パワーも無い!スピードも無い!波紋もそれほど走ってない!そんな幽波紋使いが箱庭に来てしまった件について   作:BサインからCサイン

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異世界で狐耳少女と出会った件について

突拍子もなく言うが、『ロリコン』ってなんだと思う?

ロリータ・コンプレックス、略してロリコン。幼女・少女への性的嗜好や恋愛感情のことで、ロリコンと略す場合は、幼女・少女への性的嗜好や恋愛感情を持つ者のことも指すことがある。

元は「Lolita」と「complex」から成る和製英語であると言われ、このLolitaとは、ロリータという少女の名前から来ているらしい。

 

それがどうやって日本に来たのかは知らないが、言葉自体は1969年に出版された『ロリータ・コンプレックス』(ラッセル・トレーナー)の邦訳が日本での初出とされているらしく、それは「少女が中年男性に関心を抱く」という意味で用いられているものだという。

しかし近年では「成人男性が未成年を性の対象とする」という傾向の総称として呼ばれている。もっと詳しく知りたいやつはウィキペディアでも頼ってくれ。

 

さて、ここで一度考えてみてほしい。

僕が転生する前と今の生きた期間は合わせて約三十年。今の僕は見た目は子供、頭脳は大人な某名探偵のような状況にあるということで、年齢だけなら既に中年男性とさほど変わらないのだ。

だが僕の肉体は箱庭に来た時点で十二~十三歳、ショタコンに狙われる部類に入る。

つまりもし僕が同年代の男子女子と遊んだりしてもなんの不純もないし、僕はロリコン扱いされることはないという事だ。

もともとそんな性癖を持っている訳じゃあないし、前世でも周りから「こいつロリコンだな」と蔑まれる事なんてない。転生した今なら尚更だろう。

つまり僕はなにがあってもロリコンじゃあないということだ。以上!

 

 

 

 

【異世界で狐耳少女と出会った件について】

 

 

 

 

説明書きを読んだらボラーレ・ヴィーア。なんて事はもちろんなく、僕は森を彷徨っていた。

異世界へ来たはいいが、これからどうすればいいのかまったく見当もつかない。

そもそも神はどうしてこんな森林を選んだのか。せめて町のはずれとかでもよかったんじゃあないんだろうかと思う。某デスゲームのように始まりの町を用意してくれてもよかっただろうに。

こういうのは説明役とか案内役が必須なのは常識だろう。

 

「せめて〈ハーミットパープル〉が使えれば町なんて簡単に見つけられるんだが……ハァ」

 

溜め息を吐いて自分のギフトカードを見つめる。

いくらか歩いている間に、このカードについて気づいたことがあったのだ。

オフホワイトのカードには、僕が現在使用できるスタンド能力や"恩恵"が書かれており、一目で確認できるようになっている。

しかしどうもこのギフトカードにはあからさまに"恩恵"や能力に関係のないモノまで混じっているのだ。出来立てほやほやのきつねうどん、洋式ベッド、ポテトスナックetc……。

これらは全て僕が〈エニグマ〉の能力でファイルしたモノなのだ、どうみても能力だとか関係しているとは思えない。

どうやら〈エニグマ〉でファイルした物は、このギフトカードと連動していて収納できるらしい。

ありがたい便利仕様である。

 

にしても腹が減った。

 

そういえばこの世界に来てからまだなにも食べていない。

来る前でも眠っていたし、ずっと歩いていたのならこの空腹もしょうがない。別に食べなかったら死ぬということも無いが、我慢は体に悪いだろう。

近くにあった岩に腰かけ、ファイルしたきつねうどんを食べることにした。

気をつけないと地面に落ちてしまうので、くれぐれも下に向けて紙を開いてはいけない。

 

どこでもいつでもどんなときでも好きな事ができるスタンドが〈エニグマ〉だ。このスタンドがあればさえあれば沖縄で雪合戦することだって簡単にできる。こんなに応用の効くスタンドはそうはいないだろう。近くの木に生っている実を取ることもできないが、こっちの方がよほど便利だ。

 

「この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます。ズビズバー」

 

このとき僕は、空腹感によりこの森で食事をすることがどういうことかをすっかり忘れてしまっていた。腹を空かせた獣が自分の近くに忍び寄っていることに気づかずに、きつねうどんを食べるのだった。

 

 

 

 

(おーいマリー、急にどこに行くのさー?)

(早くしなよロロ!こっちからおいしそうな匂いがするんだよ!)

 

輝之助が食事をした地点から数m、二匹の獣が彼の下に忍び寄ろうとしていた。

獣の一匹が、彼の食しているうどんの匂いに釣られてよってきたのだ。

二匹の獣は茂みの陰から、食事中の輝之助の姿を発見する、

 

(………?)

(………!)

 

一匹は彼の手に持っているモノがなんなのか、よくわからずソレを凝視する。

もう一匹も同じように凝視しているが、ふと凝視しているのが自分だけではないと気づくと、その理由を勘違いしてしまい、一匹に小さな声で話しかける。

 

(そっかそっかー、ロロも彼のアレが気になってしょうがないんだね~さっきから私もなんだよーっ)

(えっ!?)

 

話しかけられても、一匹はなんのことかわからない。

しかしそんなことはいざ知らず、もう一匹は勘違いをしたまま話を進めていく。

 

(けどダメだよぉ~ロロ!じっと見つめたら~。こんなとこに普通の人がいるはずないもん、ひょっとしたら修羅神仏の誰かのお忍びかもしれないし、もし私たちが覗き見してたのがバレて「食事を盗もうとしてた」とか思われちゃったらっ、ギィ――――!だよ、ロロ)

(えッ!?なっなに言ってるのさっ!あたしはそんなこと……!)

 

…二匹の弾みの良い会話は続いていく、それが彼にバレているとは気づかずに。

 

 

 

 

 

「…………ズビズバー」

 

そういえばここは森の中だった。

腹を空かせた動物やら幻獣やらがたくさんいるだろう。恐らく腹を空かした生物がこのきつねうどんの匂いに釣られてやってきたのだろう。近くから視線をビンビン感じるぞ。それも二匹。

しかし慌ててはいけない。未知の生物と遭遇したとき、慌ててはいけないものなのだ。

 

「〈エコーズ ACT1〉…」

 

〈エコーズ ACT1〉【第四部 ダイヤモンドは砕けない】に登場した主人公勢の一人のスタンドだ。本来は〈ACT2〉〈ACT3〉に自由に進化し能力を使い分けることができるが、今の僕ではACT1が精いっぱいだ。

〈エコーズ ACT1〉は音を物体に擬音の文字を貼り付け、その音を繰り返し響かせる能力を持っている。音は自由に作る事が可能で、「大嫌いだ!」のような言葉や「ザーっザーっ」のように雨が降る後も再現することができるのだ。

そして視線の先に向かって文字を飛ばす。小さいが声が聞こえたのは茂みから、ならば目標はその隣の木でいいだろう。幻獣種や肉食獣だったその場合は一目散に逃げなければならないが。

 

バキバキバキバキバキっ

 

「ひゃあっ!」

「え、ちょっうわぁ……!」

「…………え?」

 

スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃…。茂みから出て来たのは可愛らしい獣耳の少女たちだった。

……いやいやいやそれはないだろう落ち着け、一旦落ち着くんだ。2、3、5…7…11……。

よし、もう一度状況を確認しよう。

恐らく音に驚いて茂みから出て来たであろう少女と、それに押されるようにして飛び出した少女。

少女らは僕よりも背が小さく、しかしその頭の上と腰の辺りからそれぞれ二本ずつ、人としてあってはならないものを生やしている。通称狐耳ロリが茂みから出てきた。オマケニ犬耳ロリまで追加されている。

 

そして犬耳の少女は、狐耳の少女に押されたせいか、僕の目の前にまで飛び出してしまっていた。

しかもものすごく近い、あと少し前に来たら接触してしまうほどの距離だ。

 

「「………」」

 

互いに突然のことで素早く動けないでいると、向こう側の狐耳の少女が大声で叫び出した。

 

「うわあああああ、ロロを許してあげてくださいっ。別に悪気があったわけではありません、ロロが飛び出したのにかこつけてあなたのそのおいしそうな油揚げを盗っちゃおうとか、食事を台無しにしようなんてことは、()()でき心でして、はい!」

「ちょ、ちょっとヤメロっ!ホントに押されて飛び出したのにマリが言うとヤバくなるじゃんか!」

 

 

…なんだコイツら。

 

 

 

それから数分後、なぜか言い争う少女たちを落ち着かせることに成功した。

狐耳の少女の名前はマリ、犬耳の少女の名前はロロと言うらしい。二人とも背は僕よりも断然小さいが、これでも僕と同じ年だと言うから少し驚いた。

彼女らは今、僕がファイルしておいた畳と座布団の上に座っており、ここら一帯だけなんとも開放感のある部屋のようになってしまっている。

 

事情を聞けば、マリが好物である油揚げの匂いに釣られてしまい、僕を覗き見る形になってしまったのだという。っていうか僕を修羅神仏と間違えるとは、嬉しいことを言ってくれるじゃあないか。この世界の修羅神仏はみんな小学生レベルの背格好なのか?

 

「あ、あの…輝之助さんってホントに神格や霊格持ちというわけではないんですか…?」

 

狐耳の少女…マリがオドオドしながら僕に尋ねる。まあ無理もないだろう、手が入るだけで精一杯なサイズのポケッから収納不可能なサイズの物を取り出すなど、某猫型ロボットの四次元ポケットでもない限り無理だろう。

 

「さっきも言ったけど違うよ。それに僕はこの世界にきたばかりでね、よければこの世界についていろいろ聞かせてもらえないか?」

「は、はい、あたしたちでよければ」

 

二人の話をまとめると、ここは箱庭という世界らしい。

そしてこの箱庭で生活していくために必要なのがコミュニティのようだ。

コミュニティが活動するためには、箱庭の中枢に名と旗印を申告しなければならないらしく、旗印はコミュニティの縄張りを主張するものであるということらしい。

そしてこの箱庭の特徴とも言えるのが、自身の"恩恵"を持つ者だけが参加できる神魔の遊戯『ギフトゲーム』である。

ギフトを用いて競い合い、勝者は主催者の提示した賞品を得ることができる。ゲームの賞品は様々であり、ギフトや利権、名誉などがある。ゲームの難易度も様々であり、簡単な遊びのようなものから死人が出るようなゲームもある。

そして、僕の持つギフトカードに、その"恩恵"が書かれているというわけだ。

 

「あ、ついでに聞いていいか?()()()()か、見えるかい?」

「?右手の人差し指と薬指?普通に見えてるけど…」

「それがどうしたんです?」

「いや、なんでもないさ。ありがとう」

 

立てた指を降ろすと同時に、出現させた〈エニグマ〉を戻す。

なるほど。やはり他人にはスタンドは見えないのか。

もし箱庭の世界の住人がスタンドを視認することができたなら、ギフトゲームで圧倒的不利に立たされただろう。

 

「あの…輝之助さんはまだコミュニティに加入してないんですよね?もしよかったら、私たちのコミュニティに来ませんか?一応コミュニティに属さずとも三十日間は自由が約束されていますけど……どうでしょうか?」

「おっ!マリにしてはイイこと言うじゃん、どうですか輝之助さん?」

「フム……じゃあ、お言葉に甘えてコミュニティに加入することにするよ」

 

断る理由も無いし、ここは素直に受け入れた方がいいだろう。それにその"コミュニティ"に属していた方がなにかと都合がいいみたいだしな。

 

「はい、お任せください!」

「レッツゴー!」

 

かくして、二人の獣耳ロリに案内されて僕は無事町に向かうことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

二人の案内の下歩くこと数十分、この世界に来てやっと街らしき風景を見ることができた。

なんでも箱庭の内側には吸血鬼などの太陽にあたることのできない種族も暮らせるように天幕が張ってあるらしく、コミュニティはその天幕内で暮らすらしい。

見慣れない街づくりに目が移りながら歩いて行くと、マリに声をかけられた。

 

「着きました!ここが私たちのコミュニティ、"アシャンティ"です」

 

目の前にあったのは、まるで城のように大きな木製の屋敷だった。

まるで匠が造ったかのように立派な造りをしている。失礼な事だと思うが、コミュニティの本拠と言っても、オンラインゲームのギルドハウスが関の山だろうと思っていたので、これには驚きを隠せない。

こんな本拠が幾つもあるという箱庭の敷地は、いったいどれ程なのだろうか。

 

 

「――――――――だから貴様のコミュニティの傘下に下る気はないと言っておるだろうッ!!」

 

窓から覗いた瞬間、着物に身を包んだ筋肉質の男の咆哮が鼓膜を刺激した。その咆哮で頑丈そうな家が震えた。

なにやら激情しているようで、髪の毛が逆立っている。その眼は獲物を狩る獅子のように鋭かった。

はち切れんばかりのピッチピチのタキシードに身を包んだ巨体の紳士っぽい男と話しているようだが、こっちは逆に足を組んで冷静でいる。だがこの男の顔は背を向けているためよく見ることができなかった。

 

「あ、あちゃー、最悪のタイミング。輝之助、裏から入るよ」

「ん?ああ……」

 

部屋から響く声に二人は慌てると、僕を引っ張って本拠の裏にまで連れて行った。

 

 

「ノックしてもしもぉーし!」

 

ロロが大きめの木製のドアを裏口なのにこんこん、とわざわざ叩いてから開けた。

…誰もいない裏口のドアをノックする必要はあったのだろうか……?

 

裏口からはコミュニティ内に入り、部屋に出ると、そこはインテリアの揃った快適空間になっていた。

外見からかなりの大きさだとは思ったが……まるで城の一室みたいだな。もっと人を呼んでパーティができるくらいの広さだ。そこには数百人ほどの老若男女がいたが……なぜ全員獣耳が生えているのだろうか?

まさかこの世界の住人は全員獣耳が生えているのか?

 

「ただいま戻りました!」

「ただいまー!」

 

丁度近くにいた近くにいた獣耳の男にマリとロロが声をかけた。

 

「おっ、マリとロロか。…そっちの子は?」

「今日から新しくコミュニティに入るんだ!」

 

二人は獣耳の男と話し込んでいる。森のときとは違って、はきはきと、親しい者に対する口調だ。これが本来の素なのだろう、その無邪気な姿を見て、やはり子供はこうでなくちゃあと思った。

森で緊張していたのだろうか、あのときの姿と今の姿のギャップに思わず口元が緩む。

だがそれとは反対に男の顔が真剣なのが気になるが……なぜだ?

それから少し話していると、獣耳の男がこっちに近づいてきた。

 

 

「……じゃあ輝之助、こっちについてこい」

「あ、はい」

 

男の後について行き部屋を出て、長い廊下を歩いていく。

案内されるまま付いていくと、廊下の一番奥の個室へと案内された。

部屋に入ると、窓付近の大きな椅子に白髪の老婆が座っているのが見えた。この老婆には獣耳が生えていないのか。

 

「ババ様、失礼します」

「おぉハンク、どうしたんじゃ?……なるほどのぉ」

 

ババ様と呼ばれた老婆は、僕を見ると目を細め、手招きで僕に近づくように合図をした。

男が僕の手を引き、ババ様の前に出る。

……この人がエンヤ婆に見えるのは僕だけか?まさか本物だったり……しないな、スタンドが見えていないようだし。

 

「こいつがマリとロロの紹介でうちのコミュニティに入りたいという少年です」

「如城 輝之助です」

「ほっほ。あの子たちのねぇ……――――――輝之助くん、だったかのぉ?」

 

ババ様は、僕の眼を見つめながら、堂々と言い放った。

 

「人が人を選ぶにあたって最も大切なのは……なんじゃと思う?」

 

「……」

 

「いいかい、人が人を選ぶにあたって最も大切なのは『信頼』なんじゃ。それに比べたら頭がいいとか才能があるなんて事はこの白髪一本の価値もないんじゃよ。……わしら"アシャンティ"もそれと同じ、商業コミュニティは『信頼』を大事にしておる」

 

…確かに、言っていることはごもっともだ。社会の中でも一番重要なのは人間関係であると言われている。クラスやパートナー内でも必要なのは個々の力量でなく、互いの信頼なのだから。

商業コミュニティと言うなら、なおさらなのだろう。

 

「じゃから、おんしがコミュニティに加入するにあたって『試練』を受けてもらう」

「『試練』…ですか」

「ほっほっほ、安心するといい。なにも修羅神仏を倒してこいなどと言うわけじゃない、気を楽にするといい」

 

ババ様はそう言うと、懐からバイオレットのギフトカードを取り出すと、ギフトカードの中から、一つの水晶玉と、契約書類(ギアスロール)を出した。

 

『ギフトゲーム名 "最初の試練"

 

プレイヤー 如城 輝之助

 

クリア条件 試練をクリアし認められよ。

 

敗北条件 試練の失敗

 

 

"アシャンティ"印』

 

「………ギフトゲーム?これが…」

「その通りじゃよ、輝之助くん。そしてその水晶玉に触れたら、それがギフトゲーム開始の合図じゃ」

 

なるほど、この契約書類さえあればどのような形でもギフトゲームは開始されるというわけか。例えそれがコインの裏表を当てるでもポーかーでも。そしてこの『試練』をクリアしたとき、僕の人生は本当に始まるというわけか。…逆にクリアできなければ、ゲームオーバー…おもしろい。

躊躇なく、右手で水晶玉に触れる。

 

 

瞬間、激しい頭痛と共に、頭に"ナニカ"が流れ込んできた。

 

「あっ、ぐ……!」

「大丈夫じゃ、すぐに収まる」

 

左手で頭を抑えていると、ババ様の言う通り頭痛はすぐに消え去った。

頭痛が収まると、今度はババ様が水晶玉に触れた。

 

「さて、輝之助。このままで、いくつか質問させてもらおうぞ。おんしは『なんの目的でこのコミュニティに加入しようと思ったのじゃ』?」

「え……?森で迷っていたところをマリ達に出会い、これからどうする宛てもなかったので、彼女らのコミュニティに世話になろうと思いました。それだけです」

 

そう答えると、ババ様は水晶玉をじっと見つめ、満足げの顔をした。

 

「……フム、なるほどの。では『おんしはこのコミュニティでなにをしたい』?」

 

なるほど、これが試練ということか。

加入者が不審物でないかどうか、怪しい者ではないかどうかを調べるのがこの試練。

恐らくこの水晶玉は〈アトゥム神〉のように相手の心理を読むタイプのギフトなのだろう。

この予想が本当だとするならば、一番大事なのはこのギフトが"相手の心理をどこまで読めるのか"ということだが……もし僕の思考回路がつつぬけならばこうした質問をする必要はないだろう。嘘かどうかを見抜くギフトというのが妥当だろう。

 

「特にありません。しいて言えば、僕がしたいことはこのコミュニティ内ではなく、この箱庭の世界なのです。僕はこの世界でオモシロオカシク過ごしたい、それだけです」

「……よかろう。ならばこれで、試練は終了じゃ。今日からおんしは我らの同士、ハンク、輝之助をみんなに早う紹介せい」

「わかりました」

 

男…ハンクさんと共に先ほどの部屋に戻り、なにやらステージみたいな所の真ん中に立たされた。

 

「みんなちゅうもぉーく。マリとロロが連れてきた、今日から"アシャンティ"に加入する子だ。ババ様公認だから、仲良くしてやってくれ」

「輝之助。僕の名前は…如城 輝之助です」

 

一礼をすると、「よろしくー」などの声と共に拍手があがった。

ステージを降りると、部屋の隅にいたロロが僕の方に小走りで近づいてくる。

 

「おめでとっ!じゃあ輝之助クン、今からあんたの部屋を案内するからね」

 

僕の手を取って引っ張るロロ。時間がたったおかげか、それとも正式な同士となったからか、少しフレンドリーになってきたと思う。彼女くらいの年の子は、やはりこれが普通なのだろう。

途中からマリと、同じくらいの子供たちも数人一緒についてきて、まるで行列になってしまった。

案内された部屋は家具が机が二つと大きなベッドが二つあるの寝室だった。

どうやら数人ずつ、寮部屋のように分けて寝るのだろう。そして付いてきたこの少年少女が、僕と相部屋のようだ。

 

「じゃあ、改めて自己紹介するね。私の名前はロロ、こっちは親友のマリ、油揚げが大好きでときどき暴走するから気をつけて!」

「そんな自己紹介ないよー!もう…これからよろしくね、輝之助クン!」

 

恐らく今の自己紹介には森での仕返し的な意味が含まれていたに違いない。

 

「初めまして、今日から同士としてよろしくね。僕はハリー」

「俺はリータ、よろしくな!」

「ああ、よろしく」

 

某魔法小学校に通うポッターのような名前の犬耳の少年ハリーと、同じく某魔法学校モノの架空の魔女のような名前の猫耳の少年リータ。…なぜだろう、この四人の名前を連続して聞くと少しだけ不快感を感じた。…気のせいだろう。

 

「そうだ!まだ寝るには早いし、輝之助くんの愛称をみんなで考えようよ!」

「もっと他にすることあるだろハリー…」

「あ、じゃあさ!如城(じょじょう)…ジョジョってのはどう?」

「えー、なにそのセンス?なんか似合わないよー」

 

確かにその通りだと思う。

だが、僕は似合わないというよりも、ふさわしくないと感じた。

よくわからないが、本能がそう感じたんだと思う。

そもそも昔から、この苗字は気に入ってはいなかった。…なぜだろうか。

 

「ねえ輝之助、あんたはどんなのがいい?」

「え?ああ…」

 

まあとりあえず、目の前の少年少女との会話を優先するとしよう。

これからこのコミュニティでどうするのかとかは、別に後で考えてもいいだろう。

…そういえば、あの覗いた部屋で話していたのはいったい誰なんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

 

 

場所は箱庭2105380外門、コミュニティ"アシャンティ"本拠のその一室。

着物に身を包んだ筋肉質の男は"アシャンティ"のリーダー、パンクト=マック。

彼らのコミュニティは果実、清水、などを売りさばいている商業コミュニティである。

ピッチピチのタキシードに身を包んだ巨体の男はコミュニティ“六百六十六の獣”の傘下"フォレス・ガロ"のリーダー、ガルド=ガスパー。

この二人は以前からの知り合いで気の合う仲間――――――ではない。互いに噂でしか互いの存在を知らない。

室内は只者ではないほどの空気に包まれており、彼ら以外の人物はこの場にはいない。

 

「……いやはや、なぜそのように意地になるのです?我がコミュニティは勢力拡大のために今力を必要としているのですよ。悪い条件ではないと思いますがねえ……?コミュニティ"アシャンティ"のリーダー、パンクト=マック殿」

 

「喧しいぞッ我々は商業コミュニティだ。『信頼』を第一にしておるッ!われわれは 金や利益のために、あるいは劇場や茶店の席を取られたからといって人と争ったり命を賭けたりはしない、争いは実にくだらんバカのする事だ。だが!「侮辱する」という行為に対しては命を賭ける、殺人も 神は許してくれると思っている!」

 

「…ならいいじゃあありませんか。私のコミュニティにはなんの不純な事もございませんが?それはあなたたちもよく知っているでしょう?」

「ぐゥ………ッ」

 

パンクトは奥歯を強く噛み締めた。

箱庭は巨大な天幕に覆われた都市である。1桁から7桁まで7つの層に分けられ、1〜4桁が上層、5桁が中層、6,7桁が下層……というように、それぞれを区切る外門には数字が与えられている。若番の層ほど修羅神仏の猛者が集まり、1桁の差ながらも上層と中層の実力差は天と地ほどある。

ガルド=ガスパーのコミュニティは数ヶ月前までは下層の7桁に留まっていたのだが、最近になって7桁上層にまで上り詰めたのである。

大きなギフトゲームを繰り返し行い、勝ち続けて行けば可能であるが、修羅神仏のような強力な人材もいない彼のコミュニティではこの短期間で桁一つ上がることなど不可能なのだ。

 

「フッ…まあいいでしょう。そのうちに傘下に入りたくなるでしょうしね。"そのうちに"」

 

そう言い残して、ガルド=ガスパーは"アシャンティ"から出ていくのだった。

そしてその言葉の真理は、近い内に知ることになることを、彼は知らない。

 

 

←to be Continued

 

 




〈エコーズ ACT1〉
【第四部 ダイヤモンドは砕けない】に登場。
【破壊力-E/スピード-E/射程距離-B/持続力-B/精密動作性-C/成長性-A】
能力は相手の身体に音を染み込ませ、精神的なダメージを与える。
音を染み込ませた相手は耳鳴りのような感覚になり、それが何度も反響する(音は何度でも染み込ませることが可能)
言葉を音にして精神に訴えかけることも可能だが、言っても無駄な奴には通用しない。
尚、このスタンドは〈ACT2〉〈ACT3〉の使い分けが可能である。射程距離が長く、偵察向き。



輝ノ助「そういえばマリ達っていったい何歳なんだ?十歳くらいか?」

ロロ「カッチーン!もしかしなくても馬鹿にしたな!?」

マリ「…確かに私達は背は小さいですけど、これでも十二歳なんですよ?」

輝ノ助「……マジで?」

次回 【箱庭での生活の件について】

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