僕の名前はパスファインダー!   作:クラウディ

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とある者の独白

――「人」とはなにか。

 

非常に哲学的な問題でありながら、実に陳腐な議題だ。

地球上でもっとも繁栄していると言っても過言ではない動物――「人」。

 

それを生物学的な観点から定義するならば、「下肢で直立歩行し、上肢は手の機能を果たすようになり、地上生活を営み、道具を使用し、さらに大脳の著しい発達によって、言語、思考、理性の能力、また文化的創造の能力を有するに至ったもの」となる。

 

要するに「後ろ足で二足歩行をして、前足を手として使い、道具を使って生活し、言葉、複雑な思考、本能とは別の役割の理性を持ち、精神的なことを創造する力を持つ存在」が「人」なのだそうな。

 

なんともまぁ雲のような定義なのか。

この定義のままなら、見た目が魚のようなものに手足を生やし、言葉を話せ、独自の思考を持ち、理性を備えていて文化的創造ができるのなら人と言えてしまうということだ。少し不気味である。

だが、それは私たちの常識の中でのことであって、その魚のガワを被ったかのような存在の中で自分は「人」と思っていたならそれは「人」なのだろう。

 

少し話がそれてしまった。

そんな我々「人」だが、今の地球上に生きている原生人類の名称は「Homo sapiens(ホモ・サピエンス)」……「知恵ある人」という。

 

「知恵ある人」……確かにそうだ。身体的なものはもちろん、言葉を操り、文化的創造ができ、理性があったとしても、知恵がなければ、それは人とは言いがたい。

 

とある人物が先程の条件に沿っていたとしよう。

言葉もある。道具も使える。理性もある。

おまけに姿形は私達と同じ人のような姿をしているのだ。

 

だが、知恵がなければそれは人と言えるのか?

 

人は今まで培ってきた知恵から明確な発音で言葉を話す。

人は複雑な道具があっても知恵があるからそれを扱える。

人は知恵があるからこそ理性でもって本能を制御できる。

 

「知恵」というのは「経験」だ。

積み重ねてきた「経験」なのだ。

 

狼に育てられた子供が自分を狼だと認識していたということも過去にはあった。

姿形は人で、ちゃんと育っていればその子供は「人」になっていたはずだ。

だが「人」としての「経験(知恵)」がなかったから「獣」になったのだ。

周りの「人」が「人」だと認めても、自身を「獣」と認識してしまえば「獣」となってしまう。

 

――そう、人は「経験(知恵)」があるからこそ「人」となるのだ。

 

だが、知恵を備えているなら「人」であるというのはある意味早計である。

 

人型の「ロボット」なんてそうだ。

人型で、下肢で直立歩行し、上肢は手の機能を果たすようになり、地上生活を営み、道具を使用し、さらに思考回路の発展によって、言語、思考、また文化的創造の能力を有するに至った、まさしく「人」と言えるのかもしれない。

経験だって、学習していく機能を持てば次第に蓄積されていく。

 

だが、それは本当に「人」なのか?

どこまで人に寄せようとも、それはあくまで金属で作られた「人モドキ」でしかない。

もし、「シンギュラリティ(技術的特異点)」が発生し、思考回路に囚われない自己を確立したとするなら、まだわからないのだが……それでも、人に近いだけなのかもしれない。

 

それでも、自他ともに認める「人」であったのならば……

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「――それは『人』と認められるのかもしれない」

 

「たとえ、それが鋼鉄の体で作られていて」

 

「その頭脳は回路の塊で」

 

「その感情は作りものなのかもしれなくて」

 

「でも、仲間がいて」

 

「この子を仲間と認めてくれるなら……」

 

「……なぁユメ」

 

「私という人間は「人付き合い」というのが難しかった……そう記憶しているよ」

 

「他人を拒絶して、己の殻に閉じこもり、一人、終わりが来ることにおびえていた」

 

「それなのに、君は私の「(部屋)」にずかずかと踏み込んでくれたね」

 

「一生恨むよ、ユメ」

 

「君のおかげ(せい)で、私は前を向いて歩けるようになった(生きなければならなかった)

 

「だから、今度は私の番だ」

 

「君がどれだけ苦しんでても」

 

「君がどんなに死にそうになっても」

 

「君は生きてないと駄目なんだ」

 

「君はあの子達の太陽()なんだ」

 

太陽()でも照らしきれないところはあるかもしれないけれど」

 

「それでも、太陽は必ず存在しなければならないんだ」

 

「君が「生きていてほしい」と願った私の願い(我儘)だよ」

 

「だから――」

 

「頼むよ……私の可愛い息子(パス)……」

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