CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE 作:wataru012
「ウィルスの全駆除を確認しました!」
「カドマツさん、もう一度コンソールからのアクセスを頼む!」
「ああ! こいつで…どうだっ!」
泰葉達とコントロールAIが操るネオ・ジオングとの戦いに
決着が付き、泉からのウィルス駆除完了報告に続いての
晶葉からの言葉を受けてカドマツは再度コンソールを操作し
コントロールAIへのアクセスを試みる。すると…
「…コンソールからのアクセスを確認、承認します」
「おっしゃあっ!!」
「おお、ついに…!」
「どうですか、カドマツさん!?」
「ああ! 無事に全て駆除できた、お前らのおかげだ!」
「おおー、やったね!」
「骨を折った甲斐はあった、か」
コントロールAIからのアクセス承認アナウンスが響き、
カドマツはガッツポーズと共に歓喜の叫びを上げ
比奈も感嘆の声を口にする。そこにポッドから出て来た
泰葉達が駆け寄ってどうなったかをカドマツに尋ねると、
喜びを爆発させた感謝の言葉が返り…それを聞いたミサも
喜びの声を上げ、ウィルは安堵に満ちた言葉を続ける。
そんな最中、コントロールAIの発言がステーションに響く。
「…ログを確認したところ、緊急離脱プログラムの作動が見受けられましたが
それの作動理由となる近隣での事故等の報告が確認出来ません。
外部からの非正規手段によるアクセスとその実行者の排除というものが
ログに残っていますが、もしかしてこれが原因なのでしょうか」
「…ま、概ねそういうこった」
「なるほど…とはいえ、ステーション内部に滞在者が居る状況で
静止軌道を離脱するという事態は決して良いものとは言えません。
事態復旧の為に、私はこれからどうすべきなのでしょうか」
「ひとまずは軌道修正プロセスを実行して静止軌道に帰還し
地上側テザーの再接続を行ってくれ、そうすりゃ俺達が
軌道エレベーターで地球に戻れるようになるからな」
「了解しました、これより軌道修正プロセスの第一段階として
カウンターウェイト側テザーの接続解除を行います。
テザー接続解除時に振動する可能性がある為注意して下さい」
そこからのカドマツとコントロールAIのやり取りを経て、
コントロールAIは静止軌道への帰還の為のプロセスを実行する。
「ようやく地球に戻れるようですね…良かったです」
「ホント、一時は冷や汗ものだったけど何とかなったね」
「泰葉にミサさんにロボ太君…それにウィル君も、お疲れ様」
「いやホント、ウィル君にも感謝っスよ」
「礼を言われる程の事じゃないさ、自分が助かりたい為の行動が
たまたまそちら側の思惑と噛み合っただけに過ぎないからね」
「…ウィル坊ちゃまがこのような返答をしている時は、
感謝された事への嬉しさとそちらへの感謝の表れですので」
「ドロシー…」
「相変わらずだな…だが、そのような意図は
無くとも状況打開のきっかけを作ってくれたと
いう点でそちらにも感謝しているぞ」
「そうですね、ドロシーさんもありがとうございます」
その様子を見て、泰葉達も張り詰めていた状況から
解放された事から次々と安堵と感謝の言葉が漏れる。
そんな最中…
「…カウンターウェイト側テザーの接続及び
切断を制御するプログラムが確認出来ません」
「…なに? 悪いがもういっぺん確認してくれないか?」
「了解しました、カウンターウェイト側テザーの
接続及び切断の制御の為のプログラムを検索開始…
該当のプログラムが確認出来ませんでした」
「…! まさか…!」
コントロールAIからの「カウンターウェイト側テザーの
接続関係のプログラムが確認出来ない」という発言に、
カドマツは再度の確認を要求するが…コントロールAIからは
同様の発言が返り、焦った様子でコンソールを操作する。
すると…
「…くそっ、やられた!」
「どうした、カドマツさん!」
「何があったんですか!?」
「…ウィルス感染と同時にか、ウィルス駆除をトリガーに
発動したかはわからんが…カウンターウェイト側の
テザーの接続関係のプログラムが丸々削除されてやがる!
あいつらどんだけ用意周到なんだよ、くそっ!!」
悔しさを滲ませる叫び声と同時にコンソールを強く掌を
打ち付けるカドマツの様子に、慌てて晶葉と泉が駆け寄る。
それに応える形でカドマツから吐き出された言葉は、
バイラス達が仕込んだウィルスに「カウンターウェイト側の
テザーの接続関係のプログラム削除」という命令も
設定されていた事とバイラス達の用意周到さへの怒りであった。
「そ、それって…」
「嫌な予感しかしないけど…どういう事?」
それを聞いた泰葉とミサが、恐る恐るカドマツに尋ねる。
「…カウンターウェイトとの分離が出来ない現状じゃ、
ステーション本体のスラスター出力だけで
静止軌道に帰還する事は出来ない」
「そ、それじゃあ…」
それに対し、カドマツは苦々しさを隠さない表情で
残酷な現実を告げ…それを聞いた比奈が、震えた声で一言零す。
そこからしばしの間、沈黙が続いた後…
「…残念だが、僕達は地球に帰れない…という事か」
「そんな…」
自身も含め皆が理解しているが認めたくない現実を、
苦々しい表情で吐き出すウィルの言葉に続く形で
MCハルの悲痛さの籠った一言がステーション内に響いた。
「…カウンターウェイト側からテザーの接続を
解除してもらう事は出来ませんか!?」
「カウンターウェイトは文字通りの『重り』に
テザーが接続されているだけのもので、
人員も配備されていない為それは実行不可能です」
「プログラムによる接続解除が出来ないと言うのなら、
物理的手法によるテザーの切断は出来ないか!?」
「…ステーション内備え付けの工具にはテザーを切断出来る
レベルの強度のものはありません。そして仮に切断可能な
工具があったとしても現在のステーション内滞在人員に
EVA経験者がおられない為、切断行為は実行不可能です」
それでも諦めたくないと、泉と晶葉は自分が思いついた
テザー接続解除方法を提案するが…コントロールAIからは
それらの提案が実行不可能な理由が返って来るのみであった。
「…私、お茶を淹れますね」
「ドロシー…」
その状況に割り込むように、ドロシーからある意味
「普段通り」の「その場の空気など関係ない」と
言わんばかりの発言…と思われたが、ドロシーの表情に
滲み出る悲痛さを感じ取ったウィルは普段の困ったような
言い方とは異なる声色でドロシーの名を呼ぶ。
「どういうお茶菓子を出せば良いのでしょうか?
この状況を打開するには、私は何をすれば良いのでしょうか?」
「ドロシーさん…」
「メイドさん…」
何とかして「アップルパイの奇跡」の再来を実現させようと、
表情のみならず声にも悲痛さを感じさせるドロシーの問い掛けに
一同は答える事が出来ず…ただドロシーを見据える事しか出来なかった。
「…やはり、そうですか」
その様子に、ドロシー自身も薄々理解はしていた
「二度目の奇跡は起こせない」事を認め…
それでも今自分に出来る事を行おうと言葉を続ける。
「ですが、せめて先程までの戦いの疲れを癒す為に…
この光景を見ながらのティータイムをお届けしましょう」
「…泉、地上との通信はまだ出来るか?」
「うん、それについては現状でも問題ないみたい」
「ならば地上に状況報告をした上で現状打開の為の
相談…の前に、昼食から相応に時間は経ったし
腹ごしらえがてらそちらのアップルパイを頂こうか」
「ありがとうございます、それでは…」
そのドロシーの言葉を受けて、晶葉が泉に地上との
通信状況の確認からこれからの作業の為の
腹ごしらえという名目でアップルパイを要求する。
それに応えてアップルパイを皿に取ろうとしたその瞬間…
「…?」
「どうした、ドロシーさん?」
「…さすがにこの状況、私もいささか動揺しているようです。
今、窓の外にRX-78-2が飛んでいるという光景が見えてしまいましたから」
「…え?」
若干ながら驚いた様子と共に手が止まったドロシーの姿を見て、
晶葉が声をかける。それの返答としてのドロシーの発言に
ミサが信じられないといった様子で反応した直後、
一同はステーションの窓の方に近付いて行く。
そこに見えたものは…
~~~~~
「ええっ!?」
「な…」
「そんな…!」
「マジっスか!?」
「おお…!」
「とんでもないな…」
「こんな事が…!?」
「ほ、本当に…!?」
「何と…!」
「幻覚ではありませんでしたか…」
ドロシーの言葉通り、静止軌道ステーションの傍の
宇宙空間を「RX-78-2ガンダム」が直立姿勢で
漂っている光景が窓に映っており…
「何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
泰葉達一同の驚きの反応の後に、一際大きな声の
ミサの驚きの叫びがステーション内に木霊していた。
「オイ、すまんが何とかしてあのガンダムを
壊さないように確保してもらえるか!?」
「了解しました、ステーション格納庫ブロックを移動させ
漂流状態のガンダムの捕獲及び保管を実行します」
その直後にカドマツが急いでコントロールAIに
ガンダムの確保を頼み、コントロールAIは
了解の返答と共にそれの実行に移る。
そうしてガンダムの捕獲及び格納庫ブロックへの
保管が成功したその直後、地上との通信設備から
これまで接続されていたメガフロートとは
異なる場所からの通信が届く。その相手は…
「おーい、そろそろランデブーポイントだと思うが無事届いたか?」
「モチヅキさん!?」
「おう、何とか確保も出来たぜ」
画面越しでも疲労がありありと伝わる様子のモチヅキであり、
泰葉が驚いた後にカドマツは上機嫌な声でガンダムの確保成功を伝える。
「リージョンカップの後からアレを完成させる為に
さんざんこき使われて、完成直後にブッ倒れたように
眠りこけたにも関わらず疲れが取り切れてない状況で
スクランブル的に打ち上げられる事になってその為の
作業も手伝わされたもんだから本当にバテバテだ…
ウルチなんてまた泥のように寝ちまってるし、
私も限界だからすまんが後の説明はこいつから聞いてくれ」
モチヅキが一気に愚痴を吐き捨てた後に通信画面が
切り替わると、これまた泰葉達と面識のある人物が現れる。
「どうも皆さん、この度は弊社鹿児島ロケットの
ご利用ありがとうございます…なーんて」
「え!? あのガンダム、ロクトさんとこの会社で打ち上げたの!?」
「そういうこと、元々あのガンダムの制作にウチの会社も
一枚噛んでた事を始めとした縁と事態の深刻さに加えて…
ガンダム制作プロジェクトの参加企業の中で、ロケットの
打ち上げが出来るのがウチの会社だけだったもんでね」
「それにしても、よく宇宙ロケットをこんな急に飛ばせたもんだな」
画面に映ったロクトの軽い調子の挨拶の直後、
ミサが鹿児島ロケットによってあのガンダムが
打ち上げられた事に驚きの声を上げる。そこから
ロクトによってガンダムの打ち上げに至った経緯が
説明されると、急な事態にも関わらずここまで
スムーズに打ち上げられた事への疑問をカドマツが口にする。
「そちらの演説にウチの社長が感銘を受けちゃいましてね…
本来のロケット使用予定の取引先と相談の結果、そちらへの
流用許可が出た事で事前にある程度準備が出来ててガンダム用の
調整だけで済みましたからね。それに、その本来の取引先の社長さんも
二つ返事で流用を許可してくれたのも大きかったですよ」
「そうか…そっちの社長さんとその取引先の社長さんに伝えてくれ、
ハイムロボティクスに彩渡商店街…それに346プロダクションと
タイムズユニバースもそちらの好意に感謝する、ってな」
「了解…と、それならあと2人ほどその感謝を伝えてやりたい
最近入ったバイトが居るんで代わりますよ。本当に優秀で
ガンダム用の調整が手早く済んだ一因でもありますからね」
そのカドマツの疑問に対しロクトが説明を行うと、
カドマツはガンダム打ち上げに使われたロケットの
本来の使用相手である企業にも感謝の気持ちを
伝えて欲しいとロクトに告げ…ロクトは了解の返事と共に
その社長らと同様に感謝を伝えて欲しい2人の新人バイトの
存在を口にしロクトと入れ替わる形でその2人が現れる。
「おーい、みんな無事か!?」
「またまたとんでもない事になっちゃってるけど…
アジアツアーの時とは別の形でそっちを助けるから!」
「ツキミさん、それにミソラさんも!」
「おおー、バイトって形ながら鹿児島ロケットに入社出来たんだ」
「あの時目指してたものとは別の形ながら、コネは作れたって感じかな?」
「ま、そうなるな…と、それはともかくテザー切断が出来たとしても
地球帰還には相応の日数が掛かるって話だし…会社側も、今回のガンダムの
打ち上げだけで終わりじゃなく定期的に食料やら水やら替えの下着とかを
送るためのロケットの打ち上げが出来るように同業者や関係各所と
相談してるって話だから言われるまでもないだろうけど諦めんなよ!」
「もっちろん! 誰一人欠ける事なく絶対に地球に戻るから!」
「その様子なら、大丈夫そうだね」
「と…済まないが、僕も会話に参加させてもらうよ」
「ウィル? 何でまた?」
「…今映った金髪のやつが、例のタイムズユニバースのトップか?」
「ああ…僕がタイムズユニバースCEOの『ウィリアム・タイムズ』だ、
今回のガンダム打ち上げに関しては僕の方からも改めて感謝するよ。
その上で、そちらの会社がこちらへの定期的なロケットの打ち上げを
計画してると言うのなら…それを現実にする可能性を高める為に
ウチの会社の宇宙開発部門と連携を取れるように僕の方から
働きかけようと考えている。後でそちらの社長と話させてもらえないか?」
「わかりました、社長に相談してみます」
「なるほどな…」
画面に現れたその「新人バイト」はツキミとミソラの2人であり、
泰葉の驚きと喜びの混じった反応に続いてミサと泉が2人がバイトという
形ながらジャパンカップファイナルの時に話していた鹿児島ロケットへの
入社が実現したという事について触れる。ツキミがそれに同意の返事を
返したのに続く形で、鹿児島ロケットが泰葉達への食料を始めとした
各種救援物資のロケットによる打ち上げを実行するために同業他社を
始めとした関係各所と相談中と話し泰葉達を激励する。それに対して
ミサが元気よく返事をし、その様子を見たミソラが安堵の声を上げた
その直後にウィルも通話に参加し…鹿児島ロケットとタイムズユニバースの
宇宙開発部門を連携させる事で静止軌道ステーションへの定期的な
ロケット打ち上げの実現の可能性を高める手段を提案した。
~~~~~
「ええと、このスイッチをオンにして…」
「おおー、凄いっ! ツインアイに光が灯ったよ!」
「全く…動かすには1人で十分だってのに、
ミサの嬢ちゃんまで乗り込んじまって」
「こんなものを見せられて、乗らないなんて
選択肢を選ぶ理由なんてないよ!」
「スティックを左右で前後互い違いに引いて、
テザーと向き合う体勢に…なっていますか?」
「ああ、問題なくテザーと向き合えてるぞ」
「そのまま足元のペダルを踏み込んでバックパックの
バーニアを稼働させ、指定ポイントまで移動して下さい」
「わかりました、では…岡崎泰葉、RX-78-2ガンダム…行きます!」
「よーし! 翔べー、ガンダムっ!」
地上のガンダム打ち上げチームとの通信を終え、泰葉とミサが
ステーションに置かれていた宇宙空間での活動用の宇宙服に
身を包んでガンダムに乗り込み…マニュアルを見ながら
少しづつ操作を進める泰葉と、そうする事で動き出していく
ガンダムに乗っている事で興奮する様子を隠さないミサに
カドマツと晶葉と泉が指示や状況報告を行い…指定された
カウンターウェイト側テザーの切断ポイントに向けての
移動を開始するその時、泰葉は自らへの発破の言葉として
普段のガンプラバトル出撃時の口上を口にし…続けて、
ミサは上機嫌な様子でそれにノる形で合いの手を入れていた。
「画面の前の視聴者の皆さん、この光景が届いていますでしょうか?
アニメの中の世界ではない私達の生きるリアルの世界にて、
ガンダムが今飛び立とうとしています! 静止軌道ステーションを
元の静止軌道に戻す為に…そして、危うく閉ざされようとしていた
宇宙時代への扉を…今改めてこうして我々自身の手で切り開く為に!」
「…ウィル坊ちゃま、よろしかったのですか?」
「…何がだい?」
「…あのガンダムに、乗りたかったような様子が見受けられましたが」
「…僕はそこまで子供じゃないさ」
「そうですか…では、お茶の準備を致しますね」
そのガンダム発進の様子を、MCハルが持って来たカメラ付きの
マイクロドローンで撮影しながら興奮を隠す事無く
率直な気持ちをカメラの向こうの視聴者に伝える最中…
ウィルとドロシーもそのガンダムを眺めながら言葉を交わし、
下がって行ったドロシーと入れ替わる形でカドマツがやって来た。
「どうよ、凄ぇだろ?」
「あのガンダムの外装…確か、今お台場に建っている実物大の
ユニコーンガンダムの前に設置されていたもののやつだろう?
どういった経緯かはわからないが、よく手に入れられたものだね」
「ああ、元々老朽化の影響でユニコーンへの建て替えが決まったって
話が出た時から会社ぐるみで交渉して外装を譲ってもらって
ウチの会社を中心とした多数の企業によるプロジェクトとして
完全新規の稼働フレームを制作するって事が決まったんだ。
実際に動くやつを作ったら面白いだろうなって理由で、な」
「何とも物好きな連中の集まりだな…侮辱に聞こえてしまったら
申し訳ないが、まさしく”Birds of a feather flock together”…
日本語で言う所の『類は友を呼ぶ』というやつだな」
自慢げな様子のカドマツから語られる、あのガンダムの
制作経緯を聞いたウィルは呆れたような…それと同時に、
ある種の羨ましさを感じさせる様子で率直な感想を返す。
「…あのガンダムは、嬢ちゃん達が必死こいて守ろうとしている
あの商店街と同じようなもんだ。時代の移り変わりと共に
古ぼけていって忘れ去られようとしているもの、って意味でな。
だが、そんなものにも『忘れて欲しくない』『残しておきたい』…
そう思う奴ってのは必ず存在する。そんな奴らの悪足掻きが、
時としてこんなとんでもない事態に繋がる事もあるって訳だ」
そこから一転して、カドマツは真面目な口調で今飛び立ったガンダムと
彩渡商店街の両方に通じるもの…そしてそういった古ぼけたもので
あったとしても、誰かにとっては掛け替えのないものである事を伝え…
そういった者達の、端から見れば見苦しい悪足掻きにしか見えない行為が
時にこういった「奇跡」を呼ぶ事もあるという思いを口にする。
「…僕も、失くしたものをまた取り戻せるだろうか」
「ああ、難しいこっちゃねぇ…かつての記憶に蓋をし、
目を背けていた気持ちとまた向き合えばいいだけの事だからな」
そのカドマツの言葉に、ウィルは泰葉達彩渡商店街チームを知ってからの
自身の心境の移り変わりを振り返り…幼かった時のように、また再び
ガンプラバトルに対し純粋な気持ちで向き合えるかという思いを込めた
一言をカドマツにぶつける。それに対してカドマツは、ウィル自身の
心の持ち方次第ではあるが決して難しいものではないと返答する。
「皆さん、お茶が入りましたよ」
「おう…んじゃ、宇宙を翔ぶガンダムを眺めながらの
優雅なティータイムと参ろうじゃねぇか」
そこに聞こえた、タイミングを見計らったかのような
ドロシーの言葉にカドマツは返答し…ウィルを誘うような
一言と共に、プロデューサーや比奈達の所に向かって行った。
~~~~~
「指定ポイントが近付いて来ました、減速を開始して下さい」
「わかりました、えーとブレーキは…」
泉からの報告を受け、泰葉は減速の為にペダルから足を離し
ブレーキ操作をマニュアルで確認しながら実行し始める。
それからしばらくすると…
「おわっ!?」
「わわっ…!」
ブレーキによる減速の衝撃が予想以上だった為か、
泰葉もミサも驚きの声を上げ…それによる振動で
意図せずスティックを左右互い違いに引いてしまい、
指定ポイントには無事到達したがガンダムは
テザーに背を向けた姿勢で止まってしまっていた。
「す、すみません…すぐにテザー側に振り向かせます」
「いや、ちょっと待って泰葉ちゃん」
「どうしましたか、ミサさん?」
「モニターに映ってる光景、見てみてよ」
詫びの言葉と共に再びガンダムをテザーと向き合わせようと
する泰葉に、ミサが一声かけてそれを止めさせる。
それに対する泰葉の言葉に、ミサはモニターを見るよう促す。
そこに映っていたものは…
「わぁ…」
「おおー…これが宇宙から見た地球かぁ」
「かつてのとある宇宙飛行士が残した言葉通り、
青々とした輝きを持つ星ですね」
「…ただ生まれ故郷を守りたいって為だけに取った行動から、
こんなとんでもない規模の事態にまで膨れ上がるなんてねぇ」
「そうですね、私としても信じられないという気持ちですし」
「始まりのきっかけから本当に偶然としか言えない
事態だったからねぇ…でも、今はその偶然に感謝してるよ」
「その言葉、戻った時にプロデューサーに言ってあげて下さいね」
「もっちろん!」
モニターに映る青々と輝く地球の姿に、泰葉もミサも見入り
それぞれが率直に感じたものを口にする。そこから続く形で、
ミサは自身の行動がここまでの事態にまで膨れ上がった事への
率直な気持ちを言い…泰葉も同意を示す。続けて、ミサが
泰葉達と共に行動する事になったきっかけを振り返りながら
そのきっかけとなった「偶然」への感謝を口にすると
泰葉はまさしくそのきっかけを生んだプロデューサーに
直接その言葉を言って欲しいと伝え…ミサも同意する。
「…あのね、泰葉ちゃん…」
「どうしましたか?」
「仕事としては、これでおしまいだと思うけど…
出来れば、これからも…」
そこから一転してしおらしさを感じさせる様子となった
ミサを見て、泰葉が尋ねるように声を掛ける。
それに対してミサは、一言一言丁寧に言葉を選びながら
自らの願いを泰葉に伝えようとしたその最中…
「おーい、盛り上がってるとこ悪いが
一先ず本来の目的のテザー切断頼むわ」
「もー、カドマツぅ! せっかく大事な事
泰葉ちゃんに伝えようとしてたのにぃ!」
「まぁまぁ、ミサさん…このガンダムを降りたら
お別れだという訳ではありませんし、まずは目的を
達成した上で戻った時に改めて伝えてもらえますか?」
「…うんっ!!」
割って入る形で入って来たカドマツからの通信に、
ミサは怒り心頭で返事をするが…泰葉がなだめると同時に、
「これで関係が終わる訳じゃない」といった事を伝えると
ミサは一転して嬉しさに溢れた表情で返事を返した。
「それじゃあ…このボタンでビーム・サーベルを抜刀して、と」
ミサのその一言と共にとあるボタンが押されると、
ガンダムは右腕を動かし…バックパック右側の
ビーム・サーベルの柄を抜き、そこから右腕を振り下ろすと…
「あ、あれ? これって…」
「チェーンソー…ですね」
「さすがに今の科学技術でビーム・サーベルは
実現出来ねぇからな…すまんがそいつで勘弁してくれ」
柄から展開された刃の形状に面食らうミサと泰葉に対し、
カドマツは現在の科学技術の限界と共に詫びを告げる。
「あー…確かにミノフスキー物理学的なものは
今の時代には存在しないからねぇ」
「そのような理論が生まれる事が良い事かどうかは
何とも言えませんが…そういう事が起こりうる未来に
繋げる為に、今は今の時代に出来る手段をもって
未来への扉を切り開いて行きましょうか」
「そうだね、それじゃあ…」
それに対してのやり取りを経て、2人が乗るガンダムは
右手に展開されたチェーンソーを持った状態で
テザーと向き合う形で振り返り…
「…では、行きます!」
「せー…のっ!」
泰葉とミサの掛け声と共に振り下ろされたチェーンソーは、
無事に指定されたカウンターウェイト側のテザーを切断し…
「…指定ポイントのテザー切断を確認、これにより
当ステーション備え付けのスラスターによる
静止軌道への帰還が可能になりました」
「おっしゃ! …と、嬢ちゃん達が無事に帰還するまで
ステーションを現在位置に保っててくれ。
こっちで全部が無事に済んだ事を確認したら
改めて静止軌道への帰還指示を出すからな」
「了解しました、指示があるまでステーションの
現在位置での待機の為に各部スラスター出力を調整します」
コントロールAIからのテザー切断による静止軌道ステーション
備え付けのスラスターによる静止軌道帰還可能の報告に、
カドマツはガッツポーズと共に喜びの言葉を発する。
そこから続けて「泰葉とミサが帰還するまでステーション本体を
現在位置に保つ」ようにと指示を出し…コントロールAIは
了解の意志を示すとそれを実行する為にスラスターを調整していった。
P:ううむ…またもや更新予定日をブッチ切ってしまった
比奈:まぁそれでも可能な限り最小限の遅れにはなりましたし…
バトルシーンなしで10000字近くの内容というのは凄いもんっスよ
P:毎度すまんな…色々とゲームでの描写では不足してるなと
感じた個所の補完などを重ねた結果ここまで膨れ上がったってとこだな
比奈:あの等身大フル稼働ガンダムの制作を、ハイム社だけじゃなくて
色んな企業が関わるって形にしたり…食料などの提供の為の
定期的なロケット打ち上げの実現の為に、鹿児島ロケットと
タイムズユニバースの宇宙開発部門を連携させる…
確かにゲーム内描写から一歩踏み込んだものっスね
P:…さて、次回はラストステージクリア後イベントの後半シーンを
元にしたパートとなります。これまでの書き方とは少しばかり
変化させたものにする為どんな反応になるかはわかりませんが
投稿日含めて最善は尽くしますのでお待ち頂ければ幸いです