記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話 作:ほがみ(Hogami)⛩
夜中、こよりの実験室は明かりが灯っていた
そこから聞こえるのはゲームのピコピコした音とカランと置かれる小さな空き瓶の音。そしてこよりの実験室の扉には、こより実験中と書かれた木の札が下げられていた
―こよりが配信しているのかと思いきや、パソコンの前にいたのはこよりではなく、紗であった
紗「……難しい」
ゲームの画面を見ながらつぶやく紗。これは実験中でありつつも、紗は楽しみながらやっているようだ
コンコンと優しく扉がノックされ、入ってくるのは料理を持ったのは、この実験を企てたこよりであった。持っているものは、オムライス。そのオムライスには「実験に付き合ってくれてありがとう♡」の文字があり、彼女なりの感謝の方法がうかがえる
こより「調子は大丈夫?」
紗「不調ではないですよ。それで…何時間経ちました?」
紗がそう言うと、こよりは胸ポケットに入っている時計で時間を確認し、紗が薬を飲んでからどれほどの時間がたったかを計算した
こより「約6時間ってところかな。ちゃんと休憩はした?」
紗「しなくてもいいくらい元気ですよ…この薬どうなっているんですか…」
こより「ほうほう…それなら実験は成功かな!もうゲーム終わっても大丈夫だよ」
薬のことには一切触れず、実験の終了を告げるこよりに紗は若干困惑するも、このステージをクリアしたら終わろうと思い、それをこよりに告げると、こよりも一緒にやってくれることになり、ふたりでそのゲームを楽しみ始めた
―それから約1時間後…ゲームは無事に終了することができた
こより「紗ちゃん結構才能あるんじゃない?」
紗「えへへ…ありがとうございます。それで――どうしてこの実験をしたかったんですか?」
こより「…言わなきゃだめ?」
紗「ダメです。私が気になって夜しか眠れなくなっちゃいます」
こより「それ結構健康じゃん!まぁ、実験に付き合ってくれたし特別に教えちゃう!実はね―――」
こよりはここに至るまでの経験を話し始めた
配信内で、こよりの視聴者…つまりは助手くんが言い始めたことが始まりであった
―『こよちゃんって……なんであんなに長時間配信できるの?』―
こよりもそれは不思議であった。体感1時間ほどであるのに、実際は6時間経っていたりとか、知らぬ間に時間が経っていることは多々あることであった
こよりとしてはリスナーを飽きさせたくない。だから長時間配信しているというのもあるのだが、それにしても長時間配信できるのは不思議だった
こより『先輩方もこよの配信時間不思議だって言ってるし…そうだ!こよの感覚を知ってくれればその疑問もなくなるんじゃ―!?』
そこからこよりの研究は始まった
試作品の開発から研究。そして失敗点を見つけ更に研究――そうやって数日経ち、完成品ができたものの試してくれる人はおらず、こよりの感覚を体感するためなのにこより自身が薬を投与しても意味がない
誰かいないかと思っていたところ、Holoxの付き人が現れ、彼女に試してもらおうと思ったことから始まる
危険性はないことはわかっているし、付き人としての勤めを果たしてもらおう!とのことだった
紗「こよりさんの感覚は――」
こより「こよ」
紗「…こよちゃん」
こより「(♡ >ω< ♡)」
紗にこよちゃんと呼ばれたこよりは満足そうな表情を浮かべ、尻尾をフリフリする
コヨーテの本能か、嬉しいことがあると尾は上がり、フリフリとリズムよく振れるのだ
紗「ねぇこよちゃん」
こより「なに紗ちゃん♡」
紗「どうしてこよちゃんは研究するの?」
その質問にこよりは硬直した
―どうしてこよりは研究をするか。そんなこと考えたこともなかった。Holoxがあるから?一体いつから研究を研究し始めた?悩むこよりはとことん悩み始める
紗は悪いようなこと言ってしまったかと不安になる。沙花叉のときもそうだったが、なんでも自分に非があると考え込んでしまう傾向があるようで、そこが紗のいいところだが、悪いところでもある
こよりは考えに考え、答えを見つけ出した
こより「…興味があるから」
紗「興…味?」
こより「そう。この世界って謎だらけでしょ?こよはそれを全部解き明かしたい――のかな?」
紗「なんで疑問形式なんです?」
こより「実際、こよもよくわかってないんだ。Holoxに入る前から研究はしてたし、今更どうしてと言われても…習慣になっちゃってるし、わからないよ」
研究者として普通であるかと思ったが、本人もわからない事情になっているとは紗も想像しなかった
逆に言えば、研究することを特別とは思っておらず、むしろ普通であると思っている
こより「こよにとって研究はご飯と同じ。無くてはならないものだから」
そう言ってこよりは近くにあったお菓子をパクっと一口で頬張る
それほど普通であり、重要なものでもある。普通の人間でそこまで達せる人などいるのだろうか。彼女はコヨーテであるからそこまで達することができるのだろうか
紗は少し羨ましく思う。記憶がない今は、こよりのような普通でありながら大事なものは無い。記憶があったときはあったのだろうか。あるとすれば、それは何だったのだろうか
紗「いいですね。私も…こよちゃんみたいな普通でありながら大切なもの―手に入りますかね?」
こより「きっと手に入るよ。こよだって、何気ない日常生活が大切なものだしね」
こよりの言葉はものすごく紗の心に刺さる
―当たり前こそが大切なもの。今、こうやって記録されていく記憶を紗は大事にしようと胸に秘めた
こよりのキャラが分からなくなる…頭ピンクにしつつも頼れるような口調にするのは難しいなぁ…
良ければ感想とか聞かせてもらえれば、私が喜びの舞を踊ります!(誰得?)