破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その110・5 番外:弓使い(アーチャー)-7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!!? あのひとも一緒なんですか!?」

 

 ギルドにやってきた直後、だった。

 ミーシャは、ボッツの驚く声を聴いた。

 

 ――あの、ひと?

 

 女だ。

 少女の勘はそれを感じ取った。

 

 受付を見ると、

 

「まあ、はい。何かあった際の保険と言いますか……」

 

「いや、保険って……」

 

 明らかに動揺した顔のボッツが、受付のラミアと話していた。

 

()()()()は、確かに討伐の仕事は早いし確実なんですけど。とにかく、荒っぽいでしょ? たいてーの場合、モンスターがグチャグチャか、一部が吹っ飛んで跡形もないし」

 

「あああ……。そうらしいですけど」

 

「今回は、駆除と言うより狩りなんです。獲物をかたっぱしから粉々にしてたら、なんにもならないじゃないですか?」

 

「……た、確かに、はい。そうです」

 

 ボッツは受付嬢の勢いに押されっぱなし。

 

「いや、でも。ちゃんとそういう依頼だって言えば良いんじゃないですか?」

 

「……あ~。そう言えば」

 

 受付嬢は、魔導タブレットを見ながら首をかしげて、

 

「確かに、そういう地味なのは受けてませんね。最初のスライム駆除だけで……。その後は、あーー……懲罰クエストばっか続いて、うわあ……」

 

 ()()()()状態だったが――

 

「と、とにかく? そっちのクエストではあんまり信用がないので。あくまでトラブルに備えて、なんです」

 

「わかりました」

 

 ボッツがうなずいているところへ、

 

「ちょっと」

 

「「え?」」

 

 声をかけるミーシャに、ボッツと受付嬢が同時に視線を送る。

 

「あっ。はいはい。今日もクエストをお探しですか?」

 

 受付嬢はうなずき、そう言った。

 

 

 昨日。

 

 

 ミーシャはネビズに到着してすぐ、冒険者登録を行った。

 

 この時、事前に次のようなことを言われている。

 

「実績がおありのようですけど……。ここではどんなかたでも1番下の(ノーマル)クラスからスタートするのが決まりでして」

 

「しょうがないわね……」

 

 まあ。

 初心に帰るのもいいか。

 

 そういうわけで。

 

 ミーシャは(ノーマル)ランクの中で、現在もっとも難易度の高いクエストを選んだ。

 問題なく短時間でクリアしたため、

 

「はあ……。なるほど、確かに」

 

 受付嬢も印象に残ったのだろう。

 

 

 

「ねえ? さっきの話を聞いちゃったんだけど。それってどんなクエストなの?」

 

「あっ。コレですか? えっとですね……」

 

 受付嬢の説明を聞いたところ、

 

「大砲亀?」

 

「そうです、そうです」

 

「図鑑でしか見たことないけど、防御力が半端ないモンスターよね、それ」

 

「そうなんです。おまけにですね……?」

 

「名前の通り、大砲みたいに口から焼けた岩を吐き出す」

 

「ええ。このクエストは大砲亀の内臓、特に心臓が必要とされてるんです」

 

「ふーん。なるほど、確かに狩りよね」

 

「ボッツ・ルフさんも含めて、現在人手を集めてるところでして」

 

「まさか、こいつ……そんなにランクが高いの?」

 

 ミーシャはジロリとボッツを見る。

 

「いえ、まだHN(ハイノーマル)ですが……。今回の場合、多くの支援や補助も必要なので、主力とは別に募集してたんです」

 

「つまり、お手伝いってわけか」

 

 ミーシャはフンと荒い鼻息を出して、

 

「私も昨日登録したばっかの(ノーマル)だけど、受けられるわよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大砲亀、か。また面倒なのを狩るんだな」

 

 ゴトクは大型の矢を、大型の矢筒に入れながら言った。

 それはまるで、小さな槍のような代物で。

 

「そうなんですよ」

 

 ゴトクの店。

 カウンターの前でボッツはうなずいていた。

 その後ろには、不愛想な顔をしたミーシャ。

 

「まあ、こんなコストの高いもんを買おうってんだからな。しかし、お前あくまで後方支援だろ?」

 

 こんなもん使って、赤字にならねえのか?

 

 ボッツに、ゴトクはそんなことを聞いた。

 

「トントン、って感じです。でも、今回のはかなり貴重な経験ができると思うし」

 

「なるほどね。どっちかといえば、訓練、修行の一環か」

 

「そう言われると、照れくさいです」

 

「――で」

 

 ゴトクは、ボッツからミーシャのほうへ視線を移した。

 

「えらく、気を張ってる。いや」

 

 虚勢を張ってるのか。

 

 と。

 エルフは、どこか呆れた顔で言った。

 

「どういう意味よ、それ……」

 

 ほぼ黙っていたミーシャは、その言葉に目をむいた。

 

 ――ボッツ(こいつ)の、先生ってどんなヤツだか……。見てやる!

 

 そんな勢いで、ついてきたのだが?

 

 ――なによ、このはぐれエルフ……。

 

 はぐれエルフは何度も見たことがあるし、友人になった者もいる。

 しかし、このゴトク。

 どこか得体の知れないものがあった。

 

 油断がならない……と、いうよりは――

 侮ってかかると手痛い目にあう。

 そういうモノを、感じた。

 

「お前さんは腕もいい。才能もある。状況次第でどんどん伸びるタマだ」

 

 ゴトクはミーシャの疑問に答えず、おかしなことを言いだした。

 

「答えになってないわよ。だいたい、それ。まさか、嫌味?」

 

「ンなことを言って何の得がある」

 

 ゴトクは睨みつけるミーシャに手を振って、

 

「だからこそ、わかる怖さもあるってことさ。本当のところ、この街には1分1秒でもいたくない。違うか?」

 

「……!?」

 

 その指摘に、ミーシャは顔色を変えた。

 

「それに耐えるだけの胆力がある、とすべきか。あるいは、気づかないふりをしてるだけ……」

 

「あのう?」

 

「ボッツ、お前は鉄火場での勘どころは磨いているようだが……。仲間のことも察せないと命に関わるぞ? 時々な、見栄や恐れ、あるいは心配かけたくない、足を引っ張りたくないって()()()()()で病気やケガを隠す迷惑なのがいるんだ」

 

「め、迷惑?」

 

「当たり前だろ」

 

 あわてているボッツに、ゴトクは若干荒い声で、

 

「そんな状態で、いざって時に倒れたりしてみろ。周りはそのフォローまでせにゃあならん。下手すりゃ大打撃、悪くすれば全滅する。心配だどーだって問題じゃなくなるんだ」

 

「そ、そうですね。ホントに……」

 

 うなずきながら、ミーシャを見た。

 ボッツは青くなったり赤くなったりしながら。

 

 そんな幼馴染に、ミーシャはカッとしかけるが、

 

「っ!!」

 

 弾かれたように振り返る。

 

「なるほど。あいつが原因か」

 

 ゴトクがため息。

 店先に、青い影が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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