CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE 作:wataru012
SDガンダム機体データの稼働確認を兼ねた連戦や
ウィルス感染したインフォの除去の為のバトルが
行われてから数週間後の7月に入ったある日の事。
泰葉達彩渡商店街チームの一同は、宿泊していた
静岡市内のホテルからマイクロバスに乗り込んで
ジャパンカップの会場へと移動していた。
「いやぁ、リージョンカップの時に横浜まで送ってくれた
実績があるとはいえまさか静岡までもバスと運転手の
確保と送迎をしてくれるとは驚いたと同時に有難いわ」
「気にしないで下さいカドマツさん、東京からだと
結構な距離になりますし人数の多さだけじゃなく
大型の精密機器も運ぶという事態ですから」
「なるほどね~、でもそれを抜きにしても有難いよホント。
前日に静岡に入れたおかげで気持ちに余裕が出来たし、
ちょっとした長旅と言える距離を移動したけどその間も
泰葉ちゃんたちと話せて退屈とは無縁でいられたし…」
「ミサさん、リラックス出来てるようで良かったです」
「ありがと泰葉ちゃん、普段だと話す機会がどうしても
ガンプラ組み立て中やシミュレータープレイ後になるから
自分達のガンプラやプレイ関係の話題になっちゃうけど
今回は泰葉ちゃん達のアイドルとしての活動とか
プロダクションに関しての話も聞けて良かったよ…
それにしても、泰葉ちゃんの活躍の影響で他のアイドルの
間でもガンプラとガンプラバトルに興味を持つ人が
出て来てるなんてねぇ…ホント聞いた時は驚いたよ」
車内でカドマツが346プロ自らバスと運転手を手配して
静岡までミサと自分を運んでくれた事に率直な驚きを述べると、
プロデューサーから距離や人数に加え運ぶ荷物の関係から
この手段が一番最適であると返事が返って来る。
それに続く形でミサがプロデューサーに礼を告げると、泰葉も
ミサがリラックスしている様子を見て安堵の言葉を口にし…
それに対するミサの返答の中で、泰葉の活躍の影響で
346プロの一部アイドルの中にガンプラ及びガンプラバトルへの
興味を抱く者が現れた事への率直な驚きを口にしていた。
「しかしロボ太くん、後部座席の窓ガラスに顔を押し付ける程の
勢いでかぶり付いてまスねぇ…後ろの車両のドライバーと
目線が合っちゃって驚かれなきゃいいんスが」
「リージョンカップの時の横浜への移動の時も外の景色に
夢中になってたが、今回はその時以上のものを感じるな」
「今までは関東圏内の移動に留まってたのが、今回は一気に
東海地方への大移動になったっていうのもあるのかな」
そんな泰葉達の隣で、比奈・晶葉・泉の3人は車窓からの景色に
夢中になっている様子のロボ太を見て心配や心境の推測といった
それぞれが思った事を口にしていく。そんな最中…
「突然で悪いが、ちょっとこいつを見てくれ」
カドマツが泰葉達に声をかけると同時に、とあるニュースサイトが
画面に表示されている自分のタブレットを泰葉達に手渡した。
「えーと、なになに…『セーフティセキュリティソフトウェア社
元社長バイラス容疑者による不正プログラム作成に対し、
先日同社を買収したタイムズユニバース社のCEOである
ウィリアム・タイムズ氏による告発がなされた』?」
「不正プログラム…もしかして、先日の…?」
「記事の内容からするに、おそらく泰葉の予想通りだと思うな」
「『ワークボット等の自立稼働ロボットの制御AIを標的としたもの』と
思いっきり記事に書かれてまスからねぇ…しかしまた、そういった
ウィルス対策のソフトウェアを作ってる会社自らが行うとは…
ま、その報いとばかりに買収された後に潰されちゃったようっスけどね」
「一般的には社名を構成してる3単語の頭文字から『スリーエス社』と
呼ばれてるこの会社、ここ数年で8年前から続いていた低迷状態からの
急激な回復に留まらず低迷前より高い業績を上げた事で
注目されてたんだが…こんな理由があったとはな」
「ウィルス対策のソフトを作ってる会社が自らウィルスを作って
バラ撒いて、そのウィルスに効果的なセキュリティソフトを売って
儲けてたって事? ここまで分かり易い自作自演もそうそうないんじゃ…」
「ま、都市伝説的なノリで言われてた事ではあるんだが…
まさか本当に実行しちまう奴が居たとはな、呆れたもんだよ」
「全くだ、趣味に過ぎん身の私からしても技術者失格としか言えんな」
「私個人としては、それを実行するに至った動機が気になる所だね…
どんな動機であったとしても行った事が許されない事に変わりはないけど」
一同が手渡されたタブレットの画面に表示されているニュース記事の
内容を確認すると、それぞれが思い思いに感じた事を口にしていく。
そんな様子の最中、泰葉はカドマツに視線を向けながら一言問いかけた。
「…私達このニュースを見せたのは、タイムズユニバースが
関係しているから…という事でしょうか、カドマツさん」
「だな」
「なるほどねぇ…しかしまた、何でわざわざ買収した後に
悪事を暴露して潰すなんて回りくどい事をしたんだろ?」
「そう言われれば確かに…悪事の暴露が目的なら
わざわざ買収しなくても出来そうに思えまスし」
「生憎そこまではわからんな」
「…と、そろそろ会場が見えて来たみたいだ」
泰葉の一言をきっかけに、カドマツ・ミサ・比奈が
言葉を交わしている最中…プロデューサーが
前方に見えて来た建物を視認した所で一同に声を掛ける。
「おおー、あれがジャパンカップの会場かぁ」
「だな、公式HPやSNSアカで公開されてた写真で見た建物だし」
「あそこで日本代表を決める戦いが行われるんですね…」
その会場となる建物を目にして、泰葉とミサとカドマツが
思い思いの感想を口にする。そしてそのまま泰葉達が乗っている
マイクロバスは吸い込まれるようにその建物に向けて走っていった。
~~~~~
「皆さん、こんにちは! まずはジャパンカップの出場、
おめでとうございます! タウンカップとリージョンカップを
勝ち抜いてここに辿り着いた皆さんは、誰もが日本一の栄冠を
勝ち取るに相応しい実力の持ち主と言えます! 今日この場所で
行われるバトルには、全国のガンプラバトルファンからの
機体の眼差しが注がれる事間違いなしでしょう! 私も一人の
ファンとして、皆さんのバトルを楽しみにしています!
…それではここで、皆さんお馴染みミスターガンプラから
激励の一言をお送りします! それではミスター、どうぞ!」
ジャパンカップの開会式が始まり、まずMCハルによる
多弁でありながら立て板に水の如き勢いで紡がれる
挨拶の締めにミスターへのバトンパスが行われる。
「只今紹介に預かりました、ミスターガンプラです。
えー、本日このような素晴らしい日に皆さんと共に
居られる事に対して心から感謝しています…」
~~~~~
(…ミスターって話し始めると止まらない人なのかな?)
(…そうだとしても、こういった場での挨拶が初めてという
訳でもないでしょうし…緊張してしまってるんでしょうか?)
(…それでも、何人かが日射病か貧血辺りで立てなくなって
スタッフさんが運んでる事態ってのはマズくないっスかね…)
おそらくはこの場に居る参加者たちの予想を遥かに上回る勢いで
長々と続くミスターの話に対し、ミサと泰葉と比奈が小声で
それぞれが抱いている予測や危惧を言い合っていたその時…
「ミスター、時間が押してますのでそろそろ…」
「む、そうか…では最後に激励の言葉を」
MCハルからの一言で話を打ち切ったミスターが、咳払いの後に
リージョンカップの時のようなハイテンションさを
感じさせる口調と表情に切り替えて言葉を続ける。
「君達、ガンプラは好きか! ガンプラバトルに勝ちたいか!!
これから始まる戦いに君達がより奮い立つように、
私から1つプレゼントを用意しよう! それは…
大会終了後のエキシビジョンマッチで、これから行われる
ジャパンカップで優勝したチームと私がバトルするというものだ!
現役引退から8年ぶりのバトルに、私の胸は高鳴っている!
これからの戦いを勝ち抜いた最強のチャレンジャーを、私は待っているぞ!」
これまでの冗長とも言えるような会話ペースが嘘のような
猛烈な勢いで捲し立てられる発言と共に、この場に居る誰もが
予想しなかったであろう事態に会場のテンションが一気に盛り上がる。
だが、そんな中で泰葉はただ一人リージョンカップの時から
ミスターに対し抱いていた疑問がさらに膨れ上がっているのを感じていた。
(…あの時は「若干セクハラ気味かつ取って付けたような発言」が
気になってましたが、今の様子を見ると「発言」単体というより
あの「ハイテンションさ」そのものが「取って付けた」ように
感じてしまいますね…もしかしたら、先程までのように
話を区切る事が苦手で会話が上手とは言い難いというのが
あの人の「素」で…8年前の現役引退や今のような司会・解説への
移行もあの人にとって本意ではなかった、のでしょうか?)
~~~~~
ジャパンカップの開会式が行われていたのと同時刻、
静岡県内の某所に建っているタイムズユニバースグループが
経営しているホテルの最上階のスイートルームの一室。
その部屋に居たウィルは、テーブルの上に立てている
タブレットの画面に映っているジャパンカップ開会式の
LIVE中継を怒り混じりとも取れる複雑な表情で視聴していた。
「ウィル坊ちゃま、何を観ているのですか?」
「…ああ、ジャパンカップのLIVE中継をね。
今日開催されるという話だし、あの商店街と
346プロの合同チームを見ておきたいと思ってね」
「なるほど…若干怒りが混じってるとも取れるような
表情で見ていたのは何か理由があるのでしょうか?」
「…そんな風に見えたかい? 僕にそのつもりは一切ないし
済まないがそっちの勘違いとしか言えないな…」
「…わかりました、そういう事にしておきましょう」
そこにやって来たドロシーが、持って来た紅茶を
テーブルに置きながらウィルに対して二言ほど
疑問を投げ掛ける。それに対してウィルは
最初の疑問こそ明確に答えたが2つ目の疑問に
対しては若干言葉を濁しての返答に留まる。
だがドロシーは言葉を濁した理由を察しつつも
それに対して追及はせずにそのまま遠ざかる。
そうしてドロシーが去っていくと、ウィルは再び
タブレットの画面に視線を移す。…ドロシーに声を
掛けられる前のような、若干の怒りを感じさせるような
複雑な表情で…画面の中のミスターを見据える形で。
(チャンプ…)
~~~~~
「結構なステージをクリアして、他チームも何回か
倒してる…良い感じでポイント稼げてるってとこかな?」
「ああ、他チームと比べて若干ながらリードしてると
いった感じだ…とはいえ大きな差とは言い難いから
まだまだ油断は禁物といった状況だがな」
「わかりました、最後まで気を抜かずに行きましょう」
「うむ…正直な所、他チームの気迫も高いようだしな」
「やっぱり優勝チームがミスターと戦えるって事に
なったってのが大きな理由かな?」
「そりゃあ過去の事とは言え伝説級の強さを持っていた
ファイターと戦えるってのはテンション上がるっスからねぇ…」
そんな外野の心境は露知らず、泰葉達は予選ラウンドを
他チームも含め着実に撃破を積み重ねながらステージを
進んで行き…ポイント状況の確認や開会式で突発的に告げられた
「優勝チームVSミスター」について話していく。その最中…
「…話の途中ですけど、また他チームとエンカウントしたみたいです」
「承知した…行くぞミサ、主殿!」
「オッケー!」
「わかりました!」
他チームとのエンカウントを確認した泉からの
報告を受けてロボ太が2人に声を掛けると、
泰葉とミサもそれに応えて3人で同じ方向を向く。
…その直後、相手となるチームがフィールドに降り立った。
「3機ともキュベレイベースで…胴体がジンクス系というとこは
共通してまスが、背中の武装や格闘武器で各機の特色を
出してると…ファンネルと合わせられると厄介っスね」
「なるほど…どれから攻撃しましょうか?」
「シナンジュの『ビーム・アックス』を持った、
背中に『大型ビームランチャー』を2門装備したのが
あの3機の中じゃ一番火力ありそうだからそれからかな?
その次に『ビームシザーズ』を持ったバックパックに
『大型ビームキャノン』と脚部に『ファンネルポッド』を装備したのを…
最後に『ヒートショーテル』持ちって流れが良さそうだね」
「わかりました、それで行きましょう」
「うむ!」
相手チーム機を見ての比奈の感想を受けて、泰葉はミサに
撃破順を尋ねるとミサはそれぞれの武装を見た上で
彩渡商店街チームの定番となった「高火力機優先撃破」の
戦術に合わせた敵機撃破順を2人に告げる。それに対して
泰葉とロボ太が賛同したのを合図に、バトルが始まった。
「まずは標的を集中させた上で、全体攻撃が可能な武装と
EXアクションでまとめて削っておきましょうか…そこっ!」
泰葉達が標的を1機に集中させた上で、泰葉が相手チームの
3機をカメラに収められるように動いてCPU機撃破で貯めた
ゲージを使ってEXアクション「フリージングバレット」を
浴びせて3機ともスタンさせ続けて追い打ちとばかりに
「マイクロミサイル」を発射し3機まとめてダメージを与える。
そうしてスタンした敵機にまずはミサとロボ太が仕掛け、
泰葉も合流して一気に叩く事で最初の標的であった
「ビーム・アックス」持ち機を撃破しそのまま続けて
「ビームシザーズ」持ち機も撃破する。そうして最後に残った
「ヒートショーテル」持ち機が「狂化」を発動するも、頭数の
有利さに加え格闘寄りの相手機に対しロボ太が押さえ込みながら
泰葉とミサが射撃攻撃を浴びせる事で危なげなく勝利した。
~~~~~
続けての砂漠ステージも、CPU機をある程度撃破すると
他チームとのエンカウントが発生し…
今度はカドマツが相手チームの機体を見た感想を述べる。
「細かく手を入れたGP01フルバーニアンに、片方は両肩に
『ミサイルポッド』を…もう片方はバックパックに
『6連ミサイルポッド』と『180mmキャノン』を増設した
火力支援型のジムタイプ2機か、教科書通りの布陣ってとこだな」
「となるとジムタイプ2機を優先して落とすという
方針で行くのが良いですかね?」
「そんな感じだねー、どっちかと言うと『180㎜キャノン』を
増設した方が撃破優先度が高いって所だね」
「承知した、行くぞ!」
「はい! …ちょうどゲージも貯まりましたし、
まずはここで1回『覚醒』しておきます!」
カドマツの感想を聞いて撃破順を決め、いざ攻撃開始と
いった所でゲージが貯まっていた泰葉が「覚醒」を発動させる。
その効果もあってか最初に狙った「6連ミサイルポッド」と
「180㎜キャノン」を増設したジムタイプはあっという間に撃破され、
次の標的となった「ミサイルポッド」を両肩に増設したジムタイプも
物凄い勢いで耐久力を削られて行き…「覚醒」の残り時間が
後僅かになった所で、トドメにバーストアクションを叩き込まれる。
「さすがに3機全機撃破までは持ちませんでしたか…
なら、絶好の状況である今ここで叩き込みます!」
「グランドスラム」による連続斬りから右腕部のオプション武装
「アーミーナイフ」での連撃に繋げ、打ち上げ斬りが入った所で
泰葉はバーストアクションの「ライザーソード」を発動させる。
そうして形成されたビーム刃は打ち上がった相手機を捕える様に
突き刺さり、そのまま地面に叩き付けられる形で撃破される。
最後に残ったフルバーニアン改修機が「狂化」を発動させるも、
先程のキュベレイ軍団と似通いながらも役割が異なる光景…
泰葉機が格闘で食らい付いて足止めした相手機に対し、
ミサとロボ太による射撃攻撃が叩き込まれ落とされる結果となった。
~~~~~
そこから続いて、宇宙空間に漂う円形フィールドに移動して
引き続きCPU機を撃破し続け…しばらく経つと、またもや
他チームとのエンカウント警告が表示される。
だが、それを確認したエンジニア勢はこれまでにないレベルの
大規模反応が示された事に対する困惑が浮かんでいた。
「反応パターンからしてPGみたいだけど、それにしては
データ量が大きいみたいだし…どういう事なの?」
「んー…こりゃ、ある意味嬢ちゃん達にはまたもや
初めて目にする光景になりそうだな」
「それってどういう…」
「…どうやら、お目見えのようだ」
初見となるレベルの規模の反応に困惑する泉の言葉を受け、
カドマツがノートPCの画面を見ると状況を察したかのような
感想を述べる。それに対してミサが何か言おうとしたその時、
相手チームのログインを確認したロボ太が泰葉達に声を掛ける。
そうして泰葉達の前に現れたものは…機体カラーを
トリコロールから片方は黄色、もう片方は紫をベースと
した塗装に変えたPGサイズのエールストライク2機であった。
「PGが2機ぃ!?」
「驚くのも無理はないが、一応ルール上で許された
スケール別の最大機体数だからな…とはいえ、
ここまでやるには結構な規模のアセンブルシステムの
カスタマイズとそれを実行出来るエンジニアが必要だが…
さすがにジャパンカップとなるとそれが出来るチームが
出て来るのもある意味当然と言えるって事か」
「確かに厳しい相手ではありますが、ここまで来た以上
怯んではいられません…一点集中で確実に1機づつ
落として行きましょう、ミサさんにロボ太さん」
「うむ!」
「…だね、余りの迫力に驚いちゃったけど…
何が相手でも全力でぶつかるのみ、だね!」
その光景を目にしたミサが驚きの声を上げ、
カドマツは相手チームのアセンブルシステムの環境や
エンジニアについて感心の意を込めながら話す。
続いて泰葉が目の前の相手を見て厳しい状況である事は
自覚しながらも、負けるつもりはないとばかりに
集中攻撃で確実に1機づつ落とそうと2人に声を掛ける。
それを聞いてのロボ太の力強い返事に続く形で、
ミサも気を取り直して気合を入れる為の言葉を返事代わりとし
それを合図代わりにPGエールストライク2機との戦いが始まった。
~~~~~
「大振りだったりモーションが大きいおかげで
避けやすくはあるけど…やっぱり1発でも当たると
無視できないレベルの大ダメージを喰らうね」
「経験を積み重ねて来たとは言え、油断は禁物ですね」
相手のPGエールストライクから放たれる各種攻撃…
接近しての斬撃や「57mm高エネルギービームライフル」から
こちらの機体に向けての照射ビーム、「ビームサーベル」の切っ先を
地面に向けた姿勢からの3連続高速突進や4連続の高速突進からの
袈裟斬りといったPG機ならではの攻撃を数回喰らいながらも回復し
大部分は回避し続ける中で、2人は改めてPG機の一撃の重さを実感する。
「とはいえ着実にダメージは与えられている、
楽観視は出来んがこのまま押し切って…む!?」
そんな2人の会話を聞きながらも、確実にダメージを
与えている事で押し切れそうだとロボ太が話そうと
した所に、集中攻撃を仕掛けていた方のPG機が
「狂化」を発動したのを見て驚きの声を発する。
「『狂化』発動か…ロボ太の言葉通り油断は出来んが
確実に追い込んではいる、このまま押し切れ!」
「オッケー、晶葉ちゃん!」
「わかりました!」
その様子を見た晶葉が泰葉達に一言告げると、
泰葉とミサが了解の意を返し半分近くまで
耐久力を削った狂化発動機への攻撃を継続する。
そんな最中、標的にされていた側はこれまでに
見せていない動きを取って泰葉達を驚愕させる。
「飛び上がって…高速で離脱しての地上への照射!?」
「だったら潜り込めば…って、また離脱された!?」
「ならば私が…くっ、またもや離脱されたか!」
上昇から高速で泰葉達の居る場所から離脱し、
間合いを取っての地上への照射と言う動きに驚愕する泰葉。
それを見てミサが照射されたビームを掻い潜る形で
標的に向けて移動を試みるとまたもや高速で離脱され
驚きの声を上げるミサ。そこから続けてロボ太がミサ同様に
標的の足元に潜り込もうとした所で3度目の高速離脱からの
照射攻撃を行った後に標的のPG機は地面へと着陸した。
「空中に居る間に攻撃するよりも、地上に降りた瞬間を
狙っての集中攻撃の方が良さそうですね」
「だね、一気に離脱されちゃうと追い付けないし」
「心得た!」
空中高速移動からの照射攻撃への対処案を話す泰葉に対し、
ミサとロボ太が賛同の声を返す。そこからは着実な回避と
パターンを見切っての集中攻撃で最初に狙った方を撃破し
残った1機もゲージが貯まったのを確認した泰葉が「覚醒」を
発動した事もあって押し切る事に成功し無事勝利を収めた。
~~~~~
「お疲れ様」
「まずは予選突破おめでとう、と言っておこうか」
PGエールストライク2機との戦いを終えてポッドから
出て来た泰葉達にプロデューサーがねぎらいの言葉をかけ、
そこから続いて晶葉が予選突破の必要スコアを
無事に獲得できた事への称賛の言葉を述べる。
「ありがと、まずは1つ目のハードルを越えたってとこだね」
それに対してミサが返答したところに、
何処からかやって来たミサや泰葉と同じぐらいの
年齢と推測される制服姿の男性が声を掛けて来た。
「お、いたいた…あんた達が彩渡商店街チームかい?」
「え? は、はいそうですけど…」
「ちょっと、いきなり失礼よツキミ!」
「良いだろ、同じファイター仲間なんだし
ここまで来ると貴重な歳の近い相手なんだから」
突然に声を掛けられてミサが戸惑い気味な反応をしていると、
声を掛けて来た男子生徒とほぼ同じ制服の女子生徒が駆け寄って
男子生徒を咎めるも…それを意に介さず男子生徒の方は
年齢の近いファイターと出会えた率直な喜びを口にする。
「全くもう…あ、私達は沖縄宇宙飛行士訓練学校…通称『OATS』の
ガンプラ部のファイターで私が大西美空(おおにし・みそら)、
そしてこっちが石川付見(いしかわ・つきみ)って言うの。
自己紹介が遅くなっちゃったけど、よろしくね」
「OATSか…あそこからは宇宙開発だけじゃなく様々な技術系の
企業への就職率が高い事で技術屋界隈でも名が知れたとこだ、
並の企業チームよりもエンジニアの技術やアセンブルシステムへの
手の入れ具合のレベルが高いと言われてるから強敵と言える部類だな」
「へぇ~、それにしても何でウチのチームの事知ってるの?」
そんな様子に呆れた反応を見せた後に、女子生徒は男子生徒共々
自己紹介を行い…それを聞いたカドマツが2人が在籍している
学校に対しての技術屋界隈及びガンブラバトル界隈における
評判を口にし、それを聞いたミサが感心した反応の後に
彼らが彩渡商店街チームを知っている理由について尋ねる。
「リージョンカップの時にやってたそっちが参加していた
関東第2会場の決勝戦のLIVE中継、俺達も見てたからな」
「あー、そうだったねぇ」
「それに加えてリージョンカップが終わった後から
そっちのチームに関する発言がSNSを中心とした
ネット上で見受けられるようになったものあってね」
「なるほど」
「で…そっちの小柄な方が現役アイドルでもあり
都市伝説レベルの希少なスキル『覚醒』を使える
凄まじい勢いでガンプラバトル界のスターダムに
のし上がった新人ファイター『岡崎泰葉』さんで、
こっちの騎士ガンダム型のロボットが今大会唯一の
SDガンダム使いのロボットファイター…といった
強烈なインパクトに加えて3人とも高い実力も
兼ね備えてると来りゃ、もうカッコイイとしか言えねぇよ」
「…あの中継見てからもうずっとこんな感じなんだよ」
「あはは…」
それへの返答として2人が彩渡商店街チームを知ったきっかけを話すと、
そこからツキミは泰葉とロボ太をそれぞれ見ながらベタ誉めと
言わんばかりの発言を捲し立て…その様子を横で見ているミソラが
呆れた様子で一言零したのに対して泰葉は困ったように笑うしか出来なかった。
「ま、私としても年齢の近い子と知り合えたのは嬉しいよ。
ここまで来ると大半が企業チームか趣味であっても
大人中心で時間やお金を掛けられるとこになっちゃうし」
「だな」
『間もなく本戦を開始します! 予選突破チームは
速やかに準備を完了させて下さーい!』
「おっと、そろそろ時間か…それじゃーな、
フィールドでぶつかった時は全力で行かせてもらうぜ!」
「もっちろん! そっちも健闘を祈ってるよー!」
打って変わってミサがツキミと同じく同年代のファイターと
知り合えた事への喜びを口にすると、その直後にスピーカーから
MCハルによる本戦開始予告が告げられたのを聞いたツキミ達は
泰葉達に挨拶をして自分のチームの元へと戻って行き…
ミサも負けじと大きな声で激励を込めた返事をしていた。
比奈:まずは誕生日おめでとうございまス、プロデューサー
P:ああ、ありがとうな比奈…それはそうと今回もギリギリに
なってしまって楽しみにしてくれる方には心配させて申し訳ない
比奈:ま、一応約束は果たせましたし…気を取り直して
話の中身についてっスけど、泰葉ちゃんが抱いてた
ミスターさんへの疑問が膨れ上がったりとか
ウィル君関係の描写もゲームとは大きく変えて来たっスね?
P:ああ、ウィルに関しては初登場時の描写を弄ったのと
だいたい同じ理由で「あの場面を見て不自然と感じた」から
こちらで考えてるストーリーと合わせて描写を変更したんだ。
…それも含めて心理描写がメインになった事で、バトル関係が
また若干おなざりになってしまったのは申し訳ないけど…
さて、今回から始まるジャパンカップ以降はこちらとしても
書きたい描写が沢山あるのでペースを上げられるだけ
上げたいと考えてます。どこまで行けるかはわかりませんが、
気長に待って頂ければ…それでは、次話でまた