破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その105、白毛と乙女-5 ことはすでに藪の中?

 

 

 

 

 

 

 

虎女(タイガーウーマン)。ちょっと、気になるわねえ」

 

「そうかい? じゃ、そっちも探ってくりゃ良かったかなあ」

 

 カーシャの言葉にマコネが言うと、

 

「あの? たびたびスイマセン。タイガーウーマンって、つまり、虎の獣人ですよね? ワータイガーとどうちがうんです?」

 

 バッキーの質問に、

 

「変身型と常態型。なになにマンとかウーマンと呼ばれるのは、ヒト型から獣人、あるいは獣そのものに変わる。逆に、ワーとつくほうは常に半獣半人だよ。まあ、慣れないとぱっと見じゃわからねーけど」

 

 と。

 マコネが説明した。

 

「ほえー。じゃ、マコネさんもわかるんですか?」

 

「時と場合によるけど。向こうに隠す気がなければわりとすぐにな? ま、慣れだなよーするに」

 

 などと……。

 少し話が脱線しかけた時、だった。

 

 ドンドンドンドンドン!

 

 あわただしく、荒っぽいノックの後で、

 

「ミズ! すぐに来てください、フェイジンの群れがまた……!」

 

 ギルドの職員が転がるように入ってきて、叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまりは、まあ――

 前回とだいたい同じような光景が作られることになった。

 違うのはせいぜい場所くらいだろう。

 

「またまた派手だなあ」

 

 両手を腰に当て、マコネはその景色を見ている。

 もうすっかり慣れてしまっている。

 

 血肉の海を、大勢の低ランクの冒険者たちが処理。

 

 そんな中、

 

「あれ? マントゥ売りのおっちゃんじゃねえの」

 

 働く中に見知った顔を見つけたマコネ。

 ひょいひょいっと近づいていく。

 

「ん? ああ、この前の」

 

 振り返ったマントゥ売りはすぐ気づいたらしい。

 

「なんだ、お前も来てたのか」

 

「ん。まあね」

 

 マコネは適当にうなずきながら、

 

「大変だよなあ、この大仕事は」

 

「なぁに。大変なのは上のほう、ギルドのほうだ。こっちは良い仕事(クエスト)が来て助かるわな。物売りよりは……ま、汗はかくが実入りはいいしよ」

 

「でもギルドだって、それなりに銭は入るんだから文句もないだろ」

 

「おう。専門じゃないからよくは知らんが、こんなミンチでも錬金術とかなんとか、色々用途はあるらしい。外国(よそ)に売ることもできるしよ」

 

「あとさ。街の近くってのがかえって良かったかもな。歩かずにすむ」

 

「まったくだ」

 

「けど。見た感じ、RとかSRもいるようだけど?」

 

 マコネの指摘通り。

 明らかに顔つき、体つき。そして所作。

 他とは別格の冒険者も少数だがいるようだ。

 

 特に魔導士系はそれなりの魔法で活躍していた。

 浮遊魔法やゴーレムで大量に集め、運ぶ。

 

「こういう時は、気が抜けてるだけにかえって危ないとよ。盗賊だ、血に引き寄せられた他のモンスターとかな」

 

「痛しかゆしって、やつかね」

 

「今回はどうやら死人はでなかったらしいから、そこも救いだろうなあ」

 

「すると、前の時は?」

 

「そこだよ。あのクソザルども、旧街道のほうに出てきたろう?あの時、何人かやられたようだぜ。もっとも

あっちは道が悪いのはもちろん、特に近道ってわけでもない。わざわざあんなとこを選ぶようなのは、まともなヤツじゃあないな。何にしたって世間をはばかってる。……とはいえ、俺も直接見たわけじゃないけど。まあ、ひでえ死に様だってよ」

 

 マコネは適当にしゃべる中で、

 

「あ。そういえばさ、虎……虎女(タイガーウーマン)で、フーレンってヤツを知らないか?」

 

「フーレン。ああ、お前まさかあいつに金でも貸してたのか?」

 

「おいらじゃないけど、ま、うちの大将……リーダーが、ちょいと」

 

「ほう。やっぱりなあ?」

 

 マントゥ売りは勝手に納得しながら、少し離れた男へ、

 

「おーい。お前、バカ虎のヤツがどうなってるか知らないか?」

 

 すると。

 話しかけられたほうは、やや呆れた顔で、

 

「おいおい。聞いてなかったか? あの女は前の襲撃ン時、フェイジンどもにやられたそうだぜ。どうも、な。旧街道を歩いてて、運悪く行き当たったらしいや」

 

「えっ……。ありゃまあ。あんまり良い死にかたはするまいと思ってはいたけど、いざそうなると、気の毒だなぁ……」

 

 

 

 

 さて。

 マコネがそういう話を聞いている間、

 

 もくもくと働き続けるゴーレム。それを操るゴーレム使いたち。

 カーシャはそれらを見ながら、

 

「ふうん」

 

 と。

 ため息だかなんだか、よくわからないものを吐いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつらねえ。実は、うちのほうでも怪しいと思ってた矢先でした」

 

 支部長は言った。

 

「なんというか。確たる証拠はなかったんだけど、どうも? 流民の女を売り払ってるらしいと。真偽は調査中だったんですけど」

 

「それはまた……。ホントだとすれば、とんだ失態だこと」

 

 カーシャは笑いもせず、淡々と言った。

 

「と、言ってもねえ。何しろ支部にもそれぞれ大小があって、キャパシティというやつも、みんな同じというわけにもいかないので街から離れれば離れるほど、目は届かなくなりますし」

 

 支部長は言い訳がましく言葉を並べながら、

 

「そこらへんの村には、小さな出張所、これだってあれば上等というやつで、ないのが普通なんですよ」

 

「とはいえ。流民とはいえねえ……」

 

「いや、まあ、その。冒険者登録していればともかく、よそから流れてきた宿なし連中なんてものは、のたれ死にしようが霧や霞ときえようが誰も気にするこたぁないですね。非情ではありますが、仕方ないことでもあるんです」

 

「つまり、どこかにさらわれようと売り払われようと、お構いなしというわけ?」

 

「実はあんまり信憑性のある情報と思ってないです。流民の女って……そんなもの、買う物好きがいますかね。大昔ならまだしも、使いがってのいいゴーレムのある今じゃあ、家畜どころか麦ひと袋ほどの値打ちもないと思いますがね。下手するとマイナスですよ?」

 

「それはそうね」

 

 カーシャにも納得できる理屈だった。

 

「そんな女、売り買いするくらいなら、サキュバスと愛人契約したほうが、いや誰だってそっちを選びますよ。どこのなんだかわからない女なんて、どんな厄ネタや病気を持ってるか知れたものじゃあない」

 

 その点も、やはりカーシャは納得するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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