記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話   作:ほがみ(Hogami)⛩

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これは沙花叉の記憶。長い記憶の中で最も心を動かされた記憶


沙花叉の記憶:記憶の中で生きる者

―こいつは殺すべき相手。なぜなら自分の大切な人を奪ったから。その苦痛を――同じ痛みを味わわせないと沙花叉の気が済まない。殺す…殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

 

沙花叉「あぁぁぁ!!!!!」

 

勢いよくナイフをボスの胸郭部へと振りかざす。

だがそのナイフがボスの胸郭部に届くことはなく、その手が誰かに止められた

柔らかな光が沙花叉の耳元で声を形成する。そして沙花叉に優しい声で語りかける

 

 

―思い出して。力はどのように振るうのかを

 

 

沙花叉「力は…護りたいもののために使う…」

 

 

―そうだ。護りたいもののために使うんだ。復讐のために使うんじゃない

 

 

沙花叉「でも――」

 

 

―復讐しないと落ち着かないか?だがもういいんじゃないか?

 

 

光の声が囁くと同時に沙花叉の血のように赤く染まった目に光が灯る

そして荒んだ心が浄化されていくと同時に、その光の声が誰だかわかってきた。それは沙花叉が復讐してあげると誓ったもうここにはいない彼女の声であった

それに気づいた時、光は沙花叉の手から放し、すっと沙花叉の横を通って沙花叉よりも前にでる

―次第に涙があふれる。これは奇跡なのだろうかと。目の前に出てきた光は人の形を作っており、沙花叉は目を見開く

 

 

―ふっ…泣くなよクロヱ。お前には笑っていてもらわなきゃ私が困るんだが―

 

 

沙花叉「―オリ…ビア…!」

 

 

―もうじき私の仲間が来る。この組織を潰しにな。お前はよくやったよ。なにも情報がない状態から一人で組織を壊滅寸前まで追い込めるなんてな。さすが、あいつの子だな

 

 

オリビアは徐々に空気中に霧散していく

もう先が長くないことをまた知った沙花叉は必死にその光を掴もうとする

しかしその様を見たオリビアは突き放すような言い方をした

 

 

―クロヱ、前を向け。私はもう過去の存在になったんだ。これからはお前が紡いでいく物語さ

 

 

沙花叉「っ……」

 

 

 

―お前が私の唯一の家族で良かったよ。それとあいつにもよろしく伝えておいてくれ。先に行くってな

 

 

にこやかに笑ったオリビアの笑顔が空気中に消える

沙花叉は悲しい気持ちはあるが、オリビアに言われたことを思い出し、1呼吸置く。そして宙に消えて逝く光に向かって誓った

 

「これからは私が紡いでいくよ。自分自身の物語を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青く晴れ渡る高台で、銀髪の少女は一人花束を持って立ち尽くす

目の前には世話になった人の立派な墓が海を見渡すように建っている

 

沙花叉「遅くなっちゃったけど…」

 

そういって沙花叉は墓に献花する

 

あの後、オリビアが言ったようにオリビアの仲間と思われる人々が不夜のレギオンを完全に解体し、事はこれで終了と思われたが、一般人が一人で組織壊滅寸前まで追い込んだ沙花叉のことを危険人物と見たオリビアの組織上層部が沙花叉の始末を企んだ。

だが、沙花叉はオリビアから学んだ体術や人の欺き方でどうにか逃げていた

 

しかしそんな逃亡生活にも転機が訪れる。

それはあのシャチのようなマークがあしらわれた鍵だった

オリビア宅にある同じマークの扉を開ける―そこにあったのは、シャチのような黒と白い模様、そして赤いチェック柄が目を引く服とシャチの顔のような仮面があった

そしてその傍には手紙があり、沙花叉が見たところ母親から沙花叉に対する手紙だった。驚いたことにそこに書かれていた内容は、つい最近起こったことばかりで、オリビアの死から今追われている状況まですべて書かれていたのだ

 

―頭が良いと昔から思っていたが、ここまでくると怖いレベルだ。沙花叉は自分の母に恐怖の念を抱いた

だがその話以外にも、これからのアドバイスとしてそこにある服と仮面をつけてオリビアに教わった住所に行けば助かるとも書かれている

乗りかかった船だと半ば諦めた沙花叉はそのアドバイスに従う。すると、なんということだ。沙花叉を助けてくれる人がそこにはいたではないか

沙花叉はその人たちについていき、難を逃れたということだ

 

沙花叉「そういえばこんなことあったよ――」

 

墓に眠る主人に向けてしゃがんで話す沙花叉

あのあとの沢山の冒険。秘密結社のインターンとして入ったこと。そしてこれからの話を報告として話しかける。心なしか目の前に本人がいてうんうんと頷いて聞いてくれているように感じる

―いつもと変わらないあの笑顔で―

 

「おーい!新人~!」

 

沙花叉の名を呼ぶ声が聞こえた

もう行かなければならない時間のようだ。沙花叉は立って最後の挨拶をする。だがそれは、またねなんて簡単な言葉じゃない。ましてやありがとうという感謝も悲しくなるだろう

だから沙花叉はこのように言った

 

 

沙花叉「―行ってきます」

 

優し気な表情で微笑んで墓に背を向けて歩んでいく沙花叉

墓の主には確かにその声は聞こえていたようだ

 

 

『あぁ。行ってくると良い。私はいつまでもお前のことを見守っているぞ』




これにて沙花叉の過去編はまずは終了となります
【記録:初めての仕事】にて血塗られた?ナイフを紗が発見した際に、沙花叉が恐れていたことは、一個前の記憶の時のような沙花叉(?)の理性を失った姿を知られること

まぁ、もうあの時のように理性が外れることはないでしょう…ね
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