CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE   作:wataru012

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タウンカップ決勝・覚醒の時

「初めての決勝進出の上に、2位と大きな差を付けての

 1位通過…泰葉ちゃんのおかげだよ、本当にありがとう!」

 

タウンカップ彩渡大会の予選を終え、圧倒的と言える

スコアを稼いで予選を無事突破出来た事に対して

ミサは喜びを爆発させて泰葉に礼を述べる。

 

「喜んでもらえたなら良かったです、ですがまだ

 決勝が残っていますしまずはそれに全力で挑んで

 勝った時に備えて喜びは取っておきましょう…ミサさん」

 

「…だね、素直に嬉しくて舞い上がっちゃったけど

 まだ終わってないもんね…泰葉ちゃんの予選での

 頑張りを無駄にしない為にも私も頑張るから!」

 

そんなミサに泰葉は笑顔で言葉を返しつつ、これから始まる

決勝戦に向けて気を引き締めるように諭す言葉を続け

ミサもその言葉に応えて決勝に向けて気合を入れ直す。

 

「…本当に決勝まで勝ち進んじまうとはな」

 

そんな泰葉達の前に再びカマセが現れ、彩渡商店街チームが

勝ち上がった事が信じられないといった風な言葉を放つ。

 

「とは言っても、ダイジェスト映像で断片的に見た部分だけでも…

 泰葉さんつったか、アンタにはガチでガンプラファイターの

 才能があるって感じられる立ち回りだったよ。攻撃面だけを見ても

 メイン武装やEXアクションの火力や性能を理解して的確な攻撃を

 繰り出してたし、時にはミサを庇う立ち回りを躊躇いなく行える

 決断力も兼ね備えてる…紛れもなく強いファイターだよ、アンタは」

 

しかしそこから泰葉に視線を向けて続けられた言葉は、

泰葉の才能が紛れもない本物であると重々理解し

それに対する率直な驚きと称賛が込められたものであった。

 

「へへーん、どうよ?」

 

快進撃への喜びが残っているからか、

ミサはカマセに得意気な表情で声をかける。

 

「ああ…可哀想だなって思うよ」

 

「何? 自分で自分を可哀想って言っちゃう訳?」

 

「ちげーよ、バカ」

 

「なっ!?」

 

そんなミサに憐れむような表情でカマセは言葉を返し、

その言葉に思わず調子に乗った返事をするミサ。

だがカマセは表情でも言葉でもミサを馬鹿にする

態度を示し、それに驚くミサに構わず言葉を続ける。

 

「天才と言っても大袈裟じゃないバトルの才能を持ち、

 346プロなんて桁外れの後ろ盾も備えているんだから

 わざわざ他のチームに入るなんて真似をしなくても

 プロダクションでチームを作って金も注ぎ込んで

 エンジニアを雇ってアセンブルシステムを強化すりゃあ

 世界一とまでは行かなくてもジャパンカップで優勝して

 日本代表になるくらいの事なら成し遂げられそうだってのに…

 エンジニアも雇えねぇノーマルのアセンブルシステムしか

 使えねぇ貧乏チームなんかに義理立てしたばっかりに、

 こんな貴重な『金の卵』が無残に潰されるんだからな…

 本当に残念で仕方なくて可哀想としか言えねぇよ、泰葉さん」

 

泰葉の才能や事務所という「後ろ盾」を評価するような

言い方をしながらも、彩渡商店街チームをこき下ろし

馬鹿にするような言葉と泰葉を哀れむ言葉をカマセは

泰葉を憐憫の眼差しで見ながら一気に吐き出す。

 

「何ですってぇっ!? いくら金が豊富で技術力が高いチームに

 入ったからって、それにあぐらをかいて相手を舐め切った

 態度を取るような魂が腐ったような奴なんかに…!」

 

「ミサさん、気持ちはわかりますがここは…」

 

そんなカマセの態度に苛立ちを禁じ得なかった泰葉だったが、

その直後に強い口調でカマセに食って掛かるミサの姿を見て

それを止めに入った事で結果的に泰葉の苛立ちは一旦静まる事となる。

 

「…だったら見せてやるよ、そんな精神論じゃ

 どうにもならない金と技術の力ってやつをよ」

 

そんな様子を目にしてもカマセは一切焦りを見せず、

余裕綽々の顔で自信満々にこう泰葉達に言い放つ。

 

「新入り、また絡んでんのか? いい加減にしとけよ」

 

「ああ、カドマツさん…悪ぃがこいつらの強さは本物だ、

 ここは確実に勝つ為に『アレ』を使わせてくれ」

 

そんな様子を見たのかカドマツが再び泰葉達の元に現れ、

カマセを窘める。だがそんなカドマツにお構いなしと

言わんばかりの態度でカマセは「何か」の使用許可を求めた。

 

「嫌だ」

 

「拒否かよ! しかも即答で!!」

 

それに対し一瞬の躊躇いもなくカドマツが拒否した事に、

思わずカマセは全力でツッコミを返す。

 

「ああいうもんを使って力づくで捻じ伏せるような

 戦い方ってのは俺は好きじゃないし、それを

 実行しようとしてるお前は商店街の嬢ちゃんの

 言葉通り『魂が腐ってる』と言われても仕方ねぇぞ?

 それにタウンカップであんなもん投入したら、

 勝ったとしても大人げないだの何だの言われて

 お前もチームも会社も叩かれかねんわ…」

 

「んなもんにビビってどうすんだよ! 勝ちさえすりゃあ

 汚名返上のチャンスなんざいくらでもあるだろうが!

 とにかく! 使わせてくれねぇってんなら棄権してやるからな!

 そうなったら『アレ』を使った時なんざ比べ物にならない

 レベルのバッシングを受ける事になるくらいわかるだろ!?」

 

「あー、もう…わかったよ、仕方ねぇ…それじゃあ

 急いでセッティングしなきゃなんねぇから戻るぞ」

 

「へへっ、ありがとさん…いいか手前ら! 金と技術が齎す

 圧倒的な力ってやつを見せてやるから覚悟しとけよ!」

 

カマセの提案に乗り気じゃない理由やその提案を用いた際の

リスクを話していくカドマツだったが、「勝てば官軍」と

言わんばかりの考えを吐き出しながら最後には恐喝紛いと

言われかねない手法を用いてでも自分が使いたい「何か」を

意地でも使用させようとするカマセの前に根負けする形で

うんざりとした表情で提案に対する許可を出す。

それに対してカマセはカドマツに礼を述べつつ、

泰葉達を指差しながらカドマツが来る直前のセリフの

ほぼ繰り返しとなる言葉を吐き捨てその場から離れて行った。

 

「…何と言いますか、あのカドマツさんって人には

 ご愁傷さまという言葉が自然と出て来ちゃいまスね…」

 

「彼が切り捨てたチームが新しく入ったチームよりも

 主に資金面で大きく上回る立場になったと思ってるようだし、

 それが許せなくてとにかく叩き潰したいって気持ちなのかな」

 

「なるほど…ところでミサさん、先程の彼の発言の中に

『ノーマルのアセンブルシステム』というものがありましたが

 それは一体どういう意味でしょうか? もしかしたら…

 予選で戦った相手チームの『武装パーツだけ増設』や

『狂化発動』といった事にも関係しているのでしょうか?」

 

嵐のようにやって来て去って行ったカマセを見て、

比奈は自分の中に生じたカドマツに対する同情心を吐き出す。

それに応える形でプロデューサーはカマセの中に生じたと

思われる彩渡商店街チームへの敵愾心の理由の推測を話し、

泰葉はそれに相槌を打った後にカマセの言葉の中に予選バトル中に

生じた疑問への繋がりを感じ取りミサに対して質問を投げかけた。

 

「…うん」

 

その泰葉の問い掛けに、弱々しい声で返事をするミサ。

そしてそこからミサは泰葉達の疑問に対して答え始める。

 

「『アセンブルシステム』っていうのは、シミュレーターの

 ガンプラの読み込みとアビリティの付与・強化に関する

 部分なんだけど…それに対して、改造で機能を追加出来るんだ」

 

「改造による機能追加…もしかしてそれが、泰葉ちゃんも言った

『武装パーツだけの増設』や『有人チームの『狂化』発動』に

 繋がってるという事っスか…ミサちゃん?」

 

「うん、『武装パーツ単体での増設』に関してはオプション武装を

 増設する武装系パーツだけじゃなくて『太陽炉』とかの

 特定EXアクションを使用可能にするやつや…機体パラメータの

 強化効果が含まれた純粋な装飾用パーツに内部構造の強化と

 いったものが『ビルダーズパーツ』というデジタルデータとして

 登録されているんだけど、全く改造していないノーマル状態の

 アセンブルシステムじゃそれらを使う事は出来ないんだ」

 

「なるほど…それを用いて武装を増設していたんですね」

 

「『有人チームでの『狂化』発動』に関しては、ノーマルのシステムでも

 一定のプレイ回数で解禁されるんだけど…それも改造を用いる事で

 すぐに使用可能になるんだ。『狂化』を使えるように設定すると

 リペアキットや回復系EXアクション、リブートが使えなくなる代わりに

 ノーマルのデフォルト状態から一定のパラメータ上昇がされるから

 ビルダーズパーツや『狂化』等で攻撃力を上げられたり…

 最初に『狂化』について説明した時に言いそびれたけど、一部機体の

 パーツにはオプション武装やEXアクションに加えて『必殺技』クラスの

 高い威力を持つ大技や武装である『バーストアクション』というのがあって

『狂化』状態になるとそれらが使えるようになるから攻撃面の増強と

 相性が良くて…最近のチームで、エンジニアを確保出来る規模の所だと

 そういった理由で『『狂化』使用可能』モードが好んで使われているんだ」

 

「『やられる前にやれ』というか、『ラス1機からの逆転』という

 華々しい勝利を演出可能という事がそれが好まれる理由っスかね…」

 

「だろうな、ロマン的な意味でも勝ちに行くという意味でも

 高い攻撃力で大技を使えるその組み合わせが好まれるのはわかるよ」

 

ミサからのアセンブルシステムに関する説明を聞き、

泰葉は予選時に対峙した相手チームが行っていた

「武装パーツだけの増設」と「有人チームでの『狂化』発動」が

出来た理由について納得し…比奈とプロデューサーは

「攻撃偏重なシステム設定」が好まれる理由を推測する。

そんな3人に対し、さらにミサが言葉を続ける。

 

「改造次第では、同時出撃可能数の減少と引き換えに

 モビルアーマーのような大型機体を出撃させる事も

 可能になるんだ。だけどそういった大規模の機能追加を

 実行しようとすると、腕前の優れたエンジニアや

 機能追加の為の設備…それにそれらを確保する為の資金が

 どうしても必要で、自前でそれらを確保出来たり

 外部からそれらの購入や雇用の為の資金を持っていたり

 そのレベルの資金を出してくれるスポンサーが付いた

 チームでないとそこまでの機能追加は難しいんだ」

 

「…ハイムロボティクスは、おそらく自前での

 エンジニア及び設備確保が出来る事でそういった

 アセンブルシステムの改造が出来るからこそ

 タウンカップで優勝出来る力を持っているという事ですね」

 

ミサから言われたさらなるアセンブルシステムの改造によって

使用可能になる機能とその解放に必要なものを聞いて、

泰葉はハイムロボティクスの強さの理由を察する。

 

「うん…ごめんね泰葉ちゃん、こんな不利な条件で

 戦わなきゃならない事を強いる結果になっちゃって」

 

「気にしないで下さいミサさん、私もそちらが

 心に抱いてるであろう考えに近しいと思ってますから」

 

「…え?」

 

「金銭面や環境面…そういった所が優れてるが故の

 利点というものは決して否定しませんが、

 それにあぐらをかくような真似をしていれば

 劣っていると思っていた相手に足を掬われると

 いう事も十分に起こりうるとも私は考えてます」

 

結果論ではあるが不利な状況での戦いを強いる事に

なってしまった事へのミサへの詫びに対して、

泰葉はミサへの激励を返答代わりに返す。

 

「それに、そういった金銭面や環境面での不利も承知の上で

 この仕事を受けたんですよね…プロデューサー?」

 

「ああ、アドバンテージは取られるとしても『絶対に勝てない』

 とまで行く訳ではないし…泰葉の機体のように、アセンブル次第で

 ビルダーズパーツなしでもオプション武装を大量に備え付ける事も

 可能だからな…エンジニア関係についてはこちらとしても

 何とかしようと模索はしてるが、なかなか活路が見い出せなくてね…

 それに関してはむしろこちらが謝罪しなきゃいけないくらいだよ」

 

そこから続けてプロデューサーに視線を向けながら話す泰葉に、

泰葉への信頼を込めた返答とエンジニア関連での助力が

出来ていない事に対するミサへの詫びを口にするプロデューサー。

 

「…そういう事っス、ミサちゃん。だから出来ない事を嘆くよりも

 今出来る最善を尽くしてみんなで立ち向かって行きましょう」

 

「…うん!」

 

そこからさらに続いた比奈の励ましの言葉を聞いて、

ミサも沈んでいた自分の心に再び灯が点くのを感じ取り

決意を込めた顔を上げながら力強く返事を返す。

 

「間もなく決勝戦を開始します、予選通過チームは準備を完了させて下さい」

 

「それじゃあ行こうか、泰葉ちゃん!」

 

「はい、全力でぶつかって行きましょう!」

 

その直後に会場に響いたアナウンスを聞いて、

泰葉もミサも気合のこもった声を上げながら

体育館内のポッドに向けて歩を進めて行った。

 

~~~~~

 

「敵機が見当たらない…という事は、最初からチーム同士で?」

 

「そうだね… ! 来たよ、泰葉ちゃん!」

 

相手に先んじる形でフィールドに降り立った彩渡商店街チーム。

そこにCPU機が湧かない様子を見て、最初からチーム同士の

ぶつかり合いを予測する泰葉にミサが返事をすると同時に

敵チーム来襲の警告がモニターに示される。

 

そうして現れたカマセ機は、ストライクフリーダムの頭部・

ユニコーンガンダムの胴体・ガンダムMk-Ⅱの腕部・

ストライクガンダムの脚部・ダブルオーライザーの

バックパックという組み合わせとなっており…

武器は右手にダブルオーライザーの「GNソードⅢ」、

左手にストライクガンダムの「57mm高エネルギービームライフル」という

取り合わせの…ミサの「アザレア」どころか、それよりも大柄である

泰葉の「ガンダムメイクプレゴレス」すら上回る巨大な代物であった。

 

「どうだ! この圧倒的なガンプラは!」

 

「PG機体って…タウンカップでそんなの出すチームなんて聞いた事ないよ!」

 

「PGというと…1/60サイズの『パーフェクトグレード』って事っスか!?」

 

「私やミサさんのHG(ハイグレード)が1/144ですから…倍以上の大きさ!?」

 

「ああは言ったが、そっちのチームは泰葉さんの腕前だけじゃなく

 2人のコンビネーションも抜群だからな…同じ条件じゃ負けると思ったのと、

 それだけの才能や連携があろうが所詮貧乏チームじゃ勝てないっていう

 現実をお前らの心に刻み付ける為にこいつを出させてもらったぜ!」

 

カマセの得意げな言葉に対し、泰葉もミサも比奈も率直な驚きが口から洩れる。

それに気をよくしたのか、泰葉とミサの息の合い方を賞賛しつつも

決勝前に言った「金と技術」の力を誇示するような発言を行うカマセ。

 

「でももう覚悟は決めてるよ、私が前に出るから

 泰葉ちゃんは後ろから射撃で援護お願い!」

 

「わかりました…ミサさん、気を付けて!」

 

「来るなら来やがれ、貧乏チーム風情が!」

 

驚きこそしたものの覚悟を決めた2人は怯む事なく、

果敢に前進して食らい付こうとするミサと

それを支援する為に「ファンネル」を展開する泰葉に対し

「圧倒的な力」を持つカマセは2人を挑発するような言葉を吐く。

 

~~~~~

 

「せい、やっ、たぁっ!」

 

「そんな針にも劣る攻撃なんて効かねぇんだよ、オラァッ!」

 

「うわっ!」

 

カマセ機に取り付き「ビーム・サーベル」での連続斬りを叩き込むミサ。

だがカマセはそれによるダメージを気にも留めず、右手に持つ

巨大な「GNソードⅢ」を振るってミサ機を吹き飛ばす。

 

「どうしたぁ!? こんな豆鉄砲なんざ無意味も同然…うおっ!?」

 

「さすがにスムーズには行きませんでしたが…これだけの巨体なら、

 シューティングモードでも当てる事はそう難しくありません!」

 

「ファンネル」は飛ばしたがそこからの攻撃が続かない事から、

泰葉に対しても挑発的な言葉を放とうとしたその瞬間…

「GNバズーカ」から放たれた照射ビームがカマセ機に着弾し、

シューティングモードで発射した事も相まって

カマセの予想を上回る大ダメージを与えていく。

 

「舐めたマネしやがってぇっ!」

 

「きゃあっ!?」

 

「まだまだぁっ!」

 

「うっ…!」

 

予想外のダメージを受けた事で激昂したカマセは、

標的を泰葉に切り替え右手に持った「GNソードⅢ」を

切っ先を地面に向けて突き出した姿勢から高速突進を行い

泰葉機を吹き飛ばす。泰葉が受け身を取るのが遅れたのを

カマセは見逃さず、吹き飛んだ方向に向けて再度高速突進を行い

追い打ちを叩き込む。2回の突進を受けて大ダメージを負った泰葉が

回復してる間に、カマセはミサに標的を変えて「GNソードⅢ」を振るう。

 

「確かに一撃は重いけど…振りは大きいから、回避は難しくないよっ!」

 

だがミサも黙ってやられはせず、大振りな攻撃を避けながら

EXアクション「フリージングバレット」による弾幕をカマセ機に浴びせる。

 

「そんな豆鉄砲なんざいくら当てても痛くねぇって言ってんだろうが!」

 

「それなら、この砲撃はどうですか!?」

 

「なっ…ぐおっ! てんめぇ…!」

 

「だったらこっちも、大砲を叩き込ませてもらうよ!」

 

「くそっ、生意気な…!」

 

弾幕を意に介さずミサを追うカマセ機の背中に、

泰葉がEXアクション「マルチブラスト」を叩き込む。

それに反応して泰葉の方に振り返った所を見計らって、

今度はミサがバックパックの「ジャイアント・バズ」を放つ。

そこから挟み撃ちによる連携で着実にカマセ機の耐久力を削り、

ゲージの約半分までダメージを与えた所で…

 

「舐めんなよてめえら、こっからが本番だ!」

 

「狂化!? PG機だと耐久値残り半分で発動するんスか!?」

 

カマセ機が自機周囲に赤いオーラを放つのを目にした比奈は、

予想していなかった「狂化」発動に対して驚きの声を上げる。

 

「まさか発動するなんて…」

 

「でも半分まで削ったなら…!」

 

泰葉達も驚くが、耐久力を半分まで削った事もあり怯む事なく

間合いをとりながらの射撃で着実にダメージを与えていく。

その最中、カマセ機が右腕を高々と掲げると巨大なビーム刃が

「GNソードⅢ」から溢れだすように形成されていき…

 

「!! 不味いっス! 2人とも敵機から横方向に離れて…!」

 

「まとめてブッ潰れろぉぉぉっ!!」

 

比奈の警告を遮るようにカマセの絶叫が響くと同時に、

そのビーム刃…ダブルオーライザーのバックパック備え付けの

バーストアクション「ライザーソード」がフィールドを

粉々に破壊せんと言わんばかりの勢いで叩き付けられる。

 

「うわっ…!」

 

「ミサさん!」

 

ビーム刃が振り下ろされるのを見て回避を試みた泰葉達では

あったが、泰葉達の機体の立ち位置や攻撃範囲の関係で

ミサが直撃こそ避けたものの完全には回避出来ず大部分のパーツが

吹き飛ばされるレベルの大ダメージを負う事となる。

 

「このままトドメと行かせてもらうぜ!」

 

「このっ…!」

 

バラバラに吹き飛ばされた様子を見て、追い打ちをかける為に

ミサを標的に定め移動するカマセに対し…泰葉は「GNバズーカ」も

胸部と腕部バインダーの「メガ粒子砲」もリチャージ中だったが「ファンネル」を

展開し胸部の「マシンキャノン」も同時に放つ事で標的を自分に向けさせる。

その合間にパーツ再接続と回復を果たし体勢を立て直したミサも

EXアクション「バレットオービット」を発動し「ザク・マシンガン」と共に

ミサに背を向けたカマセ機に対して弾幕を浴びせ反撃を試みる。

 

~~~~~

 

(畜生、あの一撃を喰らってなお悪足掻きするってのかよ!?)

 

「ライザーソード」を叩き込んで泰葉達に大ダメージを

与えながらも、怯んだり諦めたりせずに自分が操るPG機に

立ち向かい続ける2人の姿にカマセは苛立ちを隠せなかった。

 

それだけではない。

彩渡商店街チームと346プロが手を結んだ事。

カドマツが素直にPG機を使わせてくれなかった事。

今抵抗してる2機の攻撃手段が、一撃の威力は

決して高くない連射系の武器を中心としていた事。

 

(どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって…!)

 

それらの苛立ちの積み重ねの結果、ついにカマセの怒りは爆発する。

 

「エンジニアも雇えねぇ貧乏チーム風情が、

 いつまでも悪足掻きしてんじゃねぇぇぇっ!!」

 

その怒声と共に先程の「ライザーソード」の如く

フィールドを叩き割らん勢いで「GNソードⅢ」を

泰葉達目掛けて飛びかかりながら振り下ろし叩き付ける。

 

「とっ…!」

 

「何のっ!」

 

「オラァッ!」

 

「うわっ!?」

 

左右に飛ぶ形でその一撃を回避した2人だったが、

続けての薙ぎ払い攻撃を僅かに高く飛び過ぎたミサが

持ち手部分に殴られる形で喰らい吹き飛ばされる。

 

「ミサ! まずはてめぇからだ!!」

 

「くっ…!」

 

「ミサさんっ!!」

 

そうして吹き飛び倒れ込んだ所に追い打ちとばかりに

左腕を振りかぶり殴り掛からんとするカマセ機を見て、

泰葉は自機を盾にしようとブーストを最大に吹かして

高速でミサ機の前面に立ちはだかろうと試みる。

 

ガキィン!!

 

そして、ミサ側のモニターが迫り来るカマセ機の

左拳で覆われ真っ黒になり激しい金属の衝突音が響き…

 

「…え?」

 

カマセ機の一撃を受けたとばかり思っていたミサだったが、

低耐久力やパーツアウトの警告音も鳴り響かず撃墜を示す表示も

見受けられず…そんな様子に唖然としていたミサの視線の先の

モニターには、泰葉が自機の右肩の閉じた状態の腕部バインダーを

盾としてカマセ機の左拳を受け止め踏み止まる様子が映し出されていた。

 

「何だと!?」

 

「こんな所で…」

 

「邪魔しやがって…だったらお望み通りに

 2人仲良く殴り潰してやらぁっ!!」

 

PG機のハイパワーな一撃を受け止められた事に

驚愕した後に、割って入られた事にさらに苛立ちを

募らせたカマセは再び左腕を振りかぶって

2機とも叩き潰さんと拳を振るう。

 

「終わるつもりは、ありませんっ!!」

 

だがその振るわれた拳が届く直前に、泰葉機から

心からの叫びに応えるかの如く「狂化」の時を上回る大規模な

赤色のオーラが発散され振るわれたカマセ機の左腕を押し戻す。

 

「馬鹿な!? PGのパワーを弾き返しやがっただと!?」

 

「な、何!? 一体何が起こったの、泰葉ちゃん!?」

 

「私にもわかりません…ですが、まだ試合が

 続いてると言うのなら…行きましょう!」

 

「う、うん!」

 

驚きの声を上げるカマセとミサ、そしてそれに続いて

ミサは泰葉に一体何が起こったのかを尋ねる。

泰葉はそれについて答える事は出来なかったが、

試合が中断されず続いているのならば戦うのみだと

決意して立ち上がったミサと共に攻撃を再開する。

 

~~~~~

 

(『トランザム』…いや、色の系統は同じ赤系でも

 今起こっているのはそれより暖色寄りだから

 多分別物でしょうし…そもそも、『トランザム』を

 使えるようになるパーツは泰葉ちゃんの機体には

 使われてないはず…だったら一体何なんスか!?)

 

「ありえねぇ…こんなのありえねぇ!

 手前らアセンブルシステムに細工しやがったな!?」

 

「知らないよ! そもそも私にそんな知識ないし

 悔しいけどあんたが言ってた通りうちのチームに

 エンジニアなんて雇えてないんだから!」

 

「クソッタレがぁっ!!」

 

比奈は泰葉機の機体色が赤味を帯びているのを見て

EXアクションの「トランザム」を連想するが、

同じ赤系ながらそれとは色合いが異なる事や

「トランザム」が使えるようになるパーツが

泰葉機には使われてない事を思い出し、

自分の予測の範疇を超えている事を悟る。

カマセは信じられない事態の発生によって

勝利のチャンスを邪魔された事で怒り心頭となり

声を荒げて泰葉達が不正をしたと言わんばかりに叫ぶ。

 

(攻撃のダメージが上がっている…でもそれだけじゃない、

 射撃武器やオプション武装…EXアクションのリチャージに

 かかる時間も、目に見えて短縮されている!)

 

「くたばりやがれイカサマ野郎がぁっ!!」

 

「そのつもりは、ありません!」

 

その間に泰葉は自機の攻撃によって与えるダメージと、

各種攻撃手段のリチャージ速度が上昇している事を実感する。

そんな泰葉にカマセは声を荒げて再び右腕の「GNソードⅢ」の

切っ先を地面に向けた姿勢を取って泰葉機目掛けて高速突進を行うが、

それを迎撃せんと泰葉が放ったEXアクション「マルチブラスト」を

全弾被弾し鈍い金属音を響かせながら膝を付いて止まってしまう。

 

「ぐぁっ! ちくしょう、動けよ!」

 

「ミサさん、今です!」

 

「オッケー!」

 

機体が動かなくなった事に慌てて声を上げるカマセを後目に、

泰葉とミサはカマセ機に接近して格闘攻撃を連続で叩き込む。

そして一定のダメージを受けると、再び鈍い金属音が響き

カマセ機の右腕がパーツアウトを起こし消滅していった。

 

「PG機のパーツアウトって、再接続出来ないんだ…」

 

「攻撃に右手を使っていましたから、これで攻撃は止みますかね?」

 

外れた右腕が消滅したのを見て驚きの声を上げるミサに、

泰葉はカマセ機の攻撃モーションで使われていたのが右腕だった事から

この右腕の消滅で攻撃不能になるのではと推測する。

 

「ちっくしょお…ん?」

 

その予測通りメインの攻撃手段を封じられてしまった事に

悔しさを滲ませるカマセだったが、モニターに先程放った

「ライザーソード」とは異なるバーストアクションが

表示されているのを見てそれを発動させる。

そうするとカマセ機は真っ直ぐ真上に上昇していき…

 

「…! 不味いっス、今すぐ敵機から間合いを取って!」

 

「あれか…わかったよ、比奈さん!」

 

「は、はいっ!」

 

そのカマセ機の動きから「ある行動」を予測した比奈が

慌てて泰葉とミサに警告を送り、それに従って2人は後退する。

そしてカマセ機が縮めていた手足を広げるような姿になると

周囲にエネルギーを放つ「トランザムバースト」を発動する。

だが比奈の警告のおかげでそれの攻撃範囲から逃れられた

泰葉達は無防備となったカマセ機目掛けて「GNバズーカ」の

照射モードとEXアクション「フリージングバレット」を叩き込む。

それらが被弾するとカマセ機は再び激しい金属音を立てながら

地面に落下し先程と同じく膝を着いた体勢で動けなくなっていた。

 

「またかよぉっ!」

 

「ん? これは…」

 

カマセの叫びを聞いて再び攻撃に移ろうとした

泰葉の目に、モニターに表示された泰葉にとっては

見慣れないものである"BURST ACTION"の文字が写る。

それを見た泰葉は自機をカマセ機へと接近させ取り付いた後に

画面の指示に従って操作を行い…すると、両手でガッシリと

握りしめるように炎が連なった鞭のようなものが形成され…

それを右から左に、続けて返すように左から右に薙ぎ払った後に

最後は大上段から脳天に振り下ろす形で叩き付けられ

それがトドメとなってカマセ機は仰向けに倒れ込んで爆散する。

 

「こんなの…こんなの、嘘だぁぁぁっ!!」

 

「か、勝った…の?」

 

「倒しはしたみたい、ですね…」

 

カマセの絶叫が響く中、ミサと泰葉は無我夢中で

戦っていた状態から解き放たれた事で

今まで自分達に起こっていた事が信じられないと

いった様子で言葉を交わしていた。




比奈:ついに来ましたか、この時が…

P:ああ、今回は本当に気合入れて書いたから
 本編の文字数が初の5桁行く結果になった

比奈:前回に引き続きカマセ君関係で色々と
   セリフを中心に盛りまくってたのもあるかと…
   それにこの描写、ゲーム本編よりも悪辣になってません?

P:まぁそう言われても仕方ないという自覚はあるが、
 筆が乗りまくってしまったもんでな…次の話でも
 原作以上にゴネまくってしまう予定だが、
 考えなしにやっている訳じゃないし後の話で
 フォローは入れるからそれで勘弁してもらえれば…

比奈:それに、今回ビルダーズパーツについても触れましたが
   この作品では「デジタルデータ」扱いなんスね

P:ああ、宙に浮かせるような設置とか重ねた上で微妙にずらしたり
 完全に埋め込むような配置というのは実際のパーツで行うには
 無理があると思ってその点の自由が効く「デジタルデータ」扱いに
 してみたんだ…今回も予定ギリギリになってしまいましたが
 何とか書きたいと思ったものを書けた事でこの後の執筆を頑張れる
 パワーを補充出来ました…次回もまた、よろしくお願いします
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