遊戯王ARC-V 次元戦争なんて冗談じゃない!!! 作:皐月の王
古戦場は終わりましたー
遊希のジュニアユース選手権出場が確定し、大会が始まる日程まで二日あり、遊希は買い物に街に出ていた。日頃の塾の手伝いで小遣いはあり、今日は決闘する際の運動靴や手袋のグローブを買うのを目的に歩いていた。
「こうして、晴れ晴れとした気分で街を歩くの何日ぶりだろう……」
『平和でいい街だなここは』
(ユイが言うと洒落になってないなぁ)
『この街Dホイールで走り回りたいなぁ』
(私もバイク乗りたいよ!あと少しだったのに!)
三人?で話をしながら街を歩く。今回は遊希単独での久々の自由行動であり、柚子を説得するのに30分かかったが夕飯までに帰るという約束の下、買い物兼観光をしているのだ。
『遊希、あそこのファーストフード店の期間限定ハンバーガーが食べたいんだが……』
『えー、ボクはあそこのファミレスがいいよ!』
『ファーストフード!』
『ファミレス!』
二人は遊希を余所に喧嘩をし始める。遊希はそれを無視しながら
(経費削減のために、牛丼かコンビニのおにぎりが理想的かなー)
そんな事を考えながら靴を買うためにスポーツ用品店に入り、そこそこ高めの靴を買い慣らすために履き替える。感触を確かめながら軽く走ろうとした瞬間。
「きゃ!」
横の路地から出てきた誰かとぶつかる。声からして歳の変わらない同性というのは分かる。遊希はぶつかった際に転けていた。
「痛たた……」
「すまない、少し考え事していた」
「すいません、こっちも不注意……でし」
遊希は固まる。そして、声を聞いた時なぜ気づかなかったのかと自分を責める。
「貴様……!」
その少女はオシリスレッドを連想するような赤いジャケット、強気な口調と、青みがかった髪に、ポニーテールと大きな黄色いリボンの少女。予想外の遭遇に遊希は迂闊にもその人物の名前を言葉にしてしまった
「セレナ…!?」
遊希はある種の感動を覚えていた。遊希はARC-Vにおいての推しキャラと聞かれればその中にセレナの名を上げるほど推しキャラの1人なのだ。だが、そんな呑気な状況はある訳もなく
「ルシア!アカデミアを離反して、こんな所に居たのか!!私の手で……!葬ってやる!」
セレナは遊希の顔を見るなり激昂し決闘ディスクを構える。遊希は慌てて立ち上がり、
「人違いですぅぅぅ!!」
走り出した
「待て!逃がさんぞ!!」
セレナも遊希の後を追いかける。二人の少女が舞網市を駆け抜ける。路地裏を走り抜けたり、住宅街を走ったり
「私はルシアじゃないって!」
「戯言を言うな!私がその顔を見間違えるはずがないだろ!変装をして名前を変えても無駄だ!!」
「嘘でしょ!?」
挙句の果てには建物屋根を飛びながら逃げていた。アクションデュエルの鍛錬で鍛えられ動けるようになったことを実感しているが、
(セレナが怖いよぉぉぉ!!)
『アイツ、アカデミアなのだろう、私がねじ伏せて……!』
(怖いからやめて!?)
そして追い詰められる。路地裏に追い詰められる。袋小路にたどり着き、そびえ立つ壁は超えるには高すぎる。
(やばい、観念するしかない!)
「袋の鼠だぞルシア!観念しろ!!」
「だからルシアじゃないっての!」
遊希もデュエルディスクを出すが、
「アレ!?デッキ入ってない!少し待って!」
「デッキを持っていないだと!?貴様、どこまで私をバカにするつもりだ!!」
「いや、本当少し待って!」
胸ぐらを掴まれながらも弁明をしながらデッキを探して思い出す
「あっ、シンクロもエクシーズも調整のために机の上に置きっぱだった……」
エクシーズと言った瞬間、セレナの表情が更に険しいものとなる。
「エクシーズだと?ルシア貴様っ、アカデミアを離反するだけでは飽き足らず、敵に寝返ったと言うのか!!絶対に許さないぞルシア!!」
(くそ!HEROでやるしかない!)
唯一持ってきていた融合のHEROデッキを入れて構える。
「「デュエル!!」」
星風 遊希LP4000
手札5枚
セレナLP4000
手札5枚
遊希が手札を確認すると違和感を覚えた。それは見覚えはあるが、入れた覚えはないカードが目に入ったからだ。そのカードは
(え?シャドー・ミスト?いつの間に?って事は…?)
そのままエクストラデッキも確認し
(ホーホーホ〜、どういうことか分からないけど、あるなら、出すしかないよねぇ!)
『うっわ、遊希ものすごく悪い顔してる』
『ああ、なんだあのなんとも言えない顔は』
リオとユイがドン引きしているが、遊希はそんな事知ったことかと言わんばかりに始める。
「私は手札からE・HEROエアーマンを召喚!」
E・HERO エアーマン Lv4 ATK1800
「E・HERO、フンッなにが人違いだ。思った通り貴様はルシアだ。ならばもう言葉など不要!私が倒してアカデミアに連れ帰ってやる!!」
「その件もう三回目だから、もういいよ!エアーマンのモンスター効果発動!召喚・特殊召喚成功時、デッキから『HERO』モンスター1体を手札に加える!私が手札に加えるのはE・HEROブレイズマン!」
何度も人違いをされれば流石にイラッとしてしまう。遊希は1度頭を振り、気持ちをリセットし
「手札よりHERO’S ボンド発動!このカードはフィールド上に「HERO」と名のついたモンスターが存在している時に発動する事ができる!手札からレベル4以下の『E・HERO』と名のついたモンスター2体を特殊召喚する!私は手札に加えたE・HEROブレイズマンとE・HEROシャドー・ミストを特殊召喚」
E・HERO ブレイズマン Lv4 ATK1200
E・HEROシャドー・ミスト Lv4 ATK1000
炎のように赤いヒーローと影のように黒いヒーローが並び立つ。
「E・HERO ブレイズマンの効果発動!チェーンしてE・HERO シャドー・ミストの効果発動!このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから『チェンジ』速攻魔法カード1枚を手札に加える!私が加えるのはマスク・チェンジ!そしてブレイズマンの効果、このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから『融合』1枚を手札に加える」
「召喚条件は満たしていても、このタイミングでトリニティを出しても無駄だぞルシア!」
セレナは強気にそう言う。遊希は融合次元の自分はV・HEROとE・HEROの混ぜ物を使っていると言う情報を得ることが図らずとも出来た。だが、今この瞬間はどうでもいいと思えた。
「誰がトリニティ出すって言ったのさ!私は手札の融合を発動する。E・HEROエアーマンとE・HEROブレイズマンで融合召喚!自在に風を操るヒーローよ灼熱を身に纏いしヒーローと燃え上がり、今こそ新たな姿を現せ!融合召喚!レベル8 E・HEROノヴァマスター!」
E・HEROノヴァマスター Lv8 ATK2600
赤・金・オレンジ色の鎧を身に纏い頭に被った兜は炎を象り、背中には真っ赤なマントをなびかせている。その姿は王道のヒーローだ。
「私はカードを二枚伏せてターンエンド」
星風 遊希LP4000
手札1枚
場:E・HEROノヴァマスター Lv8 ATK2600
E・HEROシャドー・ミスト Lv4 ATK1000
伏せカード:1枚
セレナLP4000
手札5枚
「私のターンドロー!」
セレナは力強くドローをする。その雰囲気は仇を見るような敵意しか無かった。楽しむ余裕も、相手の様子を伺うゆとりも無い。
「私は!手札から融合を発動!」
セレナが融合召喚をしようとした瞬間
「その瞬間、速攻魔法!マスク・チェンジ発動!自分フィールドの『HERO』モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターと同じ属性の『M・HERO』モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。私はE・HEROシャドー・ミストを墓地に送り、エクストラデッキから特殊召喚する!」
「何!?相手ターンに召喚だと!?」
シャドー・ミストが黒い疾風に包まれる。
「闇に忍びて、闇を討て!高らかに叫びてお前の正義を証明しろ!変身!Lv6 M・HERO ダークロウ!」
M・HERO ダークロウLv6 ATK2400
「シャドー・ミストが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから『E・HERO シャドー・ミスト』以外の『HERO』モンスター1体を手札に加える。私はE・HEROソリッドマンを手札に加える」
「何を召喚しようとも、何を手札に加えようとも私が止まる理由にはならん!私は手札の
月光舞猫姫 Lv7 ATK2400
セレナが融合召喚決めると同時にダークロウの目が爛々と光り輝く。
そしてセレナは驚く
「何故だ!?月光青猫と月光白兎、融合まで何故除外されている!?」
動揺しているセレナに言う。
「墓地にカード無いでしょ?それが、ダークロウの効果だよ。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。さぁ、私を葬るなら、全ての手札を捨てる覚悟できなよ!!」
セレナは目を見開き最大限の敵意を剥き出しにして叫ぶ
「ならば、言葉通りにしてやる!!私は
月光黒羊 Lv2 ATK100
「更に手札から突進発動!フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする」
月光舞猫姫 Lv7 ATK2400→ATK3100
「え!?と、突進!?」
流石の遊希も驚いて素っ頓狂な言葉が漏れる。
「更に、月光舞猫姫は『月光』モンスター1体をリリースして発動できる。 私は月光黒羊をリリースして効果発動!!このカードは相手モンスター全てに2回ずつ攻撃できる!これでお前のモンスター全てに攻撃ができるバトルだ!先ずはダークロウに攻撃!」
月光舞猫姫がダークロウに切りかかる。ダークロウは腕を交差させてそれをガードする。
「……」
星風遊希LP4000→LP3300
「効果を使用した月光舞猫姫の攻撃では相手モンスターは1回目の戦闘では破壊されない!そのまま2回目の攻撃だ!」
舞うようにダークロウの周りを壁を使い翻弄し、ダークロウを切り裂き今度こそ破壊される。衝撃が路地裏に走る。しかし、遊希は衝撃を腕を交差させて耐え忍び、まっすぐセレナを見据えていた。
星風遊希LP3300→LP2600
「そのまま、ノヴァマスターにも攻撃だ!!」
舞猫姫は標的をノヴァマスターに変えて切りつける。
「……」
星風遊希LP2600→2100
「もう一度だ!!舞猫姫!!ノヴァマスターを破壊しろ!!」
セレナの怒りが乗り移った様に舞猫姫はノヴァマスターをダークロウ同様に切り裂く。
星風遊希LP2100→LP1600
「っ!」
踏ん張るが衝撃に押されて、壁の間近まで追いやられる。
(少し、はしゃぎすぎたかな。迂闊に動けなくなると思ったんたんだけど……そうか、ダークロウの脅威がそこまで知られてないからの突貫…してくるか…見誤っていたなぁ)
自分のプレイングを反省しながらセレナの様子を見る。
「私はカードを1枚伏せてターンエンド!!ターン終了時、突進の効果は終了し月光舞猫姫の攻撃力は元に戻る」
月光舞猫姫 Lv7 ATK3100→ATK2400
肩で息を切らしながらもセレナは遊希を睨みつけて叫ぶ。
「どうだ!私は強くなったんだ!お前よりもだ!!」
未だに『ルシア』と誤認しているセレナは勝ち誇った様に言う。何故そこまでこだわるのかは遊希には分からない。ただ分かるのは融合次元の自分であろうルシアとセレナの間には何かあったと推察するしか無い。だが、今のこの状況ではその思考は少し不要と片隅に追いやる。
星風 遊希LP1600
手札2枚
セレナLP4000
手札0枚
場:月光舞猫姫 Lv7 ATK2400
伏せカード:1枚
「私のターン、ドロー!」
引いたカードを見て頷き、遊希は動き出す。
「私は手札よりマスク・チャージを発動!自分の墓地の、『HERO』モンスター1体と『チェンジ』速攻魔法カード1枚を対象として発動でき、そのカードを手札に加える。私はE・HEROエアーマンとマスク・チェンジを墓地から手札に加える。そして、E・HEROソリッドマンを通常召喚!」
E・HERO ソリッドマン Lv4 ATK1300
「このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下の『HERO』モンスター1体を特殊召喚する。E・HEROエアーマンを特殊召喚!」
E・HERO エアーマン Lv4 ATK1800
「エアーマンのモンスター効果発動!召喚・特殊召喚成功時、デッキから『HERO』モンスター1体を手札に加える!私はE・HEROリキッドマンを手札に加える!更に手札から融合を発動!フィールドのE・HERO ソリッドマンとE・HEROリキッドマンで融合!」
冷気を帯びた風が遊希とセレナを挟む間に集い、ソリッドマンを包み込む。
「凍りつく魂宿し者よ、慈悲深き冷気を身にまとい、安らぎのために立つ英雄となれ!融合召喚!全てを凍らせ、道を創り出せ!Lv8 E・HERO アブソルート ZERO!」
青白い鎧で身を包み、真っ白のマントを着用しているモンスターが風の中から姿を表す。
E・HERO アブソルート ZERO Lv8 ATK2500
「私は墓地に行ったソリッドマンの効果発動!チェーンしてリキッドマンの効果発動!リキッドマンこのカードが『HERO』融合モンスターの融合召喚の素材になり、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる!更に、ソリッドマンの効果!このカードが魔法カードの効果でモンスターゾーンから墓地へ送られた場合、『E・HERO ソリッドマン』以外の自分の墓地の『HERO』モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する!戻ってきて!E・HEROリキッドマン」
E・HEROリキッドマン DEF1300
「更に!私はミラクルフュージョンを発動!自分のフィールド・墓地から、『E・HERO』融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する!私はフィールドのE・HEROリキッドマンと墓地のE・HEROソリッドマンで融合!大地の護るために立ち、立ちはだかる敵をなぎ倒せ!融合召喚!来て、E・HERO ガイア!」
E・HERO ガイア Lv6 ATK2200
遊希は畳み掛ける。
「召喚時効果!融合召喚に成功した時、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力を半分にし、このカードの攻撃力はその数値分アップする!月光舞猫姫の攻撃力を半減だ!」
「舞猫姫!?」
月光舞猫姫 Lv7 ATK2400→ATK1200
E・HERO ガイア Lv6 ATK2200→ATK3400
「更に速攻魔法!マスク・チェンジ発動!E・HEROアブソルートZEROを対象に!同じ属性の『M・HERO』モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!仮面に宿せし水の力を以て、立ちはだかる者を洗い流せ!変身!M・HERO アシッド!」
アブソルート ZEROは水に包まれて変身を遂げる。銃を持った群青色の鎧を身に纏う英雄が立っていた。
「M・HERO アシッドの召喚時効果発動!チェーンして、墓地に送られたE・HEROアブソルートZEROの効果発動!このカードがフィールド上から離れた時、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する!」
「なにっ!?」
舞猫姫の足元が凍りつき、凍結の侵食はやがて全身を覆い、砕け散る。その様は細氷が舞うようだ。
「M・HEROアシッドの効果、このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!洗い流せ!アシッド!」
アシッドは手に持つ銃を構え、セレナが伏せているカードを破壊する。
「そんな……モンスターも伏せカードも全て破壊……だと!?」
「詰みだよ、セレナ。一思いにトドメをさす!E・HEROガイアでダイレクトアタック!コンチネンタルハンマー!」
ガイアは右拳を突き出してセレナを攻撃する。
「うわああぁぁ!!」
セレナLP4000→LP600
「アシッド……お願い」
遊希の命令を聞き、M・HEROアシッドは銃を構え水流を銃から放ちセレナに攻撃する。
「うっ…おおあぁぁぁ!!」
セレナは水流に押されて仰向けに倒れる。路地裏には虹が掛かっていた。
セレナLP600→LP0
星風遊希 WIN
「何故だ……私はまた……お前に……!」
悔しさを滲ませるセレナに何を話せばいいか迷わせる。だが、言うことは自ずと出てきた。セレナに近づき、手を差し出し
「いい決闘だったよ!」
笑顔で先程の諍いなんて無いように言って見せた。その姿を見てセレナは思い出していた。
『ガッチャ!いい決闘でした!』
『っうう!私の負けだ!!もう一回だ!今度は勝ってやる!』
『良いよ、何度だって相手になるよ!』
何度も自分の居る所に、壁を登ってきたり、誰にもバレずに堂々と正面から来たり、あらゆる手段で自分のところに来た、オシリスレッドの服を身に纏うオレンジと赤い髪が混ざった少女を姿が遊希と重なった。そして、自然と涙が零れ、消えそうな声でしかし、遊希を悲しそうな目で捉え
「なぜ、アカデミアから離反したんだ……!何故裏切ったんだ……!私に色んな話を聞かせてくれる約束は忘れたのか……!私を…どうして置いて行ったのだ……私に色んな世界を見せてくれるのではなかったのか…!…応えてくれ……ルシア……!」
そう、言葉を吐いた。
「セレナ……」
思わず言葉を失う遊希。その空間の時が止まった様に静寂が場を支配した。その時
『遊希!上だ!後ろに飛べ!』
ユイの叫び声が遊希に響く。遊希はユイの言葉のままに後ろに飛び退く。それと同時に何かが降り立って来た。遊希の居たところには大男が立っていた。左目には眼帯をつけている大男。
遊希はため息をつきながらもその人物を見る。そしてユイは忌々しげにその男の名を呟く
『バレット……!!』
「大丈夫ですか、セレナ様」
「バレット……私は」
バレットはセレナを抱えあげ、遊希を見る。
「誰かと思えば、変わり者のルシアか……。いや、違うな。ルシアほど堂々とした戦士らしさは感じられん。空似か……。だが、セレナ様を破るとは、ここはセレナ様の身を優先して引かせてもらおう!」
セレナを連れて行こうとするのを見て、遊希は咄嗟に
「待て!」
「戦うと言うなら構わんが、その時は決死の覚悟を抱いて来ることだな」
そういうと、バレットは壁を蹴ってその場から離脱した。
「人抱えたまま出来る芸当?一体何をすればあんなバカげたことが出来るのさ……」
『いや、そんな感想が出てくる君の精神の方がすごいけどね。でも、融合の私たちは融合のお姉ちゃんと決闘しても目覚めなかったね』
『そのようだな。それも気になって受けたのだろう?』
リオとユイに言われるが、遊希は
「いや、普通に受ける以外の道が無かったから仕方なくだよ。だけど」
遊希は1枚の通常モンスターカードのブランクカードを見ていた。次の瞬間には絵柄が現れて、1枚の通常モンスターカードになった。
「なぜかは知らないけど、条件の一つは解放されたぽいね。よし、とは手放しでは喜べないけど。とりあえず明日から舞網チャンピオンシップだ。気合い入れて行かないとね」
そう言うと遊希は路地裏から表通りに戻り、帰路に着く。そしてその晩。シンクロデッキの最終調整を終えて柚子と話していた。
「いよいよ明日ねジュニアユース選手権」
「緊張してるの?柚子」
「それほどかな、遊希も緊張して無いんでしぃ?」
柚子は普通のように言うと遊希は首を横に振りながら
「ううん、めっちゃ緊張してるけど」
と答えた。嘘を言っている様子はなくソワソワしているのが柚子には伝わった。それが面白くてつい笑ってしまった。
「ふふっ、何か意外ね。遊希がこういったことで緊張するなんて。もっと堂々としてるもんだと思った」
「不特定多数の人に決闘が見られるんのなんて馴れないよ。私が経験したことのある大会なんてカードショップの大会くらいだし。そんな大きな大会なんて出たこともないんだし!」
頬を膨らませながらに言う。
「分かった分かったから拗ねないでよ遊希!」
「ふーんだ!」
子供っぽいやり取りをした後、柚子にもたれかかって真剣な口調で言う。
「大会無事に終わればいいけど、何かあると私は思っているんだ」
「融合次元のアカデミア関連?」
「うん、そんな予感がある。こういう時の予感は外れないんだよ……。だからさ、気をつけて。……私が助けるから、諦めないで。皆を守ってみせるから」
「ありがとう、遊希。でも、守られるだけじゃなくて遊希も私を頼ってよね。もちろん、リオやユイが身近にいるんだしね。明日からは応援し合う同士かつライバルだからね!今度は負けないわよ!」
コツンと頭を預ける柚子。遊希は嬉しそうに微笑み
「今度も勝つさ」
そう呟いた。そして、これから始まる事柄に冗談じゃないと思うながらも向き合う覚悟も少しつづ決めていく。
次回 舞網チャンピオンシップ開幕
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