CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE   作:wataru012

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過去の縁が結ぶ今

「ど、どうしてまた346プロなんて超が付くほどの

 大手芸能事務所が協力してくれる事になったの!?」

 

泰葉がミサと共にガンプラバトル大会で勝ち進む事で

商店街の宣伝を行うと聞いて驚いたミサは、

興奮冷めやらぬまま率直な疑問を叫ぶ。

 

「…ミサ、それについてはこれから説明するよ」

 

「父さん…?」

 

そんなミサを落ち着かせるように頭に手を乗せながら、

ユウイチが今回協力してもらえるようになった経緯を

プロデューサーに視線を移しながら話し始める。

 

「…2週間ほど前に、泰葉ちゃんのプロデューサーである

 彼がうちの店に立ち寄ったのが始まりだった」

 

「そうなったのもまさに偶然の産物ってやつで、

 休みの日に少し遠出して買い物しようと電車に乗ったら

 疲れが溜まってたのか居眠りしてしまって…

 気付いたらここ、彩渡駅まで乗り過ごしてしまったけど

 学生時代を思い出して懐かしく感じたから降りてみたんだ」

 

「プロデューサーはこの辺りの出身なんですか?」

 

「生まれた所はここからもう少し離れた所だけど、

 高校の最寄り駅がここで学校帰りに商店街で

 買い食いしたりこのお店でプラモを買ったりしてたんだ」

 

「だいたい10年ほど前だから、ミサが小学校の

 1年か2年生辺りの頃の話だな…あの時は商店街も

 沢山の店が営業してたしうちの店も子供から大人まで

 結構なお客さんが来てたから覚えてないのも無理はないけど」

 

「そうだったんですか…」

 

プロデューサーとユウイチの昔語りに、泰葉と比奈は聞き入り

ミサは目の前の男性がかつての常連客と聞いて驚きの声を上げる。

 

「言っちゃ悪いがシャッター通りになった今の商店街を見て

 寂しくなったけど…このお店が昔と変わらず残ってるのを見て

 嬉しくなって入店したらユウイチさんが店番をしてたので

 懐かしさから感極まって自分の事を話したら、向こうも

 思い出してくれてしばし思い出話しに花が咲いたんだ」

 

「僕の方こそ驚いたよ…あの時の一学生が、まさか大手の

 芸能プロダクションに入社してたなんて…だけどそれを聞いて、

 ミサの願いを叶えてやれるかもしれないと思って彼に打診したんだ」

 

「つまり、父さんから泰葉ちゃんのプロデューサーに

 私のガンプラバトルチームメンバー集めの話が伝わって…」

 

「そこから事務所に話が届いて、今回の仕事に繋がったんですね」

 

「そういう事だ…と言っても、自分1人で決められる訳じゃないから

 その時はユウイチさんからの打診を受け取った上で事務所に持ち帰って

 検討するという返事をしておいた…そうして事務所の上層部に

 話を持って行こうとしたタイミングで、上層部の方から

『アイドルのガンプラバトル参戦』を考えてるという話が届いたんだ」

 

「まさに渡りに船のタイミングだったんスね…それにしても、

 何故上層部がガンプラバトルに取り組もうとしてたんでしょうか?」

 

プロデューサーとユウイチの話を聞いて、泰葉がガンプラバトルを始め

ミサのチームに参戦する事になった経緯を理解する2人。

その中で比奈は、上層部がアイドルのガンプラバトル参戦を

進めようとした理由についてプロデューサーに尋ねる。

 

「これまでは各国内の大会と、国籍を問わず参加可能な

『ワールドツアー』の2本柱で行われていた公式大会に

 稼働が始まった静止軌道ステーションのPRと安全性の確認を

 兼ねた世界大会が追加される事が公表されて…外国人のアイドルも

 多数所属してるうちのプロダクションとしてはより世界に事務所と

 アイドル達の名を売るチャンスと受け取った事に加えて、

 他事務所も似た考えからアイドルを参戦させようという動きが

 広まっていたからこの流れに乗り遅れないようにという目論見で…だな」

 

「静止軌道ステーションでの世界大会…今はまだ皮算用ですが、

 もし出場出来たとなればそのインパクト故に事務所や

 アイドルのみならず商店街の名も世界中に広まる事になりますね」

 

「おお~…」

 

世界大会の話を聞き、仮に出場出来た場合の宣伝効果を想像する

泰葉の言葉にミサは目を輝かせながら驚きの声を上げる。

 

「その世界大会に辿り着くまで、国内でどれだけの

 大会に出場して勝ち進む必要があるんスか?」

 

「まずは地区予選に当たる『タウンカップ』、次いで地区代表を決める

『リージョンカップ』…そしてこれまでは日本最強を決める大会で、

 今年からは日本代表を決める大会となった『ジャパンカップ』の3つだな」

 

「大会の数は3つ…とはいえ、1回のバトルだけで決まるようなものでは

 ないでしょうしトータルのバトル回数は結構なものになるのでしょうね」

 

「そういう事になるな…さて」

 

比奈や泰葉からの質問にプロデューサーが答えると、

改めてミサに向き直り真剣な表情で話し始める。

 

「…ミサさん、余りにも唐突な話だし泰葉はあくまで素人だ。

 初プレイで対人相手に勝ったとはいえ、どれだけの実力かは

 未知数としか言えないし早々に敗北してしまう可能性も

 十分あり得る。もし不満なら事務所に掛け合って…」

 

「それについては問題ありません! 私が今日この目で見て

 泰葉ちゃんにはガンプラファイターの才能があると確信しましたから!

 ガンプラ作りやバトルに関してはこちらでキチンと教えますので

 是非とも泰葉ちゃんと共に戦わせて下さい!」

 

泰葉があくまで素人である事を改めて説明し、もしミサ側が希望するので

あればアイドルの変更も視野に入れるという事をプロデューサーは伝えるが

当のミサはタイガー戦での泰葉の戦いぶりで才能を確信し誘いたかったが

無理であろうと諦めていた人物と共に戦えるならばとプロデューサーに頭を下げる。

 

「…それじゃ、契約成立という事で良いかな?」

 

「はいっ!」

 

「改めまして、これからよろしくお願いしますねミサさん」

 

「よろしくっス、ミサちゃん」

 

「こちらこそ、2人とも!」

 

「それじゃあ今日はこの辺りで…1週間後に契約書類を作成して

 こちらに持って来て正式に契約するから、その時に

 ミサさんは泰葉に手ほどきを頼めるかな?」

 

「了解です! それじゃあまたね、泰葉ちゃんに比奈さん!」

 

「はい、今日はありがとうございましたミサさん」

 

「ホントどうもでした、ミサちゃん」

 

そんなミサの様子を見て、プロデューサーもそれに応えるように

返事をする。その後泰葉と比奈も改めてミサと挨拶を交わした後に

3人は1週間後の来訪を約束して五月野模型店を後にしていった。

 

~~~~~

 

「戻りました」

 

「お疲れ様です、只今戻りました」

 

「ただいまっス」

 

「あら、お帰りなさい3人とも~」

 

「あれ、茄子さん?」

 

事務所に戻り、3人がプロデューサーのデスクに向かうと

プロダクションの所属アイドルの1人であり…泰葉とも

隠し芸の仕事で共演した事のある「鷹富士茄子」が

3人の元にやって来て真っ先に泰葉が反応を返す。

 

「何か伝言とかっスか?」

 

「そこまでお堅いものじゃなくて…泰葉ちゃん、

 これから事務所としても大きな挑戦と言える

 お仕事に取り掛かるとほたるちゃんから聞いたから

 そのお仕事が上手く行くようにという私からの

 お祈り代わりにこれを渡そうかなと思って~」

 

続けての比奈の言葉に返事をしながら、茄子は右手を

前に差し出しその手の平にあるものを見せる。

 

「お守り…ですか?」

 

「はい、商売繁盛のご利益で有名な神社のものですよ~」

 

「茄子さんから手渡されるお守りってだけでも

 効果抜群に思える上に、『商売繁盛』となれば

 商店街の宣伝も含まれる今回のお仕事に対して

 特攻レベルの効果持ちに思えてきまスねぇ…」

 

「わざわざありがとうございます」

 

「いえいえ、それじゃあ~」

 

泰葉がお守りを受け取りお礼の言葉を返すと、

茄子は笑顔で手を振りながらその場から離れて行く。

そして姿が見えなくなった所を見計らって

プロデューサーが泰葉に声をかける。

 

「…さて、泰葉」

 

「何でしょうか?」

 

「今回のガンプラバトルの仕事についてだが…これは

 仕事に直接関わりのない俺個人からのお願いだけど、

 泰葉が使う機体を『どういう風に組み上げるか』

 という点については自分で決めてもらいたいんだ」

 

「どういう風に組み上げるか、ですか…」

 

「ああ、泰葉がガンダムに関する知識が皆無に等しいとは聞いてるし

 それを補完する為に比奈に『プロジェクトメンバー』として

 参加してもらったのも事実だ。それ故に組み上げたい機体の

 方針が決まったとしても、それに適したガンプラがわからなくて

 比奈に尋ねる事は否定しないし必要な事だとこちらも思ってる。

 …だけど、『選んだガンプラのどのパーツを使い、どのように

 組み上げるか』という自分の機体を決定する最後の選択は泰葉自身の

 ものであって欲しい。…それは、泰葉が今までのアイドル活動で

 見出したものに通じるだろうと思っているから」

 

「…そうですね、わかりました。時間はかかると思いますが

 私なりの『自分だけの機体』を必ず作り上げてみせます」

 

「アタシも全部のガンダム知識があるという訳ではないっスが、

 出来うる最大の範囲でサポートさせてもらうっスよ」

 

プロデューサーの「お願い」を聞いた泰葉は、思案しながらも

最後には決意を込めた表情と口調でそれに応える返事をしていた。




P:まずは隔日投稿の予定だったものがこちらの体調不良で
 執筆が滞りそれを破る形になった事をお詫びします

比奈:それについては当事者でない身がどうこう言うものでは
   ないので置いておきまして…今回はプロデューサーの過去と
   ユウイチさんとの接点について出して来たっスね

P:ま、一商店街と大手芸能事務所の間に接点を持たせるとしたら
 こうした個人間の関係からの方が自然だろうなと思ってな

比奈:確かに、事務所と商店街に直接関わりがあるとなると
   それこそ事務所のすぐ近くぐらいの距離の近さがないと
   無理があるでしょうし…それを採用しちゃうと、商店街が
   シャッター通り化してる事に無理が生じると思われまスし。
   …それにしても「茄子さんから渡されたお守り」とは、
   また何とも分かり易いフラグを立てましたなぁ…

P:茄子さんもある種の「便利屋」的側面があるから出したというのは
 否定しないけど、これ以上の説得力を持ったものというのも
 ないというのもまた事実だからなぁ…読者の方々も「ご利益」の
 目星は付いてるだろうけど、一応はこれからの物語を
 お待ち下さいという事で…それでは、次の話で
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