ただしオカメインコである。   作:タラレバ蟹

10 / 27
パソコン逝ったときからペースが狂い続けてるのとなんか月末急に忙しいのと集中力無さすぎていつにも増して亀更新。


【ピーチャンネル】ゲーム配信1

☆月☓日 20:00 配信開始

 

「ミナサン コンバンハ!

 セカイイチノ トリインフルエンサー、ピーチャン デス」(めちゃ可愛ボイス)

 

 今日のピーちゃんは鼻の上に小さな眼鏡をちょこんと載せ、ワイシャツにネクタイを巻いたちょっぴりインテリ風味。

 先のキャンプ配信では文字通りたとえ火の中水の中であったためか惜しげもなく裸体を晒していたものの、屋内の配信ではまだまだコスプレを続けていくつもりのようである。

 

コメント

:こんこんー

:トリインフルエンサーは笑う

:コンバンワ!

:トリインフルエンサーwww

:鳥インフルエンザかよwww

:感染したらピーチャンになりそう

:もう国レベルで認知されてきたからな

:インフルエンサーって天気にも影響与えるものだったっけ

:ナンバーワンっつーかオンリーワンなんだよなぁ

 

「セイジカノ オッサンガ ピーチャン カワイイヨネッテ、

 ワカモノブンカヲ リカイシテルアピール スルコロアイ」

 

コメント

:生々しいこと言うなw

:ピーちゃんの悪口聞くと安心する

:それくらい許してさしあげろw

:お口わるわるなの毎回草生える

:というか政治家もだいぶ言葉選んでるだろw

:なにかの間違いで地球が滅(メッ)されたら洒落にならんからなw

 

 何かしらのコスプレをしている、そしてなんか微妙に口の悪いいつもの光景。

 映し出されるのもいつもの一室ではあるものの、やけにピーちゃんとカメラの位置が近い。

 雑談配信では基本的にテーブルの上にはピーちゃん以外存在しないのが常。

 それが今日に限って置かれた普段見ないマウスやキーボード、そしてコントローラー。

 これらの存在がこれから何をするかということを如実に表していた。

 

「キョウハ! ゲームハイシン! ゲームハイシン ヤルヨー!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:ゲーム配信!

:ゲーム配信待ってた!

:いうもよりテンションたけーな

:ゲーム配信なんて配信の王道なのにピーちゃんがやると全てが珍しい。

:小さな大怪獣だから仕方ないね

:わくわく

:そいえばキャンプのあの後どしたん?テントとか張る予定じゃなかったん?

 

「ン。モウ フツウニ イエ カエッテネタ!」

 

 元々はピーちゃんのアシスタントとして裏で活躍していた通称眷属ちゃん。

 紙袋で顔を隠しその服装もやぼったいジャージ姿という不審者のような見た目をしているものの、所々から窺わせる美少女の気配から密かな人気を博していた、──というのも今や昔。

 ただ一言「お姉ちゃん」と発しただけだというのにその瞬間に燻っていた視聴者人気に火がついた。爆発したと言い換えてもいい。

 荒れるコメント欄、乱れ飛ぶスパチャ。軽くパニックになる眷属ちゃん。当然のようにその日はもう配信を続けるような状況ではなかった。

 

コメント

:大騒ぎだったもんな

:妹ちゃんの婚約者出すぎてカオスだった

:バトルロイヤルでもして数減らせよ

:でも初めての一言が「お姉ちゃん」ってポイント高いよ

:今日スレで眷属ちゃんと呼ぶか妹ちゃんと呼ぶか論争勃発してるの見たわ

:てかその妹ちゃんは今日おらん感じ?

 

「ケンゾクモ、ナカナカ イソガシイノヨー」(めちゃ可愛ボイス)

 

 普段はカメラの後ろに控えていることも多いものの、いつもと違い今日は近くにも控えていないらしい。

 忙しいという理由も嘘ではないにしろ、騒ぎから昨日の今日であるが故に万一ということを避けたという理由もあるのかもしれない。

 

コメント

:なんか仕事してるんかな

:働かんでもスパチャやばい額手に入っただろうにな

:妹ちゃんと結婚するためなら金なんて惜しくない

:あの一言だけでとんでもない金額投げまくる奴らばっかで軽くホラーだった

:ほんそれ

:どんなに貢いでもお前らは金持ってくるだけの家畜だってのにな。

 お前らは家畜と結婚したいって思うか?

:辛辣すぎるコメント急に来て草ぁ!

:わァ・・・ぁ・・・

:泣いちゃった!

 

「マズ ピーチャンニ カテルコトガ ダイイチジョウケン ダケドネ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 尤も、仮に勝てたところで。視聴者側は一方的に存在やその振る舞いを見る機会はあれども逆は基本ないわけで。

 認識されることから始めないといけない以上道のりは遠い。閑話休題。

 

コメント

:無理

:無理!!

:第一条件のハードルが成層圏突き抜けてるんだよなぁ

:マジで現在の人類にピーちゃんに勝てる手段ってあるんか

:まず思い浮かべるのは核だけど効くイメージが湧かない

:俺も筋トレはじめるかぁ・・・

:サイ○マでも勝てるんか・・・?

:少なくとも勝負にはなりそう

:そもそもしれっとみんな妹って認めてるけどそもそもどういう関係なのか

 

「チハツナガッテナイケド、デアッテスグニ、シマイニ ナッタヨ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 コメント欄の疑問に素直に答えるピーちゃん。

 

コメント

:スールの契り結んだのか

:やっぱ百合じゃないか!

:マリ○て?

:キマシタワー

:あら~^^

:あら~^^

:血繋がってたらホラーなんだよなぁ

:キマシタワー

:バナナだって人間と遺伝子が半分一致するらしいし、

 オカメインコならきっとそれ以上、つまり実質皆兄弟姉妹

:つまり結婚してる奴ら全員近親相姦してるって解釈でよろしいか

:美少女と可愛い鳥さんの構図ってすごい絵になりそう

:口元しか見たことねぇけどな!

 

「ワレラドウネンドウゲツドウジツニウマレエズトモ!

 ドウネンドウゲツドウジツニシスルコトヲネガウ!」(めちゃ可愛ボイス)

(我ら同年同月同日に生まれ得ずとも!同年同月同日に死することを願う!)

 

 ただし素直に本当を口にするわけでもないというのは当然視聴者には知る由もない。

 出会いの記憶は二人だけの大切な思い出という思いの発露から来るのかもしれない。

 

コメント

:桃園の誓いwww

:桃園の誓いじゃねーかw

:なんでそんな漢臭いやつなんだw

:ゆ、ゆり・・・?百合どこ・・・

:一瞬でキマシタワー崩壊

:こんなん三国志にいたらバランスブレイカー過ぎる

:現代でも十分以上にバランスブレイカーなんですがそれは・・・

:千年先でも人類がピーちゃんどうにかする手段無さそう

:というかわざわざ三国志の話したってことはつまり配信するゲームも?

 

「ウン! ア○オニノ ジッキョウスルヨ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:_(┐「ε:)_ズコー

:三国志関係ないんかーい!

:またえらく古いのをw

:まぁ王道っちゃ王道か?

:アオ○ニって何?

:知らんなら見れば分かるやろ

:えらい脱線してたな

:一言で言うならバケモンから逃げる脱出系ホラーフリゲってとこかね?

 

「トイウワケデ、ポチポチットナ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 マウスを抱えるようにホールドするとそのままマウスパッドの上をちょこちょこと移動するピーちゃん。

 器用にカチカチとクチバシで操作した後、ピーちゃんの画面が小窓に変わりゲーム画面が表示される。

 

▶ニューゲーム

 コンティニュー

 シャットダウン

 

「モチロンニューゲーム!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 マウスから離れ元気に叫ぶピーちゃんはコントローラーのスティックとボタンに両の羽を添えて万全の態勢。

 グリップ感は皆無なものの、フィット感はそれなりといった具合である。

 

コメント

:ちょこちょこ移動するの可愛いな

:プレ○テ用のコントローラー使うんだな

:俺もピーちゃんと一緒にゲームしたい

:思ったよりいけそう

:ボタン押せるんかな

:なんか古そうってか、かなり古いゲーム?

:さすがにLRボタンは手?が届いてないな

:まぁオカメインコが使うもんじゃないからなw

 

「ソウオモウナラ、オカメインコヨウ コントローラー ツクッテ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 とはいえそれなりはそれなりだ。使い心地の悪さはやはり感じていたらしい。当然だ。

 

コメント

:無茶言うなw

:おいピーチャンサマのお下知ぞ!

:俺には無理だがニンテ○ドーならやってくれるはず

:さすがに眷属ちゃんもコントローラーは作れんかったんやなって

:工学系はやっぱ専門の勉強いるからどうしてもなぁ

 

「オカメインコダケサベツスルノ、サッコンノジリュウニハンスル!」(怒)

 

 怒りを露わにするピーちゃん。差別撤廃を謳うこの世の中に一石を投じる発言……、なのかもしれない。

 

コメント

:だから無茶だってwww

:オカメインコサベツwww

:そんな時流ねーからw

:ピーちゃんまで含めたらバリアフリーの定義が地球覆っちまう

:オカメインコサベツがオカメインコキャベツに見えた

:実際障害者用コントローラーとか出てきてるし、ワンチャンある・・・か?

 

「モシ ツクッテクレタラ、チョクセツ アイニイクノモ ジサナイカクゴ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 それは行けたら行くくらいの曖昧な口語表現。とはいえバレンタインで実際に視聴者のもとに訪れていたことを思えばこのオカメインコは来る。割りと本気で来る。

 ピーちゃん(あわよくば眷属ちゃんも)に接する機会の突然の浮上にコメント欄がざわめきを見せる。

 オカメインコ用コントローラーなどと無茶振りもいいとこではあるものの、地球を一万回滅ぼしてもお釣りが来そうな超生物と出会う対価としてはあまりにも安いそれには違いない。

 

コメント

:まじで!?

:くそ!こんなことなら数学苦手だからって文系に逃げるんじゃなかった

:今この瞬間にS○NY vs NIT○NDOのゴングが鳴らされた気がする

:工学ものづくり配信者出番だぞ

:初のコラボ配信なるか!?

:有名な配信者やVの者もたくさんいるのにすごいところに可能性生えたな

 

「ピーチャン ス○ブラ シタイ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:スマ○ラやりたいんかwww

:一緒に対戦してえ

:スポブラ?(空耳

:ピーちゃんが使うキャラ何にするのか気になる

:任○堂さん本気だす時が来たぞ!

:いつか視聴者参加配信あると信じて今から鍛え直さねば

:そりゃぁピー○姫だろう

:名前の感じだけで選ぶな

 

 と、まぁ脱線は程々にして。このままだと脱線を続けて空にまで飛び立ちそうだった。

 咳払いを一つ。無理やり軌道を修正させる。

 

「ンン!! ア○オニ ヤルヨ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 表示されてそのまま放置されていた主人公の名前入力画面に向き直れば、灰色の髪をした眼鏡の青年(中学生)が映っている。

 やや神経質そうなそのキャラクターにピーちゃんがつける名前とは、

 

「モチロン ピーチャンニ キマットル ヤロガーイ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:この顔でピーチャンは草

:wwwwwww

:名前可愛いなおいw

:ちょっと嫌味なインテリ眼鏡にピーちゃんって自己紹介されるの想像して駄目だった

:wwwwwwww

:wwww

:wwwww

 

 舞台は町外れの無人の館。

 肝試しに訪れた四人の少年少女、その内の一人が主人公。

 化け物から逃げつつ謎を解きながら館からの脱出を目指すというものだ。

 

「ホイホイットナ」(めちゃ可愛ボイス)

 

 器用に操作して攻略を始めるピーちゃん。複雑な操作を要求されるゲームではないこともありその動きに淀みはない。

 タンスを調べ、椅子を調べ、図書館にて机の上を調べていたその時、ついにそれは姿を現した。

 

 鬼と聞いてイメージする屈強なそれではない。

 全身が真っ青で歪な頭をした人型の化け物。

 人ではありえないと理解しながらも半端にリアルな人間の特徴を残していることが余計に不気味さに拍車をかける。

 

コメント

:でたーーーー!

:きっも!

:こっわ

:ピーちゃん逃げてー

:急に来るやつ苦手

:ブルーベリーの悪魔

 

「オ、デタネー!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 しかしそのような化け物を前にしても怖がるどころかどこか嬉しそうだ。

 当然驚いて操作に支障が出るということもなく、追いかけてくるそれを難なく振り切った。

 

コメント

:ピーちゃん初見じゃないん?

:全く危なげなくないな

:私こういうの駄目だわー

:いきなり目の前にいるのむーりー

:やっぱ反射神経も違うんかな

 

「ジッサイニ ヤルノハ ハジメテ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:初めてかー

:見たことはあるんだな

:謎解きも知ってる

:みんな言わんけどピーちゃんって何歳なんだろうな?なんでこんな古いゲームするのか

:わりと引っ張ってくるネタは古いの多いよな

:ピーちゃんの中身おっさん説

:ピーちゃんは元男の転生者なんだよ!きっと!

:まぁ転生は知らんけど言動は人間丸出しよね

 

 視聴者と会話を交わしながら青鬼から逃げては謎を解き、謎を解いてはまた逃げる。

 さすがにノーミスとはいかないものの、安定して攻略を進める一方で、何故かピーちゃんのトーンは段々と下がっていく。

 

「……ウン」

 

 そしてプレイすること更に十分。どこか思い詰めた様子でゲームを中断させるとコントローラーから身を離した。

 マウスを再び操作した後、再び大画面にピーちゃんが表示される。

 

「ピーチャン、キヅイチャッタ」

 

コメント

:どしたん? 話きこか?

:青鬼出るたびに元気なくなってったな

:ピーちゃんが元気ないと不安になってくる

:楽しそうにゲームしてたのにどしたんや

:元気出してー

:誰かグリーンピース!グリーンピースもってこい!

:コーンもな!

 

「ピーチャンノホウガ ツヨイカラ ゼンゼンコワクナイ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 ホラーゲーム実況の醍醐味としては実況者のリアクションにあると言っていい。

 無論魅せ方というのはそれだけではないのは当然としても、ホラーを冠するからには怖がったり驚いたりしてなんぼというもの。

 その点ピーちゃんはといえば、びっくりするほど無反応。ホラーゲーム実況からホラーが抜け落ちただの謎解き実況と化していた。

 

コメント

:そりゃなwww

:まぁピーちゃんにぶつけたらピーちゃんのが強いわなw

:ピーちゃんは最強でも幽霊は怖いとかギャップ期待したけどまるでそんなことはなかったな!

:音声だけで悪霊祓えるらしいししゃーない

:あの噂ほんまなんか?霊とか見たことないから眉唾

:青鬼くらいなら山田でも倒せそう

:というかピーちゃんどっちかっていうとコッチ側じゃなくてアッチ側だろwww

:バレンタインチョコ当選者に嬉しさと一緒して恐怖をスパイスにする絶対いらない心遣い

:リアクション欲しいなら眷属ちゃん呼んじゃえよ

 

「アー、ヨンジャウー?」

 

コメント

:呼ぼう呼ぼう

:お、別に禁止したとかじゃないのか!

:呼べるなら呼んで!

:やっぱ二人揃ってるところ見たい

:最近ずっと一緒だったからいないほうが不自然に感じる。

 

「ハイ! ジャア、ヨブヨー!」(やけくそ)

 

 数瞬悩む素振りを見せた後、沸き立つコメント欄に後押しされて呼ぶことを決めるピーちゃん。

 

コメント

:呼んじゃえ呼んじゃえ!

:妹ちゃん俺だああああああ

:おっぱいおっぱい!

:っぱただの鳥より美少女よ

:↑あんま迂闊なこと言うと消されるぞ(物理

 

 デンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドン

 

 謎の効果音と共に床に穴が空き、その穴から紙袋の少女がゆっくりと生えてくる。

 ぺたんと床に座ったポーズでカメラに背を向け、左手にはカップ麺(ど○兵衛)、右手には箸。

 あまりに急な呼び出し過ぎて食事中だったようだ。しかしいつ呼ばれても良いように紙袋を外していないことはさすがという他ない。

 

 何が起きているか分からないという風にキョロキョロと辺りを見渡し、下手人たるピーちゃんと見つめ合うこと数秒。

 

 デンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドン

 

 逆再生するかのようにゆっくりと穴の中に消えていった。

 

コメント

:戻ってったw

:ど○兵衛www

:ど○兵衛ステマ

:眷属ちゃんもあーゆーの食うんだな

:なんか俺もど○兵衛食いたくなってきたな

:素顔ワンチャンあるかと思ったけどガードがかてぇ!紙袋一枚なのに!

 

「モウチョットマトウネー!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 その一言から十分後。

 

 デンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドンデンドン(めちゃ可愛ボイス)

 

 満を持して再び床に穴が空き、そこから改めて紙袋の少女が姿を現れ……、現れ……ずに背後に映っていたドアが開いて登場した。

 

コメント

:ワープして来いよw

:そこは意見統一しとけよwww

:なんのためにゲート開けたんだw

:ピーちゃんワープも出来るのほんと今更ながらに何でもありやなって

:出来ないことなどあんまりない!

:というか効果音どっからって思ったら口で言ってんのかこれw

 

 そんなちょっとした茶番を挟みつつも選手交代。ピーちゃんは肩の上に移動し静観の構えである。

 先程までピーちゃんが使っていたコントローラーをそのまま手に握るとゲームスタート。配信開始である。

 

 そしてプレイから十分後、致命的な問題が露呈していた。

 

「コレハダメデスネ……」

 

 ピーちゃんとは違い青鬼の存在に驚き一度二度と体を跳ねさせる眷属ちゃんであった。が、それだけだ。

 ピーちゃん同様プレイすること自体は初めてのようだが、ハプニングが起きても極めて冷静に対処する眷属ちゃん。

 

 昔から持て余す可愛さで中々にハードな人生を送ってきた身である。

 誘拐犯や誘拐未遂犯にストーカー。それらの数を挙げれば両の指では最早足りない。

 少しの油断が破滅に直結する以上、驚きこそしてもそこで思考停止することは許されない。強くなければ生き残れないのだ。

 初見殺しに対しても八割方対処し、紙袋が取れたりするようなハプニングの気配も一切ない。

 そしてそもそも根本的な問題として一切喋らない。リアクションは薄味とはいえ取り戻した一方、遂には実況成分すら消失していた。

 

コメント

:まーーーーじで喋らんな、悔しい

:キャンプのときは余程油断してたんだろうな

:寝起きだからなぁ

:眷属ちゃん俺より上手くね?

:これで初見とはたまげる。

:俺はこのまま見てても全然楽しいけどピーちゃん納得してなさそうね。

:ピーちゃんあっち側ってコメント見て思ったけどさ、じゃぁあっち側すればいいじゃん

:デ○ドバイデイライトとか?

:それ

 

「オ、ジャァ、キョウハ コッチヤルケド、ツギハ ソレ ヤッテミヨッカ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 ──デ○ドバイデイライト。

 

 誰か一人が殺人鬼(キラー)となり、残りの4人が生存者(サバイバー)となって行われる、非対称型の対戦ゲーム、要するに鬼ごっこである。

 初期こそ人間の範疇であった殺人鬼(キラー)側も、今やDLCにより複数のあっち側の存在が参戦している状況だ。

 

 

 

 

 

 

 

 後日。

 

「イヒヒヒヒヒッ! ウェヒヒヒヒヒヒヒ! ニゲロニゲロニンゲンドモォオオオ!」(めちゃ可愛?ボイス)

 

 殺人鬼(キラー)となり喜々として、それはもう喜々として生存者を追いかけ回すピーちゃん(&眷属ちゃん)の姿があった。

 

 視界が悪いのは両陣営共に同じ。しかしピーちゃんの身体能力によるゴリ押しにより、どんなに遠くても視界に入った瞬間捕捉してくる上に、どんなに小さな音すらも反応してくる、異常にしつこい殺人鬼(キラー)が誕生していた。

 

コメント

:うーん、これは早まったかもしれない。

:ピーちゃん楽しそうっすねw

:ピーチャンが楽しそうで何より

:やっぱピーチャンあっち側じゃないですか、やだー!

 

 

「ピーチャンカラハニゲラレナイ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 

 

 

 ──この配信は終了しました。

 




キャラが勝手に動くってのを実によく感じた。
ものすごい勢いで脱線したけど配信ってそんなもんやろって開き直って文字量も一緒に増えた。

ピーちゃん:ホラー好きだけどホラーで全く怖くないことに今更ながらに気づいてもう一生ホラーゲームでドキドキ出来ないんだなって気づいて驚いた。傷ついてはいない。無敵だから。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。