その面々が現れたのは実に唐突でした。
もう少し踏み込んで言うと、ある日の夕方、中央区にあるマンションの敷地に何かが墜落してきたのが始まりです。当然、そんなことになれば地響きが起きてご近所の皆さんが集まって来てしまいます……認識阻害がかかっていなければ。
そう、幸か不幸か、現場は久遠の在住しているマンションだったのです。おかげで近所に住む皆さんが謎の衝突音と揺れに恐怖と不安とを抱くことになったのはご愛敬。後日テレビの怪奇現象を特集した番組で取り上げられられたりもしますが、当然のように謎は謎のまま終わりました。
久遠はタイムセール及び割引されたお総菜を狙うべく旅立つところだったのですが、何しろ方向が分かってしまうほどの近い場所に何かが落ちたような音を耳にしてしまったので、管理人として安否確認をしないわけにはいきません。
と、いうわけで向かった先は家庭菜園。魔女化して放浪の果てに神浜市でハントされマンション在住となったモブ魔法少女の皆さんが社会復帰するための第一歩として土いじりさせる目的で作られたここは、実際にはまだ肥料を混ぜて休ませている予定地でしかありません。
そして、素人なりに整備して精々が雑草扱いでスベリヒユくらいしか生えていないはずのそこには……人間の下半身が生えていました。その様子はまさにイッヌニンジャ・クランが得意としたドトン・ジツの一種、ヨキ・ジツ。これを見た非ニンジャは魂に刻み込まれたニンジャへの畏怖を思い出しNRSを発症するに違いありません。
そんな存在しない架空の設定を流して現実逃避を試みた久遠でしたが、ふとこのまま放置していたら呼吸できずに死ぬのではと思い至ったので再起動を果たしました。落下の衝撃で死んでいる可能性を微塵も考えない辺り、久遠も魔法少女の存在に脳を破壊されてしまったのでしょう。
あまりにも非現実的すぎたため一周回って冷静さの化身となった久遠が畑に生えた脚へと近寄って確認したところ、靴のサイズから埋まっている相手は自分よりも幼いと判断しました。デザイン的に女の子っぽかったので、スカートの丈が長く捲れていないことがせめてもの救いでしょうか。
とはいえさすがに身長差がそこまで大きいとは思えなかったことから引っこ抜くのは無理そうだと判断し、引きこもり組の症状というか現代への適応が比較的マシな面子を呼び出そうとしていたら、空から追加が降って来ました。
見た目はやはり久遠よりも身長の低い推定下級生。奇抜な服装であり、高所からダイレクトに地面へ降りて来たことから考えても魔法少女と見て良さそうです。魂の在り方が違うので弱点を克服させた新型なのかと久遠は警戒し、相手も微妙に喧嘩腰です。
一触即発の空気が流れ緊張感が高まりましたが、どこからともなく申し訳なさそうに英語で助けを求める電子音声が流れたことにより霧散しました。
我に返ると共に焦り始めた金髪ツインテ不法侵入少女に対して久遠が口頭で休戦協定を提案し、少女が合意したため、協力して畑に生えたお仲間さんの救出をしたのでした。おめめぐるぐるで完全に気を失い脱力していたためか、地味に重かったとの述懐が日記に残されています。
そうして救出された少女は当然土塗れなわけで、久遠は迷いながらも管理人室のお風呂に放り投げました。喧嘩腰だった少女も当たり前の様にお風呂へ向かってしまったため、話を聞こうとしていた久遠は肩透かしを食らった気分です。不審者二人をほぼ野放しというのは作戦を練る余裕を与えることにもなり普通に危険なのですが、流石の久遠もお風呂へ突撃したり張り付いて聞き耳を立てたりする無謀さは持ち合わせていませんでした。
さてどうしたものかと考えていたら、先程助けを求めて来た電子音声が響きました。発生元は少女と同じく畑に突き刺さっていた、間違った使い方に定評のある槍のような物体だったものです。
グレート廃人レイジングハートと名乗ったそれは、インテリジェントデバイスと呼ばれる装置だそうで、待機状態な現在は首飾りの姿を取っていました。しかしながら詳しい話はマスターが戻って来てからと焦らされてしまいます。
そうして生まれた隙間時間でお茶の準備をしつつ宿題を済ませ会社からのメールを確認していると、少女二人がお風呂から上がってきました。こんなこともあろうかと久遠側で用意してあった浴衣スタイルでの登場です。
インテリジェントデバイスがキャラ崩壊を起こしていましたが、元のキャラを知らない久遠は気になりませんでした。
と、いうわけで前回ラストに追い付きました。マギレコでクロスオーバーした作品なら原作の範疇に含めていいのでは、なんて思いが脳裏を過った気がしなくもないのですが、世界観の地続きでない作品には違いないので必須タグを忘れずに登録しておきましょう(114514敗)。なんならせっかくなのでコラボ先をDetonationじゃなくA'sの少し後位に変更して、幽霊ホテルにSLBをぶちかまして貰いたい衝動に駆られています。
必須タグで言えば、主人公はアルまど様と言い張ってオリ主を回避していたのも今となっては怪しく、めんたいこの件で性転換も満たしたようなもの(?)なので、そちらもチェックせねばなりますまい。しました。
閑話休題。
始まった自己紹介で、収穫物の名前は高町なのは、喧嘩腰の名前はフェイト・T・ハラオウンだと判明しました。なのは……とらハ……久遠……うっ、頭が。
続いて事情聴取のお時間。まずは久遠側から不法侵入の経緯について尋ねたところ、二人の所属する組織である時空管理局がいつの間にか増えていた未知の世界を発見したことから、他世界の存在を認識し次元移動が可能な世界という管理するべき次元世界への該当条件を満たしていると見なされため、調査および交渉のために派遣されてきたと答えました。
唐突なSF要素に久遠の顔が宇宙猫になってしまいましたが、二人の説明は続きます。事前に観測した世界が地球や太陽系を持つなのはちゃんの世界と酷似していることや、しかし故郷である海鳴市がなかったり逆に神浜市があったりするためパラレルワールドだと推測されること。更には魔女や魔法少女、次元世界で普及している魔法とは異なる体系の魔法の存在が確認されたものの、世間一般には秘匿されている事実から、管理外世界に属する可能性が出て来たことなどなど。
そう、原作ではどこにだって行ける系魔法少女である保澄雫のコピーが空間結合したためにやって来た時空管理局の面々は、この宇宙だとパウチュウさんが管理範囲内に漂着したことで派遣されてきたのです。どこにパージしてくれとんねんファッキン宇宙の意思。
フィクションで慣れ親しんだ内容が多分に含まれるので理解はできますが、何故そんなスケールの大きな事態になっているのかさっぱりなため宇宙猫を継続している久遠。
それを見て、空振りを予感しながらも話を続ける二人が神浜市にやって来た理由を計測不能な謎の力の密度がやべー場所だからと告げた瞬間、久遠の表情が宇宙猫からFXで有り金を全部溶かす人の顔に変わりました。
顔芸人と化した久遠から巷でウワサの黒ローブ集団について情報を得た二人は、手がかりになりそうな情報を掴んだと喜んでいました。が、魔法少女の知人友人を持つ久遠としては宇宙規模の移動などという大事を魔法少女の願い程度で起こせるとは思えず、考え込んでいました。円環の理を作り上げた魔法少女や、本来の来訪理由を知らないからこそ首を傾げられた久遠は、ある意味で幸福だったのかも知れません。
そうして宇宙の漂着などという壮大なお話が起きた原因を考え続けた結果、百人斬り達成記念とか言って時間を停止したような状況を作り出して願いを叶えてやるとか言ってきた自称宇宙の意思とやらが関係している気がしてなりませんでした。そうなると久遠が原因の一端を担っているわけです。話し半分で好きにしろと返したことでパージされたので実際に直接の原因だとは思ってもいない久遠でありました。
悩み抜いた挙げ句、久遠は推測を語りませんでした。いや、よそう、俺の勝手な予測でみんなを混乱させたくない。というやつです。責任逃れのため? まさかそんな、濡れ衣です。
代わりと言ってはなんですが、時空管理局にはノンケだってかまわず契約しちまう獣の脅威を知らせておくべきだと考えました。なのはちゃんの地球との違いを教え合う中で出て来たリリカルな事件の話から、時空管理局とやらが魔法少女をロストギア認定して封印だの管理だのをさせろとか言い出しそうな雰囲気を感じ取ったので口だけは達者な元凶を差し出して丸め込んで貰おうとしたわけでは決してありません。
他の理由として、連中が果たしてどこからやって来ているのかは不明ですが、神浜市の外では今も元気に猛威を振るっているに違いない連中が、もしも次元宇宙とやらを認識して旅立ってしまえば……そこら中で魔法少女が生まれ、魔女になってしまうことでしょう。むしろ目の前の嘱託らしい少女達も因果が深そうなので、格好の獲物なのではないかと心配にもなってはいるのですが。特になのはちゃんは、どこか自己肯定感が下限突破しているというか、まどかちゃん味を感じます。二人を会わせたら何も起きてないのに延々と謝罪合戦をしそうな気がしてなりません。使命感からまどかちゃんにメッセージを送った久遠を責めることは出来ないでしょう。
そうこうしている内に、なのフェイの二人側に通信が届きました。何でも拠点となる船が待機しているそうで、そこにいる上司と話が繋がっているようです。
現地協力者に相当する久遠とも話がしたいということだったので久遠が許可したところ、空中にモニターが投影されました。
近未来な感じにワクワクした少年でしたが、映し出された若いけど大人な女性……の背後、外国人の勘違いした日本を思わせる混沌系和風とでも呼べそうな背景を見て瞳のハイライトを消しました。
幸いにも、上司である巡行艦アースラの艦長リンディ・ハラウオンは会話の通じる理知的な人物でした。が、よく考えなくても時空管理局とやらは管理外宇宙の小学生を戦力として採用している団体です。その点ではある意味マギウスの翼と同レベル……むしろリンカーコアなる器官を備えていただけの前途有望な若者を言葉巧みに操り労働させるばかりか、実質的に将来進む道を掌握している点ではそれ以下です。同じ人間であり感情を理解できるにもかかわらず、という点を踏まえればまさかの選んだのはお前だよ系営業以下になってしまいました。
そんな認知バイアスのせいか、彼女との交渉では言葉の節々に老獪さというかそれとない誘導を感じました。とはいえ、常識の違いによる価値観の細かな相違はあるにせよ、所詮は人間の枠を超えない範囲であり理解の及ぶ範疇。久遠を子供と侮ったのか甘い部分が多々見受けられたので、容赦なく責めさせて貰いました。
途中から涙目になっていたリンディさんを見て息子のクロノ・ハラオウンが出張って来るアクシデントがあったものの、越権行為の無礼と咎めて譲歩を引き出す結果にしかなりませんでした。
と、いうわけで調査については可能な範囲で協力することになり、報酬として久遠個人に対する技術や道具の提供を取り付けました。交渉としては完全勝利に近い内容です。何しろ久遠は政治家や商売人ばかりか堅気じゃない連中までも相手に切った張ったの世界を渡り歩いている小学生なので、管理局の闇とは無縁なハラオウン親子は相手が悪かったとしか言えません。
ついでに、あちらからは調査員が後から追加で派遣されてくることを告げられましたが、またも小学生だったので、リンディさんは大変恐縮していました。
なお、通信終わりからさほど時間を置かず帰って来た帆奈ちゃんから、勝手な協力の許諾についてめっちゃ叱られました。その際に極められていた卍固めは身長差を問題とせず完璧な仕上がりだったと、後日みことちゃんの撮影した動画を見たせいかちゃんがお墨付きを出していました。
ちなみに、なのはちゃんとフェイトちゃんはそれを見て大人な行為だと勘違いしていました。性癖が上級者ということです。まぁ、キスだだとか添い寝だとかで妊娠すると信じていそうなキッズには、お肌とお肌の触れ合いは刺激が強かったということで一つ。とりあえず、こうしてリリなの組も少しずつ性癖を破壊されていくのでした。
お仕置きが終わると、今度は帆奈ちゃんたちが持ち帰ったドッペルやマギウスの情報が共有されました。流れで開示された魔法少女の真実に異世界民がドン引きしていましたが、魔女化しない代わりにドッペルが呼び出されることにもドン引きしていました。メンズスプラッシュビームと考えたら途端にアダルティな現象に早変わりしてしまうので仕方ありません……性教育前の小学生二人は考えが及ばなかったようなのでセーフです。なおマギウスの三分の二。
そしてシマ荒らしの黒幕がまさかの知り合いオンリーという事実に、あの久遠が撃沈しました。その後、どうにか復帰した久遠は身内の責任を取るためひそかに改心させる決意を固めたのです。そうなるとマギウスの翼に次元移動の責任を押し付けるのは悪手。つまりスケープゴートに全てを押し付けることが確定したと言ってもいいでしょう。宇宙の意思から譲渡されたあれこれのおかげで上位者としての権限を持ち、宇宙規模の環境保護団体を使った尻尾切りが本当に出来てしまうことを、この時の久遠は知りませんでした。
所変わって見滝原市。久遠から送られてきた似た雰囲気がするというメッセージに、現行魔法少女最強ランキングin Japanで帆奈ちゃんを抑えて堂々の第一位に躍り出た期待のニューフェイス、鹿目まどか二代目女王が立ち上がりました。向かう先は、もちろん震源地。
――次週、特に何も起こらない。