記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話 作:ほがみ(Hogami)⛩
紗を救うべく地下へと向かうスバルたち。途中カリオペ達と合流し、一緒に地下へと向かっているのだった
スバル「てかなんてシオン居るん?作戦時に居なかったよね?」
シオン「可愛い後輩のために来たんだよ。それに…またオムライス食べたいし…」
ぼそっと小さな声で言うシオン。最後の方は聞こえなかったが、まぁ手が増えてよかったと思う
3人に詳しい情報を話している。3人とも紗の記憶が無くなることが信じられないらしく、早く行かなくてはと焦っている節がある
そんな中、ロボ子さんは先程ライブラから渡されたデータを見返す
…実はスバルたちが紗が本当に望んでいるのかと悩んでいる時、ロボ子さんはライブラと秘密の話をしていた
託された大量の記録データ。紗が紗として生きた記録のデータ。その全てをロボ子さんは今持っている
【記録:誕生日おめでとう】に記録されているロボ子さんが紗にプレゼントしたコントローラー。その後一緒にゲームしたのはいいけど、紗がかなり強くて驚いた記憶がある
ロボ子(この記憶たちは無くさないよ…ボクたちの絆だから)
そう言ってロボ子さんは記録に大事にロックをかけた
そういえば―とこよりは話を始める
ぼたんが送ってきた例の警備員たちの画像についてだそうだ。警備員たちの顔がおなじという事例。カリオペたちはよく見てなかったが、そういえば声も似ていたなという
ぼたん「こよりに送ったあとに色々データサーバーを漁ってたんだけどさ。機密情報の中に取引データがあって、その内容が『戦闘要員派遣取引』って書いてあった」
こより「戦闘要員…まさか―!」
ぼたん「そう。そのまさかだよ。ここで色んな人種の人間を作って派兵する…その取引先はギャング然り違法組織然りだった。もしくは新しい人類とやらで世界を掌握するつもりだったのかもね」
人に絶望したから新しい人類を用いて世界を掌握する―でも本人はどうするのだろうか。新しい人類を作って掌握さぁ終わり―とは行かない気がする
なにか…他の目的があるみたいに
こより「…悩んでても仕方ないですね…先へ進みましょう!」
こよりのロボットコココロに案内されながら、地下へと続く階段を下っていくと、次第に白かった壁は真っ黒になっていき、黒く染った金属が見えるようになる。壁に走る蒼光は不気味に地面を照らす
まるで入っては行けない場所に入っているかのようだ
こより『実験室まで直線です!急ぎましょう!』
タッタッタッタッと走る音が響き渡る
だがなぜかその音は次第にぴちゃぴちゃと水を踏むような音に変わっていった。おかしいと思ったコココロは足を止める。よく地面を観察してみれば、そこには水溜まりが数箇所あった
こより(…?なんで地下に水溜まりが?外は晴れてるし、この場所は川付近じゃない。それと地下水に届くほど深くもないし―)
と考えているとき突然、コココロが何かにぶつかったかのように吹き飛んだ
それからみんなは一気に戦闘態勢に入る。どこからか撃たれたのか。そう思ったりはするものの、ルイの眼で見てもどこにもいる気配は無い
注意深く警戒する。どこから来る…そうしていると、沙花叉がいきなり叫んだ
沙花叉「みんな水溜まりから避けて!」
その声を聞いてみんな水溜まりから離れる。すると先程いた水溜まりから、突如として大きな水柱が立った
コココロを攻撃してきたのはこの水溜まりからだろう。ぶくぶくと泡が出る水溜まり。やがてその水溜りから、1人の女性が現れた
えーちゃん『あ、貴女は!』
こよりの近くでモニターしていたえーちゃんは声を上げる。水からその姿はかつて泉と名乗っていた女性そのものだったから
えーちゃんはみんなにそのことを説明する。そして恐らくこの人が紗を誘拐した犯人の可能性が高い
スバルは水からでてきた女性に声をかけた
スバル「お前、何者だ!」
アクエリアス「私の名は泉。またの名をーー第11の人類、アクエリアス。お前たちを排除するために来た」
スバル「この先には行かせないってか?上等――力づくで通ってやる!」
そう言ってスバルたちは戦闘態勢に入る
アクエリアスは、お前たちはこの先には行かせない。といって水に潜ってしまった
さっきのように突然飛び出して攻撃してくるつもりだろう。細心の注意を払って警戒をする
アクエリアス『ゆく河の流れは絶えずして…元の水に非ず』
ぼたん「痛った―!」
突如沸き立った水の飛沫がかかったぼたんは、その水滴がかかった部分を抑える。その部分は赤く滲んでおり、切られたような跡がついていた
ナイフのような物で斬られたかのような痛み。まさにその水かナイフになったかのようだった
アクエリアス『水はいかようにも変化する。柔らかく靱やかであるだけではなく、高水圧ではカッターのようにもなる』
沙花叉「どうして通してくれないの?私たちは貴女には用は無いんだけど!」
アクエリアス『…それが私が命じられた宿命だから』
バシャバシャと水溜まり間を飛び込んで移動するアクエリアス。飛び込むかと思いきや高水圧ビームで攻撃してくる
一方でタイミングを図っていろはや沙花叉が物理攻撃をしたとしても、相手は体を溶かし、水を切るかのように手応えがなく空振りしてしまう
相手に実態を持たせられればいいのだが…
スバル「ねぇシオンさぁ、氷の魔法とか使えないの?」
シオン「残念ながらシオンは黒魔術特化だから、基本属性は苦手なんだよね」
スバル「そ、それならさ!誰かを呼び出すとか…」
スバルがそういうと、シオンはそれならできるが少々時間がかかると言う。それでもいい。ラミィとか呼ぶことが出来たら、この戦況が一変するだろう
シオンが呼び出すための詠唱をする間、みんなはアクエリアスの気を引いたり、攻撃を代わりに受けたりして保護する
シオン「行けるよ!」
スバル「よしシオン任せた!」
シオン「召喚―――!!!」
みんなの前に立つシオンの目の前に、パッと魔法陣が展開されて光り輝いたかと思えば、そこに現れたのは水色の髪の女性――雪の一族の令嬢こと【雪花ラミィ】の姿だった
ラミィ「ふぇ?なんでこんなとこにいるの?」
ぼたん「ラミちゃ〜ん。たしゅけて〜」
ラミィ「ん?え!!ししろん、どうしたのその怪我!」
ボロボロになっているぼたんを見るやいなやラミィはぼたんに駆け寄って手当を始める。その間にぼたんは事情を簡単に説明した
紗を助けるためにこの先に向かっている時に攻撃された事を
ラミィ「―なるほど。仲間を助けるのを阻む奴から攻撃されたと。いっつもししろんは1人で無茶するんだから〜ラミィに任せなって」
ぼたん「わりぃ。任せ――?」
ラミィがぼたんから離れたその瞬間、ぼたんは違和感を感じた
敵からではなく最もそばに居るラミィから
なにかは説明出来そうにない違和感をぼたんは抱えるが、気の所為だなという風に首を横に振った
ラミィ「あんたでしょ!ラミィの大切な仲間に傷つけたのは!」
アクエリアス「人が増えたところで所詮は旧人。ここは通さない。ふっ!」
勢いよくアクエリアスはラミィに向かって水の刃を飛ばした。だが、それはラミィに届くことなく霧散して消えてしまった
驚いたアクエリアスは無造作にラミィに水の攻撃を仕掛けるも、全て霧散して消えてしまう
―よくみれば、ラミィの付近…いや、この空間自体がかなり冷え込んできたのが目に見えるくらいに白く霞んできた
アクエリアス「この位置では危険か…?」
水に潜ろうとするアクエリアスは足元の違和感を感じた
下を見れば既に足元の水は氷に変化しており、それに接している自分の足も膝下まで凍ってしまっていたのだった
ラミィ「この絶対零度下では水は無いに等しい…ししろんが受けた痛み…思い知りなッ!ダイヤモンドダスト―!」
ラミィが手を前に突き出すと、ラミィの後方から冷たい氷の風が精製されてアクエリアスの方へと飛んでいく
身動きを取れないアクエリアスはその風に当たると、氷がその身体を侵食した。恐らく目には見えないほどの小さな氷の礫がラミィから出ているのだろう
アクエリアス「やはり…失敗作では――」
そう言い残したアクエリアスは、完全に氷に包まれて動かなくなってしまった
ふんっとラミィは腕を腰に当てて鼻を鳴らした
その時、部屋の照明が氷に屈折してキラキラと綺麗な景色を作り出していた
そのラミィの姿を見たルイはぼたんと同じく違和感を感じていた
ルイ(あれ、ラミィ先輩って氷魔法使えたっけ…?氷の令嬢ではあるけども、使えないみたいな話聞いたことあるような…)
ぼたん「ルイルイ」
考えすぎて険しい顔をしていたルイの肩にぼたんは手を乗せた
そして首を横に振り、今は紗の救出を最優先だと言わんばかりの眼差しをルイに向けた
―気づいていても今は話すべきじゃないのかもしれない
ルイ「…待ってて紗。今助けに行くから―」