破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件 作:らくべえ09
当然キャパ的にそこまで手は回らないのですが
Bという人物について。
およそ、健全とか爽やかという言葉からはかけ離れている。
少なくとも――
異性から見て、魅力的とはまず言えない。
あるいは。
本人はそういう努力など全て放棄しているようだ。
さらに。
似たような趣味嗜好の集まる、【オタク系サークル】。
そこでも排除されるような言動。
こんな男なのだが……。
それなりに評判の、イタリアンレストランである。
「さて……」
空になったワイングラスを置いて、女はつぶやく。
長い、癖のないつややかな黒髪。
きつそうな雰囲気だが、誰も否定できないような美貌。
その、肉感的な
半面。
きつそうな性格がにじみ出ている。
相対するBは、いつもとは違うこざっぱりしたジャケット姿。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか?」
女が言った。
いや。
命令したとするべき?
Bは、レジで会計をすませていた。
女の姿は見えない。
【化粧室】に行ったらしい。
「――はい。それでは、**円のお返しに……」
と。
レジの店員が言いかけた時、
「おつりはけっこう」
いきなり、女が言った。
店員は一瞬ビクリとする。
まるで瞬間移動でもしたかのように。
気がつけば、Bの後ろに立っていた。
会計後。
女は先に立って歩き出し、Bはその後を犬のようについていく。
――ああ。お財布役ね……。あんな
見送りながら、店員はそう納得していた。
が。
店を出た少し後で、
「あの、これ……」
Bは革財布を女に渡そうとした。
実は先ほど、
「じゃあ、支払いをすませておいて」
女がBに渡したもの。
カード類や身分証明書などはない。
ただ。
高額紙幣が、およそ十数枚は入っていた。
「いらない」
「え。いや、でも」
「とっておきなさい」
「……だけど」
「こういう時は――」
女はぐいっと、Bに顔を近づけた。
奇妙な……。
独特のものがある、体臭と息がBの顔に迫る。
「相手に恥をかかせないものよ」
******
どうやら。
部屋の主は留守らしかった。
「ふうん……」
カーシャは部屋の中を見まわし、ため息。
感心したような、呆れたような――
または、その両方をこめて。
「意外にこぎれいな……いや、整理されているというのかしらね」
Bなる人物。
あのいかにも小汚い……。
オシャレや美容とは無縁の、無精ひげの風貌。
それとは対照的に?
部屋はきちりとした印象だった。
「というか。自分の好きなこと、興味のあること以外は無頓着というんでしょうね。そう考えれば、まあ普通?」
「ちょっと、わかる気もします」
横に立つバッキーは妙な気分でうなずいた。
両者ともに、その姿は半透明。
他の人間には、肉体も見えず、声も聞こえない。
幽霊みたいな状態である。
「で……」
カーシャは無遠慮に部屋を探し回っていく。
「実体はないのに、物に触れる。干渉できる。便利なものねえ」
やがて、見つけたもの。
それにカーシャは高笑いする。
「あははは。なるほど、なるほど? ある種の人間は激怒しそうだわ」
いや?
期待通りと喜んで、小躍りするかしらねえ?
たっぷりと出てきた成年コミック―ー
つまりエロ漫画。
そのジャンルは、全て
「うわあ……。 ん? よ、喜ぶ?」
「自分の偏見や悪意、それが正当なものだと確信できるから。ケシカラヌと言いながら、腹の底、あるいは自覚はなくてもね」
「そんなものですか……?」
「ま。そうはいっても、〝同じ穴の
「はあ」
「子供の保護。女性の権利。それが大事だと大声で言って回る男が――その裏で子供を……ええと、そうそう。性的虐待、というんだっけ。そんなのをやってたり」
陰では、女をレイプしてたりね。
カーシャは、おかしそうに笑った。
「それは」
「よくある話でしょ」
「確かにそうだけど……」
「かと言って。現実の子供はこれほど可愛くもないし、魅力的でもないけれどね」
カーシャは、
「だから。ほとんどのヤツはそれはそれ、これはこれで分けてるでしょうけど」
「そんなもんですか?」
「でなきゃ、あちらこちらでその手の事件が起きてるわよ。それに、生きた人間なんて基本臭いし汚いからね。男女の区別なく。自分じゃわかりにくいだけで」
「……はあ」
「あんただって、これと似たような本は持ってるでしょ? けっこう数を」
「いや、あれは」
「ああ。あっちは男の子ものだったかしら」
「うぐっ……」
「ともあれ。こいつの場合は、放置しておくと犯罪を起こしちゃうから。その点では」
石の中で眠ってるバケモノに――
起きて、動き出してもらったほうが良いのだけど。
Bはベッドの上で、汗だくとなっていた。
ついさっき。
横の
――うう……。ま、まるでダメだ。
Bは心の中でうめいた。
いや。
うめきそのものは、口から漏れている。
重量感がたっぷりとした、かと肥満ではない。
そんな女の肉体に翻弄され、好き勝手にされて、
――ど、どうなってるんだ?
B自身も、まるで制限なくいきり立ってしまう。
男には、どうにもならない肉体的〝限界〟があるはずなのだが。
その常識が通じない。
自分の血や肉、骨、内臓。
この全てが、
少なくとも。
不必要についたダラシナイ脂肪は、そうなっているようだった。
この女――
何が気に入ったのか。
Bはずっとこの女にしゃぶられ続けている。
女の肉体とはこういうものか。
いや。
おそらくは違う、とBは考えている。
この女が異常なのだと、確信していた。
務津以外の女は知らないのだが。
正直なところ。
絶世とも言える美女だが、務津はBの趣味嗜好とはまるで違う。
高い背丈。
大きく魅惑的なバスト。ヒップ。
そして、攻撃的な内面を隠さない鋭い眼。
むしろ真逆とさえ言えた。
だが。
性欲を持て余し、夜な夜な……。
下手をすると、日夜クダラナイ妄想にふける若い男。
肉の欲望には逆らえるわけもなく。
「私はね」
務津がBの顔をのぞきこんできた。
「お前の臭いが、血が、肉が、骨が、体のひとかけらまで、愛しくって愛しくってたまらないの」
紅い舌。
それが額の汗をなめとった。
「逃げたら許さないからね」
ねっとりとした務津の視線に、Bは戦慄する。
「殺す、なんてありきたりで野暮なことは言わない」
「うう……」
「たとえ地獄に堕ちようと」
うめくBに対して務津は、
「ふふ? よくある? 【異世界転生】? そうなったとしても、どこまでもどこまでも、どこまでも追いかけて、必ず捕まえるからね」
その言葉は――
脅しでも冗談でもなく、心からの本音で確信だとわかった。
5億年とは言わないけど
一か月ボタンとかないものかなあと無双するたびたび
当然年だけ取らないで
書きためたものは全部持ち帰れるという都合のよいボタンが