美味しい能力くれたお前(神様)
普通に会話がしたいタイプの俺 マジ哀れ
ある日、俺は犬の散歩をしているとトラックにミンチにされた。咄嗟のことだったので自分の身を守ることが出来ず、犬を逃すので精一杯だった。漫画なら謎の武道を学んでる長身黒髪ロン毛の男が現れてトラックを数分で解体してくれたかもしれないがそうなる事はなかった。
悔しいだろうが仕方ないんだ。
気がつくと俺は謎の空間にいた。自分の体を見ることができず意識も曖昧で何かを話すことも出来なかった。しかし、突然頭の中に流れてきた謎の声はハッキリと聞き取ることが出来た。
「私たち神のミスであなたは死んでしまいました!元の世界に生き返る事はできません!お詫びにすごい力と共に異世界で生き直させてあげます!」
僕は努力も痛い思いもしたくありませんし、可愛い一途な女の子とイチャイチャしたいです。それでも力をくれますか?
「ハイ!良いですよ!」
世界最強になれますか?
「なめたんじゃねえぞこら!痛い思いをしないで強くなりてえだと?なれるわけねえだろうが!」
わわ…あわ…
「異世界ってのはなあ 苦痛から始まるんだ!!ボコボコに掠奪されてメシも食えずひとりで冒険も出来ず貧困にうなされギルドにに入るんだ! 魔力が無くなったら無理やりポーションをがぶ飲みしてフラフラの頭で魔術を使うんだ‼︎ぶちのめされた気分はどうだ⁉ 魔物の群れが襲ってきて一方的に攻撃されると犯される女の気持ちになるんだ! “もうどうなってもいい…早くイって!”ってなあ!アタシはこの世界の管理に命賭けてんだ なめてるやつは許さねぇ!」
いきなり失ってはずの身体に激痛が走る。この声の主が言う限りだと今から転生する世界は相当に厳しい場所らしい。
しかし、1つ興味をそそられるものもあった。魔術…元いた場所ではフィクションの存在でしかなかったそれを実際に行使することが出来るらしい。それだけで俄然やる気が湧いてきた。恐怖や後悔は未知への興奮で薄れつつある。一度死んだ事で精神性に大きな変化が起きたのだろうか。
「そ…その程度で受難は終わりですか?」
「‼︎…良い度胸じゃねえか気に入った。お前が転生する場所は特別野蛮で苦しい場所にしてやる。だが安心しなお前が向上心を持ち続け、行動を怠らない限りアタシからの加護は切れる事はない。もしかすると普通の街に転生するよりも高速で成り上がれるかもしれない。お前の2度目の人生…無駄にすることがないように多いに楽しみな!」
「おお見ろ!母さん大きくて元気な男の子が生まれたぞ!」
浅黒い肌の、顔の堀が深いすごい濃いイケオジが言う。
どうやら出産に立ち会っているようであった。
「まだ生まれたてなのに…こんなに力強さを感じるわ…きっと我らが偉大なる鷹神様のおかげよ…」
かなり体力を消耗しているがそれを感じさせないくらい嬉しそうにやたら際どい格好をした女は言う。
「ああ…感謝しないとな。きっとこの子はこの国を引っ張っていく偉大な男になるぞ!」
そこには新たな命の誕生を祝福する、純粋な愛…至高の美があった。
そう!その生まれた子供こそが俺だ。この世界における名前はアッシュ・
ガルシア。5歳になった俺は一昨年に妹が出来た。
生まれた場所は名義上は国となっているが部族がバラバラで統一感がまるでない。
タダでさえ最近は魔王率いる魔族と人類の戦争が勃発しそうな緊張が漂っているから大規模な避難が起こり、国が自然消滅しかねない。
いやーね。もう、アホかと。終わりだ猫の国と言いたい気持ちが湧かないでも無かったが転生直前の頭に響いてきたあの言葉を信じ、この世界の地理だの!狩猟の仕方や戦い方だの!魔術の使い方だのをね!
色々頑張ってきましたよ!与えられた力は本物らしく身体はとても頑丈で風邪を引いたこともないしどれだけ高い場所から落ちても骨が折れたこともない。身体は魔力に満ち溢れうちの部族じゃ期待の星…となれる筈だったが一つ重大な問題があった。
「アッシュー!ご飯の時間よ!手を洗って食卓につきなさーい!」
めちゃくちゃ元気な母さんの声だ。はーい、と軽く返事を返そうとすると…
「それがどうした、いっぺん死んでみるか」
頭おかしいんじゃねーの、俺。
意識している言葉と発する言葉が致命的に噛み合わないだけならまだ良い。いや良くないけどね?それが野蛮さ溢れる変なセリフとして出力されてしまうのだ。初対面の人…めちゃくちゃ困惑してたんスけど…良いんスかこれ…
最初はかなり驚かれが、今では魔王の呪いを生まれる際に受けてしまった可哀想な神童として可哀想に思われている。畜生!コンナハズジャナイノニィ!
「今日は豆と羊のスープよ!」
やった!初めてこの世界で食べた本格的な料理ということもありかなりのお気に入りだ。羊肉も美味いしなヌッ
「ふんっ相変わらず貧しい献立だ。キャビアは無いのか?」
あるわけねえだろぶち殺すぞ
「そう言いながら美味しそうに食べるもんだからお母さんとしてはどうすれば良いのか分からないのよ…ごめんなさいね…呪いについて分かってあげられなくて」
マジで申し訳なくなってきた。もう誰かいっその事殺してくれ。
「心が苦しくて悲しくて暴れたいとか泣きたいとかそんなん思たらいつでもワシにぶつけてくれ。この大胸筋でなんぼでも受け止めたる。ワシめっちゃタフやし」
テメェのせいだよ。
「ふふっお兄ちゃんらしくなってきてお母さん嬉しいわ。アリアナの面倒もちゃんと見てくれてるようだし…私も頑張らないとね。」
優しすぎて涙が出ちゃうよ。
こうして俺の受難に満ちた異世界生活は始まりを迎えた。
身体も鍛える、魔術も習得する。
そして何より呪いの早期解除、これを当分の目標に決めているが手がかりはまだ掴めそうにない。行商人に話を聞こうにも一苦労だ。
俺は普通のコミュニケーションを諦めないからな!