アルまど様「干渉できない特殊な宇宙が増えてたので見てみたら自分が犯されてた」   作:夜月工房

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アルまどちゃんがアルティメットな話

 引き続きワルプルギスの夜が来るせいで何かとダバダバしている神浜市。

 避難指示が出て学校の体育館や公民館のような建物に人々が集まる中で、久遠の所有するマンションは認識阻害の他にも保護機能が働いているため安全安心な快適空間を提供しています。大雨や強風、飛ばされてくる物に対しては一定の効果に抑える働きでしかないので、ワルプルギスの夜による被害がどこまで影響を与えるかは微妙なところではあるのですが。

 サーバーが中央区の社内ビルにあるため、VRゲームはネットワーク障害の可能性があるので緊急メンテ扱いにしますと予防線を張っていました。故に、本日のアルまどちゃんは管理人室で読書に勤しんでいました……が、円環の理としての能力こそ激落ちしたものの誇りを失ったわけではないアルまどちゃんです。風が騒がしい(泣いている)理由についてワルプルギスの夜――舞台装置の魔女が原因だと見抜いてしまえば救済欲求の高まりを抑えられそうにありません。自然と行ってしまうシャドーボクシングが何よりの証拠です。パウチュウさんとこのまどかちゃんから影響受けてませんか?

 アルまど様はこの宇宙に干渉できないことに気づくと、宇宙の意思により並列宇宙から切り離されて廃棄されるまでの間ずっと、原因として最有力候補であった久遠を中心にして眺めてきました。なので、今までの実績(やらかし)から考えて、今回もそう(やらかす)だろうなとは思っています。しかしながら、似た宇宙(マギレコ)ではアルまど様によるレコードが歪まないギリギリのラインを攻めた干渉が大きな助けになった事実を忘れてはいませんでした。

 弱体化した今の自分だからこそできる助力がある――そんな風に考えたアルまどちゃんは、出陣の決意を固めたのです。そして今、魔法少女に収まる強さ(プレイアブルキャラ並)アルティメットまどか(アルまどちゃん)が嵐の神浜市へと繰り出したのです……地味に飛行できるアルまどちゃんではありましたが、土地勘のなさに行く手を阻まれたのはちょっとした伝説になることでしょう。実際にはワルプルギスの夜とは別の――エンブリオ・イブや久遠の放った育成済魔女たちの――気配が大きかったので勘違いしてしまったのではありますが。

 

 さて、アルまどちゃんの出陣から少しだけ時計の針を戻しましょう。

 

 ホテルフェントホープに堂々と乗り込むために万年桜のウワサ内部で仲間を待ついろはちゃんでしたが、やって来たのはマンション組(やべー奴ら)でした。面識があるのは久遠だけでしたので、会話も久遠メインです。

 結果として、マギウスに喧嘩を売りに行くマンション組とは目的が近いものの、親しい仲とは言えない面々では連携に不安があるため、合流することなく先行する形でマンション組は進みました。

 つまり原作(マギレコ)ではチームみかづき荘を苦戦させ、覚悟を決めマギウスの下から離反したみふゆさんのソウルジェムがひび割れる程の負担と引き換えに勝利をもぎ取った女王グマのウワサとの戦いには不参加な可能性が高いのです。詳しい情報を持っているのはマギウスやアルまどちゃんといった限られた者だけなため、誰にも心労を与えることがなかったのは幸いでした。

 ちなみに、久遠はウワサに遭遇したことがありません。遭遇した魔法少女からはソウルジェムを落とさない魔女のようなものだと聞かされており、ソウルジェムを落とさない以上は魂を持たない――つまり久遠の天敵だと認識しています。もっとも、ウワサはねむちゃんの()を削って生み出されているのでバリバリに干渉できてしまいますし、今の久遠は宇宙の意思由来なチート能力も持っているので全くの無力というわけでは(使いこなせるとは言ってい)ないのですが。

 

 そうしていろはちゃんの佇む万年桜の結界から空間の揺らぎを探し当て(黒江に案内させ)たマンション組はマギウスの本拠地へと乗り込んだわけですが、目の前に広がるのはどこかシックでアンティーク感のある――それでいて豪華な――大型ホテルでした。これには各々驚きや感心の溜息が漏れます。

 一人(久遠)は維持が大変そうだなとか、部屋(窓の)数が多過ぎて窓税を多く納めて位を貰った成金貴族の館みたいだなとか、中々に失礼なことを考えたりしていたのは内緒です。

 特に隠れたりもせず堂々と進むマンション組は目立つため、当然の様にマギウスの翼(新鮮な情報源)から発見されました。が、少なくない数の羽根たちが配信を見た経験を持つため、迎撃に集まっても腰が引けています。何なら強◯魔扱い(残当な評価)久遠(ショタ)にこそ恐怖を覚えている可能性もありましたが。

 まぁ、そんな覚悟の定まっていない面々ではいくら集まろうと止めることはできません。あっという間に蹴散らされ、ついでに無力化の手段としてソウルジェムを回収されてしまいました。まさに鬼畜外道の所業です。

 後から来るであろう主人公御一行(いろはちゃんたち)が綺麗な死体の山にビビる確率はそれなりに高いことに思い至った黒江ちゃんはアドバイスをしましたが、それを受けたマンション組はとてもいい(悪い)笑顔を浮かべて隠しカメラを仕掛けるだけでした。

 黒江ちゃんは助言したことだけでなく合流したことまでさかのぼって後悔しましたが、後になって悔いるからこその後悔、いつだって先んじて悔いることはできないのです。何なら魔法少女(特にマギウスの翼)は契約そのものを後悔している者が大半ですので。

 

 そんな嬉しくないサプライズ(多数の死体)を残してホテルにお邪魔したマンション組でしたが、挨拶はインパクトが大事という帆奈ちゃんの意見がきっかけとなり軽い話し合い。そしてエントランスに鎮座するクマの表情が気に入らないという理由(大義名分)を見出だしたので、一斉にマギア(得意技)を放ちました。久遠はお休みでしたが、代わりにお願い(脅迫)された黒江ちゃんが参加しています。哀れにも、ちょっと特別な兵隊グマのウワサは正体(役割)(果た)すことなく消されてしまいました。

 挨拶(憂さ)キメ(晴らし)て満足したマンション組でしたが、ここで嬉しい誤算。なんとクマのいた場所の奥には()()()()な隠し通路――そして地下に続く下り階段が見つかったではありませんか。普段の行いが良いボディ(からだ)とはしゃぐマンション組を見て、黒江ちゃんだけはチベスナ顔だったのが印象的でした。

 

 

 

 一通り上がったテンションが落ち着いてきたので地下に降りていったマンション組ですが、その頃ホテルの外では合流を果たしたいろはちゃんたちが万年桜のウワサの結界からホテルにやって来たところでした。

 一般市民の多い魔法少女たちはホテルの威容に萎縮気味で、数が増えた分だけ統制も緩く収まるまでしばしの時間を必要としました。

 ですが、敵の懐に入り込んでおきながらそんな隙を晒すのは言うまでもなく致命的です。ねむちゃんがウワサの内容を変更したことでホテルの扉が完全に閉じて、侵入が不可能となってしまいました。

 先触れ(マンション組)と比較して良心的(まとも)な魔法少女の集団であったこともあり、ホテルを破壊して侵入する意見が出ても尻込みしている中、すっと前に歩み出た魔法少女がいました。現行最強(まどかちゃん)です。

 周囲がいぶかしみながら見守る中、まどかちゃんは迷いませんでした。腰を落として構え、腰の辺りにバレーやバスケットのボールを掴むような形で手を揃えます。フェリシアちゃんを筆頭に何人かの魔法少女がデカゴンボールの代表的な技を期待しましたが、残念ながら拳を極めし者の方なので応えることはできません。

 そうして手と手の間に莫大な魔力が集まり、臨海寸前になったそれを気迫のこもった短い掛け声と共に押し出しました。

 放たれた強烈な光と巻き起こされた風とに、強化済の魔法少女たちすらも含んだ皆が目を塞いで顔を腕で隠しました。未強化の何人かは堪えきれずに数メートルは吹き飛ぶほどでしたが、余波でそれです。では、本命を受けたホテルがどうなったかと言いますと……まぁ、綺麗に円形にくり貫かれたといいますか、正面から見て地平線の彼方……あるいは結界の端までが更地になっていました。どうやら本編(球体)ではなくMARVEL VS仕様(ごん太ビームの方)だったようです。

 余りの光景に一同絶句しましたが、我に返ったやちよさんが巻き込まれた魔法少女がいたら確実に死んでいると注意しました。逆上されたら命はないにも関わらず年長者としての責任を果たしたその勇気ある振る舞い、チームみかづき荘に114514点。寮杯は君たちの物だ。

 まどかちゃんは目を伏せて首を横に振りながら魔力とは別の気配を探って誰もいないのを確認した上だと答えました。が、固有魔法の可能性を告げられると途端に視線を泳がせ始め、視線でマミさんに助けを求めました。

 助けを求めました求められたマミさんは笑顔で頷くと、やちよさんを安心させる材料を挙げていきます。特にまどかちゃんが固有魔法で透明になった二葉さなの位置を見破った経験があることを述べると、やちよさんは封印していた信じがたい事実を思い出させられて頭痛と目眩を覚えながらも納得しました。その上でせめて行動前に一言欲しいと要望を忘れない辺り、年季の差(ベテラン)を感じます。

 なお、マギウスがワルプルギスの夜を神浜市に呼び込んだ事実を知って離反を決意したみふゆさんは久遠の存在によるバタフライエフェクトで原作(マギレコ)に比べて本音を秘める強かさを備え(腹黒くなっ)ています。そのため羽根たちのまとめ役を全うすると面従腹誹の構えを取っており、ソウルジェムを取り上げられて隔離されたりはしていません。そして久遠の撃退を命じられたので笛姉妹を引き連れてエントランスに隠れて様子見をしていたせいで、マンション組によるあの一幕(ダイナミックお邪魔します)の一部始終を見てしまいました。戦意を喪失するには、十分過ぎました。

 掲げる白旗にハンカチとショーツのどちらを使うか悩んでいたら先に進んでいなくなったため、マギウスの野望もここまでだと察してホテルを脱出したのは慧眼だったと言わざるを得ません。

 

 さて、こうしてホテルを脱出したみふゆさんと天音()姉妹は、みかづき荘の関係者で形成されている皆様の前に立ち塞がり、即座に降伏宣言をしました。おかげで少し後の見慣れない魔法少女(まどかちゃん)が見せた一撃(波動◯)に巻き込まれずに済んだのですから、運が味方しているとしか思えません。実は占いジャンキー(安名メル)による掟破り(タロット占い)が影響していたのは最後までバレませんでした。

 まどかちゃんによりホテルはホ◯ルと化していますが、現在地はウワサの結界内です。そしてこのウワサはホテルの存在そのもの。それを成り立たせる法則を破る――つまりホテルを大きく傷付けることは、ウワサの本体を出現させることとなります。

 つまり、ホテルが両端をそれぞれ三割ずつ残して中心部が消滅している現状、女王グマ(ボス)のウワサが姿を現さないはずがなかったのでした。

 ですが、女王グマのウワサを見たまどかちゃんはボーナスステージ(どこかで見た車)を前にしたがごとく、兵隊グマの成る樹とでもいうべき威容を誇るウワサの解体を始めてしまいました。これには一同揃ってドン引きです。

 対するウワサはというと、果実のごとく実っている兵隊グマがまとめてノックアウト(対空技の餌食に)されてしまい、供給が追いつかないため、ほとんど何もできません。幹に備え付けられた窓の向こうに見える内部ではクマの影が右往左往しており、明かりが点滅しています。コミカルな演出ではありますが、どこか憐れみを誘う光景でした。

 

 こうして見せ場らしい見せ場もなくホテルフェントホープを擁する女王グマのウワサは討伐され、波動◯の影響を逃れた地下でドンパチしていた面々も現実の神浜市は北養区の山……の麓に広がる森へ投げ出されたのです。

 ワルプルギスの夜が目前に迫っているため、神浜市は大雨と強風とに晒さ(襲わ)れていました。遠くから市内放送でしょうか、避難を呼び掛けているのが聞こえてきます。

 しかしながら、その場にいる魔法少女たちは禍々しい気配を感じ取り、そちらに意識も視線も釘付けでした。そこには、鎖で拘束されているどこか蚕に似た魔女らしき姿。

 一部の魔法少女にしか知られていない、マギウスが救済の要としている半魔女であるエンブリオ・イブが巨大な姿を現した瞬間でした。

 

 その足元というかでアヘ顔ダブルピースをキメる灯花ちゃんと、腰を突き上げてうつ伏せになったまま痙攣しているねむちゃんとがいることに、当事者以外の誰も気づいていなかったことは、不幸中の幸いだったのかもしれません。その周りで複数の魔女が同士討ちする大迫力のバトルを繰り広げているのも今は露見していませんし、アリナとマンション組が互いの手持ちを応援している姿も目撃されずに済んでいます。

 そのいずれもが、灯花ちゃんとねむちゃんを目的にしている主人公(いろはちゃん)が居場所を察して向かってくるまでの短い間に過ぎないのですが。こんなひどいシチュで万年桜が咲いちゃうってマジ?

 

 

 

 一方その頃、調整屋に集まっていた魔法少女たちは勇気を振り絞って自分たちの居場所を守ろうと立ち上がり、苦労人(ひなのパイセン)の指揮下でワルプルギスの夜に立ち向かうべく各区に別れて使い魔を排除していました。そこにはローブを脱いだ、マギウスの翼に所属していた魔法少女たちの姿も見られます。

 ワルプルギスの夜だけでなくイブの使い魔も神浜市全域で動いており、戦いは激しさを増しています。そんな全ての場所が激戦区な状況ではありますが、中央区の魔法少女たちは世紀末なテンションで戦いというよりも狩りと表現される内容を繰り広げていました。余りの温度差にグッピーの命が心配されますが、神浜市の受ける被害の方がよっぽど心配なので気にされることはないでしょう。

 こっそりアルまどちゃんも合流……というか道に迷いながら各地を転々として使い魔を退治していたらいつの間にか仲間判定されていました。一部の魔法少女からはまどかちゃんの姉みたいな認識をされていましたが、否定も肯定もせずに曖昧な笑みを浮かべてやり過ごしていたそうな。

 なお、一部の配信視聴勢からは正体を見破られておりゲーム内で会おう的な友情を深めていたりするのでアルまどちゃんは誰も死なせないと奮起したのでした。

 気合を入れて撃った矢が使い魔を貫通しても勢いを落とさず未だ市街地に到達していないワルプルギスの夜を直撃してしまい、危うく引っくり返(正位置に戻)りそうになったという世界の危機があったのですが、誰にも知られることはありませんでした。

 嘘です。使い魔の動きが乱れたので何人かは本体に何か起きたのではと推測し、アルまどちゃんは可能性(やらかし)に思い至って冷や汗を流していました。雨が降っていなかったらその場にいた魔法少女たちから他の魔法少女たちにまで連鎖的にバレていたかもしれません。

 アルまどちゃんは自分の失態(ミス)がバレなかったことをワルプルギスの夜に感謝するという、よく分からない状況を経験して軽く混乱しながら、それでも上手に手加減して矢を放つのでした。一本の矢が物理法則を無視した軌道を描いて何体もの使い魔を葬っていたのは、決して八つ当たりなどではありません。

 信じられないものを見たような顔で魔法少女たちがアルまどちゃんに視線を向けていましたが、疑われているような気分になったアルまどちゃんは真剣な表情を浮かべて(取り繕って)使い魔を撃ち抜き続けるのでした。

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