CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE 作:wataru012
バトル開始の合図から間もなく、世界大会本戦の決勝戦時と
同様の神殿跡を思わせるフィールドに降り立った2機のガンプラ…
泰葉機「ダブルオーインハーリッティドウィッシュ」と
ウィル機「ガンダムセレネス・SS」は、互いに挨拶代わりとばかりに
ファンネルやシールドビットを展開し…続けて一気に間合いを詰め始めた。
「そのパターンならこれで…何っ!?」
「こちらもその反応は予測してました、行きますよ!」
拳法ハンドの遠距離弱攻撃による飛び蹴りの為の
高速ダッシュを見て、本戦で見せた「ダッシュ中に
ピーコック・スマッシャーの『ランダムシュート』を
放つ事で側転し大きく右側に動く」行動と予測し
ビーム弾回避の為に右側に動いたウィル機の正面に
「ランダムシュート」をキャンセルして左側へと動いた
泰葉機が飛び込んで来た事で驚きの声を上げるウィルに
泰葉はその対応を予測してたと一言返すとその勢いの
ままに拳法ハンドによる連撃を叩き込み始める。
「…っと!」
「しまっ…!?」
「流石だな…キチンと礼はさせてもらうよ!」
しかしながら僅かに当たりが浅かった為か、
2・3セット程コンボを入れ終えたタイミングで
ウィルが後転受け身を取って逃れると同時に
初撃を空振った泰葉機に対してお返しとばかりに
踏み込んで「ガーベラ・ストレート」による一太刀を
皮切りに胴体と脚部とバックパックに備え付けられた
6振りの刃を代わる代わる繰り出しての連続斬りを
時に大きく飛びながら泰葉機に叩き込んで行く。
「読み合い勝負から始まって、僅かな隙を
見逃さずにキッチリ反撃を叩き込む姿…
ホント序盤からハイレベルな戦いだよ」
「全くっス」
「本戦で見せた行動パターンと思わせて
変化させる事で泰葉が裏をかいたが、
とっさの行動故踏み込みが甘くなって
当たりが浅くなり逃げられてしまったか」
「その『当たりの浅さ』から生まれたチャンスを
逃さずに、思い切り良く踏み込んで連続斬りを
叩き込みに行ける彼の決断力も凄いものだね」
「…ま、小学生程度の年齢で現役時代のミスターに
勝てちまうレベルの腕前の持ち主だったってんなら
これくらいの度胸と判断力は持ち合わせてる…か」
「長期間のブランクあり、なおかつ再始動からの
練習期間も僅かという条件でここまでの腕前を
見せて来る辺りは流石としか言葉が出ませんね」
そんな序盤から繰り広げられるハイレベルな攻防を
目の当たりにしたミサとカドマツ、そしてプロデューサーを
始めとする「ガンプラバトルプロジェクト」メンバーも
その様子に感嘆を込めた感想を思い思いに口にする。
~~~~~
ウィルが連続斬りを泰葉機に叩き込む中、G-セルフ胴の
「ビーム・サーベル」の攻撃モーションの大きさ故に生じた
拘束が解けた瞬間に泰葉機が大きく動いて仕切り直しを試みる。
「逃がすか!」
「たあっ!」
「しまっ…うあっ!」
その結果ウィル機に背を向ける状態になった泰葉機目掛けて
ウィルがEXアクション「スラッシュレイヴ」を発動するが、
振り向いた泰葉機は放たれた斬撃波を回避するために続けて
EXアクション「ライトニングスラスト」を発動して高々と
飛び上がった後にウィル機の真上から強襲して地面に叩き付ける。
「まだまだ行きますよ!」
そうして叩き付けられた反動で無防備な体勢で浮かされた
ウィル機目掛けて、泰葉は追い打ちとばかりにオプション武装の
「GNマイクロミサイル」による弾幕を浴びせ…それをまともに
受けてしまったウィル機はお手玉のように打ち上げられ続ける。
「手堅くも容赦ねぇ追い打ち叩き込んで来んなぁ…」
「ここは拳法連撃に繋げる為に『ブラストナックル』で
追い打ちという選択肢もあるけど…本戦でそれに対して
『アースシェイカー』で迎撃するという手をやられた経験から、
確実にダメージを与えられるミサイルを選んだってとこか」
泰葉の回避を兼ねた「ライトニングスラスト」からの追撃への
タイガーの感嘆の声に続く形で、カマセが別の選択肢を挙げた上で
本戦でのワンシーンを思い返しながら今回泰葉がその選択肢を
選ばずにミサイルでの追い打ちを選択した理由の推測を口にする。
~~~~~
「ぐっ、流石だ…だが、まだだっ!」
「GNマイクロミサイル」を多数被弾しながらも、ゲージ切れで
弾幕が途切れた所で受け身を取って体勢を立て直して移動し
泰葉機が振り向く為に動きが鈍った所にEXアクション
「ショットバラージ」を発動して泰葉機の真上から光の雨を
降らせる事で回避を強制させて攻撃を封じ…その間に
「ビーム・マグナム」を撃ちながら間合いを詰めて
再び連続斬りを泰葉機に叩き込もうとするウィル。
「そう来るならっ!」
「なっ…!?」
だが泰葉はあえて途中で迎撃しようとせずウィルに踏み込ませ、斬撃を
振るおうとした瞬間を見計らってEXアクション「ラビッドショット」を
発動しそれによるバック転動作で斬撃を回避しながら誘導弾全弾を
ウィル機にカウンターで叩き込み…浮き上がった所を取り付いて、
拳法ハンドでの連撃からオプション武装の「ブランド・マーカー」や
「ツインソードライフル」の格闘攻撃によるコンボを入れる。
「格闘を誘って回避しつつのカウンター射撃から逆に格闘コンボ、
冷静かつ容赦のない行動をここまで的確に実行出来るとは…
アジアツアーの時からさらに成長したもんだ、泰葉」
「攻防一体の行動はリージョンカップの時にあたしもその身に
刻まれましたし、元々あった素質が磨かれたって感じっすね」
泰葉のカウンター「ラビッドショット」からの格闘コンボを
目の当たりにしたモチヅキがアジアツアーの時の記憶を
振り返りながら感慨深げに口にした感想に合わせる形で、
ウルチもリージョンカップ決勝戦時に泰葉達が実行した
「上昇してアプサラスⅡの上を取っての照射ビームで
上空に居続ける事で一方的に攻撃する」手段を
振り返っての一言を返事代わりに口にする。
~~~~~
「手痛いのをもらったが…まだ勝負は終わっちゃいない!」
泰葉機の格闘コンボから逃れて体勢を立て直したウィルが、
その言葉と共に「ビーム・マグナム」を撃ちながら後退し…
追いかけて来る泰葉機に「ミサイル・ポッド」による射撃や
「フォトン・シールド」の放出を放つ事で回避を強制させ
アビリティやEXアクション「フィールドディフェンサー」による
オートリペアでの自機耐久力回復での立て直しを図る。
「そちらの射撃武器は素直な撃ち方が出来ないから
間合いを詰めるのも一苦労だろう…なっ!?」
「格闘武器の印象が強い為に忘れてしまってるかもしれませんが…
生憎こちらにも、『素直な撃ち方』が出来る射撃武器はあります!」
泰葉機のメイン射撃武器「ピーコック・スマッシャー」が
通常の射撃武器のような「直線軌道の単発射撃」が出来ない事から
こうした引き撃ちでの牽制による回復を試みたウィルだったが、
泰葉機のオプション武装の「ツインソードライフル」の射撃武器モードが
そうした射撃が可能だった為に撃ちながら前進して間合いを詰めて行く。
そうしてウィル機の回復が十分に行われる前に格闘戦の間合いに入り、
そこから互いに拳と刃を繰り出しながら相手の一撃を回避するという
再び両機が目まぐるしく動き回る戦いへと切り替わって行った。
「追い込まれながらも逆転の為の布石を作りに行ったのは良かったが、
印象の薄かった攻撃手段でそいつを崩されるとは迂闊だったな!」
「序盤から目まぐるしい動きの戦いだったし、追い込まれたプレッシャーと
気付かないうちに蓄積していた疲れで判断力が鈍り始めたからかな?」
「おそらくな、こうして端から見てるだけでも面白さや白熱感と共に
疲労も感じさせる戦いぶりだ…当事者であれば、一層疲れるだろうね」
ツキミによるウィルの行動選択とそれを崩されるきっかけへの一言に続き、
ミソラがその「判断ミス」に至った理由の推測を口にする。それを受けて
ロクトは泰葉とウィルの戦いの「目まぐるしさ」故に観戦するだけで
「疲れる」状況と、当事者のさらなる疲労に対する推測を2人に話す。
~~~~~
「これで…終わらせます!」
「来たか…!」
「おおっと! 泰葉選手、ここで『覚醒』を発動しました!」
「おっしゃあ! 行けぇ、嬢ちゃん!」
「あと一息よ!」
「決めてくれ、泰葉ちゃん!」
そんな目まぐるしい近距離戦の最中、ゲージが貯まった泰葉が
一気に勝負を決めようと「覚醒」を発動する。その様子に
MCハルやユウイチ達彩渡商店街店主勢が興奮気味になっている最中、
ミスターは1人黙って食い入るように2人の戦いを見据えていた。
(…こうして見ているだけでありながら、8年前のあの戦いと同等…
いや、それ以上の高揚感を抱かせる程の戦いを目にする事が出来るとは
私も予想出来なかったよ。…泰葉君、そしてウィル…ありがとう。
君達のおかげで、ようやくあの時の古傷が癒える時が来たようだ)
こうしてミスターが、8年前の「古傷」を癒せる事に対し心の中で
2人に対する感謝の気持ちを抱く中…画面の中では、泰葉が「覚醒」による
各種射撃攻撃やEXアクションのリチャージ速度上昇を活かしての
絶え間ない攻撃でウィルを追い詰めて行き…格闘コンボからEXアクションの
「ラピッドショット」であえて間合いを取ったと思わせたその直後に
「ブラストナックル」を発動して拳を叩き込みながら自機の足元に
ウィル機をダウンさせる。そこから間髪入れずにバーストアクション
「ライザーソード」を発動してダウン状態のウィル機を高々と持ち上げ、
そのまま思い切り地面に叩き付け全解体と共に耐久力を0にする。
「決まったぁぁーーっっ!! 第1回ガンプラバトル世界大会
決勝戦リマッチは、彩渡商店街チーム代表ファイターの
岡崎泰葉選手の勝利となりました! それにより、史上初の
ガンプラバトル世界一は…彩渡商店街チームに決定しました!!」
ウィル機撃破の直後、再びMCハルの大声がイラトゲームコーナーの
店内狭しと響き…泰葉の勝利と彩渡商店街チームの世界一決定が
それによって告げられると、観客一同からそれにも負けない驚きと
賞賛の声が返答とばかりに店外にも届く勢いで上がって行った。
~~~~~
「…おめでとう、あそこまで縦横無尽に動き回った上で真正面からの
突進からトドメに繋げるとは…敵ながら見事な雪辱の果たし方だったよ」
「ありがとうございます、そこまで意識する程の余裕はありませんでしたが…
そちらにそう思わせたのであれば、そういう意味でも『勝利』と言えますね」
激戦を繰り広げた2人がポッドから出て来た直後のウィルからの称賛に、
泰葉は疲労が残っている状態ながらも笑顔と共に感謝の意を返す。
「さぁ、それではガンプラバトル公式大会運営からの世界一のトロフィーと
ミスターからのトロフィーを彩渡商店街の方々に受け取って頂きましょう!」
泰葉の言葉に続く形で告げられたMCハルの発言を受けて、ミサ達も
泰葉の元に集まって手分けする形で2つのトロフィーを受け取り…
運営の広報担当からの要求としての世界一のトロフィーを持ったミサと
ミスターからのトロフィーを持った泰葉の姿が写真に撮られる。
「さぁ泰葉ちゃん、ミサちゃんに何処にキスして欲しいか言ってみて?」
「あー…すっかり忘れてたけどそれがあったかぁ」
その撮影が終わった所にミヤコが寄って来て、リマッチ開始前に言われた
「ミサからのキス」に関する質問を嬉しそうな様子で泰葉に投げかける。
それを聞いたミサは、2人の白熱した戦いに夢中になっていた為に
すっかり忘れていたそれを思い出さされ複雑な表情となっていた。
「…ミヤコさん、確認しますが『どのようにキスするか』は
全て私の判断で決めて良いんですよね?」
「そうね…話を聞いて、余りにもミサちゃんが不憫な目に
遭うような事態になりそうだったらさすがに止めるけど」
「ありがとうございます、でしたら…」
ミヤコの言葉に泰葉が確認の質問を返し、それに対する
ミヤコの回答を聞いて礼の言葉と共に泰葉は「あるもの」を
手に取り…それ共々ミサの方に全身を向けてこう告げた。
「このトロフィーの台座部分にしてもらえますか? ミサさん」
「ええっ!? な、何でまた!?」
ミスターから送られたトロフィーを持っての泰葉からのお願いが
余りにも予想外だった為か、驚きと共に率直な疑問を返すミサ。
「…このトロフィーは、ミスターさんとウィルさんにとって
『苦い記憶の象徴』と言えてしまうものです。だからこそ、
これに私達の喜びの記憶を刻み込む事で上書きして
このトロフィーを本来の『喜びの記憶の象徴』に
したいんです。…だから、どうかお願いします」
「…ありがとう、泰葉君」
「僕からも…ありがとう、泰葉」
ミサからの疑問への返答として、泰葉がこのトロフィーに
刻まれてしまった「苦い記憶」を上書きしたいという思いに
ミスターとウィルは泰葉に感謝の一言を告げる。
「…そこまで真剣に考えた上でそう言われたなら、
私も友達としてそれに応えさせてもらうよ」
「…ミヤコさん、どうですか?」
「問題ないわ、泰葉ちゃんがそれで良いならそれで行きましょう」
ミサも泰葉の思いに応えようと決意を込めての
了承の意を返し、それを受けて泰葉がミヤコに
確認するとミヤコも快く了承する。
そうしてキスマークがしっかりと残るようにと
ミヤコが準備した口紅がミサの唇に塗られ、
泰葉が持つミスターからのトロフィーの
土台部分にしっかりとキスマークが残る形の
キスがなされ…その時のキスの瞬間を撮った写真が、
このイベントの各種メディア報道時に使われる事となった。
P:いや~…正直今回は今までの中で一番考え疲れたと言える執筆だった
比奈:そりゃあゲーム内で全く描かれてないバトルの模様を
書こうって話っスからねぇ…とは言えど、文字数は
控えめながら中身の濃さはなかなかのものじゃないっスか?
P:コンセプトとして「2機の持つ攻撃手段を全て出し切るぐらいの
勢いで書こう」と決めた上で書いたからなぁ…残念ながら本当に
「全て」とまでは行かず出しそびれた攻撃手段も出てしまったが
比奈:ま、それでもほとんどの攻撃手段を出せたって言うんなら
上出来だと思うっスよ。それに観客各自の感想とか
メインストーリークリアトロフィーに添えられた一文を
発展させた内容まで詰め込んだのは良かったですし
P:…毎度ありがとな、さて…次回からようやくDLCシナリオ
第1弾編を開始します、ゲーム内の3ステージに加えて
自己流解釈によるエピローグに当たる会話劇1話を加えた
4話構成で執筆する予定の為楽しみにして頂ければ幸いです