久しぶりにこちらの更新になります。
それでは本編どうぞ!
放課後の教室には僕と一夏君しか残っていない。他の人達は部活動に行っている。どうしてここに残っているかと言うと、どうやらこの学生寮の鍵を渡すことになっている。
IS学園はセキュリティの観点から全寮制になっている。各国の代表候補生や国家代表生がいる中で、いつ襲撃を受けるかわからない。そこで最新鋭のセキュリティ対策をしているIS学園に居るのだ。
ただ僕と一夏君は世界に2人しかいない男性操縦者だ。他の人達よりも、優先順位が高い。そのため1人部屋にするよりは、相部屋にする方が良いのではないかと日本政府の意向があった。
その為山田先生が寮の鍵を持って来ると言い出したのだ。ついでに一夏君はIS教本を見ながら勉強をしている。
僕は邪魔しちゃいけないと思って黙っていたが、そこに走ってきたであろう山田先生が現れた。
「お、織斑君~天道君~ハァハァ……」
「山田先生お疲れ様です。急がなくて大丈夫ですから、深呼吸をしてください」
「は、はい~…織斑君、天道君。お二人のお部屋が決まりました!」
「そうですか」
「はい!ですが……その……」
すると突然山田先生は言いにくそうになった。…このパターンは知っている。良くない事が起こる前触れだと…そして、その予感は的中するのであった。
「お二人の部屋は確保出来たんですが、バラバラになります」
「ええ!どうしてですか!?」
この答えに一夏君は驚いている。当然のことだ。片方は世界で初めてISを起動させた、男性操縦者。そして、ブリュンヒルデの弟だ。大きな後ろ盾がある。
一方の僕はただの一般人だ。偶々ISを起動させただけだからね。その為一夏君のスペアだと考えられるのが妥当だろう。そして、更に悪い方向に向かいそうだ…
「それでですね…天道君の部屋なんですが…その……」
「大丈夫ですよ先生」
「天道君?」
「大丈夫です。
「……っつ!」
山田先生は一瞬言おうか躊躇ったが、僕が大丈夫ですからと言うと、山田先生は重い口を開いた。
「えっと…天道君の部屋ですが、政府からの援助が間に合わなかったので…当分の間は、その…学園の敷地内にテントを張って貰います……」
「……わかりました」
「歩!そんなんでいいのかよ!」
「一夏君。ありがとうね。けど、僕は大丈夫だよ」
そう言われて山田先生は安堵表情を浮かべた。同時に思ったのだろう「どうしてそこまで受け入れているのだろうか?」
「だって、僕は
「!そ、そんなこと言うなよ!だって俺達友達だろう」
「それはこの学園内での話しだよ。世間一般はそうとは限らないんだよ」
「それは…」
「それに、外の方が僕の不幸が移らないからその方がいいと思ったんだ」
「歩……」
そう。僕は皆と一緒にいけないんだ。そう思うと気分が楽になって来た。そして、山田先生は一夏君に部屋のカードキーを渡すと僕のキャンプ道具を準備すると言って教室を出ていった。
「それじゃあ天道君は中庭に来てくださいね。私は準備をしてきますから……」
「はい。わかりました」
「……いいのかよ歩」
「一夏君。大丈夫だよ」
「話しは済んだか?」
「千冬姉……」
山田先生が出て行くのと入れ替わる形で織斑先生が入って来た。手にはスポーツバックが1つとそれとは別にボストンバッグが握られていた。
「織斑先生と……今は放課後だからいいか。それで織斑これが荷物だ。天道の荷物はこちらになるぞ」
スポーツバックを一夏君に渡し僕にはボストンバッグが渡された。中身を見ると下着類と携帯電話の充電器があった。今の僕にはありがたい物だ。買い物に行かなくて済むのだから。
「織斑、天道。明日から本格的な授業が始まる。今日はゆっくり休んで明日から備えるようにしろよ」
「一夏君早く部屋に行ってあげたら?」
「わかったよ…それじゃあ明日またな!」
そう言って、一夏君は元気に教室を出ていった。僕もボストンバッグを持って、教室を出ようとしたら、織斑先生が待つように言って来た。
「天道。ちょっと待って」
「どうしだんですか?」
そして、急に深々と頭を下げてきた。今までの事について謝罪して来たのだ。
「……本当にすまない」
「…………」
「君をこの世界に巻き込んでしまったこと。望まない世界に巻き込んでしまったこと。そして何より、君の人生を滅茶苦茶にしてしまったことだ」
「…………」
「謝って済む問題じゃないと思っている。しかし、これだけは言わせてほしい。我々は君の味方だ。いつでも頼って欲しい」
「…………」
織斑先生がここまで頭を下げている事に僕は驚いていた。今まで会ってきた先生達は、自分の利益の事しか考えていない人達だった。
僕が関われば、地位が失墜してしまう或いはクビになる人達がほとんどだった。だから初めてのケースで僕は困惑していた。
「……本来であれば、テントの件も早急に対応しなければならないのだが、なにぶん忙しいのでな……すまない」
「そうでしたか……」
「ああ…」
確かに僕達2人が入学しただけではなく、クラス代表決定戦もするとなると、普段の倍以上の忙しそうになるだろう。だったら僕が出来ることは1つしかないな。
「僕の事は気にしないでください」
「え?」
「僕達の件で忙しそうのであれば、僕の事は大丈夫ですから。それじゃあ…」
「あっ!天道!」
そう言って、僕はボストンバッグを持って教室を出た。織斑先生が何か言いたげていたが、これ以上は聞かない方がいいと思った。
僕が中庭に着くと、キャンプ道具が一式揃っていた。そして、近くには置手紙があった。
『天道君へ。キャンプ道具一式を揃えておきました。これで大丈夫だと思いますが、足りない場合は連絡してくださいね。それとお風呂ですが、男子生徒である織斑君と天道君は現在使えません。ですので仮使用として、部室棟のシャワー室を使ってください。
それと、こんな事になって申し訳ございませんでした。天道君にはいち早く学生寮に入れる用に準備するので今しばらく待っていてくださいね。 山田真耶』
「山田先生…ありがとうございます」
そう言って、僕はテントを組み立て始めた。幸いキャンプの心得はあったから、ものの数分で完成した。
1人暮らしにしては大きく、シュラフも夏用と冬用と両方用意されていた。そして、ランタンを部屋の真ん中に吊るして完成した。
「おし、こんなもんかな…あとは明日の授業の準備をして」
その時思った。僕はどうやってクラス代表決定戦に挑めばいいのか。明日でも先生達に聞いてみる事にして僕は夕食を取ることにした。幸いガスボンベと鍋があるから、購買に行って何か買ってこようかな。
購買に行くまで誰に会わずに済んだ。そして、目的の物を買って帰る。帰り道も特にこれといった出来事が無く、夜になったので勉強をしている。
IS教本を見つつ、どうすればいいのか考える。相手は代表候補生や世界最強の弟だ。凡人の僕がどうすれば勝てるか…いや、どうすれば死なずに済むのかを考える。
見たところISは現代兵器に匹敵する強さを持っている。それを扱うとなると、余程の勉強が必要と見た。また、ただ勉強するだけではダメみたいだね。
「う~んやっぱり実戦してみないとダメだね。…明日ダメもとで山田先生にISが借りれるか聞いてみよう」
そう思っていると、テントの外から僕を呼ぶ声がして来た。出てみると、そこに居たのはジャージ姿の織斑先生だった。
「天道。居るか?」
「織斑先生?どうしたんですか?」
「なに、お前の部屋を見ておきたいと思ってな。入ってもいいか?」
「いいですけど…僕には触れないでくださいね」
「どうしてだ?」
「その…僕に触れると、不幸が移っちゃうので…」
「…何だそんな事か。大丈夫だ。そんな事で臆していたら、世界最強が泣いて呆れる」
「でも…」
「天道。いいか、さっきも言ったが私はお前の味方だ。どんなことでもいい。私に頼ってくれないか?」
「………」
「だんまりか…わかった。今日のところは退散する」
そう言って、織斑先生は出ていった。僕には分からなかった。どうしてあそこまで親切に接してくれるのだろうか…
「…ちょっとは信用してもいいのかな?」
そう思いつつ僕は勉強を再開するのであった。
次の日。朝5時半。僕は誰にも会わないように、早めに教室に向かっていた。そして、教室で昨日読んでいたIS教本を見直している。7時ごろになって続々とクラスメイト達が集まってきた。
そして、授業が始まった。僕は必死にノート書き込んでいく。分からない所は後で先生に聞けばいい。
同じ様に一夏君もノートに書いている様子が見える。そんな時に織斑先生からクラス代表決定戦について説明があった。
「織斑。来週のクラス代表決定戦だが、学園での予備機がない。よって、専用機が与えられることになった」
この発表に周囲のクラスメイト達から驚きの声が上った。何せ専用機には色々な特典がある。
「え~!1年生のこの時期に!?」
「それって政府から援助があるってこと!?」
「いいなぁ~私も専用機欲しい~」
皆が羨ましる中当の本人は状況が飲み込めないていないようだった。そこで織斑先生はあるページを読むように、一夏君に指示した。
「織斑…教科書6ページだ」
「え?えっと…現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISだが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていない。世界中にあるIS 467機、その全てのコアは篠ノ之束博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にある。
しかし博士はコアを一定数以上つくることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行なっている」
「そうだ。だから、全世界に467個しかないISコアの内1個を織斑専用にする。これでいいか?二度目はないぞ」
「お~わかったよ!ちふ…織斑先生」
「よろしい。では授業を再開するぞ」
一夏君が専用機の重要性について理解した途端に、クラスメイトが織斑先生に話しかけてきた。
「あの~ちょっといいですか?」
「なんだ?」
「織斑君はわかったんですけど、天道君はどうなっているんですか?」
それについても僕は気になっていた。しかし、こんな時の返事は決まっている。気まずそうに織斑先生は僕を見た後重い口を開いた。
「その…すまん。天道は専用機ではなく、学園で使用している【打鉄】で出てもらう」
『えー!』
「…政府からの返答によると、一般生徒に割ける程のコアはないとの事だった。それよりも、ブリュンヒルデの弟にやった方がマシだと言われてしまってな。…正直言って私は怒りを覚えた。同じ生徒なのに、どうしてと…」
…まぁ概ね予想は付いていたけど、こうもハッキリと言われると辛い物はないね。そんな事を思っていると、一夏君が心配してきた。
「歩はそれでいいのか?」
「…まぁ仕方ないかな。むしろこんな僕に【打鉄】を貸してもらえるだけでも、いいとするよ。ははは…はぁ…」
「…」
空元気で笑って見たけど、思いの外空気が重かった。
「織斑先生もありがとうございました。何とか訓練機で頑張って見ますよ」
「天道…」
「さぁ、授業の続きをしましようか」
織斑先生は複雑な顔をしているが、僕がいいと言っているので、無下にするのも悪いと思ったので、僕は話しを切って授業を再開させた。そして、授業が終わった直後オルコットさんは僕と一夏君のところにやって来た。
「良かったですわ。まさか訓練機で試合するのかと思いましたわ」
「ああ、これで対等に出来るぜ」
「フン、負けて吠えずらかかない事ですわね」
「そっちこそな」
「それで、天道歩。貴方にはハンデとか必要でしょうか?そちらは訓練機で戦う様ですが…」
「…まぁ一夏君がやる気満々だし、僕だけハンデ貰ったら何かカッコ悪いからね。だから、大丈夫だよ」
「…何ですって?」
やべっ!オルコットさん怒っているよ…まぁそうだよね。折角提案してきた事を断られたら普通は怒るよね。
「ッ!後悔しないことですわね!」
案の定オルコットさんは、ツカツカと音を立てながら教室を出て行った。それを見ていたクラスメイトの鷹月さん、四十院さん、相川さんが心配そうにして来た。
「大丈夫?今からでもハンデもらったら?」
「そうですね。セシリアさんは代表候補生なのですから」
「天道君大丈夫?」
「えっと…心配してくれてありがとうございます。けど、大丈夫ですよ」
そう言って、僕は心配して来てくれた皆を宥めた。
4時限目が終わり昼食時間。僕は急いで購買に向かう。ここで昼飯を買って1人屋上で食べる為だ。そして、目的の物を買って屋上に向かう途中ある人と出会ってしまった。
「あれは……オルコットさん?」
「!あ、貴方は!?」
そこに現れたのは、何も手に持っていないオルコットさんだった。話しを聞くと、クラス代表決定戦に日本をバカにしたことが、クラスメイト達に申し訳ないと思いあの日以来1人で食事をしているとのことだった。
「えっと…どうしたんですかこんな所で?」
「貴方には関係ありませんわ!とっとと消えなさいな!」
そうオルコットさんが言った瞬間、オルコットさんのお腹から可愛らしい音が聞こえてきた。どうやらお昼ご飯はまだのようだ。
クゥゥゥ~
「ッツ!///」
「えっと…もしかして、お昼ご飯まだだったりします?」
「そ、そんなことありませんわ!」
しかし、オルコットさんの弁解も虚しく、また同じ様にお腹から可愛らしい音が聞こえて来るのであった。
クゥゥゥ~
「…っく///」
「アハハ…良かったら一緒に食べませんか?」
「け、結構ですわ!敵の施しなど受けませんわ!」
そうは言っているが、顔は赤くなっていた。仕方ないと僕は思って一緒に食べる様に、提案してみる事にした。
「敵って…まぁ確かにクラス代表決定戦で戦う中ですけど…今はそんな事言っている場合じゃあないと思いますよ。もうそろそろで昼休み終わりますし」
「うぅ!確かにそうですわね…」
「とりあえず、お昼休みは一時休戦ということでいいじゃないですか?」
「……分りましたわ///」
そう言って、僕の後ろを付いてくるオルコットさん。幸いにも屋上は僕とオルコットさんだけだった。そして、僕は購買で買ってきたパンを2~3個オルコットさんに渡して、食べ始めた。
「はい、どうぞ。食堂の料理には負けると思いますが」
「……ありがとうございますわ」
「いただきます」
「……いただきますわ。はむ…美味しいですわね」
「そうでしょう。良かった」
「…貴方はそれだけで足りるのですか?」
僕はパン1個と牛乳1本。けど大丈夫。この食事量には慣れているからね。
「うん。僕の事は気にしないでくださいね」
「…まぁ貴方がそう言うのであればいいですが…それよりも、どうして貴方はそんなに離れているのですか?」
そう。僕はオルコットさんとベンチ2個分離れている。こうしておかないと、僕の不幸が移っちゃうかもしれないから。だから、こんなに離れているのだ。
オルコットさんは、なんか納得いかない様にしていたけど、この後目の当たりにする。
「えっと……なんとなくですかね?」
「なんとなくで離れてしまっては困りますわ!」
そんな事を言いながら近づいてくるオルコット。そんな事をしていると…
「ちょっと!オルコットさん!?」
「きゃ!どうして、こんな所が凍っているのですか!?」
「あの~オルコットさん?」
「ちょっと!どうして白いシミが付いているのですか!?」
「あ~それは、多分鳩のフンですね」
「キ~!貴方と居るとろくなことにならないですわ!」
「だから、近づかない方がいいって言ったじゃないですか…」
こうして、オルコットさんとの昼食時間は終わった。あの後はオルコットさんとは別れてしまったけど大丈夫かな…
一方、一夏は幼馴染の箒と食堂で食事をしていた。そんな中、見ず知らずの人が加わって来るのであった。
「そういえば歩はISの訓練とかやっているのかぁ?」
「大丈夫か一夏。人の心配よりも先ずは「あれ?もしかしてだけど噂の男性操縦者って君なの?」む?」
そこ現れたのは、赤色の髪の毛をショートカットにした、女子生徒であった。ネクタイの色は赤色で3年生にあたる。1年生は青色。2年生は黄色。3年生は赤色と分かれているのだ。
「ええ、そうですけど」
「聞いたわよ。代表候補生とISバトルするんですって?因みに稼働時間とかは?」
「えっと…10分ちょっとですかね?」
「それじゃあダメね。代表候補生となるとざっと300時間以上は乗っているから。ISの強さって稼働時間と比例するのよ」
「そうなんですか?」
「ええ、見たところ隣にいる貴方も少なそうだしね。ねぇ良かったら私が教えて上げましょうか?私なら100時間は乗っているしね」
「それなら「大丈夫です!一夏の面倒は私が見ます!」箒?」
ここで、待ったをかけたのは以外にも箒だった。そして、その女子生徒に対して自身が大天災篠ノ之博士の妹である事を告げるのであった。
「あら、貴女1年生じゃない。その様子だとこの子達と同じように見えるけど?」
「…私は篠ノ之博士の妹ですから」
「!そ、そう…わかったわ」
そう言って、女子生徒はそそくさと逃げ帰ってしまった。
「箒大丈夫なのか?俺に教えるって言っても、お前も乗ったことがないんだろう」
「な、何とかなる!試しに一夏の実力を見せてもらう!腕が鈍っていないか確認する!」
「ええ!」
「放課後、道場に来い!」
そう言って、箒は去って行くのであった。そして、案の定3年間のブランクがある事をしり、一から鍛え直すことになった。