記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話 作:ほがみ(Hogami)⛩
イヌイトコ
「♪〜♪〜」
力強く綺麗な歌声が、ここ事務所の中の収録スペースに鳴り響く
只今、星街すいせいが今度投稿される歌の収録を行っている。紗はレコーディング室の外で、その様子を楽しそうにみながら星街のことを待つ
「―はーいOKでーす」
星街「ありがとうございました〜」
レコーディングが終了して、外に出てくる星街は、ふぅ〜っと一息椅子に座ってつく
紗はお疲れ様ですと、バックから水を取り出して星街に渡すと、ありがとうとお礼を言って星街はその水を口に含む
紗「レコーディングはこれで終了ですか?」
星街「そ、この後はもうフリーだよ」
紗「予約に間に合いそうですね」
星街「そうだね。それじゃ、すいちゃんに付いてきて!」
星街は紗の手を取って収録スタジオを共に後にする
事務所の外に出るとタクシーが待っており、星街はこっちだよと手を差し伸べてくれる。紗はその手に手を乗せ、星街と一緒にタクシーへと乗る
星街「ここまでお願いします」
「はいよ。ししろタクシー、安全運転でいくよ〜」
そう言ってタクシーは走り出していく
目的地に着くまで数十分。この時間を大切にしよう
紗「星街さん、歌上手ですよね」
星街「ありがとう。昔から歌うのは好きだし、そう言って貰えるのはありがたいよ」
紗「なにかコツとかあるんですか?」
星街「コツ…か…」
少し上を向いて考える星街
コツというのは考えたことがなかった。自分が歌いたいように歌っているため、人にコツを教えるというのは難しい
でも伝えられることはある
星街「コツは特に無いけど、『自分の想いは、歪むことなく歌でちゃんと伝えたい』って思って歌ってる」
紗「自分の想いを歌で伝えたい…」
星街「そ。元々私は個人からホロに入ったこともあって、伝えられることは多分他のみんなよりあると思う。私にしか伝えられないこと―星街すいせいにしかできないことは、歌で気持ちを伝えることだなって思ってるんだ」
星街は鼻を擦ってなんだか恥ずかしいねと一言言う。そんな星街に紗は立派ですと心から関心する声を漏らした
実際、SNSでも『すいちゃんの歌声に惹かれてホロ見始めました』『星街すいせいのGHOSTに心救われたわ』と彼女の歌声は人を動かしているのがわかる。それほど彼女の歌声に籠もっている力はとてつもないものなのだ
―彼女はもうスターの原石ではない。磨かれた一等星のように光り輝いている
その考えが読まれたのか、星街は紗のことを見て一言った
星街「すいちゃんは永遠にスターの原石だけどね」
紗「――読心術ですか…?」
星街「いや?すいちゃんは原石なんかじゃないって顔してたからさ。私はまだ一等星のように誰しもが見える存在じゃない。どちらかと言ったら私は、誰もいない街に降り注ぐ彗星。見える人には輝いて見えるけど、見えない人には存在すら気付けない―」
紗「――なら、わたし達が頑張って星街さんの存在をアピールしなければですね!」
手をぐっと胸の前で握る紗を、星街はすこしびっくりした顔で見る
まさかそのような回答が返ってくるとは思っていなかった。「星街さんは頑張ってますよ!」とか「すいちゃん、おめぇ気づいてないかもだけど、めっちゃ輝いてんで」とか言われると思ってたのに、この子はサポートしてくれる側になってくれる言葉をかけてくれた
新人ちゃんなのにすごい頼りがいがあると星街は、紗の頭に手を伸ばして優しく撫でる
紗「????」
星街「…ありがと」
紗「どういたしまして?」
「お客さん、いい話の途中スマンがつきましたぜ」
そんな話しているうちに、目的についたみたいだ
代金を払って二人はししろタクシーから降りる。ここは都心からすこし離れた場所にあるのどかな都会。本当の目的地に行くには、ここから少し歩かなければならない
すこし歩いて見えてきたのは、観葉植物で飾られた和風な喫茶店。名前は『
寂れている喫茶店のように見えるが…
星街「お邪魔しまーす」
「お、時間ピッタリやね」
二人が中に入ると、店員と思わしき和服を来た女性が出迎えてくれた
茶色い髪に可愛らしいケモミミ。メイド服のような和服に赤と黄色のオッドアイ
「まー好きな場所に座って。お水もってくるわ」
星街「ありがとね〜じゃ、紗ここに座ろっか」
星街に連れられて四人がけのテーブルに席を取った
店内は誰一人おらず、すこし人気が無いように感じるが、雰囲気はとても好きだ。木の柱にあった暖かい照明に、静かめな音楽が店内に響く。街中にある騒がしめなカフェとは違った雰囲気
そんな事を思っていると、先程の店員の女性がお水をもってきてくれた
紗「ありがとうございます」
「閉店まで飲んでもらってもかまわへんよ!なんたって今日は貸し切りやもん」
そう言って胸を張る店員の女性を星街は紗に紹介し始める
星街「紗ちゃん、紹介するね。こちらこの店の店員【戌亥とこ】ちゃんです!」
戌亥「おおきに〜私はつよつよケルベロスの戌亥とこ!すいちゃんからめっちゃいい子って聞いとるんやけどホントやね〜」
紗「どうも――」
戌亥「メニュー決まったら声かけてな〜私は作業してるから」
そう言って戌亥は裏の方へと移動していく
なかなか気さくな人だったなと思う紗は、机の側にあるメニューを手に取った。そこには可愛らしいポップで作られた美味しそうなデザートからオムライスなどのメインディッシュまでの様々な料理名が写真とともに載っている
―さてどれを食べよう
星街「どれ食べるか決まった?」
紗「…はい」
星街「それじゃ、とこちゃん呼ぼっか――『戌亥どこ〜!?』」
戌亥「戌亥ココッ!!!!」
シュバッっと戌亥はメモ帳を持って現れた!
ものすごく決まった顔をしながらご注文は?と聞いてくる
星街「私はいつもので」
戌亥「はいよ〜紗ちゃんはどうする?」
紗「私は―私はこのオムライスで」
戌亥「はーい。料理には多少時間がかかるんで、まっとってな〜」
戌亥は急いでキッチンへと向かっていく
もしかして…今日、彼女一人だけなのだろうか…
そう思って星街に紗は聞いてみる
紗「星街さん…戌亥さん、もしかして…」
星街「多分今日一人だね。でも安心して、とこちゃんの料理はおいしいから」
いや、料理の腕を疑っている訳ではなくて…とは言う気にならなかった。なぜなら星街はすごく楽しそうな顔をしながら自分の頼んだ料理を待っているから
少し待っていると、戌亥は両手に大きなおぼんをバランスを取りながら料理を持ってきた
戌亥「おまたせしました〜こちら唐揚げとオレンジジュースになります。そしてこちらがオムライスです」
星街「美味しそ〜✨」
戌亥「すいちゃん用にしょっぱめにしてあるんで」
星街「うお〜ありがと〜レモンも添えてあるし、完璧!」
二人「いただきます!」
紗の目の前に置かれたオムライスは暖かい湯気を放っており。美味しそうな匂いが漂ってくる
自分が作るオムライスではないオムライス――しかも店で食べるというのは初めてのこと。紗は楽しみな気持ちを胸にスプーンでオムライスをすくって口に入れ込むと…ブワっといい味が紗の鼻を突き抜けた
―卵に閉じ込められたチキンライスのトマトと鶏肉の深い味わい。そして卵のふわとろ感がその風味を優しく包みこんでいる。紗はその深みを知らなかった
初めて出会うこの味の深み…なにか特別ななにかがあるのだろうかと、気になった紗は作った本人である戌亥に話を聞こうと顔を上げると、戌亥は嬉しそうな顔をしていた
紗「戌亥さん?」
戌亥「―ん?なんや?」
紗「どうして嬉しそうな顔を…?」
戌亥「それは―あれやね〜すいちゃん」
星街「うん。あれだよね〜」
二人はそう言って紗をにこやかに見つめる。紗は少しわからなかったが、どうやら顔に美味しいと書かれているみたいだ
戌亥「こんなに美味しそうに食べてくれる子はなかなかおらんよね〜」
星街「見ててこっちも幸せになるね」
紗「は、はずかしいです///そ、それよりも戌亥さん!このオムライス、チキンライスに深い味わいがあるんですけど、なにか工夫があるんですか?!」
戌亥「あー多分それはウスターソースや」
戌亥はひと工夫について説明する
ケチャップにウスターソースを混ぜてからチキンライスを炒めることによって、味がぐっと引き締まって深みが出るそうだ。その工夫は聞いたとこがないと紗は言うと、戌亥はすこし小声で「
紗「教えちゃって大丈夫なんですか…?」
戌亥「大丈夫!客も少ないし、そこまで機密情報やあらへんからな」
紗「真似して作っても?」
戌亥「全然ええよ!もしかして作って見るん?」
紗「はい!こんなに美味しいオムライスははじめてなので、私も作ってみようかと想いまして!」
二人は仲良く会話を弾ませていく
星街は紗を連れてきて正解だったなと関心して楽しみながら唐揚げを食べる。料理が美味しい戌亥と関わりがあれば、次第に紗の料理がうまくなっていく。紗の料理がうまくなるとどうなるか。幸せが増えるだろう
これは緻密(?)に練られた計画だったのだ!
紗「星街さんも試食のときに来てくださいね?」
星街「あ、うん行く」
…知らぬ間に約束が契約されてしまったみたいだ
今回始めてホロ外からにじさんじの戌亥とこさんが出演しました〜
こちらの世界線の彼女は、寂れた喫茶店で働く給仕のメイドさんです。
星街とは例のゲームフェスで出会って、それ以来喫茶店の常連さんになってます
タグににじさんじを追加したほうがいいですかね?