アサルトリリィ×仮面ライダー episode of 御台場女学校 作:黒破リンク
黒崎睦の過去
黒崎睦。
彼女の母親は元リリィで優秀だった。そんな彼女は周りのリリィよりも実力が劣っていたため、他のリリィや一部の教導官は睦を『親の七光り』だと評価し、その言葉は彼女に多大な劣等感を与えるようになる。
──ある日、教室で1人窓の外を眺めていた睦に話しかける少女がいた。
??「ねぇ。あんたが噂の黒崎睦でしょ?」
睦「あなたは……?」
レイカ「あたしは釘崎レイカ。よろしく。」
睦「よ、よろしくお願いします…?」
レイカ「ふーん、噂通り静かな子ね。
あんたさ、友達いないの?」
睦「えっ……?」
レイカ「ずっと1人で黄昏てるし。話す人いないの?」
睦「……皆、多分私の事嫌いなんだよ…。
母親はとても優秀なリリィだったのに、それに比べて私はダメダメだから……。」
レイカ「……そんなの、どうでも良くない?」
睦「え?」
レイカ「人と比べることしか出来ない奴なんて、自分と比べて優越感に浸ることしか出来ない低脳な奴ってことでしょ?
あんたはあんたのいい所があるし、あんたの母親には母親のいい所がある。
他人の評価なんて考えるだけ無駄だよ。」
睦「でも……。」
レイカ「あたしは知ってる。あんたがすごいリリィで、影でたくさんの努力をしてること。
たとえこの学校の奴全員があんたのこと嫌いでも、あたしは睦の事が好きだし、味方になってあげる。」
睦「ありがとう、釘崎さん。」
こうして睦とレイカは仲良くなり、レイカの前でだけは睦は笑うようになり、共に任務をこなして行った。
レイカ「昨日街に出て見つけた喫茶店があったんだよ!この後行かない?」
睦「いいの?」
レイカ「あたしが奢ったげる!」
睦「ありがとう、レイカ。」
レイカ「そうだ、もっと距離縮めたいから、呼び方変えてもいい?」
睦「別に構わないけど……いいの浮かぶ?」
レイカ「うーん……。
『むつ』は?なんか睦って呼ぶよりももっと可愛くない?」
睦「うん。じゃあ……『レイ』って呼んでいい?」
レイカ「お?いいじゃん、なんかかっこいい!」
そんなある日、彼女と共に任務に出ていた時、事件は起きた──
ヒュージ出現に伴って出撃した睦とレイカ。
直前、完璧に調整したと言われて教導官を通して渡された『戦国ドライバー』と『ゲネシスドライバー』、『ロックシード』を使い、2人はヒュージと戦っていた時だった。
黒影・真「うぁぁぁぁッ!!!」
レイカの死角からヒュージが攻撃を仕掛け、思わず避けようとしたが避けきれず、大きく弾き飛ばされて変身が解けてしまう。
黒影「レイっ!!」
それを見た睦はすぐにレイカに駆け寄った。
黒影「レイ、大丈夫?!」
レイカ「あたしは平気……。
くっそ……!!あたしとした事が……!!!」
悔しさを露わにするレイカ。
その時、駆け寄ってきた睦の後ろにヒュージの攻撃が迫ってるのを見たレイカは、睦に叫んだ。
レイカ「むつ、後ろッ!!」
黒影「……っ!?」
ヒュージの攻撃を受け、睦の変身も解けてしまう。
睦「っ……。」
睦にとどめを刺すかのごとく、ヒュージの攻撃が睦に届くかと思われたその時──
レイカ「睦ぃぃぃぃぃぃぃッ!!!」
レイカは傷ついた身体にムチを打って再度変身、ヒュージの攻撃をその身に受けて、その場に倒れる。
睦「レイっ!!」
レイカ「大……丈夫……??」
睦「うん、レイのお陰で……。でも、レイが……。」
レイカ「あたしは……強化リリィだから…。大丈夫だけど……。これはしくじったなぁ──」
そう言って、眠るように気を失うレイカ。
睦「レイ…!?」
睦は気を失ったレイカを連れて、すぐに近くの病院まで運び込んだ。
睦「すみません……!!レイが……!!!」
医者「わかりました、すぐに治療します!!」
そう言ってレイカを託し、睦は自室へと戻る。
睦「(レイ……。大丈夫だよね……?)」
レイカの心配をすること、丸2日──
アキラ「睦ちゃん。」
睦「アキラ先生……?」
アキラ「その……とても言いづらいのだけれど……。
──レイカちゃん、亡くなったそうよ……。」
睦「えっ……!?そんな……。」
アキラ「さっき、病院から電話がかかってきてね。
一番親しかった睦ちゃんにだけは辛いだろうけど伝えないとと思ってね。
それと……これを預かってきたの。」
睦「っ……!!!」
睦はレイカが持っていたゲネシスドライバーとマツボックリエナジーロックシードをアキラから受け取る。
睦「レイっ……なんでっ……!!」
涙を流す睦。
それを遮るかのように、ヒュージ出現のサイレンが鳴り響く。
睦「行か……なきゃ……!!レイの分まで、戦わないと……!!!」
涙を拭き、睦は戦場へ走り出す。
現着してすぐ、ゲネシスドライバーを装着してマツボックリエナジーロックシードを強く握りしめる。
睦「(レイ、お願い、力を貸して……!!!)
……変身!!」
『マツボックリエナジー!』
マツボックリエナジーロックシードを起動してベルトに装填する。
『ロックオン!』
装填してすぐに『シーボルコンプレッサー』を押し込む。
『リキッド!』
『マツボックリエナジーアームズ!』
黒影・真「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
レイカを喪った悲しみに支配されながらレイカの形見であるゲネシスドライバーを使って無我夢中で戦う睦。
最初こそ順調にヒュージを倒していたが、とめどなく現れるヒュージに次第に押されていく。
黒影・真「レイの……分まで……!!!私が………頑張らないと……!!!」
影松・真を支えに立ち上がるが、現状が変わる訳もなく……。
睦「っ………!!!」
ヒュージ達の攻撃を受けて変身が解ける睦。
睦「嫌……!!レイの……敵を討たないとなのに……!!」
そう言って残った影松・真に手を伸ばす。
その隙を見たヒュージがトドメを刺そうとした時──
バース(忍)「オラァッ!!」
忍の変身したバースがトドメを刺そうとしたヒュージにドロップキックを浴びせて後退させる。
睦「……!?」
バース(忍)「怪我はねぇか!」
睦「その声……伊達先生……?」
バース(忍)「撤退するぞ!」
睦「嫌です……!!レイの敵を討たないと……!!」
バース(忍)「その怪我でどうするつもりだ!!死ぬつもりか!」
睦「っ……!!」
バース(忍)「いいから俺についてこい。いいな?」
睦「……はい……。」
忍に連れられる形でガーデンに戻る睦。
治療を受け、自室に戻った睦は、ゲネシスドライバーとマツボックリエナジーロックシードを抱きながら泣いていた。
睦「レイっ……!!」
それから数日、部屋から出ることも授業にも出ずにひたすらに泣き続ける日々が続いた。
ある日、睦は夢でもう1人の自分に話しかけられる。
心の中の睦『辛かったよね。』
睦『えっ……?』
心の中の睦『みんなから酷い事言われて、頼りにしてたレイカちゃんが死んじゃって。』
睦『君は……?』
心の中の睦『私は、睦ちゃんだよ。』
睦『私……?』
心の中の睦『うん。
私は睦ちゃんで、睦ちゃんは私。』
睦『私は……あなた…。』
心の中の睦『──しんどいよね。辛かったよね。』
睦『うん…。』
心の中の睦『皆が睦ちゃんの事嫌いでも、私は睦ちゃんの味方だから。』
睦『その言葉……レイの……!?』
心の中の睦『本当の事だよ。だって私は、睦ちゃんだから。睦ちゃんの味方は私。レイカちゃんは睦ちゃんの味方。
──だからさ、レイカちゃんの敵を討とう?』
睦『でも……もう……私頑張れない……。』
心の中の睦『大丈夫。安心して……?
私がついてるから。』
そう言って、もう1人の睦は睦に手を差し伸べる。
睦『うん……ありがとう……!!』
そう言って差し伸べられた手を握ると、もう1人の睦は握られた腕を引っ張って抱きしめる。
心の中の睦『後は私が頑張るから、睦ちゃん──いや、『宿主』はずーっと、寝てていいよ。』
もう1人の睦はニヤリと笑い、そう呟く。
睦はそのまま深い眠りについた。それが、もう1人の睦の思惑と知らず───
もう1人の睦──後に闇睦と呼ばれる人格は、眠っていた表の睦の人格から身体の主導権を奪った状態で目を覚ます。
闇睦「さぁて、今日『から』頑張らないと。」
制服に着替え、表の睦が久しく行ってなかった教室へと向かう睦。
闇睦「おはようございまーす!」
元気よく扉を開けた睦は、すぐに席に着く。
周りのリリィ達は久しぶりに来た睦が突然明るくなったことに驚きながら、睦の席の周りに集まってくる。
リリィA「睦ちゃん、大丈夫?」
闇睦「ん?何が〜?」
リリィB「だって、体調優れないって教導官が言ってたよ?」
闇睦「うん。もう大丈夫だよ?」
リリィC「睦ちゃん、なんか変わった?」
闇睦「そう?」
リリィC「なんか雰囲気が変わったような……?」
闇睦「気のせいじゃない?まぁ……ちょっとは喋るようにならないとまずいかな〜って思って頑張って喋ってるだけだよ?」
リリィD「そうだ、休んでた分のノート、見せてあげる!」
闇睦「ありがとう!助かるよ!」
闇睦は、表の睦と違い、よく話すようになった。
とある日の任務に出撃することになった睦。
──その戦闘スタイルは今までの睦とは異なる戦い方だった──
黒影・真「アハハハハハっ!!楽しい!!楽しい!!」
ヒュージに攻撃しては傷から溢れるヒュージの体液を返り血のように浴びながら狂った笑いを浮かべる睦。
黒影・真「そうだ♪ヒュージって17分割にしたらどんな風になるんだろう♪」
楽しそうに影松・真を使ってヒュージを解体していく。
解体されたヒュージの姿を見て、裏の睦は笑う。
黒影・真「へぇ〜?こうなるんだ〜!いいかも♪」
戦闘スタイルがまるで違う睦を見て、恐る恐るクラスメイトのリリィは話しかける。
リリィA「む、睦ちゃん……?何してるの……?」
黒影・真「何って、ただヒュージを17分割しただけだけど?」
リリィD「そんなことしてないでもっと真面目にヒュージ倒してよ!!」
睦の事を嫌うリリィが罵声を浴びせたその瞬間、裏の睦は傍に近づきこう言った。
黒影・真「私は真面目。
あんた、邪魔。『リリィ辞めたら?』」
リリィD「その言葉──!!」
黒影・真「あなたが私に言った事だよ?
今の私にとってはあなたはただのおじゃま虫でしかないの。だからさっさと消えて?」
リリィD「いいわよ。
精々1人で泣き言言わないといいけど。」
そう言ってリリィDは睦の前から姿を消した。
黒影・真「──ごめんね、嫌な姿見せちゃったよね?」
リリィA「う、ううん……大丈夫だよ。」
黒影・真「じゃあ、『生きてたら』また会おうね!」
そう言って睦はクラスメイトの前から消え、別の場所に向かっていく。
別の場所でも同じように戦っていた時、背後からヒュージが睦に攻撃を仕掛けようとしてヒュージが振りかぶったその時──
ダブル「「トリガーストームボム!!」」
スカル「スカルパニッシャー!!」
少し遠くからダブルとスカルがそのヒュージに攻撃をして撃破。
それを目撃した裏の睦は激怒し──
黒影・真「私の獲物を──取るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
そのまま標的をダブルとスカルに変更し襲いかかる。
ダブル(翔太郎)「はぁ!?
──ちょっ、あっぶな!!」
スカル「なんで急に!?」
影松・真を荒々しく振り回して2人を攻撃する睦。
ダブル(フィリップ)「くっ……!!
サイクロントリガーでは分が悪い……。翔太郎、メモリチェンジだ!」
ダブル(翔太郎)「あぁ!!長物にはこっちも長物で!!」
『メタル!』
攻撃を避けつつ、ボディメモリを切り替える翔太郎。
『サイクロン!メタル!』
メタルシャフトを振るって睦の振る影松・真を受け止める。
ダブル(翔太郎)「おい、少しは落ち着け!俺たちが争う理由はないだろ!」
黒影・真「あのヒュージは私の獲物だったのに!!あなた達はそれを横取りした!!
だから私にとってあなた達は敵っ!!!」
スカル「もう!勝手なこと言って!!
リリィは助け合いでしょ!? 」
黒影・真「助けなんて必要ないもん!!!
だって私は──ッ!!」
睦『やめてよ──』
闇睦の脳裏に、表の睦の声が聴こえるがそれを振り払い、裏の睦は先に響を標的にし直し、攻撃をし始める。
スカル「ちょ、先に私を倒すってこと!?」
黒影・真「そう!!さっさとやっつけてやる!!」
影松・真を振り回し響を攻撃するも、響はお得意のパルクールで回避するも──
『マツボックリエナジースカッシュ!』
黒影・真「おりゃぁっ!!!」
着地時の隙をついてエネルギーを纏った影松・真を振りかぶって響にぶつける。
スカル「うぁぁッ!!」
響は地面に身体を叩きつけられ、裏の睦は追い打ちをかけるように響を切り裂く。
響「うぁっ……!!!」
スカルへの変身が解除され、地面に倒れる響。
トドメを刺そうと響に影松・真を振るおうとする闇睦だったが──
睦『お願い、やめて!!!』
黒影・真「っ……!!!」
闇睦の中で表の睦が叫ぶ。
闇睦は頭を抑えながら、聞こえてくる声を振り払うかのように暴れ出す。
ダブル(フィリップ)「……翔太郎、あの仮面ライダーの様子がおかしい。」
ダブル(翔太郎)「何かを振り払ってるように見えるが……なんだ?」
黒影・真「私は『宿主』のために頑張ってるのに!!!邪魔しないでよぉっ!!!」
睦『リリィの人達を傷つけないで……!!!私はそんなこと望んでない!!!』
黒影・真「うるさぁぁぁぁぁぁいっ!!!」
メタルシャフトで荒々しく振るわれる影松・真を弾きつつ、フィリップは1つのワードに食いついていた。
ダブル(フィリップ)「『宿主』……?」
ダブル(翔太郎)「どうしたフィリップ?」
ダブル(フィリップ)「いや、あの子から放たれた『宿主』ってワードが気になってね。誰かに憑依されてるか、或いは……。」
ダブル(翔太郎)「『二重人格』……かもな。」
ダブル(フィリップ)「考えるのは後にしよう。まずは彼女を止めることを最優先しよう!!」
ダブル(翔太郎)「あぁ!!」
翔太郎はスタッグフォンをセットした状態のメタルシャフトにメタルメモリを装填する。
『メタル!マキシマムドライブ!』
ダブル「「メタルスタッグブレイカー!!」」
ダブル(翔太郎)「痛えかもだが、少しだけ我慢してくれ!!」
メタルスタッグブレイカーを受けた闇睦の変身が解け、睦はそのまま連戦の影響か眠りについていた。
翔太郎「ったく、いきなり襲いかかってきた子がまさかこんな静かそうな子だったなんてな。
人間ってやっぱわっかんねぇな。」
頭を掻きながら翔太郎はそう呟く。
翔太郎「響、立てるか?」
響「う、うん……平気だけど…。」
翔太郎「とりあえずガーデン戻るぞ。」
2人は眠っている睦を連れてその場を去り、忍の元へと連れていく。
忍のいる医務室でフィリップとも合流した2人。
翔太郎「来たか、こっちだ!」
フィリップ「すまない、遅くなった。彼女の様態は?」
響「さっきまでの暴れ具合が嘘かのように寝てるよ。」
翔太郎「ところで相棒。この子の事、なんかわかったか?」
フィリップ「あぁ、彼女の名は黒崎睦。
母親が優秀なリリィだった影響か、母親と比べられて実力があまり評価されない子だった。
数週間前に彼女の友人が亡くなり、教室に顔を出さなくなった。」
響「ふーん…?」
フィリップ「数日前、久しぶりに登校してきたかと思えば、『まるで人が変わったかのように教室内で明るく振る舞っていた』。」
翔太郎「……まさか!?」
フィリップ「あぁ、翔太郎の仮説は正しかった。
ここに来る前、彼女のクラスメイト達に偶然出会ってね。彼女のことを少し聞いてたんだ。」
響「だから遅れたの?」
フィリップ「まぁ、そうなるね。」
翔太郎「……彼女の人となりは何となくわかった。
けど、どうする?また目覚まして暴れられたら溜まったもんじゃないぞ?」
忍「なら、俺にいい考えがある。」
響「え、何かあるんですか!?」
忍「『催眠療法』。実際の現場でも使われてる技術だから安心してくれ。ただ──」
翔太郎「ただ?」
忍「俺も会得してるんだが、使う機会はなくてな。」
フィリップ「それなら、僕にも手伝わせてください。」
忍「フィリップ?」
フィリップ「前に少し調べたことがあって。
翔太郎か響のどちらかにかけて試してみようと思っていたのだが……まさかこんな所で役に立つとは……。」
翔太郎「おい、今聞き捨てならねぇ言葉が聞こえたんだが。」
翔太郎の一言をあえてスルーするかのように忍はフォローに入る。
忍「まぁ、知識のある人がいて助かったぜ。
フィリップ、少し手伝ってくれ。」
フィリップ「はい。」
2人は催眠療法を試そうとした時──
闇睦「──ここはどこ?」
翔太郎「起きたか。」
闇睦「その声……さっきの仮面ライダーッ!!」
闇睦はすぐそばに置いてあったゲネシスドライバーを手に取り戦闘態勢に入ろうとする。
翔太郎「ちょ、ちょっと待て!今ここで暴れるな!!」
忍「お、少し悪ぃが、横になって目を瞑っててくれー。」
忍は裏の睦に指示を出してフィリップと共に催眠をかける。
睦「……。」
響「え、上手くいった?」
忍「わからん。
目を覚まして貰わないと結果は分からないな……。」
睦「ん……。ここは……?」
忍「目を覚ましたか、睦。」
睦「忍先生……?
なんで私ここに……。」
忍「さっきヒュージとの戦闘で怪我してたのと疲労で倒れてたのを、この3人が運んできてくれたんだ。」
睦「あ、あの……あなた方は?」
睦は3人の方を向きつつ頭に疑問符を浮かべていた。
翔太郎「あ、悪ぃな。
俺は今井翔太郎。そしてこっちが──」
響「私は九条響!よろしくね!」
フィリップ「僕はフィリップ。よろしく頼むよ、黒崎睦さん。」
睦「なんで……私の名前を?」
翔太郎「あ〜悪ぃ。寝てる間に忍先生から名前を聞いててな。」
響「そうだ、睦ちゃんって何が好き?」
睦「えっ……?野菜……。」
響「そっか〜!
野菜の中で何が好き?」
睦「胡瓜……。」
響「胡瓜!?
あの食感いいよね!私も好き!」
明るく接する響に睦は圧倒された。
睦「そ、その……。」
響「ん?どうしたの?」
睦「あの、なんで私にそんな話を……?」
響「なんでって?
私は睦ちゃんと仲良くなりたいの。あなたのこと、少し聞いたよ。」
睦「だったら……」
響「誰がなんて言おうが睦ちゃんは睦ちゃんでしょ?」
睦「っ……!?」
響「私だけじゃない。フィリップや翔太郎も、忍先生だってきっと同じ。
お母さんがすごい人でも、睦ちゃんは睦ちゃん。他の誰でもないあなたなんだよ?」
フィリップ「そうだ、もし良ければ僕たちのいる船田予備隊の仲間にならないかい?
きっと純達なら歓迎してくれるさ。」
睦「いいんですか…?」
翔太郎「待ってな、ちょっくら聞いてくるわ。」
そう言って翔太郎は船田予備隊の控え室まで走っていく。
忍「怪我してるってのに元気なやつだなぁ……。」
フィリップ「他人のためなら自分のことを後回しにしてでも解決しようと奮闘する……それが翔太郎のいい所ですからね。」
響「まぁ、見ててヒヤヒヤするけどね。」
しばらく待っていると、翔太郎が帰ってきた。
翔太郎「大丈夫だってよ。
もう純にも許可とったし。」
睦「何から何まで……ありがとうございます。」
翌日、睦は船田予備隊のいる控え室の扉の前にいた。
睦「(レイ……私、あなたの分まで頑張るよ。見てて。)
……ふぅ。」
息を整えて扉をノックしてから開ける。
睦「し、失礼します……!!」
高嶺「あら?あなたが昨日翔太郎が言っていた黒崎睦さん?」
純「やっと来ましたのね。」
睦「あ、あの……これからお世話になります、黒崎睦……です。」
初「よろしくお願いしますわ。
わたくしは船田初。この船田予備隊の副隊長を務めておりますわ。
そしてこっちが妹の純。船田予備隊の隊長です。」
純「よろしくお願いしますわ。」
睦「よ、よろしくお願いします……!!」
船田予備隊として睦は戦い続けていたある日、部屋でもう1人の睦──闇睦と話をしていた。
闇睦「船田予備隊の皆、いい人達だよね。」
睦「うん。」
闇睦が表の睦に語りかける──
闇睦「でも、レイカちゃんみたいに、また喪うのが怖いんだよね。」
睦「そうだよ。
でも、私よりもずっと強いから大丈夫。」
闇睦「また、何かあったら言ってね。私はいつでも力になるから。」
睦「ありがとう…。」
それからというもの、船田予備隊で活動していた睦。
活動の中で睦は、仲間を喪う事の恐怖に怯えながらも、船田予備隊のメンバーに支えられて戦っていた。
威吹鬼「睦!」
黒影「はい!!」
イブキと睦は抜群の連携でヒュージを追い詰め、撃破した。
威吹鬼「睦、よく頑張ったわね!」
イブキはそう言ってハイタッチをする。
黒影「ありがとうございます…!」
こうして彼女は自信を取り戻し、またリリィとして戦えるようになっていった──
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現在──
睦は、目の前で黒影隊のメンバーが自分を巻き込んで自爆しようとしたのを目の当たりにして怪我をし、保健室で治療を受けていた時だった。
睦「……また、仲間が死んじゃった……。」
脳裏に、レイカの死が過ぎり息が乱れ始める睦。
睦「はぁ…!!はぁ…!!私…また…。
ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…。」
忍「落ち着け、睦。気を確かに持つんだ…!!」
睦「はっ…!!
忍先生…。ごめんなさい…。」
忍「あぁ。
睦、少し寝てろ。まずは自分の怪我を治すのが最優先だ。」
睦「はい……。すみません先生……。」
睦はそう言って、眠りにつく。
忍「……こりゃ、そろそろ裏のあいつが動き出してもおかしくなさそうだな…。」
忍はそう呟き、睦の側から離れた。
オリジナル編で、睦ちゃんもかなりの重要人物になるため、過去編を書かせていただきました。
どうなるかは、今後の展開をお楽しみに。