破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件 作:らくべえ09
「まあ、大別しますと――」
と。
チーム―リーダーは、魔導ボードを指して語る。
いわゆる、映像装置。
パソコンのモニターみたいなもの。
「40人のうち、戦闘型と非戦闘型の2種類となります。戦闘型は大よそ、能力だけを見るならすぐに実戦でも戦えますが……」
<やっぱり精神面まで、カスタマイズはされてないわけですねえ?>
「はい」
「非戦闘型も、自分の能力を完全に理解してるとは言いがたい状況です」
「また、スキル使用における魔力の消費量。これがかなり大きいですな。負担や消耗も」
「このへんは、経験や訓練を積めばいずれは改善されると予測されます」
チームリーダーを補足するように、魔導士たちが意見を述べていく。
「ただ中には……例をあげますと、このモンスターを呼び寄せるスキルですが、どの程度制御が可能なのか、未知の要素が大きいです。検証にもかなりの危険性が――」
<そのへんは、ミズ・カーシャの協力を得られればなんとかなりません?>
「かなり長期的なものになると思いますし……あのヒトがそこまで付き合ってくれるか、どうか」
「あまり期待はできないかと」
<ん~~。月いちくらいなら、いけるかもしれないですねえ?>
「そこは何とも……」
<ふむふむ。で、転移者たちの仮住居は、指示通りにやってくれましたか?>
「はい。とりあえず、8つに分割して対応しております。お互いにトラブルを起こしにくい組み合わせで」
<けっこう、けっこう。この調子で頼みますよ?>
画面の中で――
ユオン・キナは満足そうにうなずいていた。
ガション、ガション……
広い庭の中を、岩の巨人が歩いている。
いわゆる、ゴーレムと呼ばれるもの。
「すぐにこのレベルを生成して操作できるのは、非常にすごいことですが」
「ちと、古臭いというか効率性も良くないでね?」
「現在だと、使い捨て型に近いかも」
「そのほうが生成は簡単なんですがね」
「どうやら、構造の不備を魔力で補っているわけですな」
「一時的なものではなく、完成型とするには……。
――なんだ、この状況……。
少年は、微妙な気分となっている。
学者に観察されている動物のような気分。
ゴーレムクリエイト。
これが、与えられたスキルなのだが?
スキルの検証や調査、それが始まってから、
――何というか……。自動車教習ってこんな感じ?
「ヒト型じゃなくって、4つ足のもっと安定した形状にできませんか? え、無理?」
「やはりまだ慣れてないというか、
「他の魔法を学んでいけば、改善も早まるでしょうな」
「じゃあ、あなたはいわゆるドワーフ、さん?」
「そうです。見た目でわかりませんか? ドワーフ系はけっこう特徴的なはずなんですが」
「いえ、見たのは初めてというか……」
「あ、そうか。あなたの世界では、人間以外の知性種族はいないんでしたか」
「そうっすね。他にも、モンスターってのも……空想の中にしかいない、と思います」
「思う?」
「人間が、世の中の全部をわかってるわけでもないんで」
「そういう思考は賢明ですね」
「でも、アラクネとかラミアとか、ハーピー? そういう種族もいるんでしたっけ。街とかにはたくさんいたり?」
「研究所職員にもけっこういますが。聞き取り調査をしてる中にもいますよ」
「え? いや、だって」
「ん? ああー、普段はヒト型に近い形態になっておるんです。服の上からだとちょっとわからんでしょうね」
「へえ……」
「他の種族と暮らす場合、不便ですからね」
「そういうもんですか」
「ええと、それで。あなたがたは、いわゆるブッキョウ? を信仰してるわけではないんですかな?」
「無宗教というか、神道もあるのかなあ。神社参りも普通にするし……」
「しんとう……。おお。つまり、太陽の女神を中心とした多神教ですな」
「え? よくわかりますね」
「まあ、隠してもいずれわかるでしょうが、あなたがたの前にも日本からの転移者は何人もおりましてね」
「ええっ」
「北西のあたりでしたか、わりとたくさんの転移者が来たという記録があります。他の転移者から得た情報によると、天明……西暦でいうと1700年代の後半あたりですか。あなたがたより、だいぶ過去ですな」
「そ、そんなことが!??」
「発見が遅れてモンスターにやられた者もかなりいたようですが、何だか喜んでたそうです」
「喜んで……?」
「食い物がたくさんあるとか、なんとか……。確かに、食用できるモンスターを狩って生活してたらしい」
「そういうのがいるとは、聞いたけど……」
あるメモ帳より抜粋
〇食用に用いられることの多い、主なモンスター
・アルミラージ
一本角のウサギ。雑食性。木の根から木の実、雑草。肉類まで食べる。
弱っていれば同族やほかのモンスターでも襲う。
積極的な駆除が推奨されている。
群れで行動することが多く、その場合安易な接近は危険。
・ジャッカロープ
鹿の角を持つ大型ウサギ。サイズは中型犬ほど。
肉類以外はアルミラージと同じ食性。
個体で行動することが多いが、まれに2~3匹でいることもある。
オウムのように言葉をおぼえる。
・ビートルボア
甲虫の羽や甲殻を持つ小型のイノシシ。
その羽で短距離、低空ながら飛行できる。
他のイノシシ種より複雑な動きをする点に注意。
・バロメッツ
体にさまざまな植物をはやした羊。
その植物は体毛と共に様々な需要あり。
頭部、および角は非常に硬い。
……
……
……
※いずれも攻撃力や耐久力は低く、駆除は比較的容易である。
ただし、モンスターであるために基本的に攻撃的であることを留意すべし。
「――それで? あの
「ボロンちゃん、すっかり気に入っちゃって。色々あって面白いって……。気持ちはよくわかるんですけど」
「まあ、いいけど。しかし、向こうにもアニメはあるのね」
「こっちで知った時は驚きましたよ。映画だけみたいだけど……」
「けどよお? アレって聞いた話だといちいち絵に描いたもん動かしてんだろ? すげえ手間だな」
「技術はすごいけど、職人はだいぶ過労死してるんじゃないの?」
「いえ、それは……どうなのかなあ」