記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話 作:ほがみ(Hogami)⛩
チク…タク…チク…タク―と時計は一定のリズムを刻んで紗の仕事を応援する
進捗状況は悪くは無い。逆を言えばよくもないということだけれども…
今確認しているのは、ホロ0期生のロボ子さんという方と、AZKiという方の資料だ。二人はなかなかに忙しい日程が続いており、ロボ子さんはFPSゲーム系の収録があり、AZKiは歌唱収録が続いている
資料によると二人とも得意分野の収録であるようだが…
紗「…大丈夫なんでしょうか…」
「バイトおつかれさま〜〜」
そう言って入室してくるのは、ピンク色のパーカーを身に纏っていて、袖から出るのは、バイクの手袋みたいな手が出ている女性。そして下半身はかなりメカメカしい人であった
その人は中身は不明だが、片手にコンビニ袋を携えており、ドサっと置くと緊張していた袋の緊張が解かれて中身が露呈する。中身は疲れに効くドリンクやお菓子などであった
紗「あ、ありがとうございます」
「頑張ってるって聞いてねぇ〜買ってきたんだ〜あ、これボクの資料じゃん!」
そう言って紗の方の近くで顔を出して楽しそうにその資料を見る
―その様子からこの人はこの資料に書かれているロボ子さんなんだと思った。資料を見ながら可愛らしい鼻歌を歌う彼女の様子はとてもかわいらしい
ロボ子「へぇーこの時間に収録あるんだ。えっ…結構ハードじゃない?」
紗「そのようなんですよ…大丈夫ですかね?ロボ子…さん?」
ロボ子「大丈夫…あそっか、自己紹介がまだだったねー。ボクは高性能ロボットのロボ子だよーよろしくね紗ちゃん」
紗「よろしくおねがいします。あの…いつもこんなハードスケジュールなんですか?」
紗がそのように聞くと、ロボ子はううんと首を振る
普段はこんなに忙しくないのだが、この間のFESのおかげか、特番や案件などが舞い込んでくるように依頼されるらしい。おそらく忙しいのはこの期間だけ。この山場を過ぎれば少しは落ち着く
そう言いながらロボ子は紗の隣に腰を降ろし、楽しそうにまた資料を見る
―忙しいのになぜそんなに楽しそうなのかと紗が聞くと、ロボ子は微笑みながら答える
ロボ子「案件ってことは初めてのゲームができるってことだし、ボクが楽しんだゲームをみんなにも楽しんでもらいたいしね〜♪」
忙しくてもその状況を楽しみ、なおかつみんなのことを考えるロボ子
それは簡単にできることではないことを紗は知っている。辛いこと、忙しいことを純粋に楽しむことは常人では難しい。でも彼女はロボットであるから…とも考えられるが、彼女は限りなく人間に近いロボットだ。というかもう人間だろう
紗「すごいポジティブですね!」
ロボ子「照れるちゃうなぁ〜///ほ、ほらこのお菓子たべな〜」
紗「優しいんですね。いただきます」
ロボ子「そ、そんなに褒めたってなにも出ないぞ〜///」
紗はロボ子が買ってきたお菓子を小袋から取り出し、ポイッと口に放り込む
その中身はチョコレートで甘すぎず、苦すぎずないが、それでも高級感があるようなチョコレートであった
紗「このチョコ…高いやつじゃないんですか?」
ロボ子「うふふ〜どうだろうね〜高くても君にならかける価値があると思うんだ」
そう言ってロボ子はお菓子を食べる
ロボ子が食べたその表情はどこか照れくさい感情を隠しているような雰囲気を出していた
―すこしお話とロボ子からのお手伝いを終えた後、ロボ子は頑張ってーと言って部屋を後にした
その後の部屋は少しさみしいように感じるが、ロボ子の残してくれたお菓子と飲み物を糧に紗は作業を頑張る
「ロボ子さんすごいいい人だったな」とチョコレートを口に頬張りながら考える
ガチャリとまたもや部屋の扉が開き、今度はロボ子とは違う別人がその部屋を訪れた
髪は少し赤みかかった黒髪で、インナーがピンクで染まっていた。白色を基調をしたアーティスト感のあるお姉さんのようであった
その女性に紗は気づくと、女性はにこやかに近寄ってくる
「君がバイトの子?」
紗「そうですが―」
AZKi「やっぱり!私はAZKiっていいます!突然だけど、お昼ごはんって大丈夫ですか?」
紗「お昼ごはん…ですか?」
そう言われて紗は時計を確認する
気付けばもう12の数を超えていて、十分なお昼時であると言える時間帯であった
紗はお昼は早めに事務所近くのコンビニや飲食店で済まそうと思っていたのだが、今の時間で行くと混み合って午後の時間に間に合わないだろう
それを察したのか、AZKiは懐(?)から2つの弁当箱を取り出し、紗へ渡す
紗「これは…?」
AZKi「おべんと!良ければ一緒に食べませんか?私、頑張って作ってきたんです」
紗「AZKiさんが作ってくれたんですか――いただきます」
そう言って紗はお弁当の蓋を開く
そこから顔を出したのは、可愛らしくレイアウトされた料理たちで、タコさんウィンナーもあれば、花のようにも見えるハム。そして生まれたばかりで頭の上に卵の殻が乗っかっているように見えるゆで卵がちょこんとこちらを見ていた
紗「とっても可愛いです!食べるのがもったいないくらいに!」
AZKi「ありがとう!頑張って作った甲斐あった!」
紗「それじゃあ勿体ないけど…いただきます!」
パクッと一口
その瞬間、紗の目の前がガラリと変わるような感覚があった
気づけば目の前は学校などの教室で、みんなお昼ご飯を食べている時。ふと机を見ると、そこに弁当はなく、ただおにぎりがひとつ置かれている状況にあった
そこへやってきたのは、心配そうに弁当を持ってくる制服姿のAZKi。そして机の目の前に座り、弁当を分けてくれる
学校生活でなければ味わえないその感覚が、AZKiが作ってくれた弁当から感じられた
AZKi「どうかな?」
紗「すごく…暖かいです…」
AZKi「よかった!午後も一緒に頑張りましょう!」
まるでお母さんのようなAZKiのその笑顔は、天使とも言える
2人は他愛のない話を交わしながらお昼を共にする。二人とも料理が得意なこと、音楽が好きなことを聞き、紗は実はあまり歌に自信がないことを告げると、「今度一緒にカラオケいきましょ!」とホロライブの歌姫に特別レクチャーしてもらえることになった
紗「―でもいいんですか?AZKiさん忙しいんじゃ…」
AZKi「大丈夫!紗ちゃんも私の大切な後輩だから!」
紗「AZKiさん―!」
―天使。その言葉に尽きる
AZKiと紗の中は、お互いあだ名でラフな感じで話し合えるまで深まった。AZKiは紗のことを「すずっち」と呼び、紗はAZKiのことを「あずきち」と
そして今日昼ごはんを貰った代わりに今度紗の手料理を振舞う約束を交わすとAZKiは嬉しい表情をして「その日を待ってるね!」と口にして仕事へと戻っていった
紗「あずきちのおかげで頑張れそう!よしっ残りも片づけちゃおう!」
Aちゃん「お疲れ様です。紗さん」
紗「あ、Aちゃん。お疲れ様です!」
ノックして部屋に入ってきたAちゃんに紗は挨拶をする
なんだか朝よりも元気ですねと言われた紗は今日の出来事を簡単に説明すると、Aちゃんは「優しくていい先輩たちでしょ?」という。彼女達のような存在が後輩に受け継がれていって今のホロライブがあるのだろう。言い換えればホロライブという存在がここまで大きくなったのは彼女たちの努力とそれを絶やさなかった後輩タレントたちの努力あっての功績と言える
Aちゃん「あ、そうそう。忘れるところだった」
Aちゃんはそう言ってズボンのポケットからオレンジ色のスマホを取り出した
そのスマホには、紫色の尻尾のようなシールが背面に貼られていて、誰かの物であるようだ
紗「それは?」
Aちゃん「紗さんのスマホです」
紗「えっ?私の…?いいんですか?」
Aちゃん「はい。元々卒業生のスマホだったんですが、その方が卒業したときに次の人に渡してくれと言われてたんですよ」
紗はそう言われて行け取らないわけにはいかなかった
欲しいなって思っていたこともあるが、今さっき感じた継承という名の絆。それを受け取らないわけにはいかないだろう
紗「ありがとうございますAちゃん。伝えられるなら卒業生の方にもありがとうって伝えたいですね」
そう言って紗はスマホを受け取り、ぎゅっとそのスマホを握った
『次の世代はわたしを超えていくはず。なら卒業生のわたしがすべきことはただ一つ。若い芽が成長できるように、わたしは
彼女が最後にAちゃんに自らのスマホと残していった最後の言葉
それは確かに次の世代へと繋がり、今も若い芽が育とうとしている
―『Aちゃん:…確かにあなたの言った通り繋がりましたよ。当人からありがとうとのことです』
それを聞いて彼女は安堵する
自分も憧れの
「それじゃ、張り切っていきますかぁ!」
今回はロボ子さんとAZKiちゃんの登場でした!
ロボ子さんのイメージはかなりできてるんですが、AZKiちゃんが少しわからない…清楚!な子って難しいな