破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その110、オグ事件-34 一応人手は集まるらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこそこの数は集まってるねー?」

 

 獣人魔導士は、言いながらラミア魔導士を振り返る。

 

「でも?状況はあまりよろしくなさそうで」

 

「……まあ、そうですね」

 

 ラミア魔導士は言いながら、窓から下の様子を見る。

 

 【市長】こと、は移住希望者にアレやコレや説明している。

 

 が。

 怒ったり、不満をたれたり。

 そういうものばかりは目立つようだ。

 

「何でもいいから、あんたが何とかしなさいよ! 責任者でしょ! ……てな感じかな?」

 

 獣人魔導士は肩をすくめ、窓から離れた。

 

「街を協力して作っていこうって、雰囲気ではありませんね」

 

 ラミア魔導士はため息を吐いて、ソファーに座る。

 その様子を、獣人魔導士は振り返りながら、

 

「そもそも――街全体のサイズから考えれば、あまりにも少なすぎる。仮に全員が身を粉にして働いても縮小せざるを得ないね。ま、それで不備があるわけでもなかろうけど」

 

「そもそも……基本、今集まってるのってほぼ全員、サトナの人間じゃないですか。こっち側の者はほとんどいませんよ」

 

 両手で頬を押さえ、嫌そうな顔のラミア魔導士。

 

「いても、私やあんたみたいな送られてきたヤツだけな」

 

「数としては数千人……。多いようだけど、ここの規模を考えると少なすぎるし……。今後を考えれば、だいぶ区画整理をしないといけませんね」

 

「サトナか。総人口が30万以上ってのは驚いたけど。こんなとこに来たい物好きが数千人もいるってのはねえ」

 

「そっちの職人や専門家も呼ばないと、無理ですね。ドワーフか、プーカか……」

 

「プーカ?」

 

 獣人魔導士は少し考えてから、

 

「ああ。確か人間のガキみたいな姿をした、ちっこい連中だね。手先が器用ですばしっこいとか」

 

「他にも、トロルとかですね。彼らは土木工事の技術がすぐれているし」

 

「それも女だけだろ?」

 

「どの種族も、技術に関しては個人差やあっても、性別での差は少ないですよ」

 

「まあ、そりゃそうか」

 

「だけど。やっぱり無謀だと思いますけどね。どういう事情にしても、こういう不自然というか、無理な構想の街は……」

 

「ラミアは女だけの種族だろ? 他にもアラクネとか色々いるじゃないの」

 

「そら、種族的にはそうだけど、だからこそ男性を拒否なんかしませんよ。それこそ、子供がつくれないじゃないですか」

 

「ふむ。でもまあ、女だけの街というか村というか、そんなのはすでにあるけどね」

 

「え? そうなんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほうん? ずいぶんとでっかいんだな? これじゃ、ダンジョンわいたらメンドーだろ」

 

 その女は、感心したような、呆れたような声で言った。

 小高い場所から街を見おろしながら――

 

 大柄な女。

 2メートル近い背丈に、腕も足も太い。

 脂肪でおおわれた皮膚の下には、ぶ厚く頑強な筋肉。

 その巨体に着ているのは、面積の狭い独特の衣服。

 

「で。あんたは、ここのギルド所属かい?」

 

 と。

 女は後ろの少女――伯耆カンナを振り返って言った。

 

「いえ。まだ――」

 

「ン? ああ。正式な支部はまだできてないんだったか」

 

 女はウェーブのかかった髪をかき上げる。

 巨体や筋肉にばかり目がいくものの、その顔立ちは美しい。

 

 だが。

 

 それは美術品ではなく、ライオンや虎の美しさだ。

 

「なんか知らんけど、招待状? みたいなのが来てね。で、ギルドと話してからこっちへ来たところだけど……。あんた、これから覚悟することだな」

 

「覚悟、ですか」

 

「そうさ。この先、流民やなんかの女がこっちへ放り込まれる。そいつらを押さえつけて、面倒ごとを片づけにゃならんのだから。ここは女だけを受け入れるんだろ? 逆に言えば女ってだけなら、誰でも良いってこったからな。下手すりゃあ……」

 

 罪人だの、賞金首もやってくるかもしれないぜ?

 

 どこか挑発するように、女は言った。

 

「……正直、そこまでは」

 

「考えてなかった、てのかい? 女の扱いが軽いから、何とかしたくなった。とでも? まあ、それは良いけど」

 

 女はカンナの反応を見てから、腰へ片手を当て、

 

「私も女だけの場所で育ったからわかるがな。同性だけがより集まっても、面倒は起こるぜ。女同士だからわかりあえる、なんて幻想があるなら捨てるこった」

 

「それは、わかっています」

 

 カンナは中高と経験してきた部活などを思い出す。

 揉めごとやヒエラルキー。

 問題は嫌でも起こった。

 

「ふうん。それでも、ってわけかい。まあ覚悟はいいとしてさ。まずは食いぶちの確保だな。土地だけはあるんだ。畑仕事でも牧畜でも、色々やれるわな」

 

 ま? お前さんは、外でモンスター狩りに精を出すだろうけど。

 

 女は言いながら、優しくカンナの肩を叩く。

 

「はい。あの、そういえば……」

 

「私か? 名は、ヤーマン。ヤーマン・ナオだ。見てわかるだろうけど、アマゾネスだよ」

 

「ヤーマン、さんですね。ええと、アマゾネス? ですか???」

 

 アマゾネス――という単語。

 そこに、カンナはどう反応すべきか、迷った。

 

 単語自体は知っているが、『強い女性』という意味合いくらいしかわからない。

 その認識が正しいのか、どうかも。

 

「知らんか? 見た目は人間とわかりにくいだろうが、女だけの種族だ。だから、故郷にも基本女しかいない」

 

「そ、そうなんですか」

 

「ああ。だから、私に招待かけたのかね? 別に女だけが良いってんでもないんだけど」

 

「へえ……。私は」

 

「女だけのほうが、良いのか?」

 

「ずっと、女性ばかりの生活だったからかもしれませんけど」

 

 カンナは思い出す。

 小学校と中学までは、ずっと女子だけの学校生活だった。

 共学に通うのは、高校が最初で――

 

「そうかい。ま、別に他人がどうこう言うこともないがな」

 

 そう言ってから、ヤーマンは下へと歩き出す。

 

「まずは、やる仕事を考えて決めなきゃならんなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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