記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話   作:ほがみ(Hogami)⛩

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記憶を失った少女の話
記録:零


――この世界は残酷だ

 

そう気づいたのはいつの話だったか

 

学生のころは社会人になったら薔薇色で、楽しい社会人になっている、そうなるとそう思っていた。この会社が良くて自分で選んだ。ものすごく興味を惹かれたのに、入ってみたら全然違った

その世界はまさに地獄。休みという休みはなく、昼ごはんはいつもバランス栄養食。残業は当たり前であり、帰ろうとすれば、重しのように仕事が振られ、もう何日も家には帰っていない

 

(家には何があったっけ…冷蔵庫…もうだめだな)

 

この会社のネットワークを担当する私は朧気になりながら目の前のパソコンにプログラムを打ち込む

ともに入社した同期はもう居ない。残った者は辞めることもできずに今に至る

社内ネットワークは駄目になってはいけない。だが担当する私は一人のみ。休みがないのはそのせいであった

 

(ちょっと…仮眠を………)

「あ――だ――うぶ――…」

 

遠ざかっていく意識に反して誰かが声をかけてくる

たかが仮眠、何を話すことがあるか。思うことはいくらでも出てくる。しかしそれを言葉にすることは叶わない

 

――その日、夢を見た

私にとっては久々な夢であった

 

今とは違う環境…つまりは会社に努めていて、みんなが楽しそうに仕事をしている。まるでそこが憧れの舞台であるかのように……わからない事があれば誰にでも人に聞き、それを優しく教えている先輩社員と思われる人

今勤めている会社みたいに猛スピードで生きてて、人を助けることなんかする暇もなかった

自分が思い描いていた理想の会社―こんな会社で働けたらな―

あわよくばこの夢が覚めないで居てほしい。あの会社にはもう戻りたくないのだ

 

その期待とは裏腹に、意識は徐々に現実へと向かって行く

嫌だ。ずっとここに居たい。あんなところにはもう戻りたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…ん…?」

 

目が覚めると、暖かなぬくもりに包まれていた

どこかの部屋のようだが、ここはどこだと考える前に明らかに自分ではない声が、その部屋に響き渡る

 

「あ、起きましたか?どこか不調なところないですか?」

 

その声の主は優しそうな目で私に話しかけてくる

髪の色はピンクで毛先にかけて白いグラデーションがかかっている。部屋の中だというのにスーツのようなものを着ていて、どこか緊張する。それは以前の環境がそうしているのか、またはこの人にそういう力があるのか…

とにかく、体を起こしてその人の問いに答えた

 

「大丈夫…です。あの…ここは?」

「ここは”私達”の基地。我らHoloxが集まる場所ですよ。それで…あんなにフラフラになるまで何してたんですか?呼気からしてお酒は飲んでなかったみたいですけど…」

 

心配そうな目で居てくる女性。しかしその言動と、私の記憶は食い違っていた

―フラフラしていた?たしか私は仮眠を取ろうとしていただけ…知らぬ間に外に出てしまったのか、もしくは夢遊病か。どちらにしろ彼女に助けられたのは確かな事実であった

 

答えなかった私を心配したのか、彼女は「言いたくないことでしたか?」とまたもや優しく声をかけてくれて、涙がこぼれそうになる。いや、こぼれたのだ。落ちた雫は私の拳に落ち、その表面を濡らす

 

「な、なんで泣いてるの?!ごめんなさい!気に病むようなこと言っちゃったかしら?!」

「いえ…ただそんなに優しくされたのはいつぶりかと思いまして…」

「―あ~ルイ姉泣かせちゃった~」

 

可愛らしい声を出したのは、ひょっこり扉の隙間から顔を出している銀髪の少女であった

その声に反応したピンクの彼女は、「こらっ!私が悪いみたいに言うんじゃない!」とその少女を叱責。「えー事実じゃんー」と怒られたことを気にしてなさそうな少女は、こちらによってきて可愛らしく挨拶をした

 

沙花叉「どうもー!秘密結社ホロックスの掃除屋でインターン!シャチの沙花叉クロヱでーす!よろしくねー!」

「あ、どうも…」

ルイ「ちょっと沙花叉、困惑してるじゃん…あ、自己紹介してなかったですね。秘密結社ホロックスの女幹部、鷹嶺ルイと申します」

 

礼儀正しいルイに比べ、ヘラヘラとしている沙花叉

私もそれを返そうと思って、自分の名前を教えようとするも…なぜか自分の名前が思い出せない。それどころか、起きるよりも前の話が全然思い出すことができない。大まかなことであったら思い出せる。ルイの証言と照らし合わせることができる程度だが、それよりも昔――どこで働いていたとか、どんな人生だったとかそういうのがすべてないのだ

 

「私は――私…私って…だれ?」

沙花叉「大丈夫…?」

 

沙花叉の優しいような声にまたもや涙腺が弱まる

その様子を見たルイは、いろいろと考察する。どのような環境で育ってきて、どのような生活を送ってきたか。そしてとても弱い涙腺に、記憶を失っている状況。外傷がないことから外部的な記憶障害ではない

 

―となると、内心的…つまりは過度なストレスということだろうか

 

さらに顔色から察するに…睡眠不足、肉体的疲労、精神的疲労…こんなところだろうか

 

ルイ(どんなにブラックな環境で過ごしてきたんだろ…この子…ワンチャン私よりひどいぞ…)

 

このまま放っておけないと思ったルイは今日だけは―いや、この子の心と体が一つになるまで、この基地に居させてあげようと思ったのだった

 

 

――これは、そんな彼女()と――ホロライブの皆さんとの物語




初めの話は台本形式風(?)ですが、次からはちゃんとします
最後まで見てくださった方、ありがとうございます!私自身、いろんな小説とか、作品作ってるので、投稿頻度は疎らですが、よろしくお願いします!
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