破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その110、オグ事件-14 よそはよそ、うちはうち

 

 

 

 

 

 

 

「これ、あんまり面白くないですねぇー?」

 

 そのアニメを見ながら、ボロンは辛辣ながら正直な感想を言う。

 

「前に見た、なンとかボ~ルみたいな、ドカンバカンとわっかりやすいものは、ありませんか?」

 

「ぐ、ぐむう。ボロンさんにはちと難しかったですかな? それと、ボールではありません。ドレイクオーブ! 日本が世界に誇るシリーズですぞ? 原作の……」

 

 相手をしている少年は、ちょっと顔をしかめている。

 

 が。

 

 ボロンは意にも介していない。

 あるいは、その表情に気づいてすらいないのか。

 

「あー! マンガのほうも面白いですね、アレ。アニメのほうは、なーんかのんびりしてましたけど。あははー」

 

「いや、あれは尺かせぎ……いえ、それは別によろしい、こっちへおいときましょう。ならば? 次はこのハリウッドの古典名作、童話を原作にしたものをば――」

 

 そんな両者のやり取りを、

 

「あいつも飽きねーなー?」

 

 マコネはあきれ顔で見ている。

 部屋の窓から、庭のほうを。

 

「あちこちウロつかないなら、余計な手間がなくっていいわ」

 

 カーシャはそう言いながら【今回】のクエストで得た報酬を確認している。

 

「それはいいけどよ? 姐さん、稼いだ金ここにだいぶつぎ込んだんだろ?」

 

「屋敷のほうはそろそろ完成するしね。代金も色を付けて前払いしてるから心配はいらない」

 

「だけどなあ。狙ったモンスターだけ狩れってのは……」

 

「ま? ここのは多少面倒だけどね。魔道具の補助もあるし。さほど時間もかからない」

 

 ブレスレット型の魔道具を見て、カーシャは静かに言った。

 

 ・高難度ランクのモンスターを選んで狩る。

 

 それが、今回受けたクエストだった。

 

 

 

 

 

 

 

 以前は居住者のない荒野であった場所――

 モンスターの数は多く、その危険性ゆえに野盗もいなかった。

 いや。

 潜むことも、できないというべきだろう。

 

「野盗に身を落とすなんて連中は、冒険者稼業でもやっていけない、ギルドのルールにも従えない。そんな連中だからな。まあほとんどが、社会性も何もないアホばかりだ。長生きできるのはほぼいねえ」

 

 ゴトクはそのように語っていた。

 

「仮に冒険者になっても、ギルドに逆らうかどうかして、処分されると思うがな」

 

 とも。

 

「そいで。ここのギルドはどんなんだった?」

 

 【事故】によって、来てしまった街。

 色々あったのち、ヤオアムトの統治下に入ったわけだが。

 

 その前――

 

「事情はどうあれ? あなたがたは不法入国者の集団なので……」

 

 国民として扱うことはできません。

 悪しからず。

 

 交渉の場に立ったユオンは、そう言った。

 

 当然ながら?

 あれこれ揉めたのだが、

 

「あ、けっこう。では、勝手になさってください。ただし? 他の町や村への勝手な出入り、交易などは一切できませんので。見つけた場合は相応の処罰を覚悟なさってくださいね。必要な場合は国からの正式な許可を取るように――」

 

 また。

 こちらからの、そうあなたがたの言葉で言う〝()()()()()()()()()〟ですか?

 そういったものは、期待なさらないように。

 

 はい。

 一切行いません。

 

 自衛や食糧確保のため、モンスターを狩る。

 この点は、特例として許可しましょう。

 逆にその被害に関しては、こちらは一切関知するところではありません。

 

 では、お(すこ)やかに。

 

 かくして?

 切り捨てられかけた直前、市長や市警察などはあわてて統治を受け入れることとなった。

 

「といっても? 平民からすりゃ、上が変わった程度かもな」

 

 ゴトクは皮肉そうに語っていた。

 

 警察や市役所などなど。

 そういった仕事はそのまま引き継がれた。

 

「仕組みもきっちりしてたからな。無理に壊すのも面倒だったんだろ」

 

 一番変わったのは、

 

「まあ、冒険者ギルドが入ったことだが。は、何しろ獣を狩ったこともない連中の集まりだ。モンスターと戦うノウハウはない。けーさつとかいう連中も、あくまで人間専門だ。普通の獣すら対処に困ってた」

 

「で? あんたみたいなのが呼ばれたと」

 

「あとは、ほぼサキュバスだがな。完全に素人で魔法に縁もゆかりもなかった連中を大勢、初心者レベルまで教えなきゃならん。骨が折れたよ。なかなか、やりがいはあったがね」

 

 ゴトクはそう笑っていた。

 

「でも、低ランクなら子供でも狩れるモンスターもいるわよ? 大人が数人いれば……」

 

「そのガキ以下の体力しかなかったんだよ、ここの連中は」

 

「おやおや」

 

「大人が10人かいたって、マコネにだってボロカスにされるわな」

 

「へえ。逆に面白いわね」

 

「だがちゃんと指示できるヤツがいれば、意外に統率のとれた動きができる。やれることがあると、自発的に動くヤツも多い。ひ弱ならひ弱で役に立ってくれるヤツもいる。年寄り連中もいくらか補助してやれば、きちんと働く」

 

「訓練すれば、どうにかなったと」

 

「まだ途中も途中だがな。国のほうはやりやすくって助かってるだろうよ。他は……そうだな、宗教も揉めることは少なさそうだ」

 

「街のあちこちに、神殿みたいなものがあったわね。ヒトの気配はなかったけど」

 

「基本は多神教だが、他にゴチャゴチャ言うこともない。よそはよそ、うちはうちってな。そこはこっちの流儀とおんなじだ」

 

「崇める神のちがいは面倒だものね」

 

「違うモン同士が下手に関わり合うと、それこそ血みどろの殺し合いになるからなあ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 カーシャが思い返していると――

 

「まいったねえ……」

 

 当の本人、ゴトクがブツブツ言いながら歩いてきた。

 

「おや()()、なにかお悩み?」

 

「からかってくれるなよ。妙なゴタゴタで、こっちはまいってるんだ」

 

「お疲れらしい」

 

「精神的にな」

 

 ゴトクはため息をついて、

 

「近所の家が、一家そろって引きこもりになったと言われてな。知恵を貸せ、何とかしてくれと。そんなもん、どうしろって話だ」

 

「心でも病んだのかしら」

 

「さあね。何だか知らんけど、ひとつの……いや、唯一絶対、本物の神様だけを崇める家だとさ」

 

「なにそれ」

 

「一神教ってやつだ。あんまりはやらんやり方だがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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