破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

125 / 357
今回はまたセリフだけでいってみました!



その100・5-2、かの世捨人のきふせる……

 

 

 

 

 

 

 

「こンちわー!」

 

「はいはい。どんなご用ですか?」

 

「えーと、なんですね。私ぃとこのだんさん(・・・・)がですねえ? 『これからの行動がしやすいように、一応冒険者になっておきなさいと』と、まあ~。こういうようなことをおっしゃいますので。そこのところをですね? まあ、何分にもよろしくお願い申し上げますと」

 

「はいはい。新規の登録ですね。だんさん、つまり旦那さんですね。あなたのご主人ですか?」

 

「あれ?」

 

「え。違うんですか?」

 

「いやね? あのかたは、まあ~……つまるところの、ま、なんですね」

 

「何なんですか?」

 

「ですから、まあ~いわゆるところの、まあ、とどのつまり……ま、たった一言で申しあげますと、ですね」

 

「……前置きはけっこうですから、ハッキリ結論だけ言ってくれませんか?」

 

「ようするに? 私の持ち主ということになる……」

 

「……持ち主? なんか物騒というか、おかしなことおっしゃいますね? ええと……お気を悪くされたら謝りますけど、あなた、そのかたの愛人かなんかですか? つまり、俗な言い方すればお(めかけ)さんですね」

 

「ん~~~?」

 

「これも違うんですか?」

 

「いやあ」

 

「だから、何なんです。あのねえ……受付もあんまり暇じゃないんですから、ハキハキ言ってくださいよ」

 

「私のお役目としてはぁ……まあ、本来のところは、だんさんのお体にですよ? よっせぇい(・・・・・)とこう、おおいかぶさっててですね、朝までご一緒するというか、おもてなしするというか。そういうようなもんですけど」

 

「……あなたが【攻め】の立場ですか。…………見かけによらないな、これは」

 

「しかしまあ~。そのへんのお役目はもらわれてから、一回もありませんですね」

 

「はあ」

 

「特にナニしろコレしろと言われるわけでもないのでして」

 

「気楽なお立場だったんですね……」

 

「ハハハー」

 

「はいはい、わかりました。それで今日は登録をなさりに来たわけですね?」

 

「へ?」

 

「いや、ですからね。冒険者の登録をなさりに来られたんですよね?」

 

「んんん~~~~……。これは、弱ったな。いやぁ、困った」

 

「さっきので何か弱るようなことありましたっけね」

 

「いや、わたしはね? だんさんから、ちょっと冒険者になってこいと、このように言われてたずねてきました次第でして。〝トーロク(・・・・)〟、というようなことでは、なかったように思いますが」

 

「……正式に冒険者になるために、ギルドでその登録をするんです」

 

「あ、さようですか?」

 

「そうです……。ホンットに……登録に行くまで汗かいちゃったよ。登録ね……。はいはい。それじゃ、まずこっちの書類に名前と年齢を書いてください」

 

「あ、名前ですか! くぅ~~~~……!!」

 

「……何を興奮してるんですか。あなたにも名前があるんでしょう?」

 

「そうです、そうです。だんさんよりちょうだいした名前が、あ・る・んデス」

 

「じゃ、それを書いてください」

 

「わっかりました。え~と、ボ・ロ・ン……と。良い名前ですね?」

 

「……そうですね。……はあっ。見かけによりませんねえッ。きれいな字ですよ、これは。いやすごい、まさに達筆です。上品なかたちだし」

 

「いやぁ~。照れるなあっ」

 

「あの言動からこの文字が出てくるのかしらン……。何かの天才とかはオカシイのが多いとは言うけども。まあ、いいです、いいです。次は年齢を書いてください」

 

「……年齢ですあ~~。ん~~~。困ったなぁ。いや、困った」

 

「よく困るかたですね。今度は何をお困りです?」

 

「あのですねー? (どん)なことでして、不肖(ふしょう)私いつのいつに生まれたのか……。よくおぼえてないんです」

 

「はぁはぁ、なるほどね。はい、そういうかたもちょくちょくいます。まあ、だいたいのとこでもけっこうですよ」

 

「だ・い・た・い、ですか。ん~、いやマッさん(・・・・)のおっしゃるところによるとですね。あなた、マッさんをご存じでしょ?」

 

「……あなたのお仲間ですか?」

 

「そうです、そうです! わたしとちがって、ハキハキとした機敏なヒトでね。高いところなんか、ピョンピョンーっと」

 

「……で、そのマッさんはどれくらいだとおっしゃってたんです?」

 

「お前見た目は12~13だなぁ。おいらよりも年上に見える、と。12~13でお願いします」

 

「……そんなわけないでしょう?」

 

「あ、いけませんか?」

 

「いえ、あなたがどこの種族は存じませんけどねえ? 臭いからしてどう考えても200歳はすぎてますよ」

 

「そういうようなことがわかりますか?」

 

「いや、人間とかなら12~13で通りますけどね? あなた、人間じゃないでしょう? だいたいの話、どこの、どういう、何という種族です? それでいくらか見当がつくこともありますから」

 

「ん~~~………」

 

「エルフ……じゃないのは耳でわかりますけど。吸血鬼(ヴァンパイア)とか、獣人系とか……。ま、獣人はそこまで長生きもしませんから無しで。当然私たちと同じラミアじゃないですよね?」

 

「おや? あなた、ラミアさんですか? お話にはちょろっと聞いたことがございますけど」

 

「種族名に【さん】付けはおかしいですね。……何してるんですか。カウンターからのり出さないでくださいよ! 他人(ヒト)のお尻をジロジロ見ないで!」

 

「んんん~~。おっかしい(・・・・・)ですね」

 

「何がおかしいの!?」

 

「ラミアといったら、下半身が蛇の女性と風の噂に聞きましたけど? あなた、蛇の尻尾じゃなくって、(おお)~きなお尻がついてますね。なんの企みがあって詐称してるんですか」

 

「何、お尻に手を伸ばしてるのっ! 気持ちの悪い! ……あのねえ? 他の種族と一緒にいる時は、二本足にしてるんです。蛇のままだったら場所とって迷惑になるでしょ!?」

 

「便利ですね」

 

「私のことはどうでもいいんですよ! あなたの種族を聞いてるの! ちゃんと聞いてますか?」

 

「それが頼りないところなんです。か~~、困った」

 

「つまり自分もわからない、と……。まあそういうかたも時々あります……。だったらねえ、できるだけ古いことで、何かおぼえてることはありませんか?」

 

「あ、思い出すなぁ」

 

「早く思い出してください。何かありましたか」

 

「そうですねえ。前の主人というか持ち主のかたがですね、イズモのほうでなンか(おお)~きな〝ひどら(・・・)〟が出てねえ、それで荷物が届かないとかなんとか、そういうようなことをブツブツおっしゃってましたのを、横で聞いてたのを、ボンヤリとおぼえてます」

 

「……ちょっと待ってくださいよ? 大きなヒドラ? イズモのほう……。ああ、お年寄りから聞いたことありますね。イズモで大型……グレートヒドラが出て、すごい被害が出たとか」

 

「わっかりますか?」

 

「……あれは確か、**年のことだから……。それだったら、あなた。半端をのぞいても280歳じゃないですか」

 

「そういうようなことになりますか?」

 

「なりますよッ。はあ……。あなたがたの寿命は知りませんけどねえ。280歳……。エルフでもそろそろいい年だよ。もうちょっとシャッキリしないもんかなあ……」

 

「すみませんねえ」

 

「私が口をはさむことじゃないんですけどね。あなた、今までどういう生活してたんですか?」

 

「そうですねえ~~~。まあ、地下のお部屋でですね、ベッドの上にゴローッと寝転がって。特にコレということはしてませんでしたね」

 

「お体でも悪かったんですか?」

 

「いたって丈夫で通ってました。水洗いをしようが、ひと月ふた月お外に放り出されてても、ぜんぜん大丈夫と、主人からお墨付きをいただいてました」

 

「じゃ、あなた今までずーっとゴロゴロしてたんですか? 280年も? ……引きこもるにしても限度がありますよ?」

 

「いやー」

 

「ホンッとに……。はい、わかりました。280歳と書いてください」

 

「はい。さらさらさらと……。これでよろしいですか?」

 

「きれいな字だけに余計腹立ってくるな……。あー、はいはい。これでけっこうです」

 

「そうですか。いやあ、お世話になりました。サヨナラ!」

 

「ちょっと、ちょっと、ちょっと!? まだギルドの紋章つけてませんよ!? それつけないと意味がない……行っちゃった……。速い足……。ボケボケッとしてるくせに、こんな時だけ素早く動くなあ。ゴキブリみたい。はあ~あ。……どこの物好きか知らないけど、あんなモノをよく飼っておくよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきました!」

 

「登録できたのかしら?」

 

「書類というんですか、紙きれというんですか。それにちゃんと書いてきました。きれいな字ですねえと、称賛をいただきまして」

 

「ふーん」

 

「そういうようなわけで、冒険者になってきました。今日から仲間です。仲間です。仲間です!」

 

「ちょっと手を出してみなさい。あなた、ギルドの紋章がないじゃない。何をしに行ってきたわけ?」

 

「紋章というと……。そういうようなものが、いるの?」

 

「バカ。それがなかったら身分証明にならないでしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。