僕と織斑先生がウォルマート三姉妹の居る部屋に来ると、織斑先生がノックをして、部屋に入って行った。
「お、織斑先生!?」
『!?』
三姉妹は突然訪ねてきた織斑先生に驚いた様子を見せながらも、僕に対して警戒心を緩める事はなかった。
「失礼する。マリア・ウォルマート。シンシア・ウォルマート。ナタリー・ウォルマート。貴様ら3人の処遇についてだ」
『……』
「処遇については…天道から話があるそうだ」
そう言って、織斑先生は僕に目を配った。僕は覚悟を決めて三姉妹の前に出た。赤色リボンをした人はキっとして僕を睨んでいる。
黄色いリボンをした人と青色リボンをした人はハラハラしながら、見守っている。
「えっと…先ずは聞きたいことがあるんですけど。どうしてこんな事をしたんですか?」
「それは…アンタみたいな男がISなんかに乗っているのが悪いのよ!男の分際で!」
「…それじゃあ、一夏君はいいですか?彼も僕と同じ男ですよ」
「そ、それは…」
赤色リボンの人がしどろもどろになっていると、青色リボンの人と黄色リボンの人がやって来た。
「お姉ちゃんもうよそうよ…」
「ナタリー…」
「そうだよ姉さん」
「シンシア…」
青色リボンの人と黄色リボンの人が、赤色リボンの人を宥めている。そして、黄色リボンの人が本当の事情を話し始めた。
「…初めまして、ちゃんとした挨拶は初めてよね。ウォルマート三姉妹が次女ウォルマート・シンシアです」
「三女のウォルマート・ナタリーです」
「どうも、天道歩と言います」
「私達は三姉妹いつも一緒にいました。小学校から中学校まで…高校も本国の高校に一緒に通う予定でした……あの時が起こるまでは」
「……」
何だか訳ありのようだ。一応黙って聞いていた方がいいかもしれない。そして、黄色リボンの人が話し始めた。
「けど、ISが世に出始めて私達にもIS適性ありとなったの。それからしばらくして、国の役員が私達をここに送ったのよ」
「けど、それがどうしてこうなったの?」
「…私達は人質を取られているのよ」
「!」
人質と言われて僕は固まった。そんな物騒な言葉が出てくるとは思わなかった。
「私達の両親は国に監視されているのよ」
「だから、結果を残さなければ両親は…消される」
「…そんなことが」
「…ごめんなさい。私達のごたごたに巻き込んでしまって。私はウォルマート・マリアです」
そして、赤色リボンの人マリアさんが頭を下げて謝って来た。さっきと打って変わって謝って来たので僕はやめる様に言った。
「だ、大丈夫ですよ!不幸体質の僕はごたごたに、巻き込まれるのは慣れっこですから」
「そ、そんな…」
「それよりも、今後の対応を考えないと…織斑先生何とかなりませんか!」
僕は一縷の望みをかけて織斑先生に助けを求めた。けど、織斑先生は首を横に振っていた。え?
「確かにISに法の権力はない。しかし、それは
そうだった。万事休すかと思ったが……僕は諦めなかった。ちょっと強引な方法だけど、この三姉妹には笑顔で居てもらいた。
「織斑先生。ちょっと3人と話したいんで席を外してもらえませんか?」
「しかし、それでは「大丈夫です」……分かった。私はドアの前に居る。くれぐれも変なことをするなよ」
そう三姉妹に言って織斑先生は出ていった。さて、ここからは僕の番だ。嫌だけどちょっとだけ我慢しよう。
そう思って僕は意識を集中させた。
(ちょっといいかい?)
『お!久しぶりだな。どうしたお前からこっちに来るなんてな』
(本当は来たくなかったけどね)
『そんなこと言うなよ~俺たちは一心同体何だぜ』
(うるさい!それで今日きた訳だけど…『わかってるぜ』え?)
『言っただろう。俺たちは一心同体だって。お前が考えている事なんざぁ手に取る様にわかっている。…助けたいんだろ三姉妹を』
(う、うん…だけど君をまた、悪役にするには気が引けるんだ…)
『大丈夫だ。俺はいつでも
(……ありがとう)
~ウォルマート三姉妹side~
アイツが静かになって数分後。突然振り向いて来ると、あのアリーナで対峙した時の人物に豹変していた。
『あ~久しぶりにこの身体になれたわ。よ!元気だったか?』
「あ、アンタはこの時の!」
「ひっ!」
「っつ!」
あの時のトラウマが蘇ってきたのか、踏み台にされたシンシアは私の影に隠れてメアリーは警戒心を強くしたわ。
けど、どうにも様子がおかしい。
『あ~あの時の続きをしようって話しじゃあねぇぜ』
「じゃあ何が目的よ」
『
「え?」
「ほ、本当に?」
『ああ、
「そ、そうなんだ…」
『兎に角請け負った事には変わりはねぇ。それじゃあ、始めるとするか』
そう言って、彼は腕の部分だけISを展開した。確か規則で公的な場以外でIS展開は禁止さていたはず…そんな事もお構いなしにIS展開を終えると、一本のLANコードを取り出して、ネットワークの接続口に差し込んだ。
『おい、お前らのボスを呼び出せ』
「え?」
『どうせ、定時連絡で俺や一夏の動向を報告しているんだろう?その時の奴を出せって言ってるんだよ』
「お姉ちゃん…」
「わかったわ…」
そう言って、私はいつも通り定時連絡をしている人に連絡する。すると、スクリーンに映し出された軍部最高司令官の彼は脂汗をかきながら怒鳴り散らしてきた。
【どういうことか説明しろウォルマート・マリア!】
「どうしたのですか?」
【どうこうもうあるか!我々軍部が、極秘裏に進めていた新兵器の情報が、露見したではないか!】
「はい?」
【しかも、人体実験や薬物実験の情報まで開示されてしまったではないか!】
「ちょっと待ってください!人体実験や薬物実験ってどうゆうこですか!?」
『あ~やっぱりな』
その内容を聞いていたか、彼はニヤニヤしていた。もしかしたら彼が関係しているのではないかと思った。
そんな事を思っていると、とんでもない人が現れた。スーツ姿に七三分けに初老の男性。確かこの人は…
【だ、大統領!?】
「すまない、突然緊急コールを受けたので来たのだが…まさか貴様が関わっているとはな」
【い、いえ、大統領!これには深い訳が…】
「黙れ!貴様らの思惑通りにはいかんぞ!」
【ヒィ!お、お許しください…】
あの日々私達を叱っていた、男がこんなにも惨めな姿になっており、私は驚愕を通り越して呆れていた。
そんな様子を真剣に見つめている彼がいた。
「貴様らの処分は追って伝える。デスクでも綺麗しておくのだな」
【そ、そんなだ】
そう言って、大統領は一方的に通信を切った。残ったのは、私達と大統領。それに彼だけとなってしまった。
そんな中でまたしてもとんでもないことが起きたのだ。突然大統領が頭を下げ始めたのだ。
「先ずは、このような醜態を晒してしまって申し訳ない。この通りだ」
「い、いえ!頭をあげて下さい大統領」
「そうですよ。私達は気にしてませんから!」
「うんうん」
「ありがとう、ウォルマート三姉妹」
「私達の事を知っていたんですか?」
「ああ、君たちの事は逐一チェックしている、あの薄汚い奴は無能の三姉妹と言っていたが、私はそうは思わない。国を代表する者として礼を言わせてくれ」
大統領からの感謝の言葉に私は思わず泣いてしまった。この人は、しっかりと理解している。ちゃんと見ていると…
「大統領…ありがとうございます」
「お姉ちゃん」
「姉さん…」
そんな中大統領は、彼に向き合っていた。
「君が世界で2番目の男性操縦者か?」
『ああ、一応その認識で合ってるぜ』
「そうか…実際に会ってみたいと思っていたが、内部の膿取りをしないといけないから、後日改めて会える日を楽しみにしているよ」
『そいつはごめんこうむるな。生憎俺は織斑一夏程お人好しじゃないんでね』
「そうか…残念だよ」
『ああ、そうだなぁ』
何だか2人やり取りがあった。それよりも彼って大統領相手にタメ口で話していたけど、大丈夫かしら?
『それとサプライズでもう一つ手を打たせてもらったぜ』
「何をしたんだ?」
『まぁいいじゃねぇか。そろそろ発動する頃だ』
~ウォルマート三姉妹side終了~
一方で焦りだしていたのは、軍部の人間だった。これまで極秘裏に進めていた事がことごとくバレてしまったのだ。
「くっそ!どうすればいい!?」
「落ち着いてください大佐」
「バカ野郎!この私の首が飛ぶんだぞ!何かいい手はないか…そうだ!」
「どうしたのですか?」
「ウォルマート三姉妹の両親を人質にしろ!そうすれば、大統領らは考えを改めるだろう」
「しかし、あの三姉妹の両親は大統領の管理下にあります!迂闊に手を出せば…」
「うるさい!もう、この方法しかないんだ!さっさとしろ!」
「りょ、了解しました」
そして、ウォルマート三姉妹が住んでいた家には、両親が住んでいた。しかし、軍部の人が乗り込んで来ようとした。だが、いくらドアを開けようとしても開くことが無かった。
それもそのはず。予め歩が家のシステムをハッキングしており、大統領のSPが到着するまでの、時間を稼いでいたのだ。
「くっそ!開かないぞ!」
「なに!?どういう事だ!ええい、ならこのドアを破壊するまでだ」
ファンファン…
「マズイ!SPが…」
「動くな!貴様を逮捕する!」
こうして、ウォルマート三姉妹の両親に危害が及ぶ事なく、軍部の人間達が一掃され、大佐は汚職が元で逮捕された。更に大統領も責任を負って辞職した。
それが基になりウォルマート三姉妹の両親も監視から解除され、自由に連絡が取れるようになった。
しかし、国家の敵を炙り出し、正義のヒーローとして活躍した彼が、大統領に返り咲くのはまた別の話し。
「それじゃあ名残惜しいが私はこれにて失礼するよ」
「は、はい!ありがとうございました」
「なに、私はきっかけに答えたまでだよ。それに、彼の力が無ければ私はただ、軍部の言いなりだったはずさ」
『フン。それだったら、最も足元に注意するんだな』
「…肝に銘じておくよ」
そう言って、大統領との通信は終わった。いちいち癪に触る言い方だが、これが彼なりのアドバイスなのかもしれない。
『それじゃあ、俺は元に戻るぜ』
「ええ、その…ありがとう」
『フン、その言葉は
ドッサ
そう言った途端、彼が突然倒れてしまった。突然のことで上手く受け止められなかった。
「ちょっと!」
「お姉ちゃん!?」
「姉さん!?」
私は慌てて駆け寄り彼を起こそうとした。幸い息をしているから大事なかった。その音を聞きつけて、織斑先生が慌てた様子で入って来た。
「ねぇ!大丈夫?ねぇ!…良かった息はしている」
「ふぅ。良かったよ」
「姉さん…確認するのそこなの?」
「だって、私達のわがままで大変な事になったらねぇ?」
「そうだけど…」
「天道!大丈夫か!?」
「お、織斑先生?」
「天道!ああ、よかった…どういう事か説明してもらおうか」
「えっと…」
そこから、事の顛末を織斑先生に説明したわ。時々こちらを睨む様な仕草をしていたんだけど、話し終わると安心しきっていたわ。
「そうだったのか…すまないな」
「いえ、私達のわがままに彼が対応してくれたので寧ろ感謝しています」
「うん。私達があんないじわるしても、彼は受け入れてくれたんだよね」
「ええ、彼には、感謝してもしきれない恩があります」
そんな時彼が目覚めてしまった。
「う~んここは?」
「天道。大丈夫か?」
「織斑先生…それに、ウォルマートさん達?」
「天道、お前覚えていないのか?」
「あ…えっと…ごめんなさい。覚えていないです」
「そうか…まぁ天道が無事で良かった」
そう言っていた織斑先生。そんな時ウォルマート三姉妹が僕に向かって頭を下げてきた。え?
『ごめんなさい!』
「え?」
「謝って済む話じゃあないのは分かっている」
「けど、貴方に救ってもらったことには変わりはないわ」
「うん。けど、これでパパとママが解放されたから良かったよ」
「え?どういう事なの?」
すると、赤色リボンの人が僕にスマホの画面を見せてくれた。そこには、ウォルマート三姉妹のお母さんとお父さんからのメッセージだった。
〔軍部の人が家か出て行った〕〔おかげで外に出る事が出来た〕〔彼のお陰で私達の自由が保障された〕
それを見た時、僕が何かしらの力になったんだなぁと思って、この苦労も無駄じゃなかったんだなぁと思った。
「そっか…良かった」
「ええ、だから…私達の両親を救ってくれてありがとう」
「うん!ありがとう!」
「ありがとうございます」
何だかこそばゆい感じになるけど、これが感謝されるってことなのかもしれない。そんな時ウォルマート三姉妹がある提案をして来た。
「それで、私達の償いなんだけど」
「ええ、貴方が望むのであれば、この学園から退学する気でもあるわ」
「ええ!そ、そんなことしなくても…」
「けど、私達はそれくらい大きな事をやってしまったのよ」
「天道。ウォルマート三姉妹の処遇を決めるのはお前だ」
「それじゃあ…僕と
『え?』
この事にウォルマート三姉妹はポカンとしていた。確かに僕にひどい事をしたのは、あるけどウォルマート三姉妹には笑顔でいて欲しい。それに、1組以外の友達が欲しかったんだ。
「えっと…だ、ダメですか?」
「え?それだけでいいの?」
「ええ、僕はそれでいいですよ」
「…貴方がそれでいいなら私達は従うわ」
「アハハ!天道は底なしに優しいからな。私からもお願いする。天道の事を気にかけてくれ」
こう言っているが内心私も焦っている。オルコットまでとは言わないが、これ以上天道の周りに女の影が出来るのは、些か不安だが、ウォルマート三姉妹なら大丈夫だろう。
「それじゃあ、改めて。ウォルマート三姉妹長女ウォルマート・マリアよ。よろしくね天道くん」
「次女のウォルマート・シンシア。よろしく頼む天道」
「三女のウォルマート・ナタリーだよ~よろしくね歩!」
「うん。こちらこそよろしくマリアさん、シンシアさん、ナタリーさん」
「ええ、よろしく///」
「何かあったら遠慮なく相談してくれ。力になろう」
「私のことはナタリーでいいよ♪同じ一年生なんだしね★」
そう言って、僕はウォルマート三姉妹のマリアさん、シンシアさん、ナタリーさんと友達になった。