遊戯王ARC-V 次元戦争なんて冗談じゃない!!! 作:皐月の王
「が、学校?」
「そうよ、そろそろ遊希も来るべきだと思うの。そもそも、私と遊矢と同じ歳なのに家に居て、塾で手伝いってやっぱりおかしいわよ」
柊家のリビング、風呂上がりの遊希と柚子が話していた。さらにそこに修造も居ている。
「うむ、それは俺も思っていたところだ。そろそろ学校に行ってもいいんじゃないのか?遊希」
「学校……学校だよねぇ」
遊希は乗り気じゃなかった。現在、遊希の体は縮んで17歳の体から13〜14歳の体になった。傍から見たら、義務教育を受ける年齢である。世間体も考えるなら行くべきだが、
(制服代とか洒落にならないしなぁ。それと自由に動ける時間が少なるし……)
制服代と行動時間について気にしていた。制服代は言うまでもないが、自由時間は大事な問題だ。ユートに連絡、情報提供や赤馬零児とアポをとって会う機会を設けようと思えばできるし、何より赤馬零児とユートとデュエルした以上、次元戦争に関わる、次元を渡る、もう何人かの同一存在の自分。考える事は山積み、学校に行っても身が入らないだろうと思うのが遊希の考えだが
(これを言えたら、どんだけ楽か……どうせ、この手の話を信じるの赤馬零児かユートくらいだろうし現状)
その件の問題の種しか信じて貰えないだろうと内心ため息をつく。
「制服代や学校は子供である君が気にすることじゃない。大分ここでの生活に慣れたことだろうから次のステップに行くべきだ。どうだ?行ってみないか?学校へ」
遊希はこれは逃げられないと悟って
「ええと……よろしくお願いします」
「決まりね!お父さん!早速学校に連絡ね!」
「そうだな!善は急げだ!!!」
(学校かぁ……進めば進むほど無駄になるんだろうけど、行くしかない)
盛り上がる二人を後目に遊希は内心ため息を付いていた。その後、遊希は部屋に戻り、デッキを並べて構成を調整していた。
(HEROの方はこれでいいかな。ホープの方も十分だし、ジャンドも……まぁ、行けるでしょ。セイヴァー・スターを出せたらどうとにもなるだろうし)
そんな風に考えているとドアがノックされる。遊希は首を上げてドアの方を見る。
「遊希、まだ起きてる?」
声の主は柚子だった。遊希はベットから降りて扉まで進み
「起きてるよー。どうぞー」
柚子を招き入れる。
「ごめんね、休んでるのに」
「ううん、全然大丈夫だよ。それで、どうしたの?」
柚子を椅子に座らせて、その正面に座り話を聞く。
「遊希って遊矢の事どう思っているのかなぁって」
「へ?」
突拍子もない事に気が抜けた言葉が漏れる。
「ええと、別に変な意味じゃなくて!あんまり歳が近い子と話すの学校以外じゃないし、学校でも遊矢といるからそんなに無いしで……!」
(うーん?これ、昨日の事が刺さっているのかな?)
先日、塾をかけた
(まぁ、遊矢のことが好きな柚子からしたら……昨日の事は気が気じゃなかったのかな?まぁ、遊矢のことはこの物語の主人公だからいい方向に行けばいいのになぁと言う気持ちだしなぁ。恋愛感情があるかと言われれば……無いよね?)
遊希はニマァと笑い柚子に飛び掛り、くすぐり始める。
「きゃっ!?アッハハハ!!な、何するのよ!?」
「いやぁ、可愛い事を言うなぁと思ってねぇ〜」
「はぁ!?何言って……!いや、本当に止めなさいって!アッハハハ!」
笑いすぎて涙を浮かべる柚子を面白がってくすぐる遊希。
(気持ちは変わらない。今も次元戦争や次元統合、ズァークやレイの事を考えると私には荷が重すぎて吐き気がするし、投げ出したくなる。ああ、本来のあの三つのデッキや……私のガチデッキを使えればと何度思うんだろうかな?先行きが不安すぎるー)
「遊希?どうしたの?」
「ん?何が?」
柚子は困ったような顔をして遊希を見ていた。
「だって、不安そうな顔をしていたから。なんか、学校が不安と言うより……もっと別の何かに不安を抱いているような」
(うっわ、鋭い!?それを恋愛に活かしなよ!)
思わず ギクッと体が反応するが。すぐに遊希は
「そんな事ないよ?強いて言うなら、赤馬零児が態々来たから、まだ何かあるのかなぁと」
「その事……。そうよね……態々遊希を指定で決闘したもんね」
そう言って誤魔化す遊希。柚子は今のところはそれで納得した様子であり、ホッと胸を撫で下ろす。
「って!待って!まだ質問に答えてもらってないわよ!?」
「あー、そういやそういう話だったねぇ。じゃあ、言うとしたら……なんか、友達というか弟に近い感じかな」
内心で実際に歳下だしと呟きながら答える。
(推しキャラ……みたいなもんだしなぁ。応援するしサポートはするけど、恋愛はなぁ……。余裕無いしなぁ)
あとは余裕が無いと言い切る。
「そ、そうなんだ」
「さぁ、私は答えたんだ……。洗いざらい全部吐いてもらおうかな?」
「え?いや、わ、私は……」
「逃げられるわけ無いよねぇ?と言うかニガサナイヨ?」
ニコニコに笑顔な遊希が柚子を追い詰める
「え、お、お邪魔しましたーーー!!!」
「逃がすかぁ!!!」
久々に賑やかな夜を過ごしたのであった。
それから数日後……
「今日は転校生を紹介しますね」
遊矢と柚子が通う学校のクラスでは転校生が来ると担任の教師が言う。
「センセー!男子ですか!?女子ですか!?」
「いい質問ね!答えは……喜べ野郎共!女子だ!」
『おおおおおおおおおおおお!!!』
教室は一種の熱狂に包まれていた。
「転校生?こんな時期にか?珍しいな」
そう思って遊矢は見ていた。興味が無い訳では無いが、周りの男子ほどの熱狂的ではない。だが、
「では、入ってきてください」
「はい」
(うん?)
廊下からの返事の声には聞き覚えがあった。そして、その人物は入ってくる。その人物を見て遊矢は驚く
「はぁ!?」
「初めまして、星風遊希です。皆さんよろしくお願いします!」
遊矢は驚いて立ち上がる。柚子の方を見るとニコニコしてる様子がみてとれた。知っていたのだ柚子は
(だ、黙ってたなぁ!?)
「何立ってるんだ?榊?」
「え?……その」
「何も無いなら座ってなさい」
「はい……」
遊矢は顔を赤くしながら椅子に座る。そしてその日の昼休み
「何で黙っていたんだよ!柚子、遊希!」
質問責めから開放された遊希は柚子と遊矢と昼食を食べていた。
「いやぁ、数日前に決まったことだからねぇ」
「遊矢も考えて見なさいよ。同じ歳の女の子が学校に行かずに塾の手伝いだけをしているのよ?流石におかしいと思うでしょ?というわけで色々手続きをして編入してもらったのよ」
「な、なるほどな。確かにその方がいいよな……」
「そういう事よ。それと言わなかったのは……単に言う時間と、黙っといた方が驚くんじゃないかって」
「そっちがメインじゃないか!」
柚子は少し笑いながらに言う。遊矢は悔しそうと言うか文句をいう始末だ。
(それにしても、私は初登校だから着崩してないけど、柚子と遊矢って制服凄すぎだよね……。どうなってんのさ)
内心ツッコミを入れながら昼を食べる。柚子と遊希の弁当は今日は遊希が作る。転生前は母親父親が忙しい時には自分で弁当を作ったり、両親、兄の弁当を作る程度には料理をしていた為、難なくこなせている。
遊矢は父親に意気込みを語り勢いよく食べ、柚子は喋りながら食べる遊矢に苦言を呈していた。そんな時、ハンカチが差し出される。
「ん?」
「?」
ハンカチの方を見ると、丁寧な姿勢で差し出している沢渡がそこに立っていた。
「やあ」
「沢渡!?」
「どうも」
柚子は沢渡と気づくとそっぽ向き、遊希は軽く会釈をする。
「君、この学校に転校してきたんだ?」
「親の仕事の都合で、従姉妹の柚子の家でお世話になっているんだ」
「え!?」
遊矢が驚いた表情で遊希を見るがすかさず遊希が遊矢に肘を入れる。従姉妹と言うのは、柊家で話し合った結果生まれた設定みたいなものだからだ。それを知らない遊矢にボロを出されてたまるかと遊希が遊矢を黙らせていた。
「そりゃ大変ですね。親御さんは海外で仕事ですか?」
「はい、今は遠くで仕事をしてまして」
遊希はそれなりに早く話を切り上げたいとオーラを出すと話は先に進む。それは、エクシーズ使いにLDSの講師が襲撃されたということだ。
(十中八九……黒咲だろうなぁ。できる限りユートと早めに会って黒咲を止めるように言わないと……まぁ、言って止まるなら苦労はしないんだけどね!)
内心涙を流しながら肩を落とす。
「言いたかったのはそれだけだ。ジュニアユース選手権で待ってるぜ?」
沢渡はそう言い残し去って行く。
「ジュニアユース選手権?」
遊矢は頭にハテナを浮かべで暫く考えた後
「そうだった!オレこのままじゃプロになれない!!!」
未だ出場資格を持っていないことに気づいた遊矢が学校を駆け巡り対戦相手を探す羽目になったのは言うまでもない。
「遊矢お兄ちゃん!柚子お姉ちゃん!と遊希お姉ちゃん!?」
「何で遊希お姉ちゃんが!?」
「今日から遊矢達と同じ学校に通うことになったの」
小学生組には学校に行く経緯は説明せず、行くことになったことだけを説明する。
「遊希お姉ちゃん制服似合ってる!」
「ありがとうアユちゃん!」
遊希も満更じゃなく喜んでいた。その隣では遊矢がげっそりしていた。
「どうしたの遊矢お兄ちゃん?」
それを聞くタツヤ。歩きながら事情を説明する。ジュニアユース選手権に出場するにあたってジュニアユースクラスの公式戦を年間50戦以上して勝率6割以上ないと出場できない。そして遊矢の今年の戦歴は46戦26勝と言う。勝率は5割6分5厘と言う6割に届いていない状況だ。幸いな事に50戦までに4戦残っているため、その残りを勝てば6割に届き晴れてジュニアユース選手権に出場できるというわけだ。
「残り4戦なら行けるんじゃ?」
「そうなんだけど……」
「ダメだった……チャンピオンに勝ったんだから顔パスだろとか、誰がそんなやつとデュエルするんだとか言われてダメだったんだよ……!顔パスなわけないだろ!公式戦じゃないんだから……」
遊矢は半分泣きながらに言う。遊希は制服を見ながら、前のボタンを全開で行こうかなぁと考えたり、肩にかけてマントみたいにしようかなぁと考えたりしていた。遊希はジュニアユース選手権にはあんまり出る気は無かった。色々事情を知る身としては裏方に回った方が良いかなぁと言うのが現状の考えだ。
「こうなったら何がなんでもさっさと四人見つけて決闘してやる!ん?」
と半ばヤケクソ気味に言ったところで何かに気づいたように
「1、2、3、4、5……ふふふっ」
だが、その思惑に気づいた小学生組と柚子は呆れる。
「それはダメ」
「NG」
「何で!?」
「僕達は小学生でジュニアクラスだもん。ジュニアユースは中学生!」
「だったら、柚子と遊希だけでも!」
「私もお断り」
柚子にあっさり断られてしまう。
「なんでだよ!」
「私はもう出場資格を持っているから。それに遊矢とは何度も練習試合をしてるじゃない」
「じゃあ!遊希!」
遊希は言われて気づいたのか顔を上げ
「うーん、デッキの調整中だからパスかなぁ」
「また、権現坂に助けて貰ったら?50戦近くできているのも権現坂道場のおかげだし」
「そうなんだけど、アイツには感謝している。俺がプロを目指せているのもアイツが場を作ってくれたおかげだ……。でも、だからこそ、アイツには頼りたくない。逆に頼られるくらいにならなくちゃ行けないんだ。自分の力で……!」
「自分の……力で……。そうよね!」
遊矢の言葉を聞き柚子は走り出した。
「お、おい!どうしたんだ急に!」
「どうもしないよ!私ももっと強くなりたいと思っただけ!」
「強く?」
「柚子お姉ちゃん!?」
「塾は!?」
「今日は行けないってお父さんに伝えといて!」
そう言うと柚子は走り去って行った。
「どうしたんだ柚子の奴……」
「女には女にしか分からないものがあるんだよ。まぁ、権現坂さんのことしか感謝しないのは関心しないよね?」
「本当だよ、権現坂のことしか言ってないし」
「練習試合よくしてもらっているのに感謝の言葉が無かったよね」
「ダメダメだなぁ遊矢お兄ちゃんは」
遊希を含む四人は腕を組んでヤレヤレと首を振る。
「え?いや!柚子には感謝してるよ!?権現坂と同じように……いや!それ以上に!」
「手遅れー」
アユがとどめを刺す。遊矢は頭を抱えて項垂れる。それを笑う四人
(まぁ、柚子も変わろうと頑張るだけなんだけどね)
柚子の真意、やることを知っている遊希はただただ楽しんだだけであるが。
そして五人は塾に到着する。
(制服で塾に来るのは初めてだなぁ……)
そんなことを考えてエレベーターが止まり降りると
「オーマイボーイ!久しぶりです遊矢君!」
ちょび髭の少し奇抜な男性が遊矢の手を取り握手をする。
「あ、アンタは!」
『ニコ・スマイリー!!!』
チャンピオンのマネージャーのスマイリーが居たのであった。
「どうしてここに!?」
「吉報を持ってきてくれたんだよ!喜べ遊矢!お前!ジュニアユース選手権に無条件に出られるんだぞ!」
「え?無条件で?」
「そうですよ!エキシビションとはいえ、チャンピオンのストロング石島を破った実力を舞網市のデュエル協会が認め、特別枠としてジュニアユース選手権への参加が許可されたのです!」
それを聞いた小学生組は
「すごい!」
「おめでとう遊矢お兄ちゃん!デュエル協会に認められるなんて!」
「痺れるぜぇ!」
祝福してもらっている遊矢は本人は浮かない表情だった。それは、今日言われた『チャンピオンに勝ったんだから顔パスだろ』と言う言葉が頭に浮かんでいたからだ。
「どうしたんだ?」
「ありがたい話なんだけど、それいいや……お断りします」
『ええ!?』
「ええ!?何故!?Why!?」
「だって、なんかズルしたみたいじゃん……」
「いいえ!ズルじゃありません!協会が認めたのですから胸を張って!」
「石島選手にも何か悪いしね……。そう言えば、チャンピオンはどうしてるの?最近見ないけど!」
遊矢は話題を転換してストロング石島に着いて聞く。スマイリーは
「彼は……もうチャンピオンではありません」
「え!?」
「彼はあの後、タイトルを返上し、海外へ一から鍛え直すと言って行かれました!!!」
『えぇえええええ!!!?』
遊希以外は驚いていた。そして今ここにいるのは遊矢の才能に惚れてマネジメントするためだと言う。それを聞き遊矢は
「それじゃあ、お願いがあるんだ。俺、あと4戦で年間50戦の勝率6割に到達するんだ。その対戦相手を探して欲しいんだ」
「なるほどです!自分の道は自分で勝ち取ってこそという事ですね!」
「ああ」
「大変だろうけど頑張ってね」
遊希は遊矢の肩を叩き応援する。遊矢は疑問に思い
「遊希は出ないのか?」
と質問するが
「私も出場資格無いしね。それに、ここに来て公式戦の決闘なんて1回もしてないから年間50戦の勝率6割なんて満たせないよ」
「それなら心配ありませんよ?」
スマイリーは話に入る。
「大会規定には負け無しの6連勝をすれば出場資格があるとありますので。諦めるには早いかと。そうです!貴女の対戦相手も探すの協力しましょう!」
「え!?いいの!?」
「ええ、その位、安い事です!」
こうして、遊希のジュニアユース選手権出場をかけた決闘が始まろうとしていた。
次回!6連戦の初戦!
使用デッキはHERO!ある種本当のHEROの初陣だ!