遅れたけどエイプリルフールネタということで一つ。
山々に囲まれ周囲に文明の光がそれ一つしか存在しない一軒家。
「クーチャンヤ! クーチャンヤ! タイヘン! タイヘン!」
「そんなに慌ててどうしたんだい? ピーちゃんや」
その一室で黙々と作業を続ける少女、
まるで人間のように感情豊かに言葉を話すそのオカメインコ、それこそが空の義理の姉である。
出会ったときから喋っていたし、オカメインコと会話するというような非日常的な出来事も空にとっては日常になって久しい。
今更オカメインコが喋ったところで特に驚くようなことは何もない。
とはいえ、その話す内容に関しては少し聞き逃がせない部分があるわけで。
空の姉ことピーちゃんは無敵、そして最強である。
見た目からはとても想像なんて出来なくても調整ミスったとしか思えない過剰な戦闘力を持っている。
地球上の兵器じゃ傷一つ負わない絶対的な防御力と地球を一万回滅ぼしても余り有る攻撃力。
例え問題が起きたとしてもテロリストであれミサイルであれ、それが
ではそんなピーちゃんがいう
そんな問題に対し、空には一つだけ心当たりがあった。
「身バレでもした?」
「ウン!」(めちゃ可愛ボイス)
即答だった。一瞬ドキリと心臓が跳ねるのを感じるも、
(ついにかぁ……)
胸中に過るのは納得する思いのほうが強い。
配信に関して今まで二人だけでやってきた。
企業の元で配信を続ける者もいる中、他の誰の手も借りずにずっと二人だけの手で。
いくらピーちゃんが最強とはいえネット上のセキュリティに関しては無力だ。
基本的に無敵も最強も物理一辺倒。戦闘力という言葉に集約される。
個人情報をネット上に漏らすようなことはしていないし、配信サイトだって利用者の個人情報は保護していると決まっている。
とはいえ気の迷いを起こされたらどうなるかは分からないし、他様々な違法な手段を用いればどうか。
少しネットを騒がせるだけの人気配信者というだけならそこまでする人間はきっといない。
しかし姉、ピーちゃんは別だ。
配信では魔法や超能力を惜しみなく披露し、その影響を知った人々の反応から実在を信じる側の方が大きくなってきた。
単純に興味や好奇心をくすぐるというだけでなく、現代では実在しないというそれらの力が実在するというならその利用価値は計り知れない。
それを思えばむしろ今まで身バレしてこなかった方が不思議なくらいだ。
とはいえ身バレと一言で言っても具体的にどの程度であるかはまだ聞いていない。
その程度次第では今後の振る舞いを考えていく必要があった。
しかし世間に色々知られたとしてもきっとやることは変わらないし、ピーちゃんがいればきっと乗り越えられる。
「ワルイウチュウジンニ、チキュウノバショガバレタ!」
「なんて?」
でもなんか思ってたのと全然違うの来た。
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それがその星の存在に気づいたのは全くの偶然だった。
宇宙全体に無作為に拡がるようにして送り込んでいた無人偵察機のうちの一機、その信号の突然の消失。
その原因を探るためにそのポイントに更に無人機を送り込んだところ、発見したのだ。知的生命体の存在するその星を。
そして同時にこうも結論付けた。先の信号消失は無人機の誤作動であると。
無数に存在し失ったところで損失とさえ言えないようなものであれど、デブリなどの外的手段に対応するためにある程度の自衛手段は搭載している。
未だ重力に縛られ星から飛びたつことすら出来ない技術レベルではそれをどうこうする以前の問題だ。
無人機の残骸すら見つからないというのは気になるところだが、為す術もなく消失させられたということは考えづらい。
機能停止後、周囲の星と比べて一層大きく輝く星に吸い込まれでもしたのだろうと結論づけた。
故に、運命というのはこういうことなのだろう。その星にとっては不運だったとしか言い様がないが。
数々の星系を支配してきた我々“イリフェルフル”が欲するもの、それはありとあらゆる知的生命体の持つその技術、そして知的生命体そのもの。
無限にも思える宇宙といえど知的生命体の存在は極めて少ない。そして更に文明を築けるレベルとなると更に割合は激減する。
希少とはいえわざわざ技術レベルの劣るそれを何故欲するのか。
全く異なる環境で育った生命、そしてそこで育まれる技術はアプローチからして全てが異なる。
それ一つ単体で利用するだけでは価値の存在しないそれも“イリフェルフル”の
知的生命体自体にも生体兵器や回路への転用、無限の利用法が存在する。
かつて発見した十数種に及ぶ知的生命体。それら全てを喰らって我々は宇宙の覇者となった。
だが新しく発見した生命体、その全てを収穫するにはまだ早い。彼らの技術が完全に育ち切るにはまだ時間がかかる。
ならば他ならない我々が早めてやろうではないか。
そのためには危機に陥れてやるのが最も手っ取り早い。
その知的生命体の住む星の周囲に十の
そこから現れるは生体兵器“イーラァ”。
かつて収穫した星の現地生物を利用して作られた巨大生体兵器。
──さあ、抗って見せろ。
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「
目の前でとても地球上で使うことは許されない威力のビームを“本気モード”と化したピーちゃんが放っている。
顔に浮かんだ赤いラインや炎を背負った姿は当然見目だけの変化に留まらず、威力が違う。規模が違う。正に本気。
「説明しよう! 本気モードとは! 最強無敵生物ピーちゃんがその戦闘力を100%発揮させるための変身形態である!」
本気モードになったピーちゃんはただリミッターを解除するだけではなく、その能力の一つとして自身への信仰を力に変えることが出来る。
信仰と言っても崇拝を必要とするものではない。その実在を信じ、肯定的な思いを持つだけでいい。
一度だけ配信中に(勝手に)試した本気モードへの変身。
不完全なままだったとはいえその姿が変わったことに気づく人間はごく僅かにしか存在しなかった。
それは霊的な素養を持つか、ピーちゃんの存在を信じている存在にしかその変化を目にすることが出来ないためだ。
しかし今は違う。惜しげもなく能力を披露した今では得られる信仰の数も大きく異なる。
そして今信仰を力に変えることでピーちゃんが得られる力とは、数値にしておよそ+3万!
それは国一つを焦土に変えてもなお有り余る力!
それを本気モードのピーちゃん本来の力に加算し、今のピーちゃんの力はなんと10億3万!
強いぞ!ピーちゃん!すごいぞピーちゃん!
みんなの思いを力に変えて、さぁ戦うのだ!!
……と、そんな益対のないことばかり考える
「暇だな……」
そう、暇だった。
ピーちゃんが部屋に飛び込んできたその直後。
有無を言わさず服を全部剥がされた。
曰く、ちょっと本気だす必要があるからと。また服が吹き飛ぶからと。
ピーちゃんが変身した時、何故か空も巻き添えで変身させられるため過去に二度三度と服が吹き飛んだ。
お陰で着替えを余儀なくされ、もしもの時のためにと手作りで用意した服を纏うことになっていた。
それは一言で言えば袖のない巫女服。人形用の服やピーちゃん用の服は何度も作っていたとはいえ人間用の服を作ったのは初めて。
初めて作ったとはいえそれなりの出来であると少しだけ自画自賛していたものの、ここで問題が一つ。
(さすがに下着までは用意してなかったな……。)
今の
とはいえ。現在の居場所は地球から飛び出した遥か先、太陽系すら飛び出した何処とも知れぬ宇宙の片隅、そこでピーちゃんの張ったバリア内の空間の中に一人で佇む状態だった。
人目という意味であれば当然存在するわけもないし、配信をしようにも電波が届く位置ではない。
(……まぁ配信が出来たところでするつもりは全くないのだけれど。)
地球を救ったというステータスが追加されるとなると確実に見る目が変わる。
ピーちゃんの欲しいチヤホヤはそこにはないのだとか。
気にし過ぎと言ってしまえばそれまでにしろ、下に何も履いていないという状況はやはり落ち着かない。
改めて配信しなくて良かったと思う。頭隠さず尻隠さずの状況であるわけだし。
と、少し過去を思い出したところで目の前の光景を改めて見やる。
初戦。まず一撃で何だかよく分からない大きな怪獣がまとめて消し飛ばされた。
次に再び現れたそれらも無慈悲に消し飛ばされていた。
そして次に現れた怪獣、ロボット、UFO、手を変え品を変え、それらの尽くが一撃で消し飛ばされている。
最早敵のワルイウチュウジンとやらも地球をどうにかしようという気はないらしい。
当然だ。迂闊に地球に手を出したことで本気モードのピーちゃんに一方的に蹂躙されている状況なのだから。
下手に刺激してしまった手前、ピーちゃんをどうにかしないことには自分たちの未来がないと既に悟っているのかもしれない。
本来であれば妹として姉のピーちゃんを応援するべきなのかもしれない。
しかし戦闘が始まって既に一時間以上。全てが一撃で消し飛ばされるの繰り返しばかりを見て何を心配するところがあるのかと。
例えるなら三次元弾幕シューティング。とはいえあまりに一方的なそれは完全にスコアアタックと化しているわけで。
はじめこそ、どんな映画よりも大迫力のそれを観ることに心踊る部分もあった。
しかしこれが一時間続き二時間続き、何もせずぼーっと見るだけの状況には少しばかり飽きも来ようというもの。
というより飽きた。地球の命運を左右する場面で不謹慎かもしれないと思いつつもこればっかりは仕方ない。
と、そんな折。もう何度目かすら分からない敵の集団を壊滅させたところで空の元にピーちゃんが舞い戻ってくる。
「ラチガアカナイカラ、デバンダヨ! クーチャン!」
「私にもやることあるんだ?」
てっきり守りやすいから近くに置いていただけかと思いきや何かしら他に意味もあったらしい。
「ケッセンモードヲ カイキンシマス!」
──決戦モード。
それはただの一度も使用していない切り札。というより一度しか使えないというべきか。
最強無敵生物ピーちゃんがその命を燃やすことで一時的に本気モードの一千倍を超える力を得ることが出来る。
しかし空を頼るからにはピーちゃんが決戦モードに必要としているのはその戦闘力ではないということ。
ピーちゃん曰く、可愛いチート。
その影響によりピーちゃんが本気モードに変身した場合、引き摺られる形で空も強制的に変身させられる。
では、本気モードで強制変身させるというのなら、決戦モードなら……?
──当然、同じことがその規模を変えて再現される。
この場合の可愛いとは、元々ピーちゃんが無敵で最強という畏怖すべき存在でありながら親しみやすさを得るために必要としたもの。
本来の持ち主でないため空が保有する可愛いチートは劣化しているらしいとはいえ、可愛いに対してマイナス要素となる無敵最強を持たずその親しみやすさのみを抽出した状態。
本気モードでもピーちゃんが言うには人に見せるとちょっとやばいらしい、その一千倍とは如何ほどか。
庇護欲、嗜虐心、所有欲、他ありとあらゆる劣情を刺激する生き餌として作用する、らしい。
現在、ピーちゃんの言うワルイウチュウジンから最優先の排除対象として注目されている状態、当然近くに控えている空の姿も捕捉されていると考えて然るべき。
そんな状態で可愛いチートを炸裂させたらどうなるか、考えるまでもない。
宇宙全体に散らばったワルイウチュウジンたちを一箇所に纏めて一網打尽にしてしまおうという魂胆らしい。
「でもそれって……」
「ウン、マァ、ソウイウコト」
いつだか二人きりの時にピーちゃんが言っていた。
ピーちゃんが無敵で最強になった意味はあるのだろうかと。
神を名乗る存在から何一つ教えられることはなかったとはいえきっと何か意味がある。
そうでなければこんな戦闘力は必要ないのだと。
ピーちゃんが無人偵察機を破壊しなければ今日このようなことにはならなかったかもしれない。
しかし百年後、千年後はどうか。明確に侵略の意思を見せている宇宙人たちに地球が発見されるのはきっと時間の問題だった。
それを前倒しして今日その時が来たのではないだろうかということ。
そのためには、まぁ命一つ散らすくらいは惜しくないのだと。
「コンナコトニナッテゴメンネ」
「ううん、いいんだよ」
様々な意味で人目を気にして生きていかざるを得なかった空にとって、それら一切を気にしないで生きていける日々は本当に輝くような毎日だった。
それがこんな僅かで終わりを迎えようとも、ただ怯えて生きるだけの日々よりはきっといい。
「モシモ ウンガ ヨカッタラ、イチマンニセンネンゴニマタアオウ」
「ふふ、なにそれ?」
──そして、戦いは一週間にも及び、地球とついでに全宇宙を救った後、人知れずピーちゃんと空の二人は命を散らしたのだった。
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「トイウユメヲ ミタンダ!」(めちゃ可愛ボイス)
:夢かーい!
:生きとるやんけ!
:ここ最近見ないと思ったらそんなことしてたんかーい!
:ピーちゃん生きとったんかワレェ!
:いや、エイプリルフールだぞ。信じるなよ
:びっくりした。本気で宇宙人と戦ったのかと思った。
「トコロデ、ウチュウデ ゴミ ヒロッタケド、ダレカイルゥ?」(めちゃ可愛ボイス)
ゴミ。なんか機械っぽいものの残骸。
:お前本当に戦ってないよな?
:いるぅ?じゃないんだよなぁ
:・・・NASAとかなんか見てないんか?
:夢を見たってのが嘘ってことはない・・・・よな?
:ハハ、まさか・・・、まさかね?
──この配信は終了しました。
相変わらず肝心なところはダイジェスト
ピーちゃん
残機 9687 ⇒ 9686(自動回復)
レベル1 ⇒ レベル303499
強さ⇒??????
変身段階開放
スキル解禁
備考:本気モード、なんか全身燃え上がった火の鳥みたいなやつ。
クーちゃん
レベル1⇒レベル303499
はだのうるおいが良くなった!
めのいろつやが良くなった!
いい匂いがするようになった!
あいじょうがあがった!
備考:可愛いチート、自分にも効く。おかげで自己肯定感高め。
決戦モード中は目をつむってた。
ワルイウチュウジン
1割以下まで数を減らした。神の怒りを買ったとして語られる出来事となる。
決戦モード中敵なのに信仰を捧げるパワーアップ要因と化してた。
マーキング代わりに使われて撃滅された。
なんかステータス更新されてる不思議!
エイプリルフールネタですが!