アルまど様「干渉できない特殊な宇宙が増えてたので見てみたら自分が犯されてた」   作:夜月工房

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アルまどちゃんが呆れる話

 神浜市にワルプルギスの夜がやって来る!

 

 そんなサーカスのお知らせみたいなノリで告知されたネトゲのイベント(協力レイド)は、全国の魔法少女たち(妖怪アイテム置いてけ)の尽力により笑えるくらい早く目標討伐数を達成され、しかしながら現在でもドロップを求める多数の魔法少女(プレイヤー)たちの手で狩り尽くされる毎日です。

 選択できる最高難易度の戦場は現行のエンドコンテンツ以上とまで言われているのですが、魔の中央区と恐れられるトッププレイヤーたちにとっては楽しい遊び場に過ぎません。TA(タイムアタック)や縛りプレイの動画もアップロードされていますが、基本的にプレイヤースキルに依存するゲームなため真似は難しく、故に上位陣は敬意を集めていました。

 

 そしてそんな中で綺羅星の如く現れたのが……そう、アルまどちゃんです(ドキュメンタリー番組のナレーション風再び)。

 アルまどちゃんは補導されないように、またまどかちゃんと間違われないように、外出を自粛していたので時間を持て余し気味。その結果、人生初のVRゲームにどっぷり嵌まっていました。

 『キュゥべえバスターズ』はハクスラ要素が存在するため、直ドロップする装備や素材のエンチャント厳選沼に呑まれる者は少なくありません。ですが、アルまどちゃんは運がバグっているのか最適な組み合わせがポロポロ入手できてしまいました。

 そして元よりタイプ:アルティメットと化していたアルまどちゃんはそれなりでは到底済まない高い身体能力の持ち主なため、操作の感覚をつかみ慣れてしまえばプレイヤースキルも超一流。強い人が強い装備を使うわけですから、強くないはずがありませんでした。ランキング上位にがっつり食い込み、意図せずその存在をアピールすることとなっていたのです。

 まぁ、対人戦はプレイヤーの性格の悪さが重要なので、純粋無垢に近い性格のアルまどちゃんは勝率が低いのですが。性格が悪くなったら究極まどか先輩になりそうで心配されています。

 そんなわけで上位プレイヤー入りしたアルまどちゃんですが、まぁ配信に引っ張り出されました。

 この頃には久遠も神浜市内における魔法少女関連のアレコレに対する認識阻害を発動させていましたので、別世界の女神だったことなども当たり前に設定の形で暴露することに。どこかで未来予知の固有魔法を持つ魔法少女が奇声に近い悲鳴を上げている気がしますが気のせいでしょう。

 本()も暴露歓迎な雰囲気に流されてしまい、ついうっかり自分の半生や魔法少女だった頃の自分が魔女化した場合の話を切り出したりもしました。どこかで政治家の娘が泡を吹いて気を失ったかもしれませんが、確認が取れない以上は仮定の話でしかありません。

 そんな緩い解放感溢れる空気に呆れつつも、アルまどちゃんは神浜市での暮らしに馴染んでいくのでした。

 

 余談ではありますが、美国織莉子は既にまどかちゃん襲撃を決行しました。が、残像が見えるほどの速度で避けられた挙げ句に真上からほぼ垂直に()ってきたチョップを脳天に受けるという、禊みたいなカウンターで返り討ちに遭っています。

 そのまま捕縛され尋問を受けた際に理由(予知)を告げたところ、自信に満ち溢れた自分は魔女化しないという言葉を返され、後日その理由として紹介された久遠により呉キリカと共に実践(強化)されてしまいました。

 その結果、なんか自分の弱さと向き合ったりいい感じに和解したりしてver.Final(最強形態)になっていましたが、酷いレベルでバランスの取れ(崩れ)ているこの世界では些細なことです。だって強化回数が違いすぎるんですもん。

 

 話は変わりますが、マギウスの計画により神浜市へワルプルギスの夜と呼ばれる魔女が呼び込まれていることは確実なようです。なんならメッセージでアリサに確認を取ったらイブとやらの餌にする予定だとバッチリ返信がありました。

 ワルプルギスの夜は魔法少女の間でまことしやかにささやかれるうわさで語られる存在(魔女)であり、魔法少女界隈と無関係な世間では巨大積乱雲(スーパーセル)の引き起こす大規模自然災害として扱われるそうです。

 そんなものがやって来たら、当然ですが神浜市は壊滅的な被害を受けるでしょう。上手くやれば神浜市の体制破壊に使えそうではありますが、どう考えても資材がもったいない上に貧すれば鈍するの言葉通り色々と失った者が馬鹿を起こして調子に乗るだけです。

 なので久遠は「市外でやれ(人の心ないんか)」と返信したのですが、返ってきたメッセージは「いーーーやっ!(灯花ちゃんの真似)」でした。

 こうして地雷(メスガキ)踏まれ(思い出させ)たので、久遠はマギウス殲滅に向けて動くことを決意したのです。今までに縁を紡いだ魔法少女たちにも連絡を取り、情報収集(本拠地)済ませ(見つけ)たら殴り込み(カチコミ)する気満々です。

 徘徊型のウワサであるホテルフェントホープですが、活動場所が限定されているというハンデがある以上は人海戦術に敵う可能性は低いでしょう。本来なら魔法少女に対する防壁にもなるエンブリオ・イブの穢れも久遠にとっては美味しいご飯に過ぎません。むしろ全部吸われるしイブ自体もしっかりソウルジェムに戻されて計画が潰れ(ポシャ)るに10ペリカ。

 

 奇しくも神浜市全域でマギウスの翼(黒ローブ集団)が凶暴化して暴れていました。まるで理性を失った獣のようになった黒羽根たちですが、本能が警告するのか中央区は避けていたようです。実際には受信ペンダントのウワサとやらによる洗脳されていたのが後に判明したのですが、そういった指令(魔境に立ち入るな)があったのかは定かではありません。

 原作(マギレコ)におけるサブキャラな魔法少女の中には久遠の手が及ばない(被害を逃れた)子もたくさんいるため、それなりに怪我人が出ていました。そんな子たちを助けながら調整屋への避難誘導をして回る善意の魔法少女たちを眺めつつ、帆奈ちゃんとみことちゃんをお供に久遠はまっすぐ北養区のとある()へ歩みを進めます。

 

 久遠はイブについて先ほどのメッセージで初めて存在を知りましたが、世にも珍しい半魔女とも言うべき状態であると聞かされ、他の魔女を餌にするという部分に興味津々です。なので魔女モンバトル用に育てた魔女を餌にあげたら計画が早まるのでは、と提案してホテルの大まかな位置を聞き出したのでした。

 このとき、実は席を外していたアリナの携帯端末を操作していたのが灯花ちゃん(自分本意の極み)だったことが、マギウスにとって運の尽きだったのかもしれません。後の尋問(インタビュー)戦犯(おガキ様)は、ウワサや魔女の早期発見と撃破により不足している感情エネルギーを久遠の所持する魔女から補充しようと思ったと答えたとか何とか。

 

 なお、アリナ本人であれば久遠の申し出をキッパリと断っていたことでしょう。互いの育てた魔女を戦わせる遊びに興じる同好の志であることから、アリナは久遠――正確にはマンション組全員(帆奈ちゃんとみことちゃん)――が割とイイ性格(嫌がること)してい(進んです)ると知っています。容赦のなさに関しても同様に。

 また、アリナは出来の悪い後輩(フールガール)に付き合わされて『キュゥべえバスターズ』の配信を視聴(チェック)していたので、帆奈ちゃんとみことちゃんの固有(暗示の)魔法が危険だと知っていますし、VRゲームを通してではありますが戦闘技術もアリナに芸術(アート)を感じさせるほど洗練されたものだと知っています。

 良いところは音速の壁(空中)設定されてい(足場にな)ること、悪いところは音速の壁(脚や鼓膜)設定されてい(壊れそうにな)ること。そんなコメントが共通の認識として普及するような人外魔境と化しているゲーム内の対人コンテンツでトップ層……というか勝利数や撃破数のランキングで頂点に君臨する腕前は、そのまま現実でも通用することでしょう。中央区(魔境)在住という時点で疑う方が難しい補強のされ具合なのは、黒羽根たちの持ち帰っ(よくでき)動画(CG)からマギウスおよびマギウスの翼の内に知れ渡っています。

 現実と向き合え(受け止め)なかった者もいましたが、その中の二人がマギウス(灯花&ねむ)だったことは組織とした痛恨の極みだったと言わざるを得ません。自分の目的(救済)第一でリソースをほぼ全振りしていた弊害ではあったようですが、それが判明するのは全てが終わった後なのでした。

 

 

 

 そんなわけでやって来ました、北養区の森です。ぶっちゃけ三人で探すには広いので、ウワサを探し出すのは手間な気がして仕方在りません。

 古くから森といえば焼かれるのが定番ではありますが、現在市内各地で同時多発の絶賛暴動中な学生テロ組織(マギウスの翼)が相手とはいえ、環境破壊(気持ち良いZOY)をするのは気が進みません。樹木が育つにはそれなりに長い年月が必要なのです。戦後の焼け野原と化した日本で奨励された過去を持つ早い旨い安い三拍子を揃えたあの杉ですら植林から伐採までに35年――人間が子供から大人になり子供を設け育てているだけの時間を必要としているのです。

 

 さてどうしたものかと頭を悩ませながらも森林浴を楽しむマンション組でしたが、そんな三人の視界にあるものが映りました。

 黒江です。フルネームに関しては頑なに口を割らない鋼の魂を持つ魔法少女、黒江です。

 久遠が潤さんを訪ねる度に襲われていた(宝崎市在住の魔法少女である)彼女が北養区の森(こんなところ)に居るのは、恐らくマギウスの翼に参加しているのでしょう。

 強さ的にはその辺の魔女や調整済魔法少女などを相手にしても脅かされる様なことはありませんが、周囲に正体を隠しながらの、不定期に発生する魔女との戦いでリズムを崩される生活は強いストレスを発生させるのに十分です。

 早い話、疲れてしまったのでしょう。たった一人で木陰に体育座りしながら俯いて塞ぎ込む姿からは哀愁や悲哀が漂っていました。

 まぁそんな事情を察しつつも手がかりを逃すほどマンション組は甘くありません。なんなら久遠しか面識を持っていないので、捕虜の扱い? 条約? 知らんな(とに拷)のノリです。そうしてジェム・即・吸の信念に従った久遠により強制的に顔を上げることとなった黒江ちゃんは穢れも情報も吸い出されてしまいましたとさ。どっとおはらい。

 

 情報をまとめますと、上手く行かない焦りや怒りからマギウスが自分たちに従わない魔法少女の抹殺を宣言し、マギウスの翼を洗脳してぶつける計画を実行しているのだとか。目標に対して最低限のエネルギーは足りているという負け惜しみ感の半端ない情報も得られましたが、その理由がまさかアリナの趣味(魔女モンバトル)のおかげだとは久遠(元凶その2)も気づきませんでした。

 黒江は強化済だったので洗脳が効かず、かといって命令通りに魔法少女を殺す踏ん切りもつかず、ついでに役立たずは処刑だと放たれたマギウスのドッペルでも大したダメージを受けず、最終的には追放宣言を出されてしまったそうです。

 そうしてホテルフェントホープを追い出された黒江ちゃんは、山を下り裾の森まで離れた後でこれからどうすればいいのかと途方に暮れていたところを、久遠に見つかっ(襲われ)たわけです。

 ドッペルカスダメのくだりでマンション組の腹筋が崩壊し、それに対する反応――即ち呆れ気味なねむちゃん、興味深そうなアリナ、そしてキレ散らかす灯花ちゃんという完璧なオチに久遠はすっかりご満悦。黒江ちゃんに絶賛の嵐を浴びせました。それにより黒江ちゃんは自尊心というか自己肯定感を補強させ、立ち上がらせる一助になったのでした。

 しかし、強さを認められた上で命令に従わないので追放……真っ当な理由ではありますが、その場で復讐されたら返り討ちにできないマギウスは何を考えていたのでしょう。黒江ちゃんの性格的にやり返すなど考えもしないでしょうが……凡人(久遠)には天才(マギウス)のやることは理解できませんでした。

 多分今頃震えてるんじゃないかと思った久遠は、拭っても溢れてくる涙とちょっぴりぎこちない笑顔を浮かべていたのでダブルピースをさせた黒江ちゃんと肩を組んでいる写真を撮り、アリナ宛に新しく殴り込みに行く仲間が増えました。と、メッセージを送付しておきました。

 

 

 

 さて、その頃のマギウスですが、北養区の山中にて本拠地を隠すのに使われていた万年桜のウワサを環いろはに暴かれたことで一波乱を起こしていました。灯花ちゃんのキレ芸が炸裂する中、強化済ないろはちゃんは余裕を持った立ち回りをしながら話を聞いてもらおうと試みていました。お供の二葉さなは透明になって声が届く範囲に隠れて見守る賢いムーブをキメていました。

 直前にも黒江に勝てず涙ながらに追放したばかりの灯花ちゃんはいろはちゃんにも軽くあしらわれている現状にメンタルがボロボロです。ねむちゃんは最終的にワルプルギスの夜が到着するまで耐えればいいと冷静に考えて引き際を見極めようと頑張っています。が、戦力差がひどくて中々にタイミングを見出だせませんでした。

 二人は善戦しましたが、攻め疲れてダウンしてしまいました。諦め気味にいろはちゃんの話を聞きましたが、環ういを起点とする記憶が根元から断たれている二人には妄想でしかありませんでしたし、そんな妄想で自分たちの願いを邪魔されることに怒りを隠せません。閃きによる小さなキュゥべえ(モキュ)の接触も効果はなく、事態は膠着。そこに憤怒の表情を浮かべたアリナが乱入してきて……同じマギウスの二人(主に灯花ちゃん)に携帯端末を突きつけながら怒濤の勢いで文句を吐き始めました。

 内容的には勝手に他人の携帯端末を操作した上に久遠(地獄)を呼び寄せるという失態への叱責で、これにはいろはちゃんも呆気に取られてしまい、声を挟む隙が見当たりませんでした。

 そしてそのまま流れで二人はアリナに引き摺られながら退場していきました。いろはちゃんが我に返った時には既に誰もおらず、逃がしてしまった格好です。ゴーイングマイウェイなアリナの性格が他のマギウスを救ったのです。

 とはいえ、原作(マギレコ)のようにいろはちゃんを囚え閉じ込めたわけではありませんし、妨害用の魔女を置いて行ったりもしていません。関係者が命を脅かされる事態にならなかったため万年桜のウワサが姿を現すこともなく、いろはちゃんは本拠地に続く道を確保した上でみんなの到着を待つことにしたのでした。

 

 

 

 仲間の魔法少女を待ついろはちゃんでしたが、マギウスが籠城戦のために呼び戻した黒羽根たちが集まって来てしまいました。幸いにも命令された内容がホテルフェントホープの守りであったためか、いろはちゃんはスルーされましたが。

 そんな黒羽根たちの行列に混じって黒江ちゃんを仲間に引き入れた久遠たちも本拠地へと向かっていましたが、人の流れをぼんやり眺めながら仲間の到着を待ついろはちゃんは気づきませんでした。出会ったら即ソウルジェムの浄化が起きていたので、シリアス継続のための仕方ない犠牲だったに違いありません。欠片も存在しないシリアスをどう守るのかについては未来の人々が下す判断に任せましょう。

 

 

 

 さて、マギウスの翼が暴れ回っている頃の神浜市では、調整屋に集められた魔法少女たちが情報を共有していました。そこでは覚悟を決めた八雲みたまが魔法少女の真実を暴露しましたが、久遠や配信の影響で魔法少女の真実を既に知っている者がほとんどだったので、それほど衝撃的なイベントとはなりませんでした。

 何も知らなかった(s)ドア様《/s》《阿見莉愛》の芸術的な反応(リアクション)にこそ集まっていた魔法少女たちが驚いたのは、悲しい事件だったと言わざるを得ませんでした。この一件以来、リアクションのリアと覚え方が広まったのは内緒です。が、名前を間違われる回数が減ることもありません。

 しかしこの定番ネタを繰り返す度にツッコミのキレが増していき、テレビ番組のプロデューサーの目に止まったことからバラエティー番組のオファーがかかり、お茶の間を沸かす未来はそう遠くないのでした。

 ヘリポートの決戦も十七夜さん無双でピンチに陥ることもありませんでしたし、マミさんは見滝原市の魔法少女仲間とブイブイ言わせてました。

 代わりに神浜聖女のウワサを着込んでいたのは白羽根。ボスが弱体化していましたので、そこまで熱い盛り上がりは見せないまま決着を迎えました。唯一フラワースピーカーのウワサは原作通りの強さがぶつかり合ったので白熱していましたが。

 

 

 

 そんな感じに原作(マギレコ)における第八章に相当する物語は終わりを迎えたのです……暴れマギウスの翼が退いて静けさを取り戻した神浜市ではありましたが、不気味な暗雲が物理的に立ち込めていました。

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