破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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なんとか本編更新です。


その110、オグ事件-24 推測と、狂乱の後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――最悪の気分だ。久々の休みまでぶち壊しやがって……。

 

 リガサは、(よど)みきった暗い眼で連行されていく犯人たちを見ていた。

 

 現場に到着する前――

 報告を受けて、ある程度の情報を得たリガサは、

 

「全員さっさと叩き殺せ! でなければ、銃殺しろ!!」

 

 通信機ごしに怒鳴った。

 

 実際、同じようなことを他の街でやればその場で殺されかねない。

 そうなっても文句など言えないのだ。

 

 到着時には事態は大よそ収まってはいた。

 しかし。

 後始末は山づみである。

 

「ずいぶんと、お優しい扱いだな……?」

 

 連行の様子を見て、リガサは気味の悪い笑みを浮かべた。

 

 そして、

 

「お前が指揮しときながら、なんだこの体たらくは……っ」

 

 冷たい眼と声で副長の胸ぐらをつかんだ。

 【地元】のもと警官ではない。

 リガサ同様、他の支部より派遣されたギルドナイトのひとり。

 

「いや、ちょっと落ちついて……。相手が女だってんで、どうにもこうにも動きが鈍いんですよ。かまうことないって言っても、あんまり……」

 

 副長は困った顔で弁解。

 まわりの警官上がりたちはばつが悪そうにしている。

 

 

「……前の、ぶくぶく太った中年女の時もそうだったな」

 

 リガサは、嫌そうな顔で部下から手を放す。

 

「悪党きどりのバカガキの時はもうちょっとシャキッとしてたぞ……」

 

「子供みたいなもん……とはいえ、あっちは男でしたからね」

 

「まるで高貴な淑女(レディー)みたいな対応だな。この街じゃ身分も金もない半分ババァの女も淑女になるのか。うらやましいな! 私も淑女としてエスコートしてくれないか!? なぁ!?」

 

 目を怒らせ、リガサは周りのもと警官たちに恐ろしい声で怒鳴った。

 

「まあまあまあ……」

 

 副長はヒートアップするリガサをなだめて、

 

「怒るのはわかりますけど、まずは後始末の手はずをつけてからで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんというか? 事務的というのか、パターン化されすぎてるというか」

 

 魔導士たちは不思議そうに顔をしかめて言った。

 空中に浮かんだ無数のボードを指しながら――

 

「色んな転移者からの情報を集めると、ですね」

 

 ・何らかの力でこちら側に移動してくる。

 ・その際に、召喚したと思われる存在から能力やアイテムなどを付与される。

 ・付与されたものに関する説明は必ずしも行われない。

 ・多くの場合、こちらでの活動に支障をきたさないよう肉体を調整されている。

 ・転移を行った存在は、神であると自称するパターンが多い。割合としては7割近く。

 

「細かい点を省いていくと、大よそこの5点でまとめられます」

 

「神様の世界じゃ、こういうのが基本ルールなのかしら?」

 

 ユオンは首をかしげる。

 

「それはなんとも……」

 

「最古の記録では、ユオン女史が提供された古代都市国家の金属板……これに記されていた神話に極めて似通ったものが確認されました」

 

 ひとりが、銅版の画像を空中に出す。

 

「正確な年数は不明ですが、5000年前のものだと推測されます」

 

「そりゃ古い!」

 

「よく保存されてましたねえ」

 

「……で、話を戻しますけど」

 

 説明していた魔導士は他を抑えるように言って、

 

「どうもねえ。細かい部分やら、表面的な言葉を取っ払って全体的に見ると、ですね。こう……右から左へ、流れ作業でもするように召喚して、何がしかの力、仮にこれを餞別(せんべつ)とでもしておきますが?」

 

 餞別を渡して――

 適当な場所へと放り込んで――

 それからまた次を召喚して、餞別、放り込むと――

 

 魔導士は説明を続ける。

 物を持ち上げて運ぶような仕草をしながら。

 

「このような、一連の作業をやっている。そういう印象を受けるわけです」

 

「それ、誰がやってるんです? 神様」

 

 ユオンはジッとその様子を見ながら、たずねる。

 

「そりゃわかりません。あくまで仮説の仮説みたいなものですから。ただ」

 

「ただ?」

 

「これは800年前の大魔導士ウィムクが残した研究文書から引用ですけど――」

 

 と。

 魔導士は、文書の1部を空中に映し、

 

「我々の世界で発生するダンジョンに関して。明らかに人工物とかしか思えない上、モンスターやアイテムなどは必ず存在する。性質としては一種の魔法空間だとは先人が解明しています。もちろん通常の自然現象ではない。明らかに、誰かが組み込んだ大掛かりな魔法によって発生していると。その誰かがどこかにいるのか、死んでいるのかはわからない」

 

 が、しかし。

 この大掛かりな魔法は、自動的に発動し続けながら今に至る。

 

「つまり?」

 

 ユオンがそう言うと――

 魔導士はそこでコホンと咳払いをして、

 

「つまりですね。この転移者を連れ込んでくる魔法も誰かが組み込んだものではないか。そして、今なお自動的に動き続けているのではないか? 偉大な先人たるウィムク師はそう書き残しているわけです」

 

「ない、とは言えないが……」

 

「しかし、それはまさに神の御業だぜ?」

 

「それにだよ? 転移者が会ったという女神なんかはどうなる?」

 

「いえ。それは愚問でしょ」

 

 疑問を呈した声に、ユオンは微笑して、

 

「少し手の込んだ詐術を使えば、神様を演出させて信じ込ませるのは難しくないですから? まして、魔法の技術も知識もない文明の人間なんて、いくらでも騙せますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騒ぎを起こした連中はどうなったのかしら?」

 

「どーなるも何も。とっ捕まって牢獄行きだよ。往来で暴れてケガ人出したり、もの壊したり……。あそこまで派手にやっちゃかばいようもねえわな」

 

 カーシャの問いに、ゴトクは小さく首を振る。

 

「そもそも、なんでそんな真似をしでかしたのやら。お酒でも飲んでたの?」

 

「俺だってよくはわからん。ただまあ、一種の集団ヒステリーみたいなもんだろうなあ」

 

「狂気が伝染した、か。窮屈な教会とかでたまに起こるそうだけど――」

 

「嫌な話、この街の女連中はそういう爆弾を抱えてる可能性が高いのかもなあ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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