久しぶりに筆が進んだの10000字を超えてしまいた。
それでは本編どうぞ!
次の日。一夏君が幼馴染の篠ノ之さんと一緒に特訓するようになっていた。どうやら昔から剣道をしていた2人。
昔は一夏君が勝っていたと言っていたけど、今は違うらしい。
そんな2人を見つつ僕はきたるクラス代表決定戦に向けて、どうしようか悩んでいた。一番の悩みはIS【打鉄】の貸し出し申請をしているが、中々空きが来ないでいる。
原因は、2、3年生がIS学園の【打鉄】を新品同様にオーバーホールしているとの事だった。それが完了するまで1週間。
つまり、僕は一度もISに乗らずにぶっつけ本番でものにするしかないのだ。だから、僕がする事それは…
「えっと、【打鉄】には、近接用ブレード「
少しだけでも知識を溜め込むしかなかった。あとは、イメージするのが大事だと山田先生が言っていたが、それで本番に勝てるのだろうか。まぁ勝てなくてもいいかな…そんな風に思っていると、不意にテントのジッパーが空いて、誰かが入って来た。
「天道。失礼するぞ」
「織斑先生…どうしたんですか?」
「山田先生から話しは聞いた。どうやら【打鉄】が借りられないようだとな」
「まぁ、仕方ないですよ。2、3年生を押しのけて、僕だけ使う訳にはいかないですから」
「だが、天道は世界に2人だけしかいない男性操縦者なんだぞ。少しくらい融通が利くはずだ」
「織斑先生…そうですよね。けど、本当にいいんです」
「天道…」
「僕は、僕なりにオルコットさんと一夏君に向かって行きますから」
「そうか…なら、私も協力してやろう」
「え?」
織斑先生はこんな僕に協力すると言い出してきた。その内容とは…
「天道は剣道とかやった事はあるか?」
「えっと…中学時代の体育の時に少しだけ」
「そうか…なら、私がみっちり鍛えてやる」
「え!?」
「明日の朝、中庭にジャージ姿で来るように、ではな」
そう言って、織斑先生はテントから出て行った。…どうしよう
翌朝。僕はジャージ姿で中庭に向かって行った。織斑先生が朝練の事を忘れて、中庭にいないことを願って…正直言って僕は運動が苦手だ。
上手い方ではないが、全くと言っていいほど成功したことがない。野球をやっても暴投や三振をよくするし、バスケットボールはトラベリングを何回もする。陸上のバトンパスもミスる。
だから、皆に迷惑がかかる競技は避けてきた。当然体育祭は不参加だし、出たとしても直ぐにやめてしまう。全くと言って上手く行った試しがない。
そう思って中庭に着くと、ジャージ姿で仁王立ちしている織斑先生がいた。ご丁寧に竹刀も2本用意されている。あそこまで準備されているなら、退くに引けないと感じた僕は意を決して行くのであった。
「お、おはようございます。織斑先生…」
「おはよう天道。それじゃあ、始めるぞ。先ずは、竹刀を握ってみろ。今日は小手とか付けずにやってみよう」
「はい」
「よし、そうやってゆっくりと持つんだ…ほぉ初めての割には筋がいいな」
「そうですか?ありがとうございます」
「それじゃあ、素振り100回やってみようか。なに、最初から全力でやらなくてもいいぞ」
そう言ったので、僕は素振りをし始めた。初めは、型を意識過ぎて肩を痛くしたけど、徐々に慣れ始めた。
「よし、そこまで!」
「はぁ…はぁ…結構キツイ…」
「初日でそこまで出来ればいいだろう」
キーンコーンカーンコーン
「っむ?もう時間か…天道。放課後はどうしている?」
「えっと…IS教本を見たり、勉強をしています」
「そうか…なら、当分の間朝練は基礎体力を上げる事をする。放課後は勉強するといいだろう」
「はぁ、わかりました…」
そう言って、織斑先生は戻って行く。それを見て僕もテントに戻って、軽く体を拭くき教室に向かって行く。朝飯は朝練があったから抜きとなってしまった。
けど、織斑先生が付き合ってくれたから仕方ないと思い我慢するしかなかった。そして、2時間目の途中で盛大にお腹の音が鳴った。穴があったら入りたいくらい恥ずかしかった…
3時間目が終わり、次の授業をしている中僕はある事に気が付いた。そんな中一夏君が寄って来た。
「あ、どうしよう…」
「どうしたんだ歩?」
「ちょっと教科書をテントに忘れて来ちゃった…」
「そうか、良かったら俺のを貸すか?」
「…大丈夫だよ。直ぐに取って来るから」
「わかった。先生には俺から言っておくからよ」
「ありがとう」
そう言って、僕は教室を出て急いでテントに向かった。幸いにも直ぐに教科書は見つかって、急いで戻れば授業に間に合うかもしれない。
そう思って急いで戻る途中3人組の女の子に出会った。首に掛かっているリボンの色は赤色、黄色、青色だった。…青色は僕と同学年だと思ったが、見かけない子だった。
そんな風に思っていると、3人組の真ん中の子が、僕を睨むように言って来た。
「ちょっとアンタ!」
「えっと…僕ですか?」
「ええそうよ…アンタ男のくせに何でISを動かせるのよ!」
「そうよ!そうよ!汚らわしい男のくせに!」
「それは僕にも分からないんですよ…」
ここまでの会話を聞く限り、この子達は女尊男卑の思想を持っているっぽいな。僕としては、穏便に済ませたいと思っているが、向こうはそう思っていないっぽい。むしろヒートアップしてくる。
「それに!今朝なんて千冬様と二人っきりだったと聞くわ!」
「何ですって!我らの千冬様を独占するなんて!許さない!」
「いや、あれは向こうが「黙りなさい!」…」
そして、残りの2人は両手に持っていた液体みたいなものを、僕に向かって投げつけて来た。それを浴びた途端水だとわかった。
「これでも喰らいなさい!」
「うぁ!冷たい!」
「アハハハ!いい気味よ!そら、もういっちょ!」
「ちょっと!やめてください!」
「アハハハ!ほら、ほらもっと濡れなさい!」
その後も容赦なく水をかけてくる。僕は教科書を守るのに必死だった。そして、あらかた掛け終わった3人組はその場を後にするのであった。
「これに懲りたら、千冬様と距離を置くことね」
「そうよ!そうよ!アンタなんか目障りなのよ!」
『アハハハ!』
どうすることもできない僕は、ただ茫然とするしかなかった。このままの格好で行くと一夏君達が心配して来るのは不味いと思った僕は着替える為にテントに戻る事にした。
「…そうだ。早く戻らないと…授業に…遅れちゃう」
テントに戻る途中とめどなく自分が惨めだと思ってきた。そして、テントに入った瞬間最後まで我慢していたのが、決壊して泣いてしまった。
「…うぅ…どうして…どうして僕だけ…こんな目に合わなくちゃいけないんだ…」
自分が不幸体質だと分かっている。けど、ここまで来ると生まれてきた事を呪ってやりたいくらいだった。
しかし、それを思ったら最後。僕は壊れてしまうだろう。それだけは避けたいと思い、心の中に留めておいた。
ジャージ姿に着替えた僕は、急いで教室へと向かっていた。だけど、既に授業は終わっていた時だった。教室では次の授業の準備をしている最中だった。
「うん?どうした天道。ジャージに着替えて?」
「織斑先生…」
どうやらこの授業は織斑先生が担当だったらしい。僕は授業に参加出来なかった理由を話そうとしたが、もしあの3人組の耳に入ったら、今度はどんなことをされるか、わかったもんではない。だから…
「えっと…教科書を忘れて
「…それは本当か?」
「…ええ、そうです」
「……」
「……」
しばしば沈黙。そして、織斑先生は観念したのかため息をついた。どうやらこの勝負は僕の勝ちのようだ。
「はぁ~わかった。明日までは乾かしておくのだぞ」
「…わかりました」
「それと次に私の授業をサボったら、グラウンド10周だ。勿論ISの補助なしでだ」
「…き、肝に銘じます」
IS学園のグラウンドは400mトラックと同じくらいあるから、それを10周。ましてやISの補助なしとくると、相当厄介だ。
そうなりたくない為にも、次の時間はちゃんと準備しないといけないな。
案の定授業に来なかった僕を一夏君達は心配してくれた。そして、お昼休み。僕は購買に行き、いつも通りのパンを買って屋上で食べようとした。
そしたら、オルコットさんが先に屋上にいた。
「あれ?どうして、ここに来ているんですか?」
「…あなたこそ、どうして食堂で食事を取ろうとしないので?」
「僕がいると、皆に迷惑をかけてしまうかもしれないと思って…」
「そうでしたか…」
「ええ……」
『……』
そう言って、お互い黙ってしまった。しかし、時間がない為僕はパンを食べるのであった。その様子をジッと見ているオルコットさん。どうやらここに来たのはいい物の肝心のパンが手元になかった。
「いただきま~す。…はむ。うん!美味い」
「……」
「……」
「…」ジュルリ
「えっと…オルコットさん?そんなに、見つめられると食べづらいんですけど」
「ハッ!そ、そんなことありませんわ!私の事は気にしないでくださいまし!///」
「そんなに見つめられながら言われても、説得力ないですよ。…分りましたよ。はいどうぞ」
そう言って、僕は前回同様に買ってきたパンをオルコットさんに差し出した。するとオルコットさんは困惑しながらも、食べるのであった。
「えっと…」
「食べてください。もうそろそろで昼休みも終わりますから」
「でも…前回も同じ様にしてもらっているんですけど…」
「気にしないでください。それじゃあ、僕は先に教室に戻っていますね」
「あ!お待ちになってください!」
僕は、オルコットさんの静止を無視して教室に戻って行った。そして、何とか間に合あったけど、結局この日もお腹の音を抑えながら授業を受ける羽目になった。
放課後はテントに戻って勉強。特に射撃特性や格闘術。それに空間把握能力などあらゆる分野で使用されるであろう事を勉強していた。
そして、次の日の朝練も剣道。放課後は勉強と繰り返して、とうとうクラス代表決定戦当日。
結局僕は一度もISに乗ることなく、この日を迎えてしまった。それは、一夏君も同様のようだ。
「なぁ箒…」
「なんだ一夏」
「この一週間剣道しかしていなかったんだが…」
一夏君のもっともな指摘に対してポニーテールの女の子。篠ノ之さんはそっぽを向くしかなった。何だか嫌な予感が…
「オイ!」
「し、仕方ないだろ!ISの貸し出し予約がいっぱいだったのだから!」
「でも、他にもやり方があっただろう?例えば座学とかさぁ…」
「う、うるさい!もう少しで試合なのだ集中していたらどうなのだ!」
「わ、分かったよ…」
何だか篠ノ之さんは焦っているように見えるが、納得がいかない一夏君は試合の準備をしているのであった。
既にオルコットさんは専用機【ブルー・ティアーズ】を纏ってアリーナ上空に待機していた。
あれがオルコットさんの専用機か…綺麗だな。
そんな風に思っていると、山田先生と織斑先生が急いで一夏君の所にやって来て、専用機の説明をするのであった。
「お、織斑君~」
「山田先生!大丈夫ですか?」
「ええ…何とか…大丈夫…です」
「深呼吸~吸って~吐いて~」
「す~はぁ~…もう大丈夫です。それよりも織斑君の専用機が届きました!」
そう言って、山田先生が言った途端にコンテナから現れたのは、色は灰色で両側にスラスターが搭載されているISがいた。
「これが織斑君の専用機【白式】です」
「これが俺の専用機…」
「織斑、時間が限られている。
「お、おう」
だが、
「まだかかりますか山田先生」
「…ええ、あと30分はかかります」
「そうですか…仕方ない」
そう言って、僕の方を見てきた織斑先生。その視線の意味を知った僕は山田先生に確認するのであった。
「…天道」
「…わかっています。山田先生僕の【打鉄】は直ぐに出られますか?」
「ええ、学園の【打鉄】であれば……まさか!」
「はい。一夏君の作業が完了するまで、僕が先に出ます」
「歩!?どうしてだよ!」
「これ以上オルコットさんを待たせる訳にはいけないからね。ですから、山田先生お願いします」
「…分りました。その代わりにこちらも全力で進めますから」
「お願いします。それじゃあ、織斑先生。いってきますね」
そう言って、僕が行こうとする時織斑先生が腕を引っ張った。そして、ある事を言って来た。
「天道……頑張ってこい!」
「織斑先生…はい。ありがとうございます」
僕は急ごしらえで用意されていたISスーツを着て、学園のIS【打鉄】を纏った。初めての実践。嬉しさ半分、怖さ半分ってな感じだ。
「
「ええ、問題ありません。いつでも行けます」
両手を動かしても関節に問題ない事を確認した。そして、僕はカタパルト乗り【打鉄】をセットした。
『カタパルト油圧ユニット確認。各部異常なし。ハッチ開放!』
ピットのハッチが開放され学園の空が目の前に広がった。眩しいなぁ…そうこうしているうちに、準備が終わったようだ。
『システムオールグリーン。発進シーケンスをアユム・テンドウへ譲渡します。』
「カタパルト固定を確認。天道歩、行きます!」
バシュ―!
カタパルトから勢いよく射出された僕は、オルコットさんが待つアリーナ上空へとたどり着いた。オルコットさんも急に僕が出て来てびっくりしているが、すぐさま真剣な表情になった。
「どうして貴方が!?最初は織斑さんだと聞いていましたが…」
「あ~何か一夏君は時間がかかるみたいだから、先に僕が来たんですよ」
「そうでしたか…最後のチャンスを与えますわ。降伏してください!私は貴方を撃ちたくありません!」
「オルコットさん…それは聞けないお願いだね」
「どうしてですか!?貴方は頑張っていました。必死に勉強していました。なのにどうして…」
意外な事を聞いてきた。だから、僕はありのままの事を言った。
「…弱い自分から逃げ出したくないからですかね?」
「え?」
「
「証明ですか…」
「ええ、そうです。それに、こんな僕の為に時間を割いてくださった人々に申し訳がたたないので…」
「天道…」
朝練で剣道を教えてくれた事や分からない事があったら、いつでも頼ってもいいぞと言ってくれた、織斑先生。とても感謝しています。
「さて、時間がありません。それじゃあ、始めましょうか」
「…わかりましたわ。そんなに言うのであれば私も代表候補生です。全力でお相手致しますわ!」
そう言って、オルコットさんは気を引き締めてきた。対する僕もハイパーセンサーに全神経を集中させて相手の出方を待つ。
『それではこれより。セシリア・オルコットVS天道歩の試合を始めます。試合スタート!』
先に動いたのはオルコットさんだった。自身の
「もらいましたわ!」
《敵ISロックオン。攻撃。ビーム光線到達まで0.4秒》
「!か、回避運動!」
僕はギリギリの所で回避したが、左腕をかすめていく。おかけでSEが30%減ってしまった。
これが実践…
今更になって恐怖の方が勝って来た。けど、逃げないって決めたんだ。それに、強気に行かないと代表候補生には勝てない…
そう思って僕は初めて自分から進んで行くことにした。
「なんですって!アレを回避するのですか!?」
「今度はこっちから行くぞ!」
「っく!」
オルコットさんが焦っている事をいい事に僕は葵を取り出し、オルコットさんへと肉薄する。だけど、オルコットさんはビット?を
「さぁ踊りなさい!わたくしセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる
僕はどう逃げればいいのか分らず仕舞いだった。けどハイパーセンサーからの情報を基に光線が交差するタイミングを見計らって上に逃げようとした。
《警告、右側よりレーザー光線。到達まで2秒。警告、左側よりレーザー光線。到達まで4秒》
「…と言う事はそれぞれ独立で動いている。なら…上に逃げる!」
しかし、それは罠だった。
そこには、オルコットさんが上に逃げると踏んで待ち構えていた。そして、それに引っかかってしまった僕はレーザー光線をもろに受けてしまった。
「もらいました!」
「なに!?…ぐわぁぁぁぁ~!」
《警告、残りSE50%。》
「歩!」
「…天道」
何とか地面への落下は避けたものの風前の灯火となった僕に対してオルコットさんは4基のビットで囲み涙ながらに降伏をするように言って来た。
「もう…もういいでしょう!何故…そこまで…貴方は頑張るのですか…」
「それは…さっきも言った通り、弱い自分を克服するためだよ」
「けど、それなら別の方法があるでしょう!何もこれだけにこだわらなくても良いのではないですか!」
「これじゃないとダメだと思ったんだ。だから、僕はどんな状況になっても諦めないよ」
僕なりの覚悟を見せたら、オルコットさんは本気モードになってくれた。
「…貴方は…わかりました。なら、私もそれに答えましょう!」
《警告。上、左、右よりレーザー光線のロックオンを確認》
ハイパーセンサーからの警告を基に僕は冷静に作戦を立ててみた。残りのSEは50%。対するオルコットさんは400%。
僕が使える武装は近接用ブレード「
僕は近接用ブレード「
すると、左右からボン!とビットが破壊された音が聞こえた。この出来事にオルコットさんは驚いていた。
「な!私のブルー・ティアーズが!」
「そこだ!」
今度はオルコットさんの声がする方に撃ってみると、ボンと1つ音が聞こえて来た。どうやらあのビットは主であるオルコットさんを守るように配備されているって言うことか…
「どうしてここまで追い詰められるんですの」
「その事については、この試合が終わってから話しましょうか。それじゃあ、決着と行きますよ!」
「来なさい!!」
その時教科書で勉強していた
「
「行くぞ~!」
僕は勝った!と思った。しかし、そこは代表候補生のオルコットさん。1枚も2枚も上だった。
「お生憎様!ブルー・ティアーズは……
そう言って、スカート部分から2つのミサイルが発射された。今更止まれないと思った僕はそのまま突っ込んで行った。
そして、もろにミサイルを受けてSEが0になった。
「!」
ドガーーン!
「歩!」
「…天道!」
薄れゆく意識の中で僕は思った。やっぱり勝てないんだ。これが僕なんだ……そんな風に思ってしまった。けど、最後くらいいい夢みたいなぁと思ってしまった。
『そんな風に思っているなら力を貸してやるぜ』
不意に誰かの声が聞こえた。オルコットさんでも一夏君でもないそんな声だった。……力を貸してやるだって?
『ああ……あの金髪女に勝ちたいんだろ?なら、力を貸してやる』
……けど、それでオルコットさんが傷つくのは嫌だ。
『な~に大丈夫だ。アイツは代表候補生で強いんだ。だから、大丈夫だ』
けど……
『あー!じれったいなぁ!兎に角その身体もらうぞ!』
ちょっと!
セシリアが放ったミサイルをもろに受けたはずの【打鉄】。これで、【打鉄】のSEは0になった。
だが、粉塵が晴れると先ほどまで受けていた傷が一切見受けられない【打鉄】を装着したままの歩がいた。
目は虚ろで光がない。まるで別人のような雰囲気を出している。セシリアは恐る恐る話しかけてみることにした。
「天道歩さん?どうしたんですか?」
「……」
いつもなら返事を返してくれる歩が、セシリアが話しかけても反応はしない。様子がおかしいと思ったセシリアは今度は強めに言ってみた。
「天道さん。しっかりしてくださいまし!」
「……」
「天道さん!」
事態を察したセシリアは織斑先生に判断を仰ごうとした。しかし、セシリアが目を離した一瞬の隙をついて、歩が
「織斑先生、オルコットです。天道さんの様子がおかしいのです。指示をお願いしますわ」
『オルコット。こちらでも確認している。現状は待機した方がいいだろう』
「了解……っつ!」
『どうした?』
「突然、天道さんが
『なに!?』
致し方なくセシリアは残りのティアーズを歩に向けて応戦する構えをとった。
僕は何をしているのだろうか…確か今日はクラス代表決定戦で…今はオルコットさんと戦っていて…SEが0になって…不思議な声が聞こえて…
「天道さん。しっかりしてくださいまし!」
「……」
「天道さん!」
オルコットさん……どうして……
「致し方ありませんわ!行きなさいティアーズ!」
また、あのビット……嫌だな……邪魔だな。そうだ……消しちゃえばいいんだ……
そう思った僕は手をかざして頭の中で反響して来た声を出してみた。
『
するとどうだろう。さっきまで僕に向かって来たビットが途中で止まった。これで邪魔物がいなくなったと思ったら、予想外の事になってしまった。
なんと、主であるオルコットさんを攻撃し始めたのだ。
~セシリアside~
だから、余裕を持って華麗にかつ完璧に勝てると思っておりました。しかし、その予想は一瞬にして崩れ去りました。
織斑さんと初戦を行うと思っておりましたが、出てきたのは天道さんでした。天道さんもこの一週間ISに乗っていない。「ワンパンキルで終わらせて差し上げますわ」と思っておりました。
しかし、初撃を避けた事を見て思いましたわ。本当に素人なのでしょうかと…
確かに動きにぎこちなさがあるにせよ、素人に変わりはありません。このまま押し切って勝利をもぎ取るだけと思っておりました。
しかし、「ティアーズ」を出したのにも関わらず、果敢に攻めてくる姿。昔のお父様と違って格好良く見えてしまいましたわ。
その後も
しかし、そんな方とも決着を付けなければならない時が来てしまいました。こちらに来たことをいい事に、スカート部分から発射したミサイルが天道さんを直撃し、SEが0になりました。
これで終わった。今度は私が天道さんに、ISを教えようと思っていた時でしたわ。
先ほどまでダメージを負っていた天道さんの【打鉄】が無傷の様ではありませんか。更に言えば、天道さんの目が虚ろで光がない。まるで別人のような雰囲気でしたわ。
そんな風に思っていると、天道さんが突然
危険と判断した私は、ビットを使用し仕方なく戦うことに致しましたわ。
「致し方ありませんわ!行きなさいティアーズ!」
そう言って、ティアーズを天道さん目がけて発進させました。しかし、天道さんが手をかざして……
『
そう叫んだ途端ティアーズが止まり、私を攻撃し始めました。
~セシリアside out~
僕は、虚ろになりながらも状況を理解しようとしていた。どうすればいいのか。何をすべきなのか。
『そんなもん決まってんだろ。あの金髪姉ちゃんに勝てばいいんだよ』
そうだ…オルコットさんに…勝てばいいんだ……
『その調子だ!行こうぜ!』
【ああ……行こうか】
「天道さん!」
オルコットさんが必死になって叫んでいる。あれ?僕どうしてこうなったんだっけ?
『っち!もう終わりか…まぁいいや。次には完璧に制御してやるぜ。待ってなよ。
そう言って、謎の声は聞こえなくなった。そして、目の前にオルコットさんの顔があった。
「オ…オルコット…さん?オルコットさん?どうしたんですか?」
「天道さん!気が付きましたのね!…良かったですわ」
「えっと…」
オルコットさんは僕を見て安堵している。僕にはさっぱり分からないけど、何だか心配そうな顔をしている。どうしたんだろう?
「あの…どうしたんですか?」
「て、天道さん!?今までの事思い出せていませんの?」
「今までの事……ごめんなさい。よく覚えてないんです」
「そうでしたか……」
よくわからないけど、オルコットさんが無事なら良かった。けど、そう思っているのも束の間だった。
オルコットさんが放っていたビットが、こちらに向かって来た。訳が分からないがする事は1つしかない。
「あ!危ない!」
「え?」
僕はビットとオルコットさんの間に立って、両手を広げた。するとビットば僕めがけて攻撃し始めた。せっかく回復したSEが徐々に減ってきた。それでもビットは攻撃をやめない。
今ここで僕が避ければ、後ろにいるオルコットさんに当たってしまう。それだけは避けないと…そう思っているけど、そろそろ本当にヤバい。【打鉄】の所々から煙が出てきている。
「やめなさい、ティアーズ!」
「っく!…このぉぉぉー!」
「仕方ありませんわ!」
もう本当にヤバいと思ったら、オルコットさんが自身武器でビットを攻撃した。それによりビットは爆散してしまった。
だが、僕の【打鉄】が限界のようだった。ビットが爆散するのと同時に、ISも強制解除されてしまった。
そして、今までの疲れからか僕もぐったりしてしまい、オルコットさんにもたれかかってしまった。
「オルコットさん…大丈夫だった?」
「ええ、私は大丈夫でした…」
「そうか…良かった…」
「天道さん!天道さん!?しっかりしてくださいまし!」
情けないなぁと思いつつ僕のクラス代表決定戦は終わりを告げた。
目が覚めると、見慣れない天井があった。いつも寝ているテントの天井ではなく、白く清潔感のある天井だった。それに薬品の匂いや、腕を見てみると点滴を打っている。
「ここは………保健室?」
「おや、目が覚めたようだね」
そこに現れたのは、ダボダボの白衣を着崩し、瓶底ほどの大きさのメガネをかけていた女の人がいた。髪はアッシュブラウンで長すぎず、短すぎずの長さで纏めている。そして、白衣の上からでも分かるくらいのグラマラスな人が僕の顔を覗いていた。
「えっと…」
「おっと、済まないね。私はここで女医をしている、
「はい。そうですけど…僕がここに運ばれてどうなりましたか?」
「ふむ。君がここに来て2日くらい寝ていたかな?」
「そんなにですか…」
やばい。勉強とか絶対に遅れている……どうしよう。そんな風に思っていると、小鳥遊先生は安心する様に言って来た。
「大丈夫だ。織斑先生が今回の事を考慮して、あとで勉強を教えてくれるそうだ」
「そうですか……良かった」
「それよりも、君に会いたい人が居るらしいぞ」
「え?」
「入ってきたまえ」
そう言って、小鳥遊先生が言うとおずおずとその人が入って来た。
「お、お邪魔いたしますわ///」
「オルコットさん…」
「さて、あとは若い者同士で話すといい。……あ、もし
『そ、そんなこと!し、しませんよ!///』
最後にとんでもない事を言い出して、小鳥遊先生は保健室を出て行った。その後僕たちは終始無言が続いた。
「………」
「………」
小鳥遊先生があんな事を言うからなのか、それともクラス代表決定戦のことなのか。迷っているとオルコットさんから話しかけてきた。
「…その天道さん?」
「はい」
「その…先日は申し訳ございませんでした!」
「え?」
突然オルコットさんが頭を下げてきた。僕は訳も分からずでいたら、そのことについて説明し始めた。
「先日は、クラスの人達を侮辱した様な発言をしてしまいました。それについて謝罪し皆さんには受けいれられましたので…」
「それは良かったですね」
「ええ、これも全て天道さんのおかげですわ。感謝してもしきれません」
「そんなことないですよ。オルコットさんが誠心誠意皆に謝ったからです」
「…天道さん。ありがとうございますわ///」
良かった。オルコットさんが安心したようだ。そしたらオルコットさんがこんな提案をして来た。
「それで、今後は、私の事は…“セシリア”と呼んでくださいな」
「え?」
「その代わりに、天道さんの事は、あ…“歩さん”と呼んでもよろしいでしょうか///」
「えっと…」
僕が困惑していると、オルコットさんが上目遣いで再度聞いてきた。
「い、いかがでしょうか?…それとも私の事はお嫌いになったんでしょうか……」
「うっ!そ、それは…」
正直言ってオルコットさんもといセシリアさんは可愛いと言うよりも綺麗な部類に入っており、僕の好みでもある。
しかし、そんな事を言ってしまえば迷惑がかかるかもしれない…そう思った僕は必死になって、自分の気持ちを隠すのであった。
「えっと……そんな事をないよ。ちょっと驚いただけです」
「え?では!」
「…これからよろしくお願いしますね。セシリアさん」
「は、はい歩さん!///」
こうして、1週間以上かかったクラス代表決定戦は本当の意味で終わったのであった。
自作「ジオン兵は2度目の空を飛ぶ」でアンケートを実施しております。是非とも回答をお願い致します。