破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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キャラクターやら地名なんかは考えてもメモをしっかりととっとかないと忘れてしまう……
下手するとメモを読んでもよくわかんない時も……


その109、ズーム・ボベラの詩-3 急な報せであわてる話

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし……。そのあたりの日時で、ヒチュタの街ねえ?」

 

 改めて話を重ねている途中――

 ゴトクは金髪を掻きながら、ふと表情を変える。

 

「なんか、思い当たることでも?」

 

「いや――あまり確かなことは言えん」

 

 期待のこもったジロの声に首を振りながら、

 

 ――確か、あの女もクエストで変装することもあるらしいが……。ヒチュタの街……。そういや、あの時期に行ったあたりは……。

 

 そこで、ゴトクは髪から手を放して、

 

「ヒチュタから、わりと近いな」

 

 と。

 つぶやいた時――

 

 トン

 

 ゴトクの肩に、猫……使い魔が飛び乗った。

 

「ネイテク様がヒチュタより魔導通信で」

 

「噂をすればというか、話が来たと思えばか」

 

 ゴトクは苦笑してジロを振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういや、こないだのさ。大猿モンスターの」

 

「ああ。アレ」

 

 マコネの言葉に、カーシャは声だけの返事。

 使っていたカードをきれいにしまいながら。

 

「ドタバタしたけど、帰りはなかなか面白かったよな」

 

「もののついでだったけど。思わぬ臨時収入だったわね」

 

 マハーリでのフェイジン関係のクエスト。

 これを終えた後――

 

 近くの街で、

 

『ワイアーム出現:緊急クエスト』

 

 ……が発令した。

 物のついでというわけで、それも片づけて帰った。

 

「姐さんを見てると、感覚がおかしくなっちまうけど。ドラゴン種なんざ、1匹倒せば英雄、一攫千金だからなあ」

 

 当然。

 報酬も段違いだった。

 

 さらに、

 

「あの蛇は、色々貯めこんでたしよ」

 

 モンスターの中には、黄金や宝石などを集める習性――

 これを持つモノがいる。

 ワイアームやグリフィンなどがその例だ。

 

 巣穴に貯めこんでいた宝物類。

 ワイアームの死体はギルドへ引き渡したが、これはカーシャのものとなった。

 

「けど。あの後、ヒチュタへより道した時さあ。面白かったよなぁ」

 

 マコネがくくくっと笑うと、

 

「うぐ」

 

 バッキーは赤面する。

 

「どうだい、これからもちょくちょく。みんな喜ぶぜ?」

 

「それは、ちょっと……」

 

 マコネの言葉に、バッキーは軽く手を突き出して拒否した後、

 

「あ、あれ? ボロンはいったい、どこ行ったんですかね?」

 

「なにゴマかしてんだ。あいつなら、おつかいに出したとこじゃねーか。アレコレ、多少は慣れてもらわねえと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わざわざ、魔導通信まで使ってくるたぁ、よほど急いでるらしい」

 

 通信機を手にしたゴトクは、やや硬い声で言った。

 

 直接通話の魔導通信。

 これを民間で扱う場所は少ない。

 ギルドを除けば、商売を許可された専用店だけだ。

 

 ゴトクは、そこからの呼び出しを受けている途中で――

 

<それがねえ? 例の若旦那、あのお嬢様が来たとか、見つけたとか。そんなことを言ってるらしいんですよ>

 

「なに?」

 

<それが普通の場合なら、手がかり足がかりになるんですが……>

 

「普通じゃあないってわけかい」

 

<ええ。若旦那以外に、そのお嬢様を見た者は――>

 

 いません。

 

 通信機の向こうで、ネイテクは困った声で言った。

 

「そりゃ、とうとう思い余って幻でも見るようになったんじゃないのかよ?」

 

<わかりませんなあ。いや、問題はそれだけじゃないんです>

 

「まだわいて出たってか」

 

<若旦那、夜な夜などこかに行ってしまうんですよ>

 

「……その若旦那ってのは、忍びの術でも心得えてんのか?」

 

<まさか。家の者が見張ってても、どこをどうしたもんだかいつの間にか出ていって……ふらふら~、とどこかへ行ってしまうようで。朝になれば帰ってくるか、道ばたでウロウロしてるのを発見されるんですな>

 

「目くらましか、何か魔法でも使ったのか。いや、魔導士に調べさせりゃあいいだろうよ」

 

<いやあ、そのお役目を不肖私が、ね>

 

「そうかい。で、何かわかったか?」

 

<魔法とは違いますが、何かしら妙な魔力や気配の残滓はありますなあ。それがどういうものか、まではわかりません>

 

「まるで幽霊にもとっつかれてるみてえだな」

 

 ゴトクは苦笑して、やつれた若旦那がフラフラ歩いている姿を想像する。

 

<あるいは、本当にそうかもしれません>

 

「そうなると死霊魔術師(ネクロマンサー)の領分だが……」

 

 つぶやいた後、ゴトクはふと窓の外を見て……。

 

「*****~~~~~~~♪♬」

 

 誰に教わったのか。

 安酒場で聞こえてきそうな、趣味の悪い猥歌(わいか)を歌いながら歩いている少女がひとり。

 灰色の、古い僧衣の尼僧姿。

 

「妙な偶然ってのかな……」

 

 苦笑を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マコネは神殿を見上げながら、首をかしげた。

 

「……にしても、妙てけれんな話じゃねーか?」

 

 商売の神を祭った由緒ある神殿。

 ヒチュタの名所? とも言える場所だが――

 

「その、恋わずらいの若旦那さんが惚れたっていう女? 最初うちの姐さんだって疑ってたんだって?」

 

「正直なところ、少しな。時期も重なってた」

 

 ゴトクは神殿の前には、お守りや護符、あるいは神像を売る店がある。

 その他にも食べ物屋、土産屋などの店々があった。

 

「確かにこの街へは来たけど、ここにはこなかったわね」

 

「ああ。川のほうで遊んではきたけどな」

 

 カーシャの言葉に、マコネはウンウンとうなずいた。

 

「わざわざ、ここまで来る意味あったのか?」

 

「さてな?」

 

 自分のほうを見るマコネに、ゴトクは肩をすくめる。

 

「あるかどうか、確証は何もない。だが、何かしら(えん)みたいなものは感じる気がしてな」

 

「それまた。あんたにゃしちゃ珍しく、頼りない話だなぁ」

 

「――ふうん。まあ、そういうおかしなこともある世の中なんでしょうけど」

 

 カーシャは神殿のほうへと視線を送り、

 

「あの()が同行を求められたのは、どういう理由かしら」

 

 バッキーと並んで、神殿を見上げているボロンを見た。

 

(おお)~きぃもんですなあ?」

 

 ボロンは、田舎から出てきた観光客みたいな反応で、

 

 ――ほええ。教会とかもなんかちがってたけど……。こっちも、イメージしてたギリシャっぽいのとはちがうなあ?

 

 バッキーは神殿の形態や雰囲気に嘆息している。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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