破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その110、オグ事件-9 それは誰が保証するのか

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、まあ連日大変なことね?」

 

 カーシャは軽く伸びをして、魔導士たちを振り返った。

 言葉に若干の嫌味をこめて――

 

「とはいえ。()()も報酬に加算されるわけだから、文句も言えない」

 

 カーシャの背中。

 その向こうには、無数のモンスターが屍となっている。

 

「かなり高ランクのモンスターもいますから、売価も相当になると思いますよ」

 

「こないだの、グリーンドラゴンほどではないですけどね」

 

「アレ一匹でかなりのお金になりますなあ。さすがはドラゴン種だ」

 

 魔導士たちは現場処理の指示を出したり、ゴーレムでそれを手伝ったり。

 それぞれが忙しく動いていた。

 

「――で、何日も続けてるけど。その面倒なスキルとやらは制御できるの?」

 

「ハッキリ言うと、今のところは無理です」

 

 カーシャの質問に、メモ帳を手にした魔導士が困った顔で、

 

「傾向として、小型種から大型、さらに低ランクから高ランクと、上がっていくにしたがって数が減る。要するに、弱いモンスターほど数が多いわけですが――」

 

「集まってくる種類も数も、運次第だと?」

 

「そうです、そうです。とはいえ、個体としては弱くても群れれば危険なものだってたくさんいますから。あと、別に遠くから召喚するわけでもなく、周辺……ダンジョンも含めて、そこから呼び寄せてるみたいですねえ? だからやって来るのにも時間差があったし? だんだんやってくるのにも時間がかかっているようで」

 

「無尽蔵に呼び寄せられる、というわけではない……と」

 

「はい。とはいえ、ダンジョン内のモンスターは減ればその分わいて出るもんですから。全滅ってことはないでしょうけれども」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 若者たちよ――

 

 私は、あなたたちを世界の【英雄】として選びました。

 

 できることは限られていますが……。

 

 あなたたち、1人ひとりに加護(スキル)を授けましょう。

 

 どうか……。

 

 ダイノヘイムを救ってください……。

 

 

 

 

「……まあ、だいたいこんな感じだったそうで」

 

「胡散臭い話ね」

 

 カーシャは鼻で笑った。

 

 モンスター駆除の後――

 汚れを落としてから、カーシャは研究所の本棟に戻っていたが……。

 

 聞き取り調査の話を、魔導士たちから聞くこととなった。

 

「ちなみに、こちらがその女神の絵です。絵画スキルのかたに描いてもらいました」

 

「ふうん……」

 

 美しく、幻想的な女神の姿。

 

 絵は、見事なものだった。

 色こそついていないが、まさに飛び出してきそうな完成度。

 詳細も、おそらくは極めて精密・正確に再現されている。

 ……のだろう。

 

「なんだか、それっぽいというか。それこそ絵画や彫刻みたいな感じねえ? ()()()()()()ほどに――」

 

 カーシャは【似顔絵】を返した後、

 

「で、あなたがたはこれをどう思ってるわけ? 集団幻覚? それとも、誰かのお芝居?」

 

「さあ……。ただ――我々に神様の思考とか意思が理解できるかどうか、個人的に疑問ではあります」

 

「へえ?」

 

「これは、彼ら……というか、私の担当した相手と話したことなんですけれども」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは、クルールに似てますね」

 

「くるー、る?」

 

「はい。こちらの本、表紙ね。ここに描かれている生き物は、海の神……正確には、その神が化身するとされる姿によく似ておりまして。クルールとは、その神の名前です。漁業民は特に強く崇拝してますね」

 

「そ、そのクルールって、どういう……?」

 

「荒ぶる海の神、と言われておりますね。場所によっては水の神ともされてますが。共通しているのは、恐ろしい祟りをもたらす神ということです。その分、加護やご利益も大きいとは言いますよ。水難除けのお守り(アミュレット)にもよく姿が描かれたり、彫られたりしてます。ちょうど、こんな感じの」

 

「……!」

 

「どうかされましたか?」

 

「そ、その神様? について、もうちょっと、聞きたいんですけど……?」

 

「? まあ、知ってる範囲の中ですが……。さっきも言ったように、こういう……タコの頭部を持ったドラゴンに化身するというのが有名です。神様が何がしかに姿を変えて顕現する。これはよくある話ですが。後は、そう……この姿から、信者たちの中ではタコやイカ、いわゆる頭足類の食用は禁忌とされてます。神の眷属、あるいは御先(みさき)……つまり、使者だと言って。とはいえ、頭足類やその特性を持つモンスターは、毒があるので食用にはならない、という理由もあるでしょうがね。ははは」

 

「……」

 

「海底の城に住まうという、海神ですな。あるいは、司祭の神とも言われてますねえ。漁民は直接名前を呼ばずに、司祭様とか大親分とか言うそうです。特に海上では」

 

「……その、祟りって」

 

「よく聞くお話ですと、そうですね。**********とか******のような感じで」

 

「……そんな神様を、みんな崇めてるんですか?」

 

「みんなというか、水辺の住人はそういうのが多いってだけです。そもそも、神様なんて大なり小なり、祟り、災いをもたらすものじゃないですか」

 

「……」

 

「いえ、まあ。あなたは信者ではないんでしょうが、そちらの世界で崇められてる神様も、話を聞いたらとんでもない祟り神にものすごい信者がいるそうじゃないですか。いちいち気にすることもないと思いますがねえ?」

 

「……じゃあ、今の状況もひょっとして祟りなのかな?」

 

「え?」

 

「だって、いきなりこんなところに放り出されて、家にも帰れなくって。変な能力(ちから)だけおっつけられて、どう考えたってマトモじゃないよ……」

 

「いえ、そりゃあ……」

 

「だいたいが……あの女は、本当に神様だったのかな? 僕ら、ホンモノの神様なんて、見たことも話したこともないのに」

 

「……」

 

「……」

 

「……。え、えーと。そういえば、こちらの本はどういうような?」

 

「あ、それは……」

 

「……ふむ、ほうほう。ずいぶんと、面白いことをしたんですねえ! うーむ、これはちょっとした、いや、むしろ……ああ、失礼。知り合いに絵草紙、マンガですか? そういうのに凝ってるのがいるもんで――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまるところ。神様を演じている、悪趣味な女という可能性もあるわけかしら?」

 

「――そうだと思います」

 

「ところで……。ダイノヘイムってどこよ?」

 

「えーと、確かユオン魔導官から聞いたことがありますけど……。大陸の、だいぶ東南に位置するあたりでしたか、そんな地名があるとか……」

 

 

 

 

 

 

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