ち主はえてして性格が悪いとか、頭がよくても金儲けの才能はないとか、われわれ嫉妬深い凡人が才能や資質を発揮している人々をうらやみ自分自身を慰めるために用いることわざであるのだ。
多くの人はこのことわざを「天は二物は与えないが、一物は与える」と誤解しているようだが、「天はほとんどの人に一物さえ与えない」のが厳しい現実であって、冷静に考えればこんなことわざでは慰めにもなにもなりはしない。
さて、そこでだ。神様か誰かの仕業かは知らないが僕は"スタンド"という一物を与えられている。
ぶっちゃけもうこの時点で僕は大満足だったんだが――――――いかんせん。天は一物与えるだけでは済ませないらしい。
かといって二物がいらないと言うわけじゃあないが。僕は病気以外ならなんでももらうタチだし。
【僕がスタンド使いになった後の件について】
僕が『スタンド使い』になった日から数日が経った。
思いがけないイベントにテンションがハイになってしまっていた僕は連日のようにどんどん『ファイル』していった。たが数が多すぎるから何をファイルしたかは割合させてもらおう。特に興味もないだろうし。
僕は今近所の学校に通っているのだが……最近この学校では不思議な出来事が多発している。
二宮金次郎像が校長室に移動したり、音楽室の偉人の絵が勝手に動いたり、夜中に学校の位置が変わっていたり、と、科学では証明できない現象が起こっている。
まあ全部僕がやったことなんだがな。
「―――――おい、何ボーっとしてるんだよ」
今僕に話しかけてきたクラスメイトAこと佐藤昌。彼は保育園からの知り合いで家が隣のまったく需要のない幼馴染である。日本で一番多い苗字の一族である彼の口調はは若干喧嘩腰だが、童顔だからまったく怖いともムカつくとも思わない。
「ああ、悪い悪い。移動教室だったっけ」
「音楽室だからな。早く行かないと先生に怒られるぞ」
「すぐ準備するよ」
引き出しの中で〈エニグマ〉でファイルした紙を開き、必要な物を取り出し、昌と音楽室に向かう。スタンド能力は応用しだいでなんにでも使えるのだ。紙にファイルしておけば持ち運びは楽だしスペースもいらないのだ。実際引き出しも鞄も紙以外何も入っていない。
そして僕は廊下を曲がり、階段を登る――――――――――
ドンッ
――――ることができなかった。
偶然通りかかった生徒とぶつかってしまったのだ。
普通のスタンド使いならここで零れ落ちる教科書を一瞬で拾ったり、崩れた体制を元に戻すのだろう。
だが僕の〈エニグマ〉はパワーもないし、スピードも全然だ。
ゆえに、階段から落ちることは避けられない。
突然の事に対応できなかった僕はそのまま転がっていく。
このままでは頭を強く打ち付けてしまうかもしれない。最悪で障害者、良くて病院行きになってしまうかもしれない……!そんなのはごめんだ!せっかくの人生をゲームオーバーさせる気なんてさらさらない。
咄嗟にファイルした紙からクッションを出し防災頭巾のよくにして頭を守る。
「っ…ぐゥッ……!」
幸い、膝や肘に傷が付いただけで済んだようだ。バレない内にクッションを再びファイルし、服を叩いて埃をはらった。
「お……おい、大丈夫か?」
僕にぶつかってきた―――――某青い狸に登場するいじめっこみたいな体格をした生徒はすぐに謝ってきた。みんなも似たような経験はないだろうか?つい「いってーな!」と感情に任せて叫んでしまったことはないだろうか?
さすがに今のは命の危険があった。が、これは互いの不注意で起きた事故、こんなことに因縁をつけて喧嘩や揉め事に発展させるのはよくない。なにより僕は彼よりも精神上歳上なのだ、ここは許してやるとしよう。
「………あっ」
立ち上がろうとした瞬間、脚がもつれてしまった。階段に肘を強く打ち付けてしまい、思わず声に出してしまいそうな地味に鋭い痛みが僕を襲った。
「――――――――――いってえええええ!!?」
「………え?」
が、声をあげたのは僕ではなかった。
僕が手を握り立ち上がった瞬間、剛田くん(仮)が急に肘を抑えてのたうち回ったのだ。見ればなぜか痣までできている。
な、何を言っているか(ry
本当に何が起こったのかわからない。僕は彼にスタンドで仕返ししたわけでもないしそもそも僕のスタンドには人にダメージを与えれるほどのパワーもない。
なぜ彼はあんなにも痛がっているのだろうか。そもそもいつ痣なんてできたんだ?
「?なにしてんだあいつ?それより大丈夫かよ輝ノ助、階段から落ちたけど」
「え?ああ……大丈夫だ」
「そうか、じゃあ行こうぜ」
そう言って昌が僕の肩を叩いた瞬間、
「いだッ!?」
剛田くん(仮)が再び苦痛を訴えるような声をあげた。
肩に手を当てているが、自分でも何が起こっているのか理解できていない。彼はそんな顔をしていた。
「………」
このとき、僕の脳裏にある一つの可能性が浮かんだ。
そして
僕は階段を登り終えた後、気づかれないように、壁を右脚で軽くドンと蹴った。
それも足が痛くなる角度で。
「うぐぇッ!!」
剛田くん(仮)は右脚を抑えながら悲鳴をあげた。尋常じゃあない痛みが彼を襲っているようだった。…少しやり過ぎたか?
周りが少し騒がしくなってきた気がする。彼の悲鳴が近くの教室にまで響いたのか、他の生徒が集まっていた。
僕は関係ないフリをし、昌と一緒にそそくさと教室に入った。
『マギーッ』
さて、頭のいい人はもう気づいているだろう。
そう、これは『スタンド攻撃』だ。あの剛田くん(仮)はスタンド能力の餌食になってしまったんだ、僕のだがな。
さっき剛田くん(仮)が突然のたうちまわった理由、それはあるスタンド能力が関係しているんだと僕は仮定する。
さっきの状況を引き出せる能力を持ったスタンド――――――――その名は〈
その身体の小ささを利用して耳などから体内に侵入し、脳に居座る。これにより本体の痛覚と相手の痛覚が共有され、本体が感じる痛みが何倍にもなって相手に返ってくることになる。という能力を持っている。
ただし髪の毛一本動かすパワーもない。スピードもそこまで速くない。
さて……落ち着こう。素数を数えていったん落ち着くんだ。
『スタンドは一人につき一体』 のはずだ。これは絶対に変わらないルールのはず、荒木先生は偉大なんだ。
僕の頭から下が他人でできているわけじゃあないからDIOみたいな事はないはずだ。ディアボロのような二重人格でもない。…………。
……ひょっとして、僕は全てのスタンドを使えたりするのか?
「スタープラチナ!」
もちろんスタンド像はでてこなかった。
他にも主人公やラスボスのスタンド名も叫んでみたけどやっぱり出てこない。
カメハメ波を練習する子供みたいな気分になっていた事が非常に恥ずかしい。
どうやら僕が使うことのできるスタンドは〈エニグマ〉と〈ラバーズ〉だけのようだ。
しかしなぜ〈ラバーズ〉なんだろうか。こんなことを言っては贅沢だが〈D4C〉とか〈キング・クリムゾン〉でもよかったんじゃあないのかと思ってしまう。〈エニグマ〉はともかく、こっちは一体何に使えばいいのかわからない……というか使い道がない。他人をいたぶる趣味なんてないし………。
「………あ」
考えていたらいつの間にか自室に戻っていた。
どうやら思ったより深く考えていたらしい、学校も終わって時刻も六時を過ぎている。
おかしいな……学校から今までの記憶がない…まさかスタンド能力か?どっかのボスがレクイエムから脱出してキング・クリムゾンでもしたのか?
「…フゥ…………」
ベッドにダイブした。
なんか今日はもう疲れた。
自問自答を繰り返しても答えは出ない。誰かが答えてくれるわけはない。
僕はラノベの主人公じゃあない。ちょっと考えて結論の出る推理モノの主人公みたいな頭脳を持っているわけでもない。僕なんかが考えてもまるで年末の大掃除みたいに考えれば考えるほど疑問が増えていく。
そもそもこの世界はなんだ?過去?異世界?
この能力はなぜ存在する?特典?加護?
僕が体験した赤ん坊になる前の出来事はなんなんだ?前世?予知?それとも過去?
自分の置かれている立場はなんだ?あのとき自分の身に何が起こった?
僕の
『…ヘッヘッヘ…知りたいんナラ、教えてやろォかァ~?』
「!?」
突然、頭上から声が聴こえてきた。思わずベッドから飛び起きる。
…ベッドからずり落ちた。
『オイオイオイオイ――――ッ 大丈夫かよォ輝之助。今ゴンッって言ったぜェェー?』
「だ、誰のせいだ……」
尻をさすりながら声の方向を見る。そこにはバケツみたいな頭に鋭い歯が生えた人形がいた。空中に浮かんで物理法則を無視しているあたりスタンドなんだろうが………
「………ほんとに誰だ?『スタンド』か?」
『!? ヨオヨオォォ――――――ッ!失礼じゃあネェかオメエ―――――ッ!?確かに出番ハ少なかったけどヨオォ―――――さすがにヒドクねェかァ!?オレは由緒正しき『スタンド様』〈ヘイ・ヤー〉なんだ
ゼェェェ――――ッYO!YO!』
いきなり大声を荒げる『スタンド』そして口調がなんだかねちっこい。
確かこいつの名前は………
……思い出した。〈ヘイ・ヤー〉といえば【第七部
『そいで、オマエさんよォ。『ガッコウ』だったか?出したよなアァ――――ッ、スタンドをヨォ…。どいでよ輝ノ助、〈ラバーズ〉…今でも出せるかイ?』
こいつ、見てたのか?あの時、学校の階段で。
いや、こいつは確か原作でも本体が知らないような事を知っていたからな…考えるだけ無駄だろう。
〈エニグマ〉のときと同じように、スタンド像を出現させる……が、出ない。
もともと〈ラバーズ〉は肉眼では見えない。本体だからこそ感じる特有な感覚があってこそその存在がわかるとあのとき僕は思っていた。
だが、今僕は〈ラバーズ〉を出したと思うことができなかった。いうまでもなく明らかに、スタンドが使えていなかった。
「!?―――――――え、〈エニグマ〉ッ」
その名を呼ぶと、僕の側に?マークの亜人〈エニグマ〉が姿を現した。
一瞬スタンド能力を失ってしまったのかと焦ったが、杞憂に終わったようだ。僕はホッと息をついた。その様子を〈ヘイ・ヤー〉がケラケラと笑いながら「どした?」と聞いてくる。
「…どういうことだ?確かにあのときは使えた…発動できたはずだ。誰か別のスタンドだったということなのか?」
『落ち着けよオ、輝之助。
『あれはオマエさんが身の危険を感じて一時的に発言した『スタンド』だ。人間ってのは死ぬ瞬間、時間が遅く感じるだろォ?人間は『死』みてェな危険なモンと直面すると急激に精神が成長するモンなんだゼェ―――――――ッ』
なるほど。つまりあのとき〈スタンド〉が発現したのは身の危険を感じたための一時的なモノということか。
確かに死の間際にはフラッシュバックや走馬灯が見えて頭が妙にすっきりしてフル回転すると聞く。こいつの言っていることはあながち間違っちゃあいないのか。
そういえば原作でもあったな。康一の〈エコーズ〉の成長ぶりやペッシの〈ビーチボーイ〉……いやあれは違うか?
「……ん?待てよ……〈ヘイ・ヤー〉今お前は一時的な精神の成長が原因って言ったな。だがおかしいぞ、それならあのとき〈エニグマ〉が進化するだけのはず、二体目のスタンドが出てくるのんておかしいはずだ」
『……………』
「もしかしてお前…僕に何か隠してないか?オマエの話を聞くとまるで『成長すれば他のスタンドも使えるようになる』って風に聞こえたんだが」
『使えるゼェ』
・・・・・・・・・・え?なんだって?
『その通りだヨォ輝之助ェ。オマエさんは普通の人間とは違うんだ。『特別』なんだ。普通のスタンド使いじゃあネェ、身も精神も成長すれば他のスタンドだって使えるようになるんだゼエェェ―――――ッ。ただ、今のままじゃあダメだ。他の奴らに流されて甘ったれてちゃあいつまでたっても変わらねェゼ』
「なるほどな。説明が簡単で助かるよ」
つまりだ。僕が成長するにつれて〈エニグマ〉だけでなく、他のスタンドも使えるようになる。ただし精神が弱いままではダメ、というわけか。やはり『黄金の精神』や『漆黒の意志』のようなモノを持っていなくてはいけないわけか。
まあたとえ成長しなくても〈エニグマ〉は自由に使えるらしいが……絶対使えるようになってみせる。特別なら…いけるところまで行ってみたいしな。
例えば目の前に一億の大金が入ったアタッシュケースがあるのに、自分のポケットにある小銭だけで満足する人間がいるだろうか?宝の山の中から小さいネックレスだけとって立ち去る海賊がいるか?
いるわけがない。
僕は成長する…掴めるチャンスを掴まないなんてもったいないことはしない。
最高の人間讃歌を謳歌してやるさ。
『ヘッヘッヘ……いい目になったナァ。ま、頑張ってくれヨォ?オマエさん、気が向いたら、また出てきてやるゼェ?』
どうやら自立型のような自我を持つスタンドのほとんどはこいつみたいに自分の意志で出てくるらしく、僕の意志は関係ないらしい。
まあそれは僕の精神がまだ弱いからだとこいつは言っているが……持続力以外オールEの奴すらまともに使えないのか僕は……―――――――ん?
『そいじゃあオレは――――――「待ってくれ」ン~?』
話を終えようとする〈ヘイ・ヤー〉を僕は引き止めた。
「なぜ…
確かに〈エニグマ〉はパワーもスピードもEランク。〈恋人〉よりも遅い。だが射程距離は
『それはナ…オマエさんがそいつを
「…僕が…
答えを求めたが、二度見た時、〈ヘイ・ヤー〉はすでにいなかった。あいつは一体何がしたかったのだろう。僕にヒントをくれたのか…しかし、なんであいつが知っていたんだ?
もしかして……あいつは『全てを知っているん』じゃあないのか?そんな気がしてならない………。
結局この日、僕は心にわかだまりを残したまま過ごすこととなったのだった。
←to be Continued
〈恋人〉
【第三部 スターダストクルセイダース】で登場。
【破壊力-E/スピード-D/射程距離-A/持続力-A/精密動作-D/成長性-E 】
能力は相手の耳などから体内に侵入し、脳に居座る。これにより本体の痛覚と相手の痛覚が共有され、本体が感じる痛みが何倍にもなって相手に返ってくることになる。
原作では攻撃方法としてDIOの肉の芽を持っていって植え付けることができ、それを急成長させることで相手を死に至らしめる。しかしこの世界には肉の芽は存在しないのでこの方法で攻撃するのは不可能だろう。相手の脳組織を使ってスタンドのコピーを作り出すこともできる。
小さすぎて髪の毛1本を動かすほどのパワーすらないが、代わりにその射程は数百キロにも及ぶ。
『マギーッ』最初見たときマギーってなんだ?と真剣に考えてました。
〈ヘイ・ヤー〉
【破壊力-E/スピード-E/射程距離-E/持続力-B/精密動作-E/成長性-E】
自意識を持っており、本体に助言を与える。それだけ。このスタンドは原作の本体と組み合わせてこそ最高の力を発揮するのだろう。
ただなぜか本体まで知らない情報を知っており、それにより正しい道へと導かせる。
もうちょっと出番があってもよかったのでは?と残念で仕方ない。
輝ノ助「そういえば〈ヘイ・ヤー〉、おまえみたいなスタンドは自分の意思ででてくるんだろう?だったら他のスタンドに出てくるように言ってみてくれないか?」
ヘイ・ヤー『別に出来ないことはネェけどヨォ、ナニされるかわかんねェゼェ?』
輝ノ助「大丈夫大丈夫、なにかあったら〈エニグマ〉で退避すればいいし」
ヘイ・ヤー『そォかァ?じゃあ呼んでくるヨォ!オーイ〈チープ・トリッ―――――』
輝ノ助「やめろッそいつを呼ぶんじゃあねぇーッ!」
次回 【スタンドパワーを強化した後の件について】