ただしオカメインコである。   作:タラレバ蟹

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いつも遅くて申し訳ない。
誤字報告いつも助かってます。
パソコン死んで傷心中。新しいの買いました。


【ピーチャンネル】ユルキャンスルヨ!(昼の部)

□月○日 14:00 配信開始

 

「ココヲ キャンプチ トスル!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 元気のいいピーちゃんの宣言と共に始まったこの日の配信は、いつもと違い日の昇った時間帯であることだけに留まらず明確に違う点が見て取れた。

 

コメント

:おおおお!外だあああああ!

:山!

:川辺でキャンプするのは危険だぞ

:眷属ちゃんがジャージじゃないだと・・・

 

 ピーちゃんと眷属ちゃんの背景に映る圧倒的な大自然。

 都会では見ることの出来ない木々の群れと陽光を反射し煌めく川の流れが眩しい。

 一方でいつもはジャージと紙袋スタイルの眷属ちゃんの服装もその上にジャケットを羽織り、いつもより暖かそうな装いである。

 反面、ピーちゃんの姿は何も身に着けていないノーマルスタイル。これを全裸と呼ぶかどうかで訓練度合いが分かる踏み絵と化していた。

 

「コウズイ トメルクライ ワケナイケド、ネトマリハ ベツノバショデ スルヨ!」

 

コメント

:そりゃそうか

:川全部凍らせるくらいはやってのけそう

:ピーチャンはどっちかっていうと天災側だし・・・

:隕石どうこう言ってるやつがたかが自然現象くらいでどうにかなるわけないんよ

:万一洪水来たら川さん逃げてーってなりそう

 

「ソレジャ、サッソク キョウノゴハン オサカナヲ トルヨ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 そんな一言とヒラヒラと手を振りながら見送る眷属ちゃんをその場に残し、地面に置いてあったバケツを足に取ると十数メートルは離れた川の中に姿を消すピーちゃん。

 

コメント

:お魚って言い方かわいい

:はっっっっっやw

:ピーちゃんがまともに飛ぶの初めて見た

:オカメインコってあんなレーザーみたいに飛ぶんだな()

:初速からあの速度おかしいわ

 

 ピーちゃんが川の中に消えて程なくして、川から水しぶきと小さな影が飛び出すと同時に川沿いに置かれたバケツの中に次々と魚が溜まっていく。

 

「オサカナヲバケツニ シューッ!! チョウ! エキサイティンッ!!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:お魚さん逃げてー

:ピーちゃんからは逃げられない

:すごい勢いで捕れてくな

:この時期の魚ってなんだろう

:鵜飼ってあるけどオカメインコにも出来るとはたまげたなぁ

 

 一方、眷属ちゃんはというと。カメラの映る位置に木のテーブルを運びその上にまな板、包丁と道具を並べていく。

 

コメント

:眷属ちゃん魚も捌けるんか

:生活能力ばちくそ高いよな

:生魚怖いって女子も多いだろうに

:男子も無理ってやつ多い

 

 そんな穏やかな時間が続く中、突如画面の端に明確な異変が形を伴って姿を現した。

 川とカメラの位置の中間あたりといったところか、それは全長1.5mに届くかという大きなイノシシ。

 まだ距離はあるものの、どこか落ち着かない様子で顔を動かす様子は何か嫌な予感を抱かせる。

 

コメント

:イノシシ!

:でえええええっっか

:あれ?ピーちゃん気付いてない?

:眷属ちゃん後ろー!

:ピーちゃんはよ何とかして

:え?こっち見てないか?

 

 そして得てして嫌な予感というのは当たるものだ。

 その存在に気づくことなく準備を進める眷属ちゃんの姿を認めると川辺の砂利を撒き散らかしながら一直線に走り出した。

 

コメント

:眷属ちゃん逃げて!

:ピーちゃんはよ助けて!

:魚とかいいから!

:気付いてー!

 

 そんなコメント欄の悲痛な訴えが届くことなく、あわや激突するかというその瞬間、黒くて大きな影にイノシシ(・・・・)が吹き飛ばされた。

 

コメント

:は?

:は?

:ってまたなんかきた!

:でっっっっっっっっか!!!

:待って待って待って!

 

 イノシシを吹き飛ばした黒い影。クマ。

 それも全長3mを優に超える異常なまでに巨大なそれ。

 ただそこにいるだけであっても生物としての本能的な恐怖を抱かずにはいられない。

 か弱い少女と巨大なクマ。イノシシが現れた時の比ではない凄惨な結末が視聴者の脳裏を過る。

 

コメント

:うわあああああ

:でけぇえええ

:助かったと思ったけど助かってない!

:ピーちゃんマジで何してんの!

:さすがにピーちゃん気づけ!

 

 後ろの出来事にようやく気づいているのかいないのか、緊迫感というものを一切感じさせない様子でピーちゃんは、

 

「ヤマダーーー! ゴハンヨー!!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 飛んだままその場でくるんと回転すると掴んでいた魚をクマの方に投げ放った。

 

コメント

:誰だよ山田!

:呑気か!

:気づいてんならはよ何とかせえ!

:魚あげてる場合ちゃうで!!

 

 ピーちゃんが弾き飛ばした魚を口でキャッチして地面に並べていくクマ。

 十に届かんといった魚を器用に両の前足で抱えるとペコリとピーちゃんと眷属ちゃんに一度ずつ頭を下げると森の中へ去っていった。

 

コメント

:ヤマダってクマかよ!

:数々の褪せ人を屠ってきた強者感ある

:あんなでかいの日本にいるとかこっわ

:てか山田ってなんだよおおおおお

:しれっと二足歩行すんな

:まじで山田ってなんだ

 

 騒然としたコメント欄を余所に明らかにオカメインコでは運びきれない量の魚入りバケツを掴んで戻ってくるピーちゃん。

 先程まで川に入っていたというのに水に濡れた気配はない。耐水性も一般的なオカメインコとは一線を画すのかもしれない。

 最近の配信と違いアクセサリの一つも身につけていない理由は川に飛び込むがためと分かったであろう。

 しかし当然ながらコメント欄にそのような冷静さを保った者はいるはずもなかった。

 

「オサカナ イッパイ トレタ!」(満足)

 

コメント

:お魚とかどうでもいいから!

:あのクマは何!?

:熊の説明してくれませんかねぇ!?

:唐突に餌やりされても困るんだが

:ヤマダis何?

:熊の説明はよ

 

「ヤマダノコト? ヤマダハ コノマエ ヒロッタ ワガヤノ ペット!」

 

 とんでもないことを言い出すオカメインコとその横で軽く頷く紙袋。

 

コメント

:ペットて・・・

:ペットwwwww

:ペットじゃねーんだわw

:俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッ

:そこにシビれる! あこがれるゥ!

:さすが最強生物の飼うペットはスケールが違うなぁ(白目)

:眷属ちゃんも何頷いてんねんw

 

「ヤマダハ コドモノイル シンママ ダカラ テヲダシチャダメヨ!」

 

 不倫浮気! ダメ絶対!

 

コメント

:ピーちゃんのことだから駆除とかって意味じゃないんだろうなぁ・・・

:・・・・・もしかしなくても性的な方でおっしゃってます?

:熊に対して一度すら考えたことない概念

:熊にも穴は(ry

:不倫・・・・・・?

:クマに!?

:熊のシンママwwwwwwwww

:旦那が熊と浮気した奥さんの気持ちってどんなもんやろ

:地獄かよw

:クマ相手に慰謝料は請求出来るのだろうか

:出来ませんね・・・

 

「マァマァ、ヤマダノ コトハ イイノヨ! オサカナノハナシシヨ!」

 

 そう先を促すピーちゃんだがそう簡単に忘れることの出来る光景ではないわけで。

 一般的な配信者で同じ出来事が起きれば放送事故になることは間違いない大事件である。

 

コメント

:人はピーちゃんと違ってそう切り替え早くないのよ

:ピーちゃんの配信であんま驚かなくなってきたけどクマは流石に驚いた

:人にとっちゃインパクトは「クマ>>>>>魚」なので・・・

:そういえばイノシシどっかいった?

:そいえばいなくなってるな

 

「コノヘンジャ ミナカッタカラ、マヨイコンダ ミタイネ。

 マヨイコム クライナラ イイケド、ウチヲ トクテイ シヨウトカ ダメヨ?

 ダイイチボウエイライン ヤマダガ マチウケルカラ!」

 

コメント

:この前の節分動画と同じ敷地内よな?

:あれ見て場所特定しようとしてるやついたな。お前らのことだぞ

:命知らずにも程があるんだよなぁ

:ピーちゃんは加減してくれても熊は加減してくれっかな・・・

 

「ヨシンバ ヤマダヲ トッパシテモ、ピーチャンノ

 キョドウフシンシャゲキメツハドウホウヲ オミマイスルカラネ!」

 

コメント

:なんだその技www

:見たいから誰か生贄になってくれ

:ピーちゃんは倒せないけど、熊ならいける!とはならんやろがい

:あんなでかい熊とか出会った瞬間死を覚悟する

:お辞儀もしてたし、たぶん結構賢そう

:猟師泣かせのやつ

:歩兵装備だとどんだけいいの持ってても勝てる気がしない

 

「ハイハイ! モウイイデショ? オサカナオサカナ! ドウヤッテタベヨ!?」

 

 ピョンピョンと眷属ちゃんの肩の上で跳ねるピーちゃん。

 話を誤魔化したいというわけではなくただ単純に魚をどうするか楽しみなだけらしい。

 

コメント

:これ以上熊の話してるとピーちゃんが拗ねちゃう

:焼き

:新鮮な魚は生に限る

:焼き魚にするのが一番無難か

:天ぷらとかどうよ

:生は寄生虫が怖いんよなぁ

 

「オッケー! ゼンブヤロウ! ヤルノハ ホボ ケンゾクダケド!!」

 

 言って、眷属ちゃんの紙袋をつつく。

 

コメント

:ピーちゃんも食べるん?

:とりあえず眷属ちゃんに任せるスタイル

:まぁ眷属ちゃんも食べるだろうしな

:ピーちゃんだけで料理は無理ぞ

 

「ピーチャンモ タベルヨ! デモ、ジェネリックピーチャンニハ アタエチャダメ!」

 

コメント

:ジェネリックピーチャンw

:ジェネリックピーチャンw

:ジェネリックピーチャン言うなw

:ジェネリックピーチャンは草

:寄生虫はどうするの?

:ピーちゃんはともかく眷属ちゃん死にそう

 

 キセイチュウ?と一度首を傾げ、

 

「ソリャア、コウシテコウヨ!」

 

 ピョンピョンと肩の上で跳ねて向きを変えると魚の入るバケツに視線を向ける。その先でバケツの中の魚たちが突如白い光に包まれ、先程までピチピチと跳ねていた魚が急に動きの一切を止めた。

 

「ハイカンリョウ!」

 

コメント

:????

:なんかすんごい背筋ぞっとしたんだが!?

:???

:なんか光ったけど

:なんかしたの?

:????

 

「ヒカリゾクセイノ ソクシマホウデ センドヲ ソコネズニ ショリシタヨ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:こっわwww

:過去一ぶっそうなもんしれっとぶっ放すなw

:マ○ンマオン?

:マジで一瞬ヒヤッとしたけどほんまにやべーじゃねぇか!

:ピーチャンは怖い生き物です!

:いやほんまに怖いわw

 

 それは物理現象を介さずに直接死という結果のみを押し付けることで身を一切損ねない非破壊式寄生虫処理。

 いつの日か、魔法という現象が一般的になった暁には当たり前に使われる日も来るかもしれない(来ない)。

 

「チナミニ サッキンモ デキル。カキトカ アタラナクナルヨ」

 

コメント

:まじかよ!

:くっそ便利じゃん

:牡蠣一度あたってから食えなくなった

:生食用は鮮度がどうしても落ちてるのよね

:焼き牡蠣用のが新鮮らしいな

 

「マァ、ドクソハ キエナイケドネ」

 

コメント

:腐りきってるのはさすがにダメってことか

:フグとかそのまま食えるようにとかは無理か

:やれんことはなさそう

:謎の信頼感

 

「シタショリハ ケンゾクニ マカセテ、ピーチャンハ ヒヲ オコスヨ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

 任され、魚を一匹手に取りまな板の上に置く眷属ちゃん。

 慣れた動きで魚の頭を落としスッと腹に包丁を入れ、瞬く間に三枚に卸すと更に細かく包丁を入れて一口大にカット。

 流れるように自然な動きで瞬く間に刺し身が完成していた。

 

コメント

:眷属ちゃんほんま手際いいな

:素で見入ってたわ

:ピーちゃんのせいで霞んでるとこあるけどめっちゃ有能よな?

:裁縫は神レベルだし料理も超手際が良い。ピーちゃんいなくても人気配信者になれそう

:(結婚しよ・・・)

:(結婚しよ・・・)

:マジでガチ恋しそう

 

 一方のピーちゃんも負けてはいない。

 

「ヤッパ キャンプスルナラ マキガ イイトオモウノ!」(めちゃ可愛ボイス)

 

コメント

:わかる

:炭とか持ってきてもいいけど、BBQ感強くなる

:そういう空気って大事

:薪は用意が大変そうだけどやってみたい

 

 小さな体に見合わないサイズの石や薪を足で掴むと、まるでその空間だけ時間の流れがおかしくなったと錯覚する速度で次々と積み上げていく。

 それは明らかに自然とはかけ離れ、ダイジェストではないはずなのにダイジェストにしか見えないという不思議な光景だった。

 

コメント

:ほんま不自然な塊w

:おかしいな生配信に倍速機能がついてるだと?

:たまに動き止めてドヤ顔向けて来るの草

:分身してるように見えるんだが気の所為だよな?

:殺せ○せーといい勝負しそう

 

 そんな速く動けば早く終わるというパワープレイとしては意外なほどの精密さを以ていつの間にやら石かまども完成する。

 

コメント

:おお!

:眷属ちゃんの作業とは違う意味で目が離せないこの感じよ

:思ったよりなんかいい感じ

:ピーちゃんもなかなか器用

:さすがッスねぇ!

:ピーちゃんと眷属ちゃんと一緒にいたら食うのは困らなさそう

:間に挟まるのはゆ゛る゛さ゛ん゛!!

 

 完成した石かまどを満足気に見て頷くとじっと薪を見つめ、その視線の先の一点が赤から白に変わった瞬間、そこを中心にして一息に炎が燃え上がった。

 

コメント

:!?

:!?

:!?

:今なにした

:俺はもう驚かない・・・

 

「キャッ! ピーチャンノ アツイ シセンデ マキサンガ テレチャッタ」(照)

 

 もじもじと身を揺らすピーちゃんの姿は相変わらず愛くるしいに尽きる。直前、理解の及ばない高速移動に加え視線で火をつけるようなことが無ければ素直にそう思えたかもしれない。

 

コメント

:照れたとは

:熱い視線(物理)

:薪さん照れちゃったかぁ

:それを照れるというならピーちゃんの前だとみんな照れちゃうな

:俺も照れる自信がある

:もう目からレーザーくらいじゃ驚けない

:真の英雄は目で殺す

:ピーチャンはランチャーのサーヴァントだった?

:どう見てもバーサーカーの間違いだろ・・・

:ワンチャン、セイヴァーの可能性ないか・・・?

 

「アトハ ゴハンモ タキマショウネー」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 その後、ピーちゃん流時短料理術超重力式圧縮調理法を持ってほかほかのご飯も完成。

 川魚の刺し身に天ぷら、焼き魚の贅沢なメニューを取り揃えたフルコースが完成した。

 

 眷属ちゃんは眷属ちゃんで紙袋をズラさないまま汚さず食べる謎技術を以て食事を終える頃には空は薄っすらと赤く染まり始めていた。

 

 

「コンドハ ヨルニ ハイシン スルカラネ!」

 

 羽をパタパタさせるピーちゃんと手を振る眷属ちゃんを最後に映し、画面は暗転した。

 

 

 

 

 ──この配信は終了しました。

 




登場人物が二人(?)しかいないこの作品についに新キャラ()が!!

ノリと勢いだけで書ける作品を書こうと思って始めた作品だけど、逆にそれだけで勝負しなきゃならないのって結構難易度高い作品じゃないかと思い始めた。

この作品の略称があったら『ただオカ』かなぁ?とか一丁前なこと考えてる今日このごろ。
ただいまおかえりに通じるとこあって小洒落てない?とか思ったり。

「ヤマダ」
山の主的存在。巨体もさることながらとても賢い。
賢さ故に人から駆除されるなく健やかに育った。
突然なわばりに現れたピーちゃんを分からせようとするも逆に分からされた。
3児の母。
名前は適当に付けられた。
※羆から熊に変更しました。

追記:ランチャーはFATE/EXTRA CCC公式ネタです。実際に表記変わってて笑うやつです。
追記:執筆垢は作ってないので、いいねは出来なかったのですが、ツイッターでピーちゃん描かれているの拝見しました。
ここで100いいねくらい連打してる意思表示をば。
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