CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE   作:wataru012

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鋼のチームメイト

カドマツによる彩渡商店街チームのアセンブルシステムの

カスタマイズが行われ、テストプレイによって追加機能及び

「覚醒」に関して問題なく機能する事が確認されて3日後。

 

泰葉達はカドマツから伝えられた報酬の一部の代わりとして

テスターを引き受ける事となった「新製品の試作品」について

ミサ共々説明を受ける為に五月野模型店へとやって来た。

 

「みんな、いらっしゃい!」

 

「今日もお邪魔しますね、ミサさん」

 

「カドマツさんはまだみたいっスね」

 

「持って来る物の大きさがそれなりにあると聞いたし、

 梱包とかで時間がかかってるんじゃないかと思うよ」

 

「それなりに大きいもので、泉ちゃんや晶葉ちゃんが

 興味津々な反応となると…やっぱりロボット系のものかな?」

 

「まぁ、それは実際に見た時のお楽しみというやつだ」

 

「…ちょうど来たみたいだね」

 

泰葉がミサと挨拶を交わし、カドマツの姿がまだ見えない事を

比奈が口にすると泉がまだ来ていない理由を推測し返答する。

それに続く形でミサが投げかけた疑問を晶葉がはぐらかす形で

返事をした所にちょうどいいタイミングで現れたカドマツの姿を

確認したユウイチがその場にいる全員に声をかけた。

 

「おっと、待たせちまったか?」

 

「いえ、私達もついさっき来たばかりです」

 

「なら良かった、早速で悪いがまずはこいつを

 テーブルに置く手伝いをしてもらえないか?」

 

左手に持つPCや周辺機器の入ったバッグに加えて

右手に大きなアタッシュケースを持ったカドマツが

泰葉と挨拶を交わすとアタッシュケースに視線を向けながら

手を貸して欲しいと話し、それを聞いてプロデューサーと

ユウイチがカドマツと共に持ち上げてテーブルの上に置き

そこから続いて開く。そこに入っていたものは…

 

「うわー、これって騎士ガンダムじゃない」

 

「確かデフォルメされたMSやパイロット等の

 人物をモデルに、ファンタジーRPG風の世界観で

 作り上げられた作品の主役でしたっけ」

 

「そうっスそうっス、この騎士ガンダムを皮切りに

 いろんなRPGのジョブやモンスターとMSやパイロット等の

 人物達を掛け合わせたキャラクターが沢山作られて

 それと共に数多くの物語を生み出して来たんスよ」

 

通常のモビルスーツより等身を縮め、西洋の騎士の鎧を

イメージした外装に包まれたガンダム顔のロボットであり…

その姿を見たミサが驚きの声を上げ泰葉がそれを見て

元となった作品について話すと比奈が返事をしていた。

 

「ハイム社がテストして欲しいって事は、ただの大きな

 騎士ガンダムのレプリカって訳じゃないんだよね?」

 

「ああ、ウチの会社で新しく開発している『トイボット』の

 試作1号機だ。こいつのテストに協力してくれ」

 

「テストって、具体的にどうすれば…あ、これ取説?」

 

それを見たミサがカドマツに何なのかを尋ね、

カドマツからの返答を聞いたミサが一緒に入っていた

冊子を目にするとそのまま取り出して読み始める。

 

「こいつは『子供の遊び相手』を目的として開発されたもので、

 その『遊び』の一環としてガンプラバトルも出来るようになってる。

 という事で、こいつをチームメンバーの一員に加えてもらって一緒に

 ガンプラバトルをしてもらう事で稼働データを収集するのが目的だ」

 

「アイドルのみならずロボットがチームメンバー入りするとは、

 過疎商店街のチームとは思えない豪華さとも言えまスねぇ…」

 

「そうだねぇ…と、これがメインスイッチだね」

 

カドマツからの説明を聞いて、比奈が彩渡商店街チームの

メンバー構成が前代未聞のものとなっていく事に驚き

ミサはそれに相槌を打ちながら説明書に書かれている

メインスイッチをONにして『トイボット』を起動させる。

 

「オイ、勝手に起動させんな!」

 

カドマツからの抗議も意に介さず、起動したそれの

目に光が宿り上体を起こしながら立ち上がって

椅子を経由して地面に降り立った様子を見て

ミサは満足気な表情で言葉を続ける。

 

「おー…無事に降りられたかぁ、よろしくねロボ太」

 

「安直な名前付けんなっての!」

 

「えー、いいじゃん分かり易くて…でしょ、ロボ太?」

 

ミサの安直と言えるネーミングにカドマツが抗議を続けるが、

ミサも否定への不満を零しつつロボ太に同意を求める。

そのミサの発言に対して、ロボ太はミサに顔を向けた後に

肯定の意の表現か首を縦に振るが一切発言はされなかった。

 

「あれ、返事はしないんですね」

 

「ああ、こいつは言葉の理解は出来るが

 発声装置は付けられてないんだ」

 

「何でそんな不便な設定にしたの?」

 

「人と接するロボットの開発というのはデリケートなもんでな、

 特にこいつは子供の相手を想定して開発されているから

 悪影響を及ぼさない為に機能設定を慎重に行う必要があるんだ」

 

「へ~、ロボットを作るのにも色々考える事があるんだねぇ」

 

「そういうこった、んじゃ早速だがこいつを連れて

 ゲーセンに行って一緒にガンプラバトルシミュレーターを

 プレイしてくれ…こいつ用のガンプラも用意してるから」

 

ロボ太がミサに声を掛けられた事に対しての反応は示したが

返答が発せられない事への疑問を泰葉が口にすると、

カドマツがそうなった理由も添えてロボ太に発声装置が

付けられていない事を説明する。それを聞いたミサの感想に

返事をすると、早速のテストとしての2人と1機による

ガンプラバトルシミュレーターのプレイをロボ太用に

用意したガンプラを取り出しながら泰葉達に頼み込んだ。

 

「あれ、こっちも騎士ガンダム? シミュレーターって

 確かBB戦士とかのSDキットは未対応のはずだけど…」

 

「確かにそうなんだが、ガンプラバトルの運営が実装に向けて

『SD用機体データ』を募集してたからそれに乗っかる形で

 騎士ガンダムの試作データを作成して運営に送って確認の後に

 シミュレーターに実装してもらった事への報酬として

 こいつのガンプラバトル公式大会参加資格をもらったって事だ。

 あくまで『試作』段階だから現状他のファイターは使えないし、

 他キットとのミキシングやビルダーズパーツの使用は出来ないがな」

 

「そういう理由もあったんですか…」

 

「私達の知らない所でも色々やってるんだねぇ」

 

カドマツが取り出したロボ太用のガンプラに対する

ミサの疑問をきっかけとして、カドマツからロボ太の

公式大会参加資格獲得の為に行われた行為についての

説明がなされると泰葉とミサは感心した様子で返事をした。

 

「そういうこった、んじゃ頼むぞ」

 

「わかりました、でもその前に1つだけ

 済ませたい事があるのでその後で良いですか?」

 

「そいつの内容が何なのかにもよるな…

 とりあえず何をしたいのか話してくれ」

 

2人の言葉に返す形で取り出した騎士ガンダムの

ガンプラをテーブルに置きながら改めて頼むカドマツに、

泰葉は了承の意志を示しながらもそれを行う前に

済ませておきたい事があると返す。

 

「先日のシミュレータープレイ時に私が試した

 バーストアクション時の動きを確認して、

 私の機体の武装回りを変更しようと考えてて…

 1つだけ塗装したいパーツがあるので、その為の

 サーフェイサー吹き付けを済ませておきたいんです」

 

「何のパーツを塗装したいの?」

 

「えーと…これですね」

 

泰葉の発言に対してカドマツが内容確認の為に

詳細を尋ね、それについての説明を行うと

ミサが横から入る形でその「塗装したいパーツ」を

尋ねる。それを聞いた泰葉はカバンからガンプラの

箱を取り出し、中に入っているランナーの1つを取りだした。

 

「エクシアの盾の表部分のパーツかぁ、

 それならサフ吹き付けてからゲーセン行けば

 1プレイでもそこそこ時間はかかるし往復の分も

 考えれば帰って来て報告したら乾いてるだろうね」

 

「わかった、んじゃ手早く済ませて来てくれよ」

 

「了解!」

 

「今日は私達も泰葉さん達について行って良いですか?」

 

「ああ、そっちの2人は特に待ち遠しかっただろうし…

 試作品とはいえ自信はあるものだ、存分に見物してくれ」

 

「なら、お言葉に甘えさせて頂こうか」

 

泰葉が取り出したパーツを確認すると、

パーツ自体の大きさはそこまで大きくなく

形状も複雑ではなかった事もあり

カドマツの許可を得て2人は塗装ブースに移動する。

その間に泉と晶葉がロボ太の観察の為に

泰葉達と共にイラトゲームコーナーに向かいたいと

カドマツに要求すると、自信満々の表情で許可が返って来た。

 

~~~~~

 

「本日のご来店ありがとうございます、ミサさんに泰葉さんに比奈さん…

 と、初めてのご来店となるお客様が3名ほど居るようですね」

 

サフ吹き付けが終わり、アイドル達とミサとロボ太の大所帯と

言える人数でイラトゲームコーナーへと向かい…いつものように

インフォがミサと泰葉と比奈に来店の挨拶をした後に、

インフォにとって初対面となる泉と晶葉とロボ太を確認して声をかける。

 

「これがワークボットかぁ…初めて見たけどさっきの挨拶からして

 1度来たお客さんの事をきちんと覚えて挨拶してくれるんだね」

 

「私のロボ作りにも活かせるものがないかと情報収集はしていたが、

 こうして実際に稼働しているものをこの目で見られるとはな」

 

泉と晶葉にとっても初対面となるインフォの姿を見て、

興味津々といった反応を示す。そして2人の発言が

一区切り付いた所を見計らって、インフォが話しかける。

 

「差支えなければ、お2人の名前を教えて頂けませんか?」

 

「ん、ええと…私は大石泉って言います」

 

「私は池袋晶葉だ」

 

「泉さんと晶葉さん…ですね、登録完了しました」

 

インフォからの発言が予期せぬものだったからか、

一瞬戸惑いながらも泉は自己紹介を行い晶葉もそれに続く。

それを聞いてインフォが2人の名前と外見データを紐付けた後に、

ロボ太がインフォの前に出て見つめ合う形となる。

 

「…なるほど、ロボ太さんと言うのですね。登録完了しました」

 

「あれ、まだ誰も話してないのに何で名前がわかったの?」

 

その状態から数秒後、インフォがロボ太の名前を言いながら

外見データとの紐付けが出来た事を報告すると、この場に居る

誰もまだインフォにロボ太の名前を言ってないにも関わらず

名前がわかった事に対してミサは率直な疑問を口にした。

 

「ご本人から名前がデータで送信されましたので」

 

「なるほど、形や目的は違えど無線通信機能の規格が

 同じだった為に機体間での無線データ送受信が出来たという事か」

 

それに対するインフォの回答を聞いて、晶葉が

納得した様子で感想を述べる。そんなやり取りを経て、

一同はガンプラバトルシミュレーターへと進んで行った。

 

~~~~~

 

2人と1機がポッドに入り、各自ガンプラをセットして

出撃に移行し…そうして騎士ガンダムも含めた3機が

フィールドに降り立つと、ミサが声をかける。

 

「よーし、それじゃあ行こうか」

 

「はい、ミサさん」

 

「うむ、心得た」

 

それに対して泰葉の返答の後に聞きなれぬ声が響き、

ポッド外で見物していた比奈達も含め一同は驚きで固まる。

 

「え…あれ?」

 

「い、今の…何?」

 

「どうした皆、私は『心得た』と返事しただけだが」

 

困惑した反応を示す泰葉とミサの発言後、

再び同じ声が響き…発言者を示す顔表示部には

騎士ガンダムの顔、すなわちロボ太の顔が表示されていた。

 

『しゃ…喋ったぁっ!?』

 

「うむ、ヒアリング用のボイスデータを解析し

 それを利用してスピーカーから発声している」

 

「いやだって、カドマツさんは喋れないって言ってたっスよね!?」

 

一同の驚きの声の後に、それを意に介さない様子で

ロボ太は自分の喋り方について説明を行う。

それに対し比奈は出発前にカドマツから受けた

説明の内容を半ばツッコミの形で返事代わりに発言する。

 

「その発言については間違いではない、私のボディには

 発声装置が備え付けられていない為会話不可能なのは事実だ…

 だが、ガンプラバトルシミュレーターにはスピーカーが

 備え付けられている為それを利用させてもらった。

 ガンプラバトルというものはコミュニケーションが

 不可欠だと確認している、その為に即興かつ簡易的で

 状況も限定されるが会話機能を実装してみたのだ」

 

「は、はぁ…」

 

「何と言いますか…凄いとしか言葉が出ませんね」

 

それに対するロボ太の返答としての会話機能の

取得方法についての説明を聞かされるが、

泰葉とミサは圧倒された様子で返事をするのがやっとだった。

 

「ではミサ、そして主殿…いざ参ろう」

 

「え? 『主殿』って…もしかして私ですか?」

 

「うむ」

 

「ちょっとぉ! 何で私が呼び捨てで泰葉ちゃんは敬称なのさ!」

 

「カドマツがこのように呼称を登録しているので、それに従っただけだが」

 

「カドマツぅぅぅっ!!」

 

「と、とりあえずミサさん…敵機が現れたので

 ウサ晴らしがてら撃破していって下さい」

 

「もー…わかったよ」

 

2人の返事に対し、ロボ太が2人を促すように声をかけるが

泰葉に対する呼称が予想外だった事で確認の為尋ねる。

その直後にミサが自分と泰葉の呼称の差異に対して

抗議の声を上げるが、ロボ太が淡々と理由を告げると

不満を爆発させたような叫びを上げる。そんなミサを

何とかなだめようと泰葉が現れた敵機の撃破を頼み込むと、

ミサは愚痴りながらもそれに従って攻撃を始めた。

 

「使用条件が限定されてるとはいえ、即興でデータ解析から

 システムを使っての会話機能を実装するなんて…」

 

「こいつに搭載されているAI、凄まじい代物だな…」

 

「知識のある2人にそう言わせるとは、

 本当にとんでもない代物なんスね…」

 

そんな泰葉達の様子をポッド外から見ていた比奈・泉・晶葉の

3人だったが、ロボ太が行った事に対して泉と晶葉が驚嘆の声を

上げている様子を見てAIに関する知識が乏しい比奈も

その行為が凄まじい事であると認識させられていた。

 

~~~~~

 

そこから泰葉達は順調に現れ続ける敵機を片っ端から

撃破し続けて行き…ステージボスの登場演出である

箱落下の後に、鎧武者を思わせる風貌の機体が2機現れる。

 

「今回のボスは武者頑駄無かぁ、ある意味ピッタリな相手だね」

 

「これも確かSDが初出のはずでしたが、通常等身のサイズもあったんですね」

 

「あー、正確にはそのSD版を元にとあるガンダムゲーム用に作られた

 通常等身バージョンがガンプラ化されたって経緯でスね」

 

「なるほど、私の身体モデルと類似した経緯で誕生したものを

 元にしたものという事か…相手にとって不足はない、行くぞ!」

 

現れたボス機体に対するミサと泰葉の反応や、泰葉の発言への

比奈の返答を聞いたロボ太が果敢に武者頑駄無に突撃していく。

それをサポートしようと泰葉が「ファンネル」を展開し、

ミサも「ファンネル」と「シールドビット」の展開に加えて

「バレットフォース」「バレットオービット」「スーパードラグーン」の

射撃系自動攻撃EXアクション3種を発動しロボ太が突進していった武者頑駄無に

標的を定め援護射撃を行い…オールレンジ攻撃各種を始めとした

2人の射撃攻撃の被弾でよろめいている所に取り付き連続斬りや

落雷に斬撃波飛ばしといった各種攻撃を叩き込んで行き、

そこに泰葉とミサの射撃が加わってあっという間に撃破される。

 

「うおっ!」

 

「私が代わりに抑えに行くよ、ロボ太!」

 

「すまん、頼むぞミサ!」

 

その直後に「狂化」を発動したもう1機の武者頑駄無によって

ロボ太が吹き飛ばされると、ミサがすかさずブーストを吹かして

接近し取り付いて前衛を受け持つ。泰葉はそのまま砲撃を中心とした

支援射撃を継続し、立ち上がって体勢を立て直したロボ太が再び

取り付いてミサと共に格闘攻撃を叩き込んで2機目も無事撃破した。

 

「よーし、ロボ太いい働きしてくれて感謝だよ」

 

「そうですね、機体サイズ差に怯む事なく果敢に向かって

 前衛を受け持ってくれたおかげで私とミサさんが支援射撃を

 中心に立ち回れてそれぞれの火力を最大限に発揮出来ました」

 

「だねー、私が前衛で考えてたけどこうなるとロボ太と泰葉ちゃんの

 中間の立ち位置で中距離射撃を中心にした立ち回りにするのが良いかも」

 

「私が役に立ったと言うのならば、こちらとしても

 喜ばしい事だ…こちらこそ主殿とミサに感謝する」

 

「それじゃ戻りましょうか、カドマツさんへの

 良い土産話になりそうな報告も出来まスし」

 

「そうだな」

 

「稼働開始して間もないAIであそこまでの事を

 実行出来るなんて…本当に凄い代物だよ」

 

ステージクリア後、泰葉とミサがそれぞれロボ太の立ち回りを

賞賛するとロボ太も2人に向けて感謝の言葉を返す。

それを聞きながら、ポッド外で観戦していた比奈・泉・晶葉の

3人も驚きながらも上機嫌な様子でそれぞれ感想を零していた。

 

~~~~~

 

「シミュレーター内蔵のヒアリング用データの解析から、

 スピーカーを使っての発言を行うとはなぁ」

 

戻って来た泰葉達からの報告を聞いたカドマツは、

予想外の事態が発生したと言わんばかりの

驚きを見せながら返事をしていた。

 

「その反応からすると、今回起こった事態は

 カドマツさんにとっても予想外だったんですか?」

 

「ああ、こっちの予想の範疇を軽々と超えてたよ…

『さすが俺』なんて自画自賛したくなる程の

 とんでもないレベルの偉業と言える、な」

 

泉の言葉にカドマツがそう返すと、

一転して真剣な表情となって言葉を続ける。

 

「…だが正直この機能は危険だ、作り上げた

 こいつには悪いが使用停止させざるを得ないか」

 

「何でよ!? ロボ太がせっかく作ったってのに!」

 

「今のその反応が理由だよ」

 

「へ?」

 

ロボ太が自ら作り上げたシミュレーターのシステムを

用いた発言機能を使用させないようにするという

カドマツの判断に対してミサが抗議の声を上げると、

その反応に納得したような表情でカドマツは返事をする。

 

「人と接するロボットの開発はデリケートだって言ったろ?

 その理由の1つとしてロボットに対して強く感情移入を

 されるってのは問題があるんだよ…意地の悪い言い方だが、

 こいつが車に跳ね飛ばされそうになった時に持ち主が

 庇って代わりに…なんてなったら本末転倒だからな」

 

「あー…」

 

「人の助力となるロボットのせいで、肝心の人が

 損害を被る結果になる訳にはいかない…という事か」

 

そこから続くカドマツの説明を聞いて、ミサは得心がいったと

いう顔となり晶葉はその結論に達した理由を予測する。

 

「理屈としては理解出来るけど、感情面では

 どうしても納得できない…というのが本音ですね」

 

「そうですね…それに、ガンプラバトルではどうしても

 会話によるコミュニケーションが欠かせないものだと

 短い経験の間でも実感してますし…意思疎通が出来なければ

『彼』の力を発揮出来ないどころか、最悪の場合チームにとっての

 足手まといになり兼ねないと思います…どうにかなりませんか?」

 

そこから続く泉と泰葉の言葉は、カドマツの考えに対して

「理解は出来るが納得は出来ない」という正直な気持ちに加え

主目的のガンプラバトルにおいて「意思疎通が出来ない事」で

ロボ太が足枷になり兼ねない事を危惧するものとなった。

 

「んー…まぁ確かに、ガンプラバトルでメンバー間の意思疎通が

 どれだけ大事かっていうのは俺も実感してるからなぁ」

 

「頼むよぉ、カドマツぅ!」

 

泉と泰葉の言葉を聞いて思案するカドマツに、

ミサが縋るような声で頼み込む。そんな最中…

 

「…あれ? カドマツさん、パソコンが…」

 

「どうした?」

 

比奈がカドマツが持ち込んだノートパソコンに、

一切誰も手を触れていないにも関わらず

テキストエディタ用のソフトウェアが起動したのを

目にして漏れた言葉にカドマツが反応して視線を移す。

それにつられる形でその場にいる全員がパソコンに

視線を向けると、起動したテキストエディタ上に

自動で文章が打ち込まれていた。それを目にすると、

カドマツはロボ太に視線を移して問いかける。

 

「…これ、お前が入力したのか?」

 

カドマツの問いへの肯定の意思表示として、

ロボ太は首を縦に振る。それを見たカドマツは、

声を若干震わせながら言葉を口にしていた。

 

「お前って奴ぁ…!」

 

ロボ太がカドマツのノートパソコンを利用して

出力した文章、それは自分が即興で生成した

ガンプラバトルシミュレーター限定の会話機能が

泰葉やミサ達に危険を及ぼす可能性があるのならば

削除しても一向に構わないという意思表示だった。

 

「バッカヤロォ、こんな事言われて消せるわけねぇだろぉ!」

 

カドマツはそう叫ぶと、凄まじい勢いでノートパソコンの

シャットダウンから片づけを行いそのままの勢いで

全速力で五月野模型店を飛び出して行った。

 

「上の方に頼み込んで何とかこの機能の実装許可を貰って来る!」

 

飛び出す間際に、大声でそう叫びながら。

 

「ああ言っといて、カドマツが一番ロボ太に

 過剰なまでに感情移入してるんじゃない…」

 

「まぁ自分が手掛けたロボだからな、

 ある意味自分の子供のような存在だから

 ああまで感情移入する気持ちは理解出来るぞ」

 

そんなカドマツの様子に呆れ気味の口調で

ミサが感想を零すと、晶葉が趣味と仕事という

違いこそあれどロボット制作者という共通項から

ロボ太への感情移入に対する理解を示す。

 

「何にせよ即座に機能削除なんていう事態にならなくて

 良かったよ、せっかくのAIの優秀さを示す事柄って

 だけじゃなくてガンプラバトルでも有用なんだし」

 

「そうですね、カドマツさんには余計な負担を

 掛ける事になってしまいましたが…」

 

「ま、これはカドマツさん自らが苦労する事も

 承知の上で自発的に背負ったものなので…

 良い結果になってくれればいいっスねぇ」

 

そこから続く形で、泉と泰葉がロボ太の

シミュレーター限定会話機能が即座に削除を

されずに済んだ事に対して安堵の言葉を吐き…

比奈は良い結果となる事を願うような言葉を続けた。

 

「…と、そう言えば出掛ける前にサフ吹いてたパーツが

 あったね。多分乾いてるとは思うけど一応確認して

 乾いてたならそのまま塗装しちゃおうか」

 

「そうですね、お願いします」

 

ロボ太に関する話題が落ち着いた所で、ミサは

出掛ける前に泰葉が塗装したいパーツの下地に

サーフェイサーを吹いてた事を思い出して

泰葉に声を掛けながら共に確認に移る。

ミサの目論見通りサーフェイサーが乾いてたのを

確認後、そのままスプレー塗料を吹き付けて

乾燥工程に移った所でその日は解散となった。

 

…その翌日、ミサ経由で泰葉達にカドマツの

ハイム社上層部との話し合いの結果ロボ太が

生成したシミュレーター限定会話機能の

実装が正式に許可されたという報告が届き…

それを見たアイドル達も共に喜ぶ結果となった。




比奈:いよいよガンブレ3における重大なキーキャラクターと
   言っても過言ではない存在、ロボ太くんの登場っスね

P:だな、正直な話DLC最終シナリオを初見でクリアした後に
 あのエンディングを見た時の感想はどうだったかは気になるな

比奈:そのロボ太くん関係の反応も、アイドルだけでも4人に
   増えた事で量が増したり…意味合いこそほぼ同様ながら
   文章表現を独自の物に変えて行ったりした影響か、
   今話も結構なボリュームになりましたねぇ…

P:とはいえロボ太関係に尺を大きく割いた為にバトル関連とかは
 少々おなざりになってしまったけどな…その分、次話からの
 リージョンカップ編で取り戻す勢いで書きたいと思ってる。
 小規模ながら泰葉機の改修とEXアクションの変更、それに
 「アザレア・エクステンド」のEXアクション構成の小変更も
 含めて次の話で書くので待って頂ければと思います
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