記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話   作:ほがみ(Hogami)⛩

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これはラプラスの記憶。これからの運命を共にする烏との出会い


ラプラスの記憶:人の話を聞け!

「おい!起きろ!おい!」

ラプラス「ん……?」

 

たけましいアラームを止めようとラプラスは上に手を伸ばし、アラームと思わしき物を押す

するとアラーム(?)は「いてぇ!やめろ!」と喋ったのだ。鳴り止まないアラームに痺れを切らしたラプラスはムクリと起き上がり、眠い目を擦ってアラームを見た

 

「やっと起きやがったな!?」

ラプラス「うるさいアラームだな…こんなの買ったっけ…?」

「寝ぼけてるのか?!吾輩はアラームじゃない!!それとここはお前の部屋じゃないぞ!」

 

そう言われてラプラスはそういえば無人島に流れ着いたことを思い出す。そして目の前にいるアラームだと思っていたものは…緑色の目の黒いカラスであった

よく見るカラスとは全く違う姿のカラス…ラプラスは奇妙に思って名前を聞く

 

ラプラス「…君…だれ…?」

「吾輩はこの島を支配している――」

ラプラス「―焚火…完全に鎮火しちゃってるな…」

「話をきけぇぇぇッ!」

 

わーわー喚くカラスの脇にラプラスは焚火の後姿を見る。少しの炭と真っ白な灰。今夜は火を起こすのに少し苦労しそうだ

…でなんの話だっけ?

 

「吾輩はこの島を支配してるんだ!吾輩の島に勝手に―」

ラプラス「あ、すみません。気づいたらここに流れ着いてて…」

「え、そうなの?それは大変だったな…」

 

ラプラスはいきなり同情してくるカラスに少し驚く。いまさっきまで吾輩の島がどうたらこうたら言っていたのにどうして同情するのかと聞けば、カラスは開拓しようと侵略してきた余所者かと思っていたから追い出そうとしていた。不可抗力で流れ着いたのなら話は別だと

 

「…吾輩がおまえが帰れるまで傍にいてやろう」

ラプラス「え!?いいの?!」

「おう!吾輩、こう見えても――」

ラプラス「ありがとうカラス!!!!」

「カラスじゃねぇよ!ってか話聞けよ!」

 

このカラス…よく喋るなぁ…ツッコミも鋭いし。というより…このカラス…なぜ日本語を話せるんだ?よく考えたらおかしなこと

普通に接していたからラプラスは気づかなかったが、カラスが日本語を喋るのはおかしい。インコではあるまいし

もしかしたらイカにちょっかい出して真っ黒になってしまったインコの可能性……はないな

 

ラプラス「…ねぇ、なんで言葉が話せるの?」

カラス「あ?吾輩は言葉なんか話してねぇよ。お前が分かるようになっただけじゃないか?」

ラプラス「私が分かるようになった…?」

 

昨日まで分からなかったのに突如として覚醒した能力

これは異世界転生並に驚きの展開だ!でもどうして突然…思考を巡らせるラプラスは、ひとつの結果にたどり着いた

―昨日食べたあのキノコが生えていた場所にあった立て札。そこには「獣と和解せよ」みたいなことが書かれていた。もしかしたらその影響もあるのかもしれない

 

と、考えるラプラスの耳にあの嫌な羽音が聞こえてきた

体を島の中心の方、つまり森と対面すると、そこから昨日のデカバチが木々の合間を縫って現れた

蜂は空中で止まりこちらを睨むようにしてホバリングする

カラスはラプラスの目の前に、パタパタと小さな羽を震わせて蜂の目の前にたった

 

蜂「どけ孤高の王!!そいつは私の家を荒らした!断じて許されることでは無い!」

カラス「落ち着k―」

蜂「否!落ち着けぬ!私の特別に気に入っていた家が壊された恨みは落ち着いてどうかなるものではない!」

 

蜂が土煙が立ち上るほど羽をはためかせる。その感情が目でもわかるようだ

ラプラスは煙たい土煙に逆らって蜂の前に立った。そして蜂に向かって頭を下げた

 

ラプラス「貴方が気に入っていた家を壊しちゃってごめん…お詫びといえばいいかわかんないけど…貴方の家、私に作らせてくれませんか?」

蜂「…人の子――いや、お前は人では…」

ラプラス「?」

蜂「よかろう、貴様の気持ちをくんでやる。私の家を作ることを許可しよう。ただし――逃げたりした場合…わかっておるよな?」

 

そういって蜂は尻の針をぎらつかせる。あれを食らったら最後………だろう

蜂はラプラスに背を向け、山の方へと帰っていった

ごくりと唾を飲み込んだラプラスにカラスは近寄って思いを語る

―あの蜂を納得させるとは…ヤツの心が広かったのか、それともラプラスの思いの強さが伝わったのか…

どちらにせよ自分の話を一切聞いてくれなかったなと少し悲しく思うところもある

 

ラプラス「そういえばカラスさ」

カラス「だから吾輩は―まぁいいや、なに?」

ラプラス「あの蜂から孤高の王って呼ばれてたけど、なんか意味あるの?」

カラス「……気にすんな」

 

カラスはそう言ってどこかへと行ってしまう

言いたくない理由でもあるのだろう。そう思うことにして、ラプラスはどうやって蜂の巣を作るかを検討することした

 

 

そして数日…数ヶ月…必死になって蜂が納得する家を作ることに時間を費やした。

あいにく時間はたくさんあるから、沢山考えることが出来るし、やり直しも可能だ

そういや最近カラス見てないが――まぁいろいろあるのかな

 

今まで何回作り直したか覚えてないが…

 

蜂「ふむ…これならば私が住むのには苦労しないな」

ラプラス「!―やっ……たぁぁぁぁ!!!!!」

 

ついに作った家が蜂から認められた。借り(?)を返すことに成功したのだ

ちなみにラプラスが作った家は、元々の蜂の巣のようなものではなく、地面を掘って蜂の巣状のハニカム構造にして作ったもの。その土に木を混じらせて元々の蜂の巣みたいな雰囲気にしてある

これぞ匠の――…

 

蜂は地面へと座り、ラプラスに腰の綿の中から容器に入ったはちみつを手渡してくれた

 

ラプラス「これは?」

蜂「私から贈る少しばかりの礼だ。よくぞ完成させたな」

 

この時、ラプラスは改めてこの蜂のことを知った

最初は怒らせてしまったが、かなり人情がある。昔の口下手な大工の棟梁みたいな感じ

少し苦手な意識があったけど…今は違う。いい人(蜂?)なんだなと改めて思う

 

そして蜂はそれだけでなく、少し着いてこいと言って巣を後にし、砂浜へと向かっていった。ラプラスも何かあるのかと思いながらそこへ行くと、真っ白な砂浜にあったのは大きな丸い船

まるで一寸法師かと言わんばかりのその大きな船は、ラプラスが蜂の巣を作っている時に、作り上げたものだという

 

蜂「いずれこの島から出ていくのであろう?ならばこの船を使うといい。私の超最新的で最高な防水性のこの船はいかなる嵐でも大丈夫だと思っている」

ラプラス「…私のために?」

蜂「そうだ。お前には世話になったからな」

ラプラス「――本当にありがとう!!!!」

 

そういってラプラスは蜂に抱きついた

ふさふさな蜂の毛がラプラスを包み込み、暖かな布団に包まれている感覚がして眠りそうになった

礼を言うべきは私なのに―そう思う蜂は優しくラプラスを抱きしめた

 

 

―夜

簡易的に作った家の中、ラプラスは横になって眠りを待つ

今日はいい日だったな。そんな感情を持ちながら今日の出来事を思い出す

そんな時、最近見えなかったカラスがバサバサと翼の音を羽ばたかせて家の前に降り立った

 

ラプラス「お、カラス。久しぶり」

カラス「…そうだな」

ラプラス「寂しかったんだよ?」

 

カラスはラプラスに背を向ける。まるでラプラスから離れたいと言わんばかり

そしてカラスは、夜の寂しい空に向かって口を開き始めた

 

カラス「お前、いつかはこの島を出るよな?」

ラプラス「今すぐってわけじゃないけどね」

 

そっか。と一言寂しそうに言う

 

カラス「その時が吾輩との最後だな」

ラプラス「最後…?」

カラス「吾輩は孤高の存在だ。それに対してお前は社交的でみんなに好かれる。反対の存在なんだよ」

 

孤高の存在――いがみ合いがあったわけでもないのにその言葉。そして突き放そうとするその様は、まるでなにかにとり憑かれているみたいに

でもよく考えれば、蜂と関わってばかりでカラスと関わる機会は少なかった。もしかしたら嫉妬しているのかもと思ったが…それを口に出すのは違うと思い口に止めておく

 

ラプラス「だからって…お別れなんかじゃないよ」

カラス「…いやここで別れておいた方が――」

ラプラス「"帰れるまで傍にいる"――最初に会った時に言ってくれたこと忘れてないよ」

カラス「………」

 

カラスはその言葉を聞いて静かになってしまった

帰れるまで傍にいるって言われたこと。私は忘れてない

それに…―――

 

ラプラス「カラスは群れてこそだしね」

カラス「カラスじゃねぇよ!!!」

 

そうそう。この反応こそカラスだ

これからもこいつと仲良くやっていこう




沢山の誤字報告ありがとうございます!そしてすみません…
今更ですが、今年は新しい取り組みと今までやってこなかったことに挑戦しようと思ってまして、X(Twitter)にてこの小説に使うかもしれない絵とか、この小説や外伝作品の【鷹嶺の記録】の投稿告知などを行うアカウントを開設しました
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ほがみ✍ @ Hogami_pic

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