ただでさえ遅筆なのに今週急に平日も休日も小忙しくて時間が全然取れてませんでした。
かなり急いだんであとでちょっと書き直すかも。
2月14日 20:00 配信開始
「ミンナー! キョウハ、バンアレンタイデーダヨー!!」(めちゃ可愛ボイス)
:バレンタインな
:バン・アレン帯、地球を取り巻く放射線の帯
:ぬ~○~で見たやつ
:ネタが古いんだよなぁw
:2.5次元でも見た
ピーちゃんの元気な掛け声と共にカメラが映しだした場所はキッチン。
纏うヒラヒラとした服装からもピーちゃんがコスプレを始めた日の配信を彷彿させる。
とはいえあの日のようなメイド姿というわけでもなく。
茶色と白を基調とし時折赤の散りばめられたドレスと頭の上にちょこんと乗った小さなシルクハット。
いわゆるロリータなそれはその色合いからも今日という日を意識していることは明らかだった。
:バレンタイン特別衣装か
:かわいい
:可愛いw
:可愛いいいいいいい
:はえー、よう出来とる
「ケンゾクガ、ヒトバンデ ツクッテクレマシタ」
:毎度のことながら本当に器用
:センスあるううう↑↑↑↑
:どこのガチャ回したら出てきます?
:これを一晩で!?
:一回300石、天井80連
「ホントウハ、ミッカ!」(めちゃ可愛ボイス)
:まぁそんなもんか
:いやでもかなり早いって
:眷属ちゃん本業こっちだったりする?
:眷属ちゃんは一級ハンクラーだった?
:探したらどっかに出品してたりするんだろうか
そんなコメント欄をひとしきり眺めた後、見計らったかのようにピーちゃんが本題を切り出した。
「サテサテサテ、キョウハナニヲスルトオモウ?」
:キッチンってことはやっぱそういうことだよな?
:チョコ作る?
:チョコ食べたい
:チョコだろうなぁ
「セイカイ! テーヅークーリー チョコヲ ツクルゾオラアアア!!」
可愛らしい衣装とは裏腹に無駄に力強く無駄に男らしく拳(?)を天に突き上げる。
:うおおおおおおお
:うおおおおおおお!!!!
:うおおおおおおおおお!
:うおおおおおおお!!!!!
「チョコガ タベタイカー!?!?!?」
:食べたーい!!!
:うおおおおおおお!!!!
:食べたいぞおおおおおおおおお
:ヒュー!!ヒュー!!ドンドンパフパフ
:ギブミーチョコレート!
「テヅクリ チョコト イッテモ、キョウノハ ヒトアジ チガウヨ!」(めちゃ可愛ボイス)
その一言と共にジャージ姿の少女が片手に持った小皿と共に現れ、コトリと音を立ててピーちゃんの前に置く。
中に入ったやや大きめの豆は一般的にあまり見かけないものだ。
とはいえこの流れで連想することの出来ない人間はあまりいないだろう。カカオ豆だ。
:眷属ちゃああああん俺だあああああ
:眷属ちゃんの手作りが食べられると聞いて
:え?カカオ豆から作るの?
:キット使って作ったことあるけど二度とやりたくない
:だからなんで眷属ちゃんはコスプレしないかと小一時間
眷属ちゃんの登場でコメント欄が盛り上がる中、主役であるはずのピーちゃんはといえば。
普段目にしないとはいえ豆は豆。一心不乱にカカオに向かって突きを繰り出していた。
「コレハピーチャンノブン!」
「コレモピーチャンノブン!」
ピーちゃんが頭を振る度に一つ、また一つと小皿の上のカカオ豆が消えていく。
「ソシテコレモ! ピーチャンノ(スッ)ブン!」
そして三度振り下ろされたくちばしは眷属ちゃんの手によって器を避けられたことで空を切っていた。
( ゚д゚ ) ⇐ エッ!?という顔
二度三度とカカオ豆と眷属ちゃんの間を視線が行き来し、
「ピーチャンノ(スッ)ブン!」
( ゚д゚ ) ⇐ エッ!?という顔
再び二度三度と豆と眷属ちゃんの間を視線が行き来し、改めて、
「ピーチャンノブンダアアアアアアア」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガ。
今度は皿が避けられることはなかった。
:ピーチャンよく食うな
:いつも何か食べてる
:その身体のどこにそんだけ入ってるのか
:口のサイズ的に一口で食えるのおかしくね?
:いや、ちゃんと音を聞いてよく見てみろ
一回頭を振る度に3回打撃を与えて砕いて高速で食ってる。
:そんなん分かるかwww
:動体視力ニキおっすおっす
:というかカカオ豆って生で食っても美味しいの?
「ンー、オトナノ アジ!」
:大人の味かぁ
:大人の鯵?
:美味しそう
:アジエンド
:食えんこたぁないけど意味分からん苦さぞ
「サテサテ、アジミハ コノヘンニシテ! サッソク コレヲクダイテイクヨ!」
一つ二つと眷属ちゃんの手で小皿からまな板の上にカカオ豆が並べられていく。
その横にちょこんとピーちゃんが乗り移り、
「フタエノキワミッ!」(日本語)
一瞬にして距離をゼロにしたくちばしがカカオを砂状に粉砕した。
:!?
:!?
:動体視力ニキには見えた?
:見えるわけないだろ
「フタエノキワミ、アッー!」(英語)
「ゴブリンバットォ!」(スペイン語)
「ノーパンスタイリストォ!」(ポルトガル語)
:懐かしすぎて吐きそう
:懐ネタのオンパレード
:海外空耳ネタとか十年ぶりくらいに聞いたわ
:調べたら俺が生まれる前のネタじゃん
:やめてくれ、それは俺に効く
と、このまま一つずつ砕いていくのかと思いきや、突如ピタリとその動きを止める。
「デモ コレダト チョット ジカンカカルカラ、ジタンヲスルヨ」
その一言とともにいつの間にやら姿を消していた眷属の少女が再びカメラの前に姿を現す。
手の中抱える程の器の中には山盛りと言って差し支えない量のカカオ。
一つ一つは一瞬で砕いているとはいえ、確かにこれを一つひとつを砕いていくとなるとそれなりに時間がかかるのは否めない。
そもそもカカオからチョコを作ること自体がそれなりに時間を要するとはいえそれはそれ。
最強オカメインコには何やらいい案があるようで。
:え?これ全部砕くの?
:割とずっと見てられる感じだからそれならそれで構わんけど
:まぁ一個ずつやったら時間かかる・・・か?
:それでも砕く速度おかしいんだけどな
「コレヲコウシテ」
眷属ちゃんにより足元から取り出した大きくて透明な瓶。
その首元にまでカカオを入れ、
「コウ!」
蛇口から水を入れて蓋を閉める。
「サラニ コウシテ、コウジャァ!!」
ピーちゃんが瓶の側に寄り、ツンとくちばしを瓶の側面にくっつける。
その僅か二秒後、何をするのか見守る視聴者たちの目の前でピーちゃんのくちばしの先から見えない何かが放たれ、瓶の中のカカオ豆その尽くを粒子状にまで粉砕した。
:!?!?!?
:!?!?!??
:???????
:今何した????
「スイチュウショウゲキハヲ、イチマンパツホド タタキコンダヨ!!」
:なにそれ怖い
:火吐くとかビームとかよりやばいことしてる気がする。
:やべーよやべーよ
:ほんと今更ながらにピーちゃんやばいのではって思い始めた
「イジョウ! ジタン テクニックデシタ!
コウソクデ スリツブスヨリ マサツネツガ ハッセイシナイカラオススメ!」
:無理
:無理無理無理
:摩擦熱ってどんな速度で擦ること想定してんだ
:時短とは
:あー、衝撃波ってなんだと思ったら結石破壊するやつ?
:・・・あれってあんな木端微塵に出来るん?
「アトハ、ミズケヲトルタメニ エンシンブンリニカケテ……──、
…………
…………
それから紆余曲折を経て、約30分程の時間をかけて大量の一口チョコレートが完成した。
なおその際、瓶の中に竜巻を発生させカカオの成分を分離し、チョコを固める際にはれいとうビームが放たれていたことをここに記す。
:おー!出来たー!
:美味しそう!
:表面つっやつや
:テンパリングしてないのになんであんな艶々なんだ
:あの衝撃波がどんな威力だったのか分かるな・・・
:いつにも増して真似出来るところがなかった
:恐ろしい話よな
「マズハヒトクチ」
眷属ちゃんの手から一口二口と口に収めていくピーちゃん。
:俺もピーちゃんに食べさせたい
:可愛い
:こう見てる分には可愛いんだけどな
:黙れば可愛い、喋ればクソトリ、動く姿は大怪獣
:美味しい?
:さて出来はいかほどか
「オトナノアジ!」(めちゃ可愛ボイス)
:さっきも言ってたやつ
:つまり不味いのでは?
:苦いんかな
:結構砂糖大量にぶちこんでたのにな
:お菓子ってそういうものよ。悍ましい量砂糖使う。
「ツギハ、ピーチャンガ タベサセテアゲル!」(めちゃ可愛ボイス)
器用にチョコを咥えるとピョンピョンと跳ねながら眷属ちゃんの顔を覆う紙袋の中に消えるピーちゃん。
そして二つ、三つと紙袋の中に消えていき、四つ目を運ぼうとしたところでストップが入る。
ペースが早かったらしい。慌てて口の前でバッテンを作っていた。
:・・・よく考えたらピーちゃんに手で食わせるのはともかく逆は口移しでは?
:!?
:!?
:くそ! ピーちゃんそこ代われ!
:今日ほど紙袋の中が気になる日はないよ
「ハイミンナオチツイテ。ナンデコンナニタクサンチョコツクッタトオモウ?」
にわかに沸き立つコメント欄を前にどうどうと落ち着かせるように羽を上下に動かすピーちゃん。
:そういえばそうだな
:一人と一羽で食うにはちょっと多い
:それもそう
:って思ったけどピーちゃんなら全部食いそうだったわ
:それもそう
そして次のピーちゃんの一言で先程と異なる理由でコメント欄が沸き立った。
「シチョウシャプレゼントヲスルヨー!!!!」(めちゃ可愛ボイス)
:え?マジ?
:おおお!
:欲しいいいいいいいいいいい
:え、私女だけど欲しい。
:チョコ作るって時から期待してたけど本当にくれるとはあああああ
:食べたいいいいいいい
:めっちゃ欲しいいいいいいい
「ハハオヤカラシカ チョコ モラッタコトナイ オマエラニ ピーチャンカラノ アイノテ」
:うっせぇわwww
:余計なお世話じゃ!w
:ほんとお口わるわるで草w
:初めて女の子から手作りチョコ貰えるけど相手が鳥とか激レア体験過ぎんか
:初めてじゃなくても激レアなんだよなぁ
「ハイデハ、ゴチュウモク!!」(めちゃ可愛ボイス)
その一言と共に画面上に文字が浮かび上がる。
**************************
『方法』
・以下のメールアドレスにピーちゃんへの愛を綴ったメールを送ること。
「p-chan***********.com」
(当選はメールの返信をもって行われる)
『条件』
・国内に限る。
・この画面が表示されて10分以内にメールをした場合に限る。
・今すぐ受け取り可能。
・外れても文句を言わない。
・外れても泣かない。
・当選した場合に直ちに現在地の住所の連絡及びメール記載の指示に従うこと。
(※プレゼント以外の用途で住所を使用することはありません。)
『注意』
・複数応募は無効。
・転売を見つけた場合制裁を覚悟すること。
**************************
:一部の条件ってどういうことだ?
:今すぐ受け取り可能ってなんじゃらほい
:後日発送じゃないのん?
:指示って何をやらせるんだ
:変なことじゃないといいが
:・・・もしかしてピーチャン今から行くって言ってる?
:は?
:!?
:いやそんなまさか・・・
そして制限時間の10分から更に15分。画面の中でノートパソコンをカタカタと動かしていた眷属ちゃんがパタリとその画面を閉じる。
「トウセンシャニ メールヲ オクリオワッタヨ!
ジャァイコウカ。オテヲ、オヒメサマ。ソレジャ、マタネー!」
眷属ちゃんに羽を差し出しその先を掴む眷属ちゃん。
そのまま二人仲良く手(羽)をつないで手を振りながら画面の中から姿を消した。
:いや身長差
:身長差
:ピーちゃん紳士ね
:女の子だぞ
:またねー
:またねー!
:まじで今から行くつもりか?
──この配信は終了しました。
──とある当選者Aの場合。
メールが届いたときはドクンと力強く心臓が跳ねるのを感じた。
まさか、どうせ、と思っていたというのに本当にまさかだ。
期待していなかったと言えば嘘になる。しかしこれが大人になるということなのか、当選確率の低さを思って心に予防線を張る自分がいた。
それがどうだ。実際に当選した今はただただ嬉しい。
何も考えずにただ純粋に喜べるというのは本当に久しぶりのことかもしれない。
そんな逸る心をどうにか落ち着けて届いたメールの本文に目を通す。
そこに書かれた肝心な指示の内容といえば以下の通りだ。
・音声ファイルを添付しているのでそれを近所迷惑にならない程度に大きな音量で鳴らすこと。
・もしくは機器による再生が不可能な場合は本文中の詞を口にすること。
一瞬音声ファイルにウイルスが仕込まれている可能性が脳内に過ぎる。
しかし一個人を騙すためにこんな大掛かりなことをする必要はないと考え直し、スマートフォンを用いて音声ファイルの再生に踏み切った。
『ナムダイジダイヒキュウグキュウナンコウダイレイカンビャクエカンゼノン……』
「……なにこれ? お経?」
音声を再生して十秒程経とうかというその時、突如としてドンドンドンとベランダに繋がる窓が叩かれた。
先程とは別の意味で心臓が飛び跳ねる。何故ならここはアパートの8階。仮に登ってこれたとしてもあまりにもタイミングが良すぎた。
「オカアサン! オカアサン、アケテヨ! オカアサン!」
「いや怖い怖い怖い……」
その台詞は知っている。たまたま動画でしか見たことはなかったが怖すぎて放送禁止になったというCMのそれだ。
あまりにもたちの悪い悪ふざけ。人生の中で一番驚いたかもしれない。
いくら声が可愛いとはいえ突然そんなことされたとしたら誰だって怖い。自分も今すごく怖い。
しかし恐怖で心臓が震える一方で再びメールが届いたときのような期待が顔を表しはじめる。
音がするということはもしかしてそこにいるのだろうか? 今世間を賑わせているオカメインコ、ピーちゃんが。
自身の配信以外でのメディア露出をしたことのないピーちゃんに本当に会えるかもしれない。
心臓の逸るまま意を決してベランダのカーテンを開ける。そこには白い鳥の姿はなく、ハンカチの上に載ったラッピングされたチョコだけが残されていた──。
──とある当選者Bの場合。
『ナムミョウホーホケキョー』
「ピポポポポポポポポポポポポポポ」
──とある当選者Cの場合。
『リン! ビョウ! トウ! シャ! カイ! ジン! レツ! ザイ! ゼン!』
「ワタシピーチャン! イマ アナタノ イエノ マエニイルノ!」
──とある当選者Dの場合。
『ワレコガレ、イザナウハショウネツヘノギシキ。ソニササゲルハエンテイノホウヨウ』
「ショウボウショノホウカラキマシター!」
──とある当選者Eの場合。
『イア! イア! クトゥルフ! フタグン!』
「イツモニコニコ! アナタノトナリニハイヨルピーチャン!」
──とある当選者Fの場合。
──以下略。
──とある当選者Gの場合。
──以下略。
──とある当選者Hの場合。
──以下略。
後に当選者の一人は語る。防犯用のカメラは動いていた。
しかし防犯用の監視カメラに何者も映ることはなく宙から突然現れるチョコだけが映っていたという。
そして後日ピーちゃんの唱えていたお経を流すと悪霊が祓えるという噂が流れ始めるのだがそれはまた別の話。
なお、ピーちゃんは霊的にも最強な模様。
奉神御詠歌歌わせようかと思ったけど配信NGみたいで断念。
節分の小ネタ入れようと思ったけど時間なくて断念。いつか掲示板回にでも混ぜます。
配信者から配信外で食べ物配るってほぼないと思うけどほぼ番外編みたいなもんなので許して。
なんか今回調べ物にめちゃくちゃ時間かかった。
ほんと更新速度早い人は尊敬する。
【本編で語っていない設定】
・居場所は住所で大体の位置を特定⇒自分と同じ声と⇒霊的な波長的なものを感知してた。
特に詞に意味はなく声だけに力を込めてたり。
・配達の際は眷属ちゃんも一緒にいた。しかし本当に一緒にいただけ。
位相の違う世界の裏側みたいなところを移動して誰からも見られないようにしていた。
話数増えてきたらいつか更新する時に設定集として色々まとめるかも?
コメント欄の色のスクリプトを修正。これで「ここ好き」出来るはず……
行がズレて「ここすき:おかしくなってたら申し訳ない。(23/02/19)