CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE   作:wataru012

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アジアツアーファイナルラウンド決勝・武者修行の終わりに/再会と決意/今出来る全力を

世界中から集まったガンプラファイター達によるバトルが繰り広げられた

「ガンプラバトルツアーアジア」もあっという間の勢いで最終日となり、

最後の戦いとなるファイナルラウンド決勝戦が開催されようとしている香港某所。

 

「いよいよ…ですね」

 

「うん、そうだね」

 

「ここまで来たなら、後は突っ走るだけだな」

 

ここ香港の地で偶然に再会し、臨時連合チームを組んで

順調過ぎると言える勢いで勝ち進んで来た泰葉・ツキミ・ミソラは

これから始まるファイナルラウンド決勝戦に向けて気を引き締めていた。

 

「そうだな…私としても臨時エンジニア最後の仕事、

 出せる力は惜しまず行くからお前たちも言われるまでも

 ないだろうが全力を出し切る勢いで行ってくれよ?」

 

「わかってますよ、モチヅキさん」

 

「ここまで来たんだ、何が何でも勝ちに行くぜ」

 

「そうですよ、私達を信じて下さい」

 

「決勝戦という舞台でも端から見ての感想になるけど

 傍目に緊張を感じさせないその様子…ジャンルは違えど

 長年の積み重ねによって育まれた『強さ』を感じるな」

 

「そうですね、正直な所只の見物人に過ぎない身の

 私達の方がよっぽど緊張してる自覚がありますし」

 

「頂点を賭けた戦いというものは、端から見ている身にも

 当事者の抱く感情や心境がひしひしと伝わって来ますからなぁ…」

 

「ホントにねぇ、全くの門外漢でも自分達の過去の『負けられない勝負』を

 思い起こさせる程に会場からビシビシと『勝ちたい気持ち』が感じられるもん」

 

「みんなより『勝負事』とは縁遠めな身の私でもそういった空気を感じるから、

 大なり小なり『勝負事』と縁がある身だとさらに強く感じるのかしらね」

 

それに続く形のモチヅキの発言に対して泰葉達が自信満々に返答する姿を見て、

プロデューサーや有香達も思い思いにその様子を見て感じた事を口にする。

 

「…と、そろそろ時間だな…それじゃあ行って来い!」

 

「はい、行って来ます」

 

「よし、行こうぜ!」

 

「オッケー!」

 

それらの発言が一区切り付いたタイミングで、モチヅキは泰葉達に

ポッド入りを促し…泰葉達はそれぞれ思い思いに返答をして入って行く。

そうしてポッド内で自分達のガンプラの各種設定を確認し…

 

「岡崎泰葉、ダブルオーインハーリッティドウィッシュ…行きます!」

 

「イシカワ・ツキミ、エンハンスドデファンスMk-Ⅱ出るぜ!」

 

「オオニシ・ミソラ、ガンティライユMk-Ⅱ…出撃します!」

 

3人それぞれの口上と共に、3機のガンプラが出撃して行った。

 

~~~~~

 

「まずは通常サイズ機3機編成のチームだな」

 

この「アジアツアー」で幾度となく繰り返し使われた

台北タワーステージに降り立った泰葉達に向けて、

相手チームのログイン反応を確認したモチヅキが

相手チームの編成について泰葉達に告げ…

そうして降り立った相手チームのガンプラは、

シナンジュ頭にサザビー腕とローゼン・ズール脚に

パラス・アテネのバックパックというジオン系中心の

ミキシング機体にガフランベース機2機という構成だった。

 

「シナンジュ頭の機体は綺麗にまとまったミキシングだね」

 

「ジオン系機体中心でミキシングされてるのがデカいんだろうな、

 しかし取り巻きのガフラン改修機の片方のバックパックが

 ローゼン・ズールのやつだから『サイコ・ジャマー』を

 使われて足止めされると正直鬱陶しい事になっちまうな…」

 

「そうなるとまずはローゼン・ズール背のガフラン改修機を

 標的に定めて攻撃するという方針でしょうか?」

 

「だな、いつものように俺が先陣切って突っ込んでくから

 ミソラと泰葉さんはミサイルでの支援射撃を頼んだぞ」

 

「オッケー!」

 

「わかりました」

 

相手チーム機のうち1機のアセンブルを見ての感想を零すミソラに

相槌を打ちつつ、他の機体の構成を見て足止め効果のある

オプション武装を内蔵しているパーツが使用されているのを確認し

それに対する危惧をツキミは口にし…それを聞いた泰葉が

そのバックパックを使用した機体を最初の標的にするかを尋ねると、

ツキミは同意の返事をすると同時にその機体目掛けて突撃して行く。

それとほぼ同時に泰葉とミソラが「GNマイクロミサイル」と

「ファイヤーフライ誘導ミサイル」を相手チーム全機目掛けて発射し

ツキミ機の「シュベルトゲベール」による格闘を中心とした攻撃も

相まって凄まじい勢いで標的となった機体の耐久力を削り取り、

そのまま撃破に持ち込む。その後は足止めを危惧する必要が

なくなった事で勢いの付いた泰葉達が押せ押せで攻め続け、

相手チームは一方的に蹂躙される形で撃破される結果となった。

 

~~~~~

 

そこから、第4ラウンド決勝でも使われた神殿跡を

思わせるようなステージに移動した泰葉達。

 

「どうやら今回も…みたいだな」

 

「どういう意味ですか?」

 

相手チームのログイン及びデータ量を確認したモチヅキの言葉に

泰葉が反応するが、それへの返答が来る前に相手チームの機体が現れ…

それは、白ベースに紺色の差し色が入ったマスターガンダムと

ベースカラーを黒に変更したゴッドガンダムの…PG2機チームであった。

 

「確かに前にもこのステージでPG2機チーム相手だったなぁ…」

 

「とはいえタイプは真逆の格闘特化タイプだし、こちらは

 射撃中心に立ち回れば有利に戦えるんじゃないかな?」

 

「…そうですね、それでは改めて行きましょうか」

 

相手チームの構成に、第4ラウンド決勝でのこのステージでの

戦いを思い返してのツキミの言葉に続いてミソラが相手チームの

機体タイプからこちらが有利に戦えそうだと口にし…それを受けての

泰葉の言葉を合図に、泰葉達は射撃による攻撃を開始する。だが…

 

「間合いを取って飛び道具を垂れ流せば勝てる程、甘くはないよっ!」

 

黒いPGゴッドガンダムを操る女性ファイターのその言葉と同時に、

ゴッドガンダムは飛び道具を避けるように飛び上がった後に

泰葉達目掛けてEXアクションの「グラウンドシェイカー」や

「アースシェイカー」を思わせる急降下飛び蹴りを繰り出して来た。

 

「きゃあっ!?」

 

「うおっ!?」

 

「うわっ…!」

 

「まだまだぁっ! 超級! 覇王! 電影弾っ!!」

 

その飛び蹴りの直撃及び衝撃波を受けて吹き飛ばされる泰葉達の3機に、

追い打ちとばかりにマスターガンダムが「超級覇王電影弾」を発動して

突っ込んで行き…突進して来るマスターガンダムの攻撃判定に巻き込まれ

打ち上げられてからの爆発で大きなダメージを負う泰葉達。その直後に回復し

体勢を整え反撃を試みようとするが、先に飛び蹴りを仕掛けたゴッドガンダムが

それを見計らっての回転足払いを振るい再度泰葉達の3機を吹き飛ばす。

 

「くっそー、やっぱPGの攻撃は一撃が重いな…」

 

「それもあるけど、こちらの射撃を回避したり意に介さずに

 突進して来る攻撃というのも相まってキツく感じるね…」

 

「とはいえさすがにそういった攻撃ばかり繰り出せるとは

 行かないはずです、着実に射撃を当て続けて削りつつ

 何とか2機とも視界に収められるように立ち回って

 相手の攻撃を見切って回避出来るように努めましょう」

 

「だな、回避行動を取ったとしても全て避けられたって

 訳じゃないし確実にダメージは入ってるからな」

 

「キツいのは確かだけど、全く歯が立たないわけじゃないし…

 ここまで来たんだから、諦めずに頑張ってみるね!」

 

ツキミの一撃の重さに対しての…そしてミソラのこちらの射撃を

厭わぬ突進攻撃に対しての感想を聞きつつ、泰葉は着実な攻撃の

積み重ねと相手チームを全員視界に収める立ち回りを続けるように

2人に対し告げる。それを聞いたツキミ達は改めて奮起し攻撃に移り、

泰葉共々相手PGコンビの突進攻撃や格闘攻撃を回避しつつ各種射撃を

当て続け…時間こそかかったが何とか両機の撃破を成し遂げた。

 

~~~~~

 

3度目の戦い、そしてこのアジアツアーにおける

最後の戦いの舞台となる月面基地をイメージした

円形フィールドに降り立った泰葉達。

 

「まさかここまで昨日の決勝と同じ流れになるとはな…

 最後にまたデカブツと戦う事になるが、何とか頑張ってくれ!」

 

「その言い方ですと、もしかして…」

 

「と、相手チームも来たみたいだな…って、おいマジかよ!?」

 

「確かに昨日の決勝の相手と同じ分類だけど…

 さすがに大きさに差があり過ぎるってば!」

 

「確かにその通りですが…やるしかありません!」

 

「…だな、やってやろうぜ!」

 

「もちろん!」

 

三度相手チームのログインとデータ量を確認しての

モチヅキの言葉に再び泰葉が反応した直後、ツキミとミソラが

目にした相手チームの機体…ビグ・ザムの登場に驚きの反応を示す。

泰葉はそれに同意を示しつつも、戦うしかないと腹を括り

ツキミ達も気合を込めた言葉を返事として口にする。

 

「俺は足元に潜り込んで脚部を叩いてく、支援頼むぞ!」

 

「わかった! 私達もありったけの飛び道具を叩き込むね!」

 

「気を付けて下さい、ツキミさん!」

 

メイン射撃武器を連射しながらビグ・ザムの足元に潜り込みに行く

ツキミと、それを支援する為にまずはミサイル系のオプション武装から

浴びせに行く泰葉とミソラ。そうしてツキミが目論見通りにビグ・ザムの

足元に潜り込み、その脚部に各種格闘攻撃の連撃を叩き込んでいる最中…

 

「大ジャンプした…だけじゃない!?」

 

「ミサイル!?」

 

ビグ・ザムが攻撃から逃れようと大きくジャンプすると同時に、

泰葉とミソラ目掛けてミサイルのように脚部の「クロー」を

飛ばして来るのを見て驚きの声を上げる2人。しかしながら

回避を試みる事で何とか最小限のダメージに抑え、再び射撃を

繰り出そうとした所…ビグ・ザムが若干浮かんだ状態から

前傾姿勢となり、その砲口を地面に向ける形となった

胸部の「大型メガ粒子砲」を地面目掛けて照射しながら

その身を反時計回りに一周させ薙ぎ払うようにビームを

浴びせに来る。泰葉とミソラはビームの回避で手一杯だったが、

何とかギリギリでビグ・ザムの足元に潜り込めたツキミは

無防備状態のビグ・ザム本体に各種射撃攻撃を浴びせて行き…

それによるダメージの蓄積の影響か、ビグ・ザムは照射が終わると

同時に片膝を着くような姿勢で無防備な姿をさらけ出していた。

 

「今だ! 一気に畳み掛けろ!!」

 

「オッケー!」

 

「わかりました!」

 

その様子を見たツキミからの言葉に応える形で、泰葉とミソラも

急いでビグ・ザムに取り付いて格闘攻撃による連撃を叩き込む。

その最中、さらなるダメージ蓄積の影響かビグ・ザムはそこから

さらに仰向けに倒れ込み長時間無防備な姿を晒し泰葉達3人による

格闘連撃によって大ダメージを受ける結果となるが…それでも

「まだまだ」と言わんばかりに立ち上がり、胴体部外周に

多数備え付けられている「メガ粒子砲」の一斉照射を

泰葉達を追い払わんとばかりに浴びせて行く。

 

「うおおっ!? くそっ、『Iフィールド』があると言ってもキツいぜ…!」

 

「こっちはもうすぐ使い切っちゃいそう…きゃあっ!?」

 

「ミソラさん! …うっ、こちらの『GNフィールド』もさすがに…!」

 

ビグ・ザムからの全方位照射ビームをまともに受け、泰葉達3機に

備え付けられている各種バリア系オプションもあっという間に

使い切らされて直撃し始めダメージと共に後退させられる。

だが、そんな最中に現状を確認した泰葉の目には闘志が灯り…

 

「手痛い一撃でしたが…おかげでこちらも貯まりました、

 決着を付ける為に…ここで『切り札』を切らせてもらいます!」

 

そこまで言い切ると同時に「覚醒」を発動させて一気呵成に

各種射撃攻撃を叩き込み、その姿に奮起したツキミとミソラの

攻撃も相まってあっという間にビグ・ザムの耐久力を残り僅かに

追い込む。それを見た泰葉機がビグ・ザムに取り付くと同時に…

 

「これで終わらせます! クアンタム…バーストっ!!」

 

バーストアクションのコマンドを入力し「クアンタム・バースト」を

発動し、ビグ・ザムを見下ろすように上昇した後に周囲にエネルギーを

拡散してその奔流に巻き込んでビグ・ザムにダメージを与えると同時に

泰葉達3機の耐久力をフル回復させ…それによってビグ・ザムの

耐久力が0になると仰向けに倒れ込んだ後に大爆発を起こして消滅し、

その様子を見たMCによって泰葉達の「ガンプラバトルツアーアジア」の

優勝が告げられると観客達の凄まじい歓声が会場中に響き渡っていた。

 

~~~~~

 

「お前らぁぁぁぁぁ!!!!! よくやったぞぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「モ、モチヅキさん!?」

 

「うっわ、ものすげー勢いで泣いてんなぁ…」

 

「ビックリしたけど…ありがとうございますね、モチヅキさん」

 

決勝戦を終えてポッドから出て来た泰葉達3人目掛けて、

大泣きしながらまとめて抱き抱えるような形で取り付いた

モチヅキの姿に泰葉とツキミは驚き…ミソラも同様に

驚きながらも笑顔でモチヅキに対して感謝の言葉を告げる。

 

「出遅れたけど、こちらからも…改めて、優勝おめでとう」

 

「おめでとうございます! この長丁場をここまで安定して

 戦い抜けたなんて…連携の良さも含めて、即興チームだって

 わかってても信じられない程の見事なチームワークでした!」

 

「全くでありますな…泰葉殿もさることながら、ツキミ殿と

 ミソラ殿も個の戦力としてのレベルの高さと共に戦場での

 即応力も兼ね備えた非の打ち所のない兵士としか言えませんぞ!」

 

「先んじて言いたい事は言われちゃった形だけど…ガンプラバトルに

 対しては全くのズブの素人な私達が見ても、血沸き肉躍るって

 気持ちにさせられる程に魅せられた戦いぶりだったよ!」

 

「こういうのを見せられると、自分でもやってみたいなって

 思わされる程の素晴らしい戦いだったわ…3人とも、

 見事な戦いぶりを見せてくれてありがとう」

 

その様子を見たプロデューサー達も、各人思い思いに

泰葉達への賞賛と共に優勝を祝う言葉を口々に述べる。

 

「プロデューサーに、皆さん…それにモチヅキさんも、

 ツキミさんとミソラさんも…改めて、本当にありがとうございます」

 

「いやいや、こっちこそ突拍子もない提案を受けてくれた上に

 ここまでの最上の結果を掴み取れて本当に有難いとしか言えないぜ」

 

「私からも…本当にありがとうね、泰葉ちゃん…言われなくても

 そのつもりだろうけど、世界大会でもミサちゃん達と一緒に

 思う存分勝ち進んで行く姿を見られるように期待してるね」

 

「はい、どこまで行けるのかは今は断言出来ませんが…

 ミサさん達共々悔いの残らないように出せる力全てを

 出し切りますので見守って頂ければ有難いです」

 

それを受けて泰葉が皆に礼を言うと、その言葉への返事として

ツキミとミソラから改めての連合チーム結成への感謝の言葉と共に

世界大会に向けての激励の言葉が告げられる。その言葉に対して、

泰葉は笑顔で全ての力を出し切って進んで行く事を誓った。

 

~~~~~

 

「それじゃあ…久々の全員集合とミサのアメリカツアー準優勝と

 泰葉ちゃん達のアジアツアー優勝、そして無事の帰国を祝って…」

 

『乾杯!』

 

「アジアツアー」が無事終了した翌日。日本への帰国を果たした泰葉達は

タイミングを合わせる形で帰国して来たミサ達「アメリカツアー」参加組と

合流した後に、泰葉達「ガンプラバトルプロジェクト」メンバーと

プロデューサーにミサとモチヅキはそのまま彩渡商店街へと移動し…

ユウイチ達商店街店主勢やカドマツにウルチも参加しての

「ワールドツアー祝勝会」が小料理屋「みやこ」にて行われていた。

 

「いやー、それにしてもすっげぇな…片やアメリカツアー2位、

 片やアジアツアー1位だろ? ここまでの強さだってんなら、

 あの百貨店の若頭領相手でも恐れる事はないだろうぜ!」

 

「そう言ってもらえるのは嬉しいですが、おそらくは向こうも

 大会に出ていないだけで勘を取り戻す為に野良バトルは

 行っているでしょうし…過去の事とは言え、現役時代の

 ミスターさんに勝っている身ですから油断は出来ませんね」

 

「だねぇ…何だかんだ言っても決してナメてかかってるって

 感じの態度じゃなかったし、ここで調子に乗ったら間違いなく

 エキシビジョンの時以上の痛い目を見るだろうね」

 

「2人とも慎重ね…でも、大切なものを掛けた戦いに

 挑むにはそれくらいの気持ちでいた方が良いのかしらね?」

 

泰葉達の戦果に対して上機嫌で感想を口にするマチオに対し、

泰葉はウィルも準備はしっかりしているだろうという予測を返し

決して油断するべきではないと続け…ミサもそれに同意すると

ミヤコは2人のその慎重さに対しての感想を述べる。

 

「…それにしても姐さんズルいっすよ、自分だけ海外旅行なんて」

 

「いや、一応仕事だからな? 向こうではほとんどホテルと会場の

 往復と近くの飯屋ぐらいで観光なんて出来なかったし…」

 

「SNSの個人アカに上げてた飯の写真見たっすけど、

 随分と豪勢だったじゃないっすか」

 

「そうそう、お前飯にどんだけ使ったんだよ…

 向こうで合流したOATSの面々の2日目以降の飯代、

 どうして俺が払わなきゃなんないんだっての」

 

「ボーナス出たんだろ? そんくらいケチケチすんなよー」

 

「足りるかっての! こうなりゃ埋め合わせに例のアレで

 お前が受け持つ作業量増やさせてもらうから覚悟しとけよ?」

 

「あー、アタシの分からもいくらか回して良いっすよ」

 

「2人ともやめろぉ!」

 

「相変わらずだねぇ…でもこの空気、

 帰って来たんだって改めて実感するよ」

 

そこから続く形でウルチから零された愚痴から始まる

カドマツとモチヅキを交えてのやり取りを苦笑い気味に

ミサが眺めながら、日本に戻って来た事を改めて

実感しているといった旨の言葉を口にする。

 

「それにしても泰葉ちゃんはツキミ君にミソラちゃんと

 臨時の連合チームを結成して勝ち進み、私は決勝で

 ロクトさんとの1対1のバトルになるなんて…

 ただの偶然とは思えないものを感じるよ」

 

「そうですね…私もモチヅキさん経由で

 それを知った時には驚きました、本当に」

 

「いやいや、驚き具合なら私達の方が

 間違いなくデカかったと断言出来るっス」

 

「全くだ」

 

「張り合う形になっちゃいますけど…

 本当に私達も知って驚きましたから」

 

そこから続ける形でツキミ達やロクトとの再会に

対しての思いをミサが口にしたのをきっかけに、

泰葉達アイドル勢が互いに相手の状況を知った時の

驚きに対して言い合う。それが収まった所に…

 

「…ま、何にせよ嬢ちゃん達の戦果にはこちらも

 驚かせてもらったが…こっちのロボ太も十二分な

 メンテナンスと共に新機体の作成と慣らし運転も

 済ませられたから、強さで負けない自信はあるぞ」

 

「おおー、そりゃ頼もしいよ」

 

「世界大会の開催までには短いながらも

 まだ猶予はありますし、その間に新しい

 3人チームでの立ち回りを練習しないとですね」

 

「だね」

 

カドマツから改めての泰葉達の戦果への称賛と共に、

ロボ太のメンテナンス及び新しいガンプラへの対応に

自信ありといった口調で報告がされる。それを聞いて

ミサは心強さを感じ、泰葉はそれを最大限発揮出来るように

世界大会開催までの僅かな期間ながら生まれた猶予の間に

3人での立ち回りの練習の必要性を告げミサも賛同する。

 

この日も小料理屋「みやこ」には、夜遅くまで

店の明かりと共に賑やかな声が響いていた。

 

~~~~~

 

「アジアツアー」や「アメリカツアー」を含めた、

世界各国で行われた「ガンプラバトルツアー」が

無事終了してから数日後のタイムズユニバース本社。

 

そこのCEOルームにて、ウィルはPCの画面に映し出された

各種マスメディアの公式ニュースページに掲載されている

あるイベントに関する各種記事を閲覧していた。

 

「…ウィル坊ちゃま、何をご覧になられているのですか?」

 

「ああ、あの商店街チームの面々がワールドツアーで

 上位の戦績を叩き出したと聞いたからどれほどかと思ってね」

 

そこに紅茶を持って来たドロシーが入室し、ウィルに対して

質問を投げ掛ける。それに対してウィルが返答すると、

ドロシーはデスクに向かい覗き込む形でPCの画面を見る。

 

「…模型店店主の娘さんの方は、ここアメリカで開催された

 ツアーで準優勝したようですね…しかしながら、日本でもツアーが

 開催されたにも関わらず何故別々のツアーに参加したのでしょうか?」

 

「…君もその理由は分かってるはずだろう?」

 

「…そうでしたか? そうだとしても忘れている可能性が

 ありますので、改めて説明して頂けると助かります」

 

「全く…改めて説明すると、僕のジャパンカップエキシビジョンでの

 乱入がきっかけで水面下で燻っていた商店街チームへの反感が

 爆発してSNSを始めとしたネット上で大荒れ状態になった為に

 346プロの上層部が日本国内のイベント参加を危険だと判断した事で

 日本国外のイベントに別々に参加する事にした…という予測だ」

 

「なるほど…」

 

「…今でも尾を引いていて、アイドルのお嬢さんはアジアツアーで

 優勝したものの現地でジャパンカップの決勝戦の相手のうち2人との

 臨時連合チームを組んだ事や商店街のお嬢さんもアメリカツアーの

 決勝の相手がジャパンカップの決勝戦の相手の1人だった事を理由に

『群れたから勝てただけ』だの『ジャパンカップから仕組まれていた茶番』だのと

 結論ありきのバッシングの火種にされているが…目が節穴と言うか、

 逆恨みと妬みで曇っている目にはそう見えるのだろうが…

 そういった感情を抜きにした客観的な目で見れば、彼女達の成果は

 紛れもない実力からだというのがわかると思うのだけれどもね」

 

ドロシーからの若干とぼけた様子も混じった疑問に対し、

ウィルは呆れながらも改めて説明を行った後に

泰葉達のワールドツアーの戦果に対しての個人的な感情を

抜きにした客観的かつ冷静な評価を口にする。

 

「…そう言えば話は変わりますが、あの乱入の後からネット上にて

 ウィル坊ちゃまが一部で持ち上げられていたり…さらに

 世界大会への参戦を報告した辺りから我が社のグループ企業の

 小売業の一部で売り上げが上昇しているという報告が

 届いていますが、何故そういう事態になったのでしょうか?」

 

「…『気に食わない奴』を公衆の面前で打ち負かしてくれた事に加えて、

 世界大会への参戦報告や僕の過去が広まっていった事によって

『気に食わない奴』をあらゆる意味で完膚なきまでに叩き潰してくれる事を

 期待している為にそういう事態になったんだろう…とはいえ、これで僕が

 彼女達に敗れる結果に終わろうものなら『期待を裏切った』とされて

 彼女達と同等か下手すればそれ以上のバッシングが僕だけに留まらず

 我が社全体に対して向けられる可能性が非常に高いと思われる。

 利益に貢献してくれているとは言え、新規に増加した客層に媚びるような

 真似をすれば万が一僕が敗れた際に売り上げのみならず評判の面でも

 致命的なダメージに繋がり兼ねない…それを避ける為に、新規客層に対し

 適度な距離感を保つようにグループ全社に対して通達する必要があるな」

 

そこから引き続いてのドロシーの「ウィル個人及びタイムズユニバースに

対しての高評価及び一部グループ企業の売り上げ上昇」という事態への疑問に対し、

ウィルはそのような事態になった理由の推測と共にそうなったが故に生じる

敗北時のリスク…及びそのリスクを回避する手立てを返答として口にする。

 

(…外野が大声で喚き立てる事態にまで膨れ上がってしまったが、

 どうなろうと僕は今出来る全力を尽くすだけだ。希望的観測だが

 君達も同じ気持ちで居てくれる事を、勝手ながら願わせてもらうよ)

 

その上で事態が大きく膨れ上がってしまった事を再認識すると共に、

それに関係なく自分に出来る事を最大限行う事を改めて誓っていた。




比奈:今回は久々になかなかのボリュームでスね、
   トータルで9000字オーバーでしたし

P:だな…それでも今回は会話に偏る形になってしまったが

比奈:そりゃまぁイベントシーンの半分をベースにした上で
   なおかつオリジナルの会話シーンまでぶち込みましたからねぇ…
   その追加会話シーンでは、このSSにおけるウィル君の
   心境に関するブレなさを感じましたし…イベントシーンベースの
   パートでも大分オリジナル色を出せてた感がありまスね

P:…やはり若干、リスペクト元動画の影響は抜けきらないけどな

比奈:ま、丸パクリではない分Pの色は出せてるという事で

P:ありがとな…さて、前話の予告通り今回で「アジアツアー編」は
 終了し次回から「世界大会編」に移ります。「世界大会編」も
 ダイジェスト気味にピックアップすべき場面に絞る形になりますが
 何とかして満足して頂けるように最善は尽くしますので
 見守って頂ければ幸いです…それでは、また次話にて
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