記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話 作:ほがみ(Hogami)⛩
ボロボロになるルイやいろはの姿を見せられて、紗は唖然とした
そして私のせいでーという悲しみが込み上げてくる
?「今のお前は博士からの命令を受ける人形。そしてお前はあいつらを倒すことを命令されている」
紗「―――」
積み上げられた悲しみにさらに自分がやったという悲しみが積み重ねられ、絶望すら感じていた
―私がやった。私が彼女たちを傷つけた。その事が紗の胸を埋めつくす
?「私に渡せ。私が彼女たちに救いを与えてやる」
紗「―救い…」
?「そう。もうボロボロになるのを見るのは辛いだろう?だから私が引導を渡してやる」
その言葉が妙に心にくる。紗はこのまま自分が傷つけてしまうのであれば、その救いに乗ってみるのもアリかなと思ってしまう
なんだか大きな手に体が包まれているみたい。その言葉が甘く誘惑を誘う。これ以上みんなが傷つかないのであれば―と折れそうな時、紗の耳に声が聞こえてきた
―諦めないで―と
その声の主を紗は知っていた
再び聞こえるその声に紗は応答する
『諦めないで―』
紗「諦めないでって言っても、私が傷つけちゃったのは変わらないから…」
『あなたが諦めたら、みんなは救われないよ。彼女は旧世代の人間を排除しようとしてるんだもん。その中に私達が含まれない保証は無い』
その言葉で紗は気づいた
彼女の言う救いというのは、すなわち【死】なのだろうと
死は救いであるという言葉がある。死すれば命はそこまで。苦しみなど無い世界に行くと言われているらしいが…死せばもう生ける人とは会うことは出来ない
それだけは絶対に嫌――
そう思った時、紗の胸元にあるネックレスが暖かくなり、眩い光を放ち始めた。胸の中の苦しみはその光と共に消えていき、自由に体が動くようになってくる
『もう大丈夫。さぁ、立ち上がって――』
顔を上げた紗は手を差し伸べる光の人がいるのに気づいた
その人はニコッと笑っており、紗が手を取るとその人は光の粒子となり、紗の胸元へと入っていく
紗はその光が入っていった胸に手を当てて呟く
紗「―ありがとう。そらちゃん」
そう言って胸のネックレスをぎゅっと握った
そして再び紗は立ち上がる。自分という影を断つために
?「ば…ばかな…ありえない!完全に掌握出来たはず―」
紗「私であるなら分かるでしょう?私は諦めない―諦めたくない性分なことを!」
その言葉を聞いて悔しそうな顔をする紗(荒)は剣を強く握りしめて紗に襲いかかってきたが、紗はそれをいとも簡単に弾き返した
―私の想いの強さはあなたに負けはしない。そういうように、強く強く弾き返す
すると今まで紗が受けてきた攻撃のように、紗(荒)に対して、紗の―みんなの想いが伝わってきた
スバル『もうやめよう――』
?「っ――!黙れッ!」
刃が交わる度に紗(荒)の心に言葉が届く。それが鬱陶しいようで、苦しい声を上げている
スバル『もうアイツの言いなりにならなくていいんだよ―』
?「黙れッ!」
スバル『紗は―大切な家族だよ―』
?「私に家族なんていないッ!私は…造られた命―ーあるのは命令しかないッ!」
紗「それは違うよ―」
紗は叫ぶ紗(荒)に向かって悲しむような声で話しかける
紗「私たちは造られた命――だからと言ってあるのは命令だけじゃない。無いのなら作って行けばいい――私たちに家族は居ない。でもこれからもいないとは限らない。私の記憶があるなら分かるはず…」
?「そんなの…分かるはずがない…私はあなたの影でしかないから―あなたと私は違う!私は――あなたにはなれない…」
その時、天からスバルの声が聞こえてきた
―『ならスバルが紗の家族になる!紗の姉ちゃんになる!かぁちゃんや、ラプラスたちも同じ!ホロライブっていう大きな家族に!』
その声が響けば、太陽のように暗かった空が光り輝き2人を照らす
紗(荒)は柔らかい表情になって、紗に対して投げるように言葉を発した
?「…行け」
紗「?」
?「私の胸を刺して彼女たちの所へ行け。私はお前じゃない。お前の仲間がいう家族ってのに私は含まれない。お前が帰るべきだ」
紗(荒)がシュッと指を振ると、紗の体が勝手に動き、紗が剣をその胸に向ける体勢になった。紗(荒)は全くの無抵抗。両手を広げてそれを迎えているかのようだった
このまま力を込めれば胸を貫ける―でも、紗はそれを拒んでいた
?「…なぜ拒む。ここでトドメを刺せばお前は現世に戻れる」
紗「あなたが私なら、あなたも家族なはず!助かる方法があるは―」
?「―私なら分かるだろう?私は諦めない性分…さぁ私を殺せ」
紗「っ……」
紗は複雑な心ながらもその胸を剣で突き刺した
突き刺した時、紗の頭に紗が失っていた記憶が蘇る
Eveという本当の名前。生まれた意味。博士から生み出されたこと。博士の野望。そして博士の本当の願いさえもその頭に入ってくる
Eve「私は私だ…そしてお前はお前。元々ひとつであっても、別れれば個となる人。私の全てをお前に託す」
紗「Eve…」
Eve「案ずるな…再びひとつになるだけ…それはそれで…悪くない」
暗かった世界が光を取り戻し、消えていく
紗は真の名を得て、人となった
さぁ目を開けるんだ。新しい人よ
もうすぐ