破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その110、オグ事件-12 爆発

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「送還の術」

 

 見た目、エルフの美少女――

 ユオン・キナはふうん、と天井を見上げた。

 

「言いかたを変えると、こちらから向こうへ移動する魔法とも言えますか」

 

「可能、ではないようだね」

 

 バルコニーから外を見る国王は、静かに言った。

 

「そうですね。()()()()では、無理です。下手なことをすれば、どんなことになるのやら……」

 

「神にでも祈るしかないのかなあ」

 

「さてはて。神様は気まぐれですからね、果たして都合よく祈りを聞き届けてくださるものか……」

 

「困ったねえ……。でも、それはわかった。向こうとつながってるというのは?」

 

「あくまで、通信のみですね。言語は今までの研究もあって十分わかります。正直、情報の海、大海ですよ。嘘も真もごちゃまぜですが」

 

 アハハハと、ユオンは笑った。

 

「笑いごとではない!」

 

 王のそばで控えていた宰相は渋い顔で怒鳴った。

 

「それで、ユオン。何か対策はあるのか?」

 

「スキルを封じるだけなら、所有者に死んでもらえばすむ話です。問題なのは、今後も研究をしたい場合、ですかねえ?」

 

「む」

 

「余計なことを考えたりしないように、ちょっと()()()()()()()()()()()という手もありますが……。それだと、スキルにどう影響するんだか、わかりませんし。過去の例だと、スキルが暴発してえらい騒ぎになったこともあるようです」

 

 ユオンの言葉に、宰相は黙り込んでしまった。

 

「そういうのは、もっと困るな。王太子の結婚式も近いし、ゴタゴタと騒ぎを起こしたくない」

 

 と。

 国王はため息を吐いて振り返った。

 

「先ほどは、無理、と申しましたが……」

 

 そんな君主にユオンは軽く頭を、撫でるように掻きながら、

 

「そもそも――勇者召喚の魔法も、古代から伝わるものを改良に改良を重ねたものです。原型は神々に祈って、勇者を送ってもらうというものだそうで」

 

「……古文書などでは、そう伝わっているね」

 

「このへんは、実のところ現状も変わっていない。いや、根本的な部分に組み込まれて、外すこともできないんですよね。いや、基本構造はおんなじというんですか? しかし……」

 

「何か、あるのかい?」

 

 国王はジッとエルフを見た。

 

「時間と労力をかけて、何世代もへて、召喚する側に都合の良い相手を選別できるようにした」

 

「ふむ」

 

「ですが、伝承を神話の域まで(さかのぼ)っていきますと……何者が来るのか、神のみぞ知るという古代。こっちの都合で、やってくるモノを選んだりできなかった。いえ、勇者とか英雄というよりも、遠い異国、異界から来訪した客人神(まろうどがみ)だった」

 

「……」

 

「なので。やって来たモノが荒ぶる神だった場合に備えて、()()()()()魔法もセットになっていた、と。これは、別に秘密でも何でもなく、神話に記載されていることでして――」

 

「今には伝わっていない、ということは。必要ではなくなったからかな?」

 

「でしょうねえ。その魔法は、召喚以上のコストがかかった可能性が高い。時には、高貴な血の生贄まで必要なほど……」

 

「そんな不確実なものに、予算も人員も割けるものか! おまけに、生贄だと?」

 

 宰相は目を怒らせてユオンを怒鳴った。

 

「ですよねー……。やれと言われましても、具体的なことはなんにもわかりませんし」

 

 と。

 ユオンは頭を下げた。

 

「ただですね」

 

「まだ、あるのか!?」

 

 宰相はついに、うんざりとした顔となる。

 

「あるいは? 本来彼らが行くはずだった、彼らを召喚したであろうダイノヘイム。そこでなら、まだ送還の魔法は健在かもしれません」

 

「だからなあ……」

 

「いや、別に。大金を使って来訪者たちを帰す必要もありませんけど。厄介なものを、どこかに飛ばす魔法でもある、ということでして。文字通り、厄介払いですねえ」

 

「……なにを」

 

 言いかけて、宰相は黙り込んだ。

 

 すると。

 国王がゆっくりと片手をあげて、

 

「そういうことは、()()()()

 

「あ、はい」

 

「ところで、そのスキルを持った少女は?」

 

「まさか王都やその近くに置くわけにもいかないので? キサウンの特殊研究施設へ移送いたしました」

 

 国王の問いに、ユオンが答えた直後――

 

 

 

 

 

 

「「「研究所が爆発した!?」」」

 

 

 

 

 

 その報告に、国王と宰相、そしてユオン――3人は同時に叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにこれ?」

 

 モニターに映る風景に、カーシャはめんどくさそうに言った。

 

 その場――

 カーシャの他には、リーダークラスの魔導士数人。

 プラス。

 急遽やってきたユオン。

 これだけである。

 

「街ですね」

 

「あまり見たことがないけど?」

 

「いやあ、それが昨日? タオスの僻地にいきなり出てきちゃったもので……」

 

 ユオンは思案顔で、両腕を組んでいる。

 

「ああ、そう――。じゃあ、もうひとつ」

 

 カーシャは画面を指して、

 

「私にいったいどうしろと? まさか」

 

 町の住民を殺せとでも言うつもり?

 そんなのは、軍を出せばすむ話でしょう。

 

 と。

 カーシャは極めて物騒な発言。

 

「それとも、街の住民全員がおかしなスキルでも持っていると?」

 

「さすがにそれはないようですが……。どんなおかしなものを持ってるか、まだわかりませんし」

 

「軍隊でもいると?」

 

「治安維持の組織はあるようです。もっとも、装備も人員も貧弱なもんです。事前にインターネットで集めた情報などで、大よそのことはわかりますけどね」

 

「なら――」

 

「あの街だけなら、いいんですが。もしも、国そのものと関わることになった場合、こりゃあ極めて面倒なことになりますからねえ?」

 

 そう言って――

 美少女エルフは肩をすくめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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