遊戯王ARC-V 次元戦争なんて冗談じゃない!!! 作:皐月の王
二回戦が終わり、十六人が出揃った。そしてそれがニュースで放送された。それを遊矢達と塾長と遊希は塾で見る。
(へぇー。勝ち進んだらこんな感じでテレビで放送されるんだ。ボクも手を振ったら映らないかな?)
(映ったら心霊現象の類になるからやめた方がいいんじゃないかな……)
リオの言葉に遊希は苦笑いを浮かべながら内心で呟く。遊希は遊希で今回の決闘を振り返っていた。知らないテーマに良いようにされ危うく負ける所だった。見事に術中にハマり、良いようにされた事を反省していた。
「そう言えば、遊希。足大丈夫か?落ちた後とか、ダメージ受けた後とか」
遊矢の言葉でハッとする。そして遊希は
「大丈夫だよ!少し捻った程度だし。まぁ、軽い捻挫らしいよ。湿布も貼ってるし、明日には痛みがマシにはなると思うよ」
と説明する。それを聞いて皆は安堵するが
「次からの試合はどうするの?軽い捻挫と言っても無茶はダメだし、でもアクションカードを取りに……」
深刻そうな空気をだすが、遊希は笑顔で。
「大丈夫、大丈夫。最終的にアクションカードをねじ伏せてでも勝つから!」
その言葉に皆は苦笑いを浮かべる。
「そうだった……!遊希はアクションはするけど」
「相手が発動したアクションカードは問答無用で無効にしてその上から攻撃していたんだった」
同じジュニアユースで対戦するかもしれない遊矢と柚子は戦々恐々とする。それぞれ対戦した場合の事を考えているがカードの使い方に関しては遊希が一枚上手と考えている二人、当たった時は悔いが無い決闘とは考えているが、出来ればまだ当たりたくは無いと言う考えもある。
『続いては優勝候補に名乗りを上げ突如流星の如く現れたダークホース!遊勝塾の星風遊希選手!一回戦では手札0から奇跡のドローで逆転し、二回戦もLP3700の逆境を見事覆し、宣言通り勝利を収めました!』
と言うのがテレビで紹介される。
「ダークホースって……」
「すごいよ遊希お姉ちゃん!」
「初出場でこんなにも言われるなんて!」
遊希は苦笑いを浮かべながらにテレビを見ながら言う。
「前回も今回も課題がある決闘だったから反省しないとなんだけどね。まぁ、それはそれとして盛り上がったのなら良いんだけどね」
「応援してた俺達はヒヤヒヤしてたけどな」
「私は二人の決闘が一番ドキドキしたわ」
「柚子お姉ちゃんと一緒!」
「オレも!」
「ボクも!」
「「あのさー」」
遊希と遊矢が抗議をする光景で皆の間に笑顔が溢れる。遊希も本来の流れを変えて、遊矢が勝鬨勇雄相手にエンタメデュエルで勝ちきったのも遊矢の心象としても良いと感じていた。
そして黒咲の話も紹介されて小学生組から猛烈な批判が出ていた。
「あんな決闘誰が見てもやりすぎだ!」
「素良が居なくなったのもきっとアイツのせいよ!」
「痺れるくらい悔しいぜ!」
(デュエル自体は物凄く好きなんだけどなぁ。私もランクアップエクシーズチェンジ叫びたいとは思うし)
と内心で遊希は呟く。それ以前に素良は融合次元のアカデミアの決闘者であり、現状は敵対勢力の一員である。明日からベスト8を決める戦いが始まる……何事も無ければの話だが。しかし、何事もないと言うのが無い話なので遊希は内心ため息しか出ない。
「遊矢、柚子、遊希、タツヤ!優勝目指して頑張り、素良をめいいっぱい悔しがらしてやれ!そうすれば出てくるさ!!」
塾長の言葉を聞き皆がやる気に満ち溢れる中、遊希のデュエルディスクが着信音を鳴らす。相手は赤馬零児である。
(げっ……絶対次の件だよねぇ……うわ……出たくないなぁ)
しかし、出ないという選択肢は無いため、
「ごめんなさい、少し席外します!」
「わかった!」
皆に了承を得てから外に出て通話に応じる。
「もしもし?何ですか?あの時の事を確認取りたいのなら遅い連絡じゃないですか?」
『聴取は後日追って日時を連絡する。早急にというなら後に時間を割くがね。もっとも、こうして連絡をしたのは別件だが』
その言葉を聞いた遊希は苦い表情を浮かべる。
『さて。今は一人かな』
零児の質問に遊希は答える。
「電話相手が貴方である以上、一人ですよ。通話聞かれたくないですし」
聞いた遊希の表情は嫌な顔になるがそれを口に出さなかった。今後どうなるかは分かっている以上、それを阻止できる情報を持っているのが理由である。
「話的には遊矢や柚子に聞かれたら不味いんですか?」
『……。この舞網CSは選抜試験も兼ねている。事前の告知は平等性に欠けるだろう。彼等には本来のパフォーマンスで勝ち上がって貰わねば意味がない』
"私はいいの?"と聞きたい気持ちはあったが、"君はどんな状況でも崩れないだろう?"と言われそうな気がした遊希は内心ため息を吐く。
「そうですね。それじゃあ、車の迎え待ってますね」
『ああ、もう間もなく到着する頃だろう。彼らと共に待っている』
そう言うと通話が終わる。遊希は溜め息を吐きながら頭を少しかき、柚子に連絡をする。
『もしもし?どうしたの遊希?』
「少し用事が出来たから、出かけてくる。そんなに遅くならない内に帰ってくると思うから。あ〜、心配すると思うから言うけど、そこまで心配するような用事じゃないから大丈夫だよ」
と先に言う。少しの罪悪感が遊希の胸を蝕む。
『……はぁ、分かったわ。明日もあるんだから遅くならない内に帰って来なさいよ?もしも私や遊矢と対戦する事になって寝不足で負けたなんて言い訳聞かないから!』
柚子の言葉を聞いた遊希は思わず笑いそうになったが
「もちろん、当たった時は全力で相手するからね!』
『当たり前よ!……行ってらっしゃい』
「うん、行ってくるね」
そうして通話を終える。
(柚子っていい子だよね)
リオが遊希の顔を覗き込みながらに言う。遊希は頷き、誇らしそうに言う。
「そうでしょ?柚子はいい子だし、遊矢も頑張ってる。私も頑張らないとね。リオもリンを助けだしたいでしょ?」
(もちろん!ボクのお姉ちゃんを誘拐したヤツをとっちめるんだから!!)
リオは気合いが入っている様に言う。遊希はそんなリオを微笑ましく思いながらも迎えの車が来たことを確認する。
「それじゃあ、行こっか」
車に乗りこみ、零児達が待つ本社に向かう。そして、零児達が待つ部屋に通される。
「お待たせ」
「大丈夫だ、そこまで待ってない。それより、今日の決闘大丈夫だったか?対戦相手かなり強引な攻めでアクションカードを取りに来ていたが……」
ユートが遊希を心配して尋ねる。遊希は胸を張りながらに言う。
「大丈夫だよ、キッチリと決闘で分からせたから」
「ああ、ラストターンはユイに通づる鋭さが確かにあった」
黒咲が歩いて来てそう言う。そして遊希の目の前に立ち。
「答えろ、あの日以降のユイはどうなっている?」
ユートも気になっているの表情が険しくなっている。遊希は申し訳なさそうな表情を浮かべながらに答える。
「あれから眠っているみたい。消耗が激しかったみたいで……」
「っ!そうか……分かった」
そう言うと黒咲は遊希から離れる。その表情は何とも言えない哀愁があった。ユートは自分が情けないのか悔しさを滲ませていた。
「遊希、すまない。あの時の事は……オレの未熟さで……」
「ううん、気にしたらダメだよ。故郷を襲撃され、大切にしている人が攫われたともなれば……ねぇ」
「隼も妹を奪われ、それに……ユイはオレの妹であると同時に……」
遊希はそこで首を傾げる。黒咲が瑠璃の事を心配するのは分かる。妹だから、家族だから。ユートがユイを心配するのも分かる。同じく妹で家族だから。ユートが瑠璃を心配するのは親友の妹……以上の感情があるだろうからと何となく描写されていた所からそうだろうなぁと遊希は思い返す。
(待って?"オレの妹であると同時に"?)
(これってさ!ユイがさ黒咲って言う人の!)
リオは目を輝かせながらに遊希の周りをふよふよと飛ぶ。その言葉を聞いて遊希の顔が熱くなる。本人が再起していない状況で知るとは思っていなかった情報だ。
(いやぁ……エクシーズ次元の私……充実していたんだなぁ)
そう思うと、アカデミアを無視する事は出来なくなる理由が増える。ただの星風遊希としてはやはり次元戦争には関わりたくないし、関わらなくとも最終的には平和になる結末を知っている。
だけど、遊希はもう引き返せない。あの日の夜に引き返す道を自ら閉ざした。今の遊希に残った道は皆を支え、並んで歩く。出来ることをやっていくだけである。
(必ず……皆が救われる結末に持っていく。本来の展開を知っているからこそ、対応出来る所はある)
顔の熱は引き大きく深呼吸をする。そして二人に向かって自分を改めて奮い立たせるように言う。
「……大丈夫。絶対、全部取り戻すよ」
「ああ」
「そうだな」
二人の表情も引き締まる。そして遅れて四人目が現れる。
「まずは急な呼び出しに応じてくれた事に感謝しよう」
零児が堂々と歩いてくる。遊希は口をとがらせて
「呼び出した本人が遅刻なのはどうなの?」
「……」
言われて時計をチラリと確認してメガネをかけ直す
「いや、概ねスケジュール通りだ。」
集まった三人を席に誘導し、中央の大きな椅子に腰掛ける
「さて……では現在の状況と今後について話し合おう」
零児は話し始める。本日アカデミアの決闘者と決闘をして打ち倒したこと。その人物が信号をだし、このスタンダード次元に居る事を伝えたという事。そして、それにより融合次元の決闘者が襲撃をかけてくる可能性がある事を話す。そして、柊柚子と瓜二つの少女セレナが居ることも
「セレナ……スタンダードにまだ居たんだ」
「ほう、セレナと会ったことがあるのか?」
「まぁ、本当の偶然にね。その時は"ルシア"と呼ばれたけど」
その言葉にユートが。
「遊希を見て別の名前を出すということはそのルシアという人物が融合次元の遊希という事だろうな」
零児は少し目を瞑り思い返しながら小さく息を吐き。
「何れにせよ、融合次元の決闘者の襲撃が予想される以上、それを利用しない手は無い。代案があれば聞こう」
「例のランサーズという組織のメンバーの選定か。あまり期待できないだろう」
黒咲は零児を見ながらに言う。
「候補はベスト8まで勝ち残ったLDSのユース、そして明日のバトルロイヤルで融合次元の決闘者『アカデミア』との決闘で勝ち残った者がランサーズに相応しいと考える」
「それでは無用な犠牲を強いることになる!」
ユートは零児に詰め寄る。零児は冷静に言う。
「承知の上だ。だが、不要な犠牲を出すべきではないのも事実。そこで君達だ」
その言葉に三人は首を傾げる。
「黒咲は大会でメンバーを選抜しつつアカデミアを発見次第迎え撃って貰いたい」
零児の言葉に腕を組みながら
「フンッ、言われるまでもない」
「ユートそして遊希、君達は黒咲同様メンバーを選別しつつ、アカデミアを発見次第、大会に参加している決闘者を出来る限り誘導し、選抜を続けてくれ。君達と同等、またはそれ以上の決闘者が居れば優先的に保護して貰いたい。もっとも、アカデミアと遭遇した場合はその限りではない。各々の判断に任せる。先発のLDSユース決闘者には、アカデミアの件は既に話してある。戦力として数えて貰って構わない」
それを聞いたユートは渋々納得したように離れる。遊希は少し考え
「要するに、アカデミアが来たら完膚なきまでにぶちのめせば良いんでしょ?」
そう言うと零児はメガネをあげて言う。
「あぁ、それで構わない」
それを聞いた遊希は悪い笑みを浮かべて言う。
「徹底的にメタってボコボコにするよ。もう、双天のような無様を晒すつもりは無いよ。アカデミアにエンタメなんて要らないだろうしね」
そして、遊希は送ってもらいその場から去る。それを見送った零児達は。
「やはり、彼女は他の者とは違うモノを感じる」
「ああ、彼女が時折出す空気はユイのものとは異なる……異質だ」
そう呟く。そして、第二の運命の日が幕を開ける。
感想、お気に入りお願いします!
HEROデッキもっと使いたい。あと、あと何話でシンクロ次元に行けるんだろう……。頑張ります!