ただしオカメインコである。   作:タラレバ蟹

1 / 27
習作です。
不定期更新。
9割がノリと勢い。
深いこと考えずに読めるものが出来たらなと。


プロローグ

 それ以前の自分がどういった存在だったのか正直あまり覚えていない。

 

 覚えているのは神を名乗る存在と出会ったこと。

 その自称神が言うには自分は事故によって死んだこと。

 所謂転生特典を付けて生まれ変わりを許されること。

 そしてその時自分が何を願ったかということである。

 

 特典とやらがどの程度許されるのかは分からない。

 しかし口にするだけならただというもの。

 とりあえず思いつく限りで伝えた願いは大きく三つ。

 

 一つ、無敵の存在になりたい。

 二つ、最強の存在になりたい。

 三つ、可愛くなりたい。

 

 自分が死んだという事故の記憶がなくその実感が伴わない以上、死に対する恐怖や忌避感も人並み以上のものではない。

 しかしせっかく得た二度目の人生の権利。再び簡単に終わってしまうような人生は何となく御免というもの。

 そのための無敵。

 

 しかし無敵とはいえただ死なないだけというのであれば無力化手段が無数に存在してしまう。

 拘束されて永遠の時を過ごし、無敵であるが故に終わりを迎えることすら出来ない、……なんてことになってしまえば目も当てられない。

 平穏な生活を守るためにはありとあらゆる障害を排除する手段も必要だ。

 そのための最強。

 

 とはいえ。そんな分かりやすい超常の存在がいたとしてそれが人の目からどう映るかという問題が残る。

 尊敬や憧れなどの良い方向に転がるのであれば問題はないが、それも過ぎれば崇拝や盲信へと変わり、振る舞いを一歩間違えれば畏怖や恐怖の対象にもなりかねない。

 

 ただ生きるだけであれば上二つあれば十二分。周りの目を気にしなければいくらでも生きている。

 しかしそんな人生の何が楽しいのか。

 孤高も孤独も真っ平御免。むしろチヤホヤされる人生を送りたい。

 そのための可愛さ。

 

 どんなに化け物じみた強さを持っていてもその存在が可愛いとなればギャップ萌えに早変わり。

 神も悪魔も歴史上の偉人さえも美少女化されるこの世の中。人々は可愛いを求めている。

 可愛いの前では無敵も最強も余程それらを振りかざさない限りはフレーバーに過ぎない。

 可愛さは正義。可愛さは全てを解決する。

 

 これが美しさでもきっと似たような効果を得ることは期待出来るだろう。

 しかし美しいというのは触れがたい印象を与えることにもなりかねない。

 

 やはり路線としては可愛い路線がいいと、半ば以上冗談で告げたそれらはあろうことかそのまま叶えられた。

 

 地球上の兵器どころか惑星の爆発でさえ傷一つ付かない絶対的な防御力に隕石ですら一撃で粉砕出来る圧倒的な身体能力。

 他、無敵や最強の名に相応しいちょっとしたオプションの数々エトセトラetc……。

 

 それらは正に願った通りの可愛いを体現した器の中に収められた。

 

 性別はおろか人種や民族の壁さえ超えて愛でられるであろうその姿。

 そこに精神に直接作用するような超常の要素は付随しない。

 しかしそんなものがなくても確かにこれならたくさんの人からチヤホヤされるに違いないと、自身の感性と照らし合わせても納得出来るものではあった。

 

 

 

 

 

 

 

 ──ただしオカメインコである。

 

 

 

 

 

 

「ッテ、ソウハナランジャロガーイ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 無敵!(宇宙スケール)

 最強!(宇宙スケール)

 

 オカメインコ!(手のひらサイズ)

 

 いや突っ込みどころ大杉ぃ。

 

 最強にしてくれと安易なお願いをしたのは確かに自分だけども、こうもポンと渡されても非常に困る。

 もしかしたら何か役割を与えられているのだろうか、あるいはそこに意味なんていうものはなく、神様という存在にとってはこんな馬鹿げた能力だろうと簡単に渡してしまえる程に取るに足らないものだったのか。

 仮に後者ならまるで分かり合える気がしない。理解が及ばないからこその神様なのかもしれないがそれはさておき。

 

 感覚が告げるところによると能力自体は完全にコントロール下に置かれているため暴発の恐れはなさそうというのがせめてもの救いかもしれない。

 

 いやでもほんとなんでオカメインコ。

 崇められるのも恐れられるのも御免であると確かに言った。

 そのために可愛さが必要であるのだと。

 

 しかし求めていた方向性としては本当はめちゃくちゃ強いけど可愛いからいいやであって、とても強いとは思えないような小動物的可愛さを求めていたわけではない。

 

 ……いや、もしかして神様もオカメインコを可愛いと思っていて趣味を反映してしまったとか?

 もしそうであれば先の発言は撤回する。すごく分かり合えると思う。

 

「デモマァ、ナッチャッタモンハ ショウガナイヨネ」(めちゃ可愛ボイス)

 

 ぶっちゃけた話、さすがに突っ込まざるを得なかったとはいえ、そう不満はなかったりする。

 なぜオカメインコという疑問は残ってこそいれども貰った特典自体は破格の一言に尽きる。

 ここまでぶっ飛んだチート能力なら大抵の世界ではイージーモードはほぼ確定。

 もちろん先に述べた通り、この能力が何らかの役割を期待されているからという可能性もまだ残っている。

 とはいえ、よくよく考えれば本当にそんな役割が存在しているのならいくらなんでも一言あって然るべき。

 

 姿も形もその声も何一つ思い出せず、やり取りの内容だけ思い出せるという不可解な状況ではあるけども、少なくともその中に役割云々の話は存在していない。

 要するに好きに生きていいものだと判断する。

 

 しかし何をするにしてもまずは現状把握。延いてはここがどんな世界かを知ることが必要だ。

 ……必要なのだが、視線を下ろした先には夜だというのに街灯の下を忙しなく行き来する人々に道路をライトで照らしながら次々と行き交う車。

 眼下に拡がる景色は見れば見るほど見覚えのあるそれで。

 

「ドウミテモ トウキョウデス。ホントウニ アリガトウゴザイマシタァ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 やっぱ過剰ですねぇ! この能力。

 てっきり転生先は定番の剣と魔法のファンタジーだと思ってたから無敵だの最強だの言ってたのに絶対これ必要ない。

 魔物をバッサバッサとなぎ倒して俺TUEEEEする展開なんて望むべくもない。

 もしかしたらこの世界が現代ファンタジーであってその可能性は残っているのかもしれないが、とりあえず現代日本で転生者がやることと言えば決まっている。

 

「ヨシ、ハイシンシャニナロウ」(めちゃ可愛ボイス)




プロローグと1話を分けて文字数も稼ごうと色々してたらめちゃくちゃ冗長になったので削りに削ってまとめてプロローグに。
まだまだ文章書くのは難しい。書き直すかも。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。